とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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やっと出来た・・・orz(力尽きた)


31本編 原作編2 はい、最後の一個です

「あの、もしかして御坂さんですか?」

 

紫のネクタイをリボンとヘアバンドを併せたような両側頭部にある角を隠すように結ばれた器用な結び方をしているショートヘアの少女、蔵間のストレートに掛けられた声の内容を理解するのに常盤台中学所属の二人はきょとんと首をかしげた。

二人とも目の前の先客に会った覚えが無いためだ。

 

「えぇっと、失礼ですがあなたは?」

 

「あ、ごめんなさい。私、柵川中学一年の蔵間ナナです」

 

控えめに、ツインテールの方の常盤台生が紹介を求めてきたので、蔵間は慌ててテーブルに付けていた肘を離し姿勢を正しながら両手を膝の上に置き、斜め三十五度の礼をする。

 

「蔵間さんね。なんか知っているみたいだけど一応挨拶ね。私は常盤台中学二年の御坂美琴。でこっちが」

 

「お姉様のルームメイトであり後輩であり露払いを」

「くぅぅろぉこぉ?」

 

露払い・・・の辺りで御坂が微笑みながらでも明らかに怒っているのがわかるくらい低い声で隣を睨んでいた。

 

「・・・おほほほほ、失礼しました。風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子と申しますの。柵川中学ということは初春のご学友か何かで?」

 

初対面の相手に少々張り切りすぎた自己紹介を誤魔化すために、話題を上手くズラしこちらに注意を向けさせた。

蔵間は、少し緊張しながらあの頭に大量の花を乗せた友人との関係を話し始める。

 

「初春とは同じクラスで今日、風紀委員(ジャッジメント)の同僚の伝手で超能力者(レベル5)の人と会うって嬉しそうに話してくれて。

放課後、一緒に来ないかって誘われたんだけど」

 

先ほど灰神に言われた通りに例の写真の内容には触れず、ここに来る前の学校で本当にあった出来事を多少脚色しながら説明をした。

 

「先程席をすれ違った殿方との先約があったと?」

 

「うん、思ってたより結構早く話が付いちゃって、午後は丸々開くかなと思っていたところに」

 

「私達が来たってことか」

 

「でもまさか同じファミレスを集合場所に選んでいたとは思わなかったから・・・初春には悪いことしちゃったかな?」

 

お待たせしましたー。ウェイトレスが二人の注文した飲み物を持ってきた。

 

「ここのファミレス、大通りの中でも結構目立つし、いい目印になるものね」

 

「にしても、蔵間さん。あなたは超能力者(レベル5)のお姉様を目の前に存外、冷静ですのね」

 

彼女からは、羨望の眼差しはあれど。有名人と同義である超能力者(レベル5)を目の前に当たり障りのない普通の対応に白井が感心する。常盤台や学舎の園でなら皆、姿を見かけるだけで一年だけでなく上級生や他校の生徒も彼女の前では大なり小なり萎縮したり緊張を持つ。だが、今話しかけてきた同僚と同じ制服を着た彼女はあくまで普通な態度で接して来ているのだ。

 

「あ、いえっ私、御坂さんに会うの初めてじゃなくて」

 

「「え!?」」

 

予想外の発言に二人の驚いた声がピッタリ重なった。

 

「私、覚えがないんだけど」

 

 

 

「あの、ええと。いえ、今年の冬頃中学校の下見で帰りだったかな? 銀行強盗に巻き込まれた時に能力を一瞬見かけただけだったんだけど」

 

「・・・ああ、そんなこともあったわね」

 

「後先月、不良を能力で撃退しているのを見ていただけだから御坂さんと直接面識があるってわけじゃないから御坂が私を知らないのは当然というか・・・」

 

「げっ、あ、あれは不可抗力というか」

 

不良に絡まれていた所を変わった能力を持つどこか見覚えのある男子高校生に助けられたのだが結局、不良どもから逃げ切れずに自分が撃退した微妙な記憶が甦る。

 

「お姉様・・・」

 

