とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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うーん、暗いな・・・でもいっか←


22本編 児童期7 大した力は必要ない

強能力者(レベル3)の漢字表現には別々意味合いでもう二つあるのをご存知だろうか?

 

異能力者(レベル2)より増しな『良』好な強度(レベル)という意味が込められた良能力者(レベル3)

大能力者(レベル4)のような突出した軍事的利用価値には届かない『並』製な能力者という侮蔑を表す並能力者(レベル3)

『日常生活に於いて便利と感じる』・・・その程度の利用価値しかない。

 

言うなれば、重い物を持ち上げたければ滑車やクレーンを使えばいい。

火が欲しければ百円ライターを。もっと大きな炎が欲しければ火炎放射器を使えばいい。

電気を起こしたければスタンガンを使えばいい。

遠く離れた人と話したければ電話がある。

 

と、このように学園都市の『外』の技術力で十分賄える強度(レベル)の代物である。

しかし、これらの評価はあくまで『日常生活と限定する』ことで能力者の優位性を和らげるためものであるのだ。

『プロデュース』が躍起になって強能力者(レベル3)へと開発を行っているその理由は?

その答えを知る前に 強能力者(レベル3)だけでなく『能力者』には人対人の戦闘に於いて価値があるかよく考えていただきたい。

人間としての限界を補う為に道具や機械を使う『外』の連中と違い。

学園都市の能力者は、無手で対応出来るという有利点(アドバンテージ)を文字通りその身体に身に付けているのだ。

 

ただの人間を無効化(ころす)するのに大した力は必要ない。

 

ほんの小さな電流を心臓に当てるだけで

肺にミリ単位の穴を開けるだけで

血管に小さな泡を生じさせるだけで

空気中の物質濃度を乱すだけで

人は驚くほど簡単に死ぬ(うごかなくなる)のだから。

それ故に、数年前まで二番目に強く、数の揃う強能力者(レベル3)の安定した戦力の供給を築こうと『プロデュース』が設立された。

しかし、それも今夜を以って圧倒的強者による蹂躙により、全て終わらせられる。

 

 

 

 

そこには、見た通りの地獄厨房(ヘルズキッチン)という言葉が似合う狂った空間に埋め尽くされていた。

手術台の上に寝かされた置き去り(チャイルドエラー)達の周りには手術着姿の科学者共が今正に彼らを解剖しようとメスや恐らく頭蓋骨を削る為の電動ドリル、麻酔の入った注射器、ペンチや鉗子を揃え、構えていた。

能力を吐き出すだけの肉塊に成りつつある置き去り(チャイルドエラー)達の状態も酷い。

限界以上の薬物を投与され髪や皮膚が薄く変色したもの。

精神が崩壊してひとつの感情に固まってしまったもの。

訳のわからない装置を取り付けられ、埋め込まれ、絶えず痙攣するもの。

能力が暴走し続けるのか、必要以上の拘束を施され。体は生きていても、心が死んでいるもの。

しかし、彼等は人として形を成している分まだ増しな方であった。

室内を見回すと、――既に解剖された者であろう――ドラム缶程の大きさの赤い培養液が満たされたガラス水槽の中には異常なまでに肥大した人の頭部に収まっている筈の中枢神経系主要部位(のうみそ)が複数の管に繋がれ、浮かんでいた。

「なんだね!!き、きみh

灰神は、此方を見て硬直が解けて声を張り上げ近付こうとした科学者に対して、どのような感情を向ける事無く単純作業をこなすように(ベクター)を頭部へと透過し血管を引き千切り確実に生命活動を停止させる。

「おお、おい、どうした!?いきなりt

周りが急に口が止まり倒れ込んだ同僚の安否を気遣う一番近くにいた一人が心肺機能を確認しようとすると同じく倒れ込む。

「能力者か!?防衛警報(セキュリティー)を作動させろ!!」

「駄目です。回線がs

また一人、(ベクター)を振るい脳内血管を引き千切り絶命させる。

「ヒッ!?なんなんだ。貴様は!!我々を敵に回したからには統括理事会g

腹から綿が少しはみ出た兎のぬいぐるみと、ニット帽から覗く赤黒い髪を持つ無表情な少年の姿に科学者達は無意識の内に怯え、そして理解する。

今まで消費対象としか思えなかった素材(モルモット)が自分達を搾取する側に変わったことを。

慌てふためく科学者共を灰神は目を背けることも、感情筋を動かすことも、戸惑うこと無く街中を散歩するように(ベクター)を振るいながら歩き続け、別の部屋でも同じく施設内の職員を始末し続ける。

 

 

 無関心

                 無感情

     無関係

                          無責任

  無感傷

                 無干渉

         無感動

                              無意味

             無傾向

                         無計算

       無形態

   無思考

                  無行使

暗部の任務に・・・より正確には大多数の人を殺すのに一番重要なことは、自分に関係の無いことと割り切って感情を持たずにただ機械のように任務を達成することのみに集中することだ。

同情も慈悲も憐れみも情け容赦無く、ただひたすらに無表情に敵を始末する。

罪悪を感じないその作業は、普段の灰神とは別人のような変わり様であり。それは、脳による一種の防衛本能によるものであった。

重傷を負い、治療をする際の手術の痛みを回避するために麻酔をし神経を遮断するかのように―――。

未確認の恐怖から脱け出すために自らが意識を落とすように―――。

「あーあ、仕事とはいえ、流石にほぼ無抵抗の人型の的をコレだけ破壊すると神経擦り減るよなー」

 