ああまた、(わたくし)たち風紀委員(ジャッジメント)の到着を待たずにヤッチマですのね・・・。と言いたげにつぶやくところを見ると、普段からの彼女の正当(過剰)防衛には頭を痛めているようだ。

 

「ちょっと、なによ黒子」

 

「いえ、後で寮に戻ってからゆっくりとお話させて頂きますの。ですが、そういうことですか」

 

「まあ、マスコミの宣伝するイメージと大分違っていた。そんな余りにも『普通』な反応だったから勝手に親近感が湧いちゃっているのかな? だから他の人と違って御坂さんにこうして話しかけられるんだと思うんだ」

 

「え?」

 

一見、可憐な保護欲を引き立てるような顔立ちからは到底出ないような攻撃的な発言に白井はティーカップに伸ばした手を止める。

 

「そうなのよねー、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)に通報するより自分でヤッちゃった方が早いし」

 

「そうだよねー」

 

「・・・・・・・」

 

ああ、駄目ですわ。この方、お姉様と同じ口の(のうりょく)が先に出るタイプですの。間違いありません。

 

白井は、どこか諦めた様な遠い目で暖かいレモンティーに口をつける。冷房が効いている室内では少し熱めの飲み物のほうが丁度良いのだ。と、軽く現実逃避をしていた。

 

普通の女子中学生は銀行強盗事件解決に協力したり、イラついて不良をKOしたなどしない。白井の反応は世間一般の一学生として真っ当なモノである筈なのだがこの場に彼女の味方はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏服姿のセーラー服の少女が二人、並びながら午後の日差しに照らされつつも談笑をしながら目的の待ち合わせ場所であるファミレスへと向かっていった。

一人は、長い黒髪の活発そうな子、佐天涙子と、おとなしそうな容姿に一変して大量の花飾りを頭に載せている初春飾利の二人組みだ。

彼女たちは、初春の風紀委員(ジャッジメント)の同僚の伝手で紹介してもらえる常盤台の超能力者(レベル5)の人に会える楽しみを互いに話し合っていた。

 

すると、初春の方に白い人影が通り過ぎ・・・。

 

「きゃ、」

 

「あっすいません」

 

「いいえ、大丈夫ですって・・・あれ?」

 

会話に熱中し過ぎて、周囲の警戒を怠ってぶつかってしまった。と気付いたころには既に謝罪の言葉を掛けられすぐに謝り返すも頭を上げてみれば白い制服の人影はどこにも見当たらなかった。今は、丁度下校時刻であるので多くの学生が通っていたが直ぐに見失うほどのような規模ではなかった筈であるに・・・。

 

「どうしたの初春、急によろけて?」

 

急な動きに、佐天は、熱中症にでもなったのかと初春を心配した

 

「佐天さん、さっき白い制服の人にぶつかっちゃったんだと思ったんですけど。あれー?」

 

「気のせいだったんじゃない?それより、こっちで合ってる?」

 

「はい、その次の通りを左に曲がれば後は真っ直ぐです」

 

「しっかし、常盤台の超電磁砲(レールガン)ねぇ・・・」

 

会話が途切れたことで有名人に会えるという興奮から少し落ち込んだ空気を持った声色で溜め息混じりに呟いた。初春が俯いた顔を覗く。

 

「最初の時と随分テンションが違いますね」

 

「いや、だってよくよく考えれば、高位能力者な上にあのお嬢様学校の常盤台でしょ?上から目線で強度(レベル)に固執するような偉そうなお嬢様な人だと思うと・・・ちょっとね」

 

浮かれていた熱が冷めたのか、少しドライな気持ちを隠すことなく半ば愚痴の様に洩らした。

 

佐天は、自分の能力の成長に不満を持っているのだ。学園都市の学生たちに施される能力開発。複数の薬品投与、電極刺激、暗示など様々な開発方法を受け脳を人工的に開発し超能力を身に付けさせることが出来るのだが、六割の生徒はスプーン一つ曲げられない。目視によって観象することすら出来ない無能力者(レベル0)であるのだ。

 

 

「良いじゃないですか。お嬢様!!しかも学園都市中の憧れレベル5の第三位の御坂さんに会えるんですよ!!」

 

そんな、佐天と対照的に初春は声を明るく弾ませながら夢見がちにうっとりと高嶺の花を見上げるように空の上を見た。

 

「そういえば、初春、昼休みからテンション高かったよね」

 

「はい!!一応蔵間さんにも声は掛けたんですけど、先約があるらしくて」

 

「身体検査が終わりに近付いた頃に誰か物凄い勢いで階段を下りて行った音がしたけど蔵間の仕業か」

 

「なにかあったんですかね」

 

「・・・・・・カレシとデートとか?」

 

先ほどの愚痴を言っていた時とは打って変わり、悪戯をするのに丁度良い小道具を見つけたような怪しい笑みを浮かべていた。

 

「まさかそんな、蔵間さんに限って。・・・って蔵間さん、特定の男性と個人的なお付き合いがあるんですか!?」

 

「あれ、初春知らないの?ウチのクラス内じゃ結構有名で。なんでも、他校の学生らしいよ」

 

「ふぇぇぇえええ!!でも、どうしてその彼氏サンとのデートだとわかるんですか?」

 

ガスが中途半端に抜けたような奇声を上げ、何を想像しているのか顔を真っ赤にして妄想の海に飲まれる前に彼女の理性がその予想に至った訳を聞こうと踏みとどまる。

 

「そりゃ、あの蔵間が駆け足で逃げるように下校したんだよ。何か特別な用事があるに決まっているじゃないか!!」

 

「えぇと、佐天さん。それで?」

 

「だから、今日はもう学校もないしゆっくりと二人きりで過ごす時間をながーく取るために走って行ったんじゃない?」

 

・・・・・・・・。

 

「そ、それは少し早計すぎるんじゃ」

 

「いいなー、あたしにも付き合える相手がいれば―-―」

 

初春は、楽しそうにクラスメイトとその相手とのやり取りを予想立てて――自分にも・・・と、冗談めかしてしゃべり続ける佐天の口を挟まずに仲良く並び相槌を打ちながら待ち合わせ場所へと歩き続けた。

 

 

「あっ、着きました。ここで待ち合わせ・・・を?」

 

「んー?どうした初春ーってありゃ蔵間じゃん。何か常盤台の人と揉めているのかな?」

 

待ち合わせ場所であるファミレスのガラスを二人が見ると柵川中学の制服を着たクラスメイトと常盤台の制服

を着た二人の三人が相席しているのが窺え、何か話し合っているようだ。

 

「急ぎましょう佐天さん!!」

 

「あっ待ってよ初春ー」

 

 

 

 

 

 

 

「――でもちょっと路地裏を通ろうとすると不良がいて絡まれることがあるよね?」

 

「そうなのよ、わかるわー。私なんかしょっちゅう・・・、 てっあら?黒子もしかして私を紹介したいっていう同僚ってあの子?」

 

御坂が、ガラスの向こう側にいた柵川中学の二人組みがこの店の入り口に小走りで向かっている様子を指差し、御坂と蔵間の不良の撃退体験を聞かされ続けていた白井がその方向を目で追う。

 

「・・・!! はい。もう一人の方とは面識はありませんが、そうですの」

 

「 あ、じゃあ私はこれで」

 

そのまま、邪魔にならないように立ち去ろうと鞄を手にし、お別れを言おうとすると。

 

「待って。午後からは暇なんでしょ?だったら初春さんに訳を話して今からでも一緒に過ごせば良いじゃない」

 

御坂は、蔵間に続いて立ち上がり出口側の近くにより白井と一緒に彼女を誘う。

 

「え、でも」

 

「このタイミングで私たちと離れますとあらぬ誤解を受ける可能性もありますし。その方がよろしいかと、御一緒に会計を済ませてしまいましょう」

 

御坂を援護するように白井はテーブル上の領収書を取り蔵間の背中を押しながら三人一緒にファミレスの外へと仲良く歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蔵間さん、御坂さん達と面識があったんですか?」

 

「初春、落ち着きなさいな。先ずは各人の紹介が先のはずですの」

 