当の本人には、自分が今どんな顔をしているかをわかっていない。

前々世の執着が記憶が薄れ過去を忘れているのだろう。

しかし傷付いた心はいつまでも癒えずに覚えていたのだ。

 

六階、七階、と順調に科学者達を殲滅して行き残すこと後、八階と九階にいる職員だけとなった。

 

「もう一仕事、頑張らないとな「「う"わぁぁああああ」」ん?・・・おおぅ、八階からか。先に落ちた死体をクッションにしない限りは・・・まぁ即死だろうな」

 

七階で降りた後、エレベーターが八階で止まり床が抜けていることに気付かずに乗ろうとしたのか、やや長い悲鳴が聞こえてきたので恐らくそのまま乗ろうと踏み外し一階まで超特急で落ちた(降りた)ことが容易に予想出来る。

態とエレベーターという退路を残し。御決まりの罠が(落とし穴)通じたことでこの施設の科学者達の危機管理能力の低さに呆れて興味が失せているのか灰神は気にすることなく奥と進む。

奥へと突き当たると今までの扉を横に引くのとは違い、取っ手を回して手前に引くデザインの扉を開ける。

「良い趣味しているな、オイ」

その部屋は倉庫であるのか、天井にまで届きそうな白い棚が壁際に設置されて。合成獣(キメラ)の剥製や異様に膨らんだり縮んだりした内臓が瓶詰めにされた物が並べられていた。

「内臓なんか見て喜ぶ趣味なんか持ち合わせているのかねぇ。ここの科学者共(れんちゅう)。・・・ま、奥の部屋も似たような状態だろうと分かりつつも、見ようとする俺も相当な物好きか」

奥にもう一つ扉があったので灰神は興味の好奇心の赴くままに自嘲をしながら歩き続ける。

扉には『未成標本(ディフォームド)』保管室と印刷されたネームプレートが貼られていた。

 

そこには、今まで灰神が心の奥へと押し隠し。自分の危惧していた考えを誤魔化し続けた付けが絶望があった。

 

世の中には知らなかった方が幸せでいられるような事が沢山ある。

「・・・暗いな。電気、電気」

"カチッ"

明かりが付くのと同時に灰神の瞳孔が光を絞り込むのとは別の要素で大きく揺らぐ。

"ソレ"を見た灰神は伊豆舞の言っていた「見たくもないもの」の正体を知る。

ラベル一つ一つに10週目、28歳アメリカ。

29週目、21歳日本。

35週目、40歳イギリス。

14週目、33歳インド。

17週目、36歳ノルウェー。

22週目、20歳フィンランド。

15週目、37歳ポルトガル。

何週目、何歳国名と印刷された大小様々なガラス瓶の中には、

 

 

 

 

 

 

二觭人(ディクロニウス)の胎児が入っていた。

 

薬品の色の影響で変色した身体の頭部に生えている小さな突起は間違いなく二觭人(ディクロニウス)の目立つ身体的特徴の角であった。

 

もし、この部屋にあったのがひとつかふたつであったのなら、早産や流産をした個体が学園都市に流れて来たと現実逃避出来た。

しかし、その部屋にある瓶の数は50を超えていた。

 

 

奇形児の処分

人工妊娠中絶

堕胎

 

 

予想外の状況による『驚愕』。

家族を救えなかった『悲しみ』。

ベクターウイルスを感染させればいつかはこの日がやって来ると分かっていた筈にも拘わらず溢れ出す『焦燥』。

彼らを生み育てることを拒んだ親達に対する『怒り』。

そして人類に対する敵対心が黒く塗り潰された『憎悪』。

 

 

「・・・だって、そんな・・・・わかっていたつも・・・・・・・・・許せ・・・い・・逃がさ・・・・・・酷い・・・・やつ・・・るすな・・・・・・・・代われ・・・・・・・・・・・・・・・・・アハッ、」

力無く座り込み、俯き、ブツブツ暫く呟いた後沈黙していた灰神の口から・・・否。()の口から笑いが零れた。

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、・・・・・ブッ殺す!!人間共め、人類共め、劣等種(さるども)め、全て淘汰して滅ぼしてやる!!

コロスコロスコロス殺すコロスコロスコロスころすころすコロス殺す―――」

 

狂気と殺気。

()は、灰神の口で笑い、現人類を呪い呪詛を吐き続け、灰神の身体を使って動き、上半身を屈ませ両手で顔を覆い可能な限り五感を封じて、ベクターの操作に全てを注ぎ込み、まだ生きている人間がいる上の階へと伸ばした。

その(ベクター)は、普段の波動が強いときに視認できる透明な腕ではなく、()の殺意を表すかのようにどす黒く染められており、何本かの(ベクター)が鋭利な鉤爪状になり、異様な威圧感が織り交ぜられていた。

 

 

 

「―――殺すコロス殺す殺す殺す。・・・皆殺しだ」

 

 

 




実際、条件さえ整えば異能力者(レベル2)低能力者(レベル1)も十分脅威だと思うんだ。




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