待ち合わせ場所であったファミレス傍の大通りに五人の女子中学生の内、早速沢山の花飾りが特徴である女の子、初春が有名人である超能力者(レベル5)と友人との関係を半ば羨ましそうに興奮気味に同じ制服を着たネクタイリボンの子に食い入るように聞いてきた。それをツインテールの常盤台生白井がなれた口調で諫めて自己紹介を促す。

 

「お姉様、此方が柵川中学一年の初春飾利さんですの」

 

「 あ!! は、初めまして、初春飾利です」

 

「 で、ええと。此方は?」

 

「どうもー、佐天涙子でーす。なんだか分からないんですけど付いて来ちゃいましたー。因みに強度は0でーす」

 

また、優等生気取りの高位能力者に対するイメージがぶり返したのか佐天は、少々自虐的に自分の強度(レベル)の部分を強調しながら紹介をした。

 

「さ、佐天さん!?」

 

その態度に初春は、少し声を震わせ御坂の様子を見る。

 

「初春さんに、佐天さん、ね。私は御坂美琴よろしくね」

 

しかし、そんな態度についても、レベルのことにも興味なさ気に紹介をした二人の名前を確認し。威圧的な態度を取ることもなく至って常識的な反応を二人に見せた。

 

「 へ・・・あ?」

 

「はあ、」

 

そんな、様子に毒気と緊張が抜けたのか、生返事を返す。

 

 

「では、つつがなく紹介が済んだところで。蔵間さん、初春に説明をしなさいな」

 

そういった白井の言葉に初春がわれに返り、蔵間の方に体を向け改めて問い質す。

 

「そうでした。先約の人の用事とかはもう済んじゃったんですか?」

 

「え、あぁ。うん、意外と早く終わって正直拍子抜けかな。午後は適当に時間を潰そうとしたら偶然、御坂さん達と相席になって―――」

 

当然、蔵間は灰神との会話内容を話さずに一気に御坂たちと一緒になった経緯を語りだした。

 

「えー、彼氏とそのままデートすれば良かったのに」

 

あらましを話し終えると佐天が愉快そうに笑いながら小突く。

 

「・・・ん?カレシ??何言っているの?」

 

蔵間は急に出てきた『かれし』のワードを変換するのにしばらく時間が掛かり不思議そうに首を傾げる。

 

「え、今日会うっていう人他校の男子の人なんですよね?」

 

「あっているけど、彼氏というより近所の知り合いのお兄さんって感じの人だよ?」

 

遺伝子的には父親ってのが正しいけどというのは伏せておく。

 

 

「でも蔵間、放課後はいつも見慣れない制服を着た垂れ目の男子生徒とよく歩いているじゃん!!」

 

「ああ、柏のこと?今日会う約束をしたのはあいつじゃない別の人だし。あいつとは両親同士の交流の幼なじみだけど、彼氏にはならないよ。

ていうか有り得ないって」

 

ナイナイと、右手を振りながらさっぱりとした笑顔で答えた。

その笑顔に四人は、うわぁ、はっきりものを言うなぁ。と呆れていた。

 

「誤解も解けた事だし、この人数だと・・・とりあえずゲーセンに行きましょう」

 

「えぇ?」

 

「ゲーセン・・・ですか」

 

「ほら早く、みんな何しているの?」

 

ひと段落済んだことにより、今日の放課後の遊び場所を決めた御坂は、常盤台のお嬢様がゲーセン、っと

唖然している二人に声をかけ、目的場所に向かって歩き出した。

 

 

「意外だよね。常盤台の人がゲーセンなんて」

 

「全然お嬢様っぽく無いです」

 

「御坂さんって結構普通の人だよね」

 

紹介にされたといっても、異なる二校のメンバーがそう簡単に打ち解ける筈も無く、移動中は各校同士固まって歩き続けていた。先行している御坂と白井が前に、蔵間達がそれに付いていくといった形だ。

 

「全く、お姉様ときたらもう少しお姉様に相応しいお茶とかお琴とかゴルフとかバイオリンを嗜まれた方がお似合いですのに」

 

「その、成金みたいな趣味のどこが私らしいのよ」

 

「どうぞ」

 

通りを進むと女性から配られるチラシを受け取る。何らかの宣伝のようだ。

 

「ああ、どうも」

 

「何のチラシですか?」

 

「新しく出来たクレープの店だって。先着百名にゲコ太マスコットプレゼント、こんなんで釣られるのは小学生までだっつーの。とっ、すみません」

 

「・・・・・」

 

チラシを読んでいたせいで御坂が立ち止まっていたことに気付かずに進んでいったためにぶつかってしまいすぐに謝罪をするも御坂はただじっと手にしたチラシ・・・のカエルのマスコット、ゲコ太に釘付けになっていた。

 

「御坂さん?」

 

「あらあら、もしやお姉様はこのストラップにご興味の様子で」

 

「ちょ!?何言っているのよ。わ、私はただ新しい味のクレープが気になっただけで、そんなカエルのストラップのことなんか」

 

中学生が興味を示すには少々幼げなデザインであるゲコ太は彼女のお気に入りのひとつであり、御坂はそれらに関連するグッズの蒐集を趣味としていた。当然、世間一般から見ると小学生までのお子様向けとされている商品であることは理解しているのだ。しかし彼女は、納得はしていない。そんな世間の評価程度に怖気づくようでは、全国のゲコ太をこよなく愛するゲコラーの名が廃ると恥を忍んで小さな子達の並ぶ列に入ったり、当日に買いにいけないときはネット通販やオークションを利用するほどのゲコ太好きなのだ。ちなみにそのことが偶に都市伝説として語られることもあるが。

 

しかし、彼女も立派な中学生。知人に子供っぽいと舐められ無いように精一杯虚勢を張るも、自分のカバンにつけている緑色のカエルのキーホルダーに、みなの視線が向いていることに気付く。

 

「あ、はははは」

 

「・・・御坂さん、私の妹がゲコ太を集めているので付き合ってくれる?」

 

怪しい空気が漂う中で蔵間が御坂に助け舟をだし、クレープを食べに行こうと誘った。

 

「そ、そうなの!?じゃあ行きましょ!!」

 

先ほどの痴態を無かったことにするように大きな声でクレープ屋がある広場へと向かった。

 

 

「結構、混んでるね」

 

「小さい子が多いですし学園都市のツアーガイドでしょうか?」

 

「お姉様、私たちは先に座る場所を確保して参りますの」

 

そのまま、五人全員で並ぶには効率が悪いので、白井と初春、佐天が列から外れ先に腰掛ける場所を確保するために自分の注文を残った二人に頼んで木陰のあるベンチへと向かった。

 

「蔵間さん、私達の分もお願いしますよ~」

 

「はーい」

 

「お金は後でお払いしますわー」

 

「・・・・・・ん?何?」

 

三人を見送ると、やや不機嫌そうな様子で手を組み忙しなく右人差し指でひじを叩く御坂が視界に入った。

 

「御坂さん?先に並んでおく?」

 

「は!?・・・わ、私は別に、オマケが目的で並んでいるわけじゃないし。あくまでクレープが食べられれば」

 

ゲコ太ストラップを今か今かと待ち望んでいるその様子に若干微笑ましそうに笑いながら順番を譲ろうとするも、御坂は嬉しさに一瞬顔を緩めるもすぐにそっぽを向いてゲコ太を欲してなどいないと強がる。

 

「イエーイ、ゲコ太ゲット!!」「わたしもー」

 

「・・・・・・っ、」

 

クレープとストラップを受け取り。楽しそうに笑う子供たちの姿を羨ましげに眺めていたために強がりであるのは一目瞭然であった。

 

 

「お待たせしました。はい、最後の一個です」

 

「ありがとう!」

 

注文したクレープとゲコ太を嬉しそうに受け取る御坂の笑顔は元気な少女特有の喜びに満ちていた。蔵間は最近、矢鱈と大人ぶってきた妹の小憎たらしい笑顔とつい比べてしまっていた。

すると、後ろの方から二人の小さな子供の声が聞こえてきた。

 

「ねぇ、もうゲコ太ないの?」

 

「らしいな、並ぶのがちょっと遅かったからな。まあ、クレープは食べられるさ」

 

「・・・うん」

 

兄妹なのか同じ生地の帽子を被った、見た目はほぼ同い年くらいの仲良く手をつないで並んでいる二人のうち、白い髪と赤い瞳が特徴の涼しげなワンピースを着た女の子が暗い顔しながら聞き分けよく赤毛の男の子の慰めを受け入れていた。

そんな様子に、御坂は四、五往復ゲコ太と兄妹を見比べると意を決して近づいていった。

 

「わ、私のでよければ上げるわよ」

 

「え?そんな「ありがとう!!お姉ちゃん」・・・ありがとうございます」

 

若干声が震えていたが言いたい事を伝え、自身の良心に従いゲコ太マスコットを渡すとすぐさま佐天達の待つベンチへと歩く・・・目から一粒の涙が見知らぬ少女の笑顔の代価だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あら、あの子達は・・・。

途中まで一緒にクレープを届けていた蔵間は、足を止めて折角貰ったゲコ太ストラップを渡した兄弟の二人をじっと見つめて、手に握っていた磁石に強力な電磁石を近づけたときのような引き付けられる感覚に疑問を持ち、少し意識を自分の内側に向けた。

 

(ねぇ、紅鬼さん? あの子達って)

 

―――おおう、よく気付いたな。お察しの通り俺たちの仲間(ディクロニウス)だな。

 

(やっぱり、じゃあ御坂さんに御礼をしないと)

 

―――そうだな。丁度その手に持っているのをやったら良いさ。

 

(そうだよね、あの子にはいつかほかの機会にあげようっと)

 

両手に持っていたクレープを左手に集め右手には恩の証であるゲコ太ストラップと振分けた。

 

「御坂さん、はい」

 

後ろに並んでいた子にゲコ太を渡した御坂を慰めるように蔵間は可愛らしいストラップを差し出した。

 

「え!?でもこれ妹さんに上げるやつじゃ?」

 

口では、断ろうとしていても明らかに彼女の目はゲコ太に向けられ、喜びに輝いていた。

 

「うん、妹も沢山ゲコ太を持っているし。今回のは特に約束とかしていなかったから問題ないよ」

 

それに、私たちの身内が受けた恩は私たちで返すのが道理だしね。と心の中でつぶやく。

この強い仲間意識が紅鬼の超洗脳的教育の賜物であるのだが。当事者は、教育と洗脳の違いって個人の意に反しているかどうかだって聞いたことがあるけど、その境界って結構いい加減だよなー。と口笛を吹いていた。

 

「ありがとう!!」

 

ご機嫌にスキップをしながら御坂は先に白井に頼まれたクレープを渡しに行った。

 

「はい」

 

続いて蔵間も、マスコットを御坂に上げて皆が待っている木陰のベンチに着くと頼まれていたクレープを渡し自分も腰掛て初春の隣りに座る。

 

「ありがとうございます」

 

「サンキュー蔵間。・・・・ふふふ」

 

「なに佐天?」

 

「なんか御坂さんってイメージと大分違うな~ってね。

強度(レベル)の高い人でもあんな人がいるのかって思ってさ」

 

「良かったじゃないですか、思っていたよりずっと親しみやすい人で」

 

「ねー」

 

傍目に、納豆と生クリームのトッピングされたクレープを押し付けてくる(間接キス狙い)変態的行為を公衆の面前で隠すことなく迫りくる白井とそれを「んなもんいるかー」と去なす御坂のじゃれ合いを三人で見守りながら、学園都市の顔とも言える超能力者(レベル5)の意外な日常の顔に親しみやすさを感じていた。

 

 

「ちょっと、そんな無理やり口に近づけんじゃ」

 

「お姉ちゃん、ハイ」

 

「?」

 

白井の極度なアプローチに逃げ場がなくなり始めていたところに、さっき御坂がゲコ太を上げた女の子がクレープを御坂に差し出していた。

 

「ゲコ太のおれいに一口どうぞ」

 

「あ、ありがとう。じゃあお言葉に甘えて「お姉様!?(わたくし)という者が在りながらそのような女児から間接的なヴェーゼをご所望いたしますの!?」

 

驚愕というより錯乱に近い絶叫で捲くし立てる初春の同僚に三人は何も言えずに黙り込んだ。

何でこの人風紀委員(ジャッジメント)であり続けられるんだろう?と奇しくも同じことを思っていた。

 

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

 

「あんたの友達には付いていけないけど」

 

「あははは・・・あれ?」

 

白井の奇行は今に始まったことではないのだが、こうして友人の率直な意見を聞くとそろそろ危ないかなと?乾いた笑いを零していた初春だが。ふと、視界に入った斜め後ろ大通りにあった違和感に疑問を漏らす。

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

 

「いえ、あそこの銀行どうして昼間から防犯シャッターを下ろしいるのかな?って」

 

初春の疑問に思った内容が聞こえたのか再び一方的にじゃれあっていた白井と御坂も不自然に閉ざされた銀行に注目する。

次の瞬間、バァァアアン、と落雷のような轟音と煙が上がった。

熱による膨張と融解により歪んだシャッターが爆音と一緒に吹き飛ばされたのだ。

 

一瞬、広場から話し声や笑いが消えた後、驚きの絶叫とこの場から動かないように避難誘導をしようとするガイドの支持が聞こえ始めた。

 

白井は、掴んでいたクレープを(御坂のも)丸ごと口に放り込み一気に飲みこむと広場のベンチを踏み台に跳び上がり外の歩道へと着地する。

 

「初春、警備員(アンチスキル)に通報と怪我人の有無の確認。急いで下さいな!」

 

「はい!!」

 

「黒子っ」

 

初春が、端末を出し警備員(アンチスキル)に連絡を入れていると御坂は白井に加勢しようと呼び掛ける。

 

「 いけませんわ、お姉様。学園都市の治安維持は私達風紀委員(ジャッジメント)のお仕事。今度こそお行儀よくしてくださいな。・・・蔵間さん、あなたもですの」

 

「?うん」

 

蔵間はなぜ御坂と注意されたのか分からないが、取り敢えず頷いておく。白井に御坂と同レベルの喧嘩っ早いというふうに認識されているとは露ほどにも思っていないのだ。

 

 

 

「ほら、さっさとズラかるz」

 

「お待ちなさい、風紀委員(ジャッジメント)ですの。器物損害、強盗の現行犯で拘束します」

 

白井は銀行の正面口であった所から出てくる三人の顔をマスクのように布で覆った男達の前に立ち、緑の腕章を見せつけ、罪状と拘束通告を行ったが・・・。

 

「「「・・・プッ、アッハハハハハハハハ」」」

 

「オイオイ、風紀委員(ジャッジメント)も人手不足か?」

 

「こんなオチビちゃんが風紀委員(ジャッジメント)だとよ」

 

完全に侮られていた。

 

「ほら、お譲ちゃんそこどかねぇと怪我しちゃうぜ~」

 

三人の内、大柄のドレッドヘアの男が突進してくる。

 

「そういう三下の台詞は」

 

力を抜きながら悠然と歩きひらりと男の突進をかわすと横から手首を掴み足に蹴りを入れその衝撃を生かしながら投げ飛ばす。

男は、自分の突進の勢いに飲まれ一回転しながら道路にたたきつけられた。

 

確かに白井は、中学一年の中でも良くて平均か小柄と称される程の体格である。しかし、彼女は自身の能力を抜きにしても風紀委員(ジャッジメント)として優秀と称されるほどの身体能力と対人戦術の持ち主であるのだ。

 

 

 

「おお」

 

「すごい」

 

「流石、黒子」

 

白井の活躍を見守っていた三人が感嘆を送っていた。

 

「駄目ですって、今広場から出ちゃ」

 

「でも!」

 

「どうしたの?」

 

その横で学園都市のツアーガイドの人と初春が何か揉めており御坂が事情を聞くと、男の子が一人バスに忘れ物を取りに行ったきり戻って来ていないと。

そこで、残された四人は手分けしてバスとその周辺を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

「てめっ」

 

後残り二人の強盗(黒髪と茶髪)の黒髪の男がそう呟くと、手の平から何も燃料も無しに炎を生み出した。

 

 

発火系能力者(パイロキネシスト)、白井は口に出さずに男の能力系統を看破する。といっても、この手の能力は学園都市の中でも比較的ポピュラーなもの、所謂発現し易い能力で万が一逃走を許すようなことがあろうとも該当する能力者は大勢いるため白井は能力の観測を止め、男の行動を酷評する。

おそらく、脅しか牽制のつもりであるのだろうが白井の後ろには男の仲間のドレットヘアが気絶しており下手に能力を射出し白井が避けた場合、自分が気絶させた男に危害が及ぶ可能性があるのだ。そもそも、そういった奥の手は最後まで隠し通すのが常であるのだが、血が上っているのか発火系能力者(パイロキネシスト)は好戦的に炎を揺らす。

 

「今更後悔しても遅いぞ、俺を本気にさせたからには消し炭に」

 

全く、と白井はほれ見たことかと呆れ気味に車道へと走り出した。

 

「逃がすかよ」

その追い討ちをせんと男は火球を投げつけ白井が走り去る走路を追うように追尾させる。

 

「誰が」   「逃げますの?」着弾する数瞬前に白井は、能力を発動させ攻撃をかわす。空間移動(テレポート)、白井を含めて58人の能力者がいるがその中でも自身の重量以上の物体を移動できる能力者は更にその四分の一以下とその能力の知名度にたいして使い手が少ないという現実がある。

 

「消え、あがっ」

 

故に男は相手が、空間移動系能力者(テレポーター)であったことを理解するのに時間がかかった。

白井はその隙を逃すことなく強盗の後頭上に転移しドロップキックを食らわせると太もものホルダーに仕込んだ金属矢(ダーツ)に触れ転倒させた男の衣服と道路を縫いつける。

 

「て、空間移動系能力者(テレポーター)!?」

 

ようやく、自分が格上の能力者と戦っているのを理解したのか悲鳴に近い驚愕を露にする。

 

「もしこれ以上抵抗を続けるのなら次はダーツ(これ)を体内に直接空間移動(テレポート)させますわよ?」

 

戦意を無くした男からの返事はなかった。

 

 

 

 

「どう?見つかった」

 

「いえ、見つかりません」

 

「全く、どこにいるのよ」

 

白井が三人組の強盗の内二人を無効化している最中、残された四人とツアーガイドさんは避難していない男の子を捜していた。

御坂と初春はバスの中を佐天とガイドさんはその周辺を調べていた。

全員がバスを中心に男の子を捜しているのに対し蔵間は、公園の垣根と柵が林立している茂みの丁度車が駐車されている近くを見つめていた。

 

「ねぇ、あなたそこで何をしているの?」

 

カサリと、集中していなければ聞こえない小さな木の葉の擦れる音が茂みから聞こえてきた。

そこには、先ほど御坂がゲコ太ストラップを譲渡した兄妹の兄と思われる方の男の子が気配を完全に絶ち身を潜めていた。

 

「ど、どうしてわかった?」

 

本当に見つかるとは思っていなかったのだろう。慌てて茂みから這い出ると素早く立ち上がり口篭りながら

原因を探る。

 

「どうしてって、あなたも私と同じだから分かるでしょ?」

 

八割方呆れながらベクターで男の子の額を小突くと重要なことを思い出したような表情のまま固まっていた。

ディクロニウス同士は互いに気配を感じ取ることが出来る。つまり、片方が気付いた場合それは互いを引き寄せる磁石のように両者共に感知できるはずなんだけどなー。と蔵間は不安げに笑いながら再び問いかける。

 

「で、どうして茂みにじっとしていたの?」

 

「爆心地が自分の半径二十m以内であった場合、第二波と敵との接触を避けるために身を隠す場所と盾になるような障害物のある所にいろって。養父さんが」

 

「・・・・・・・???」

 

自分の息子に爆弾テロ対策を教える親とはどういう生活環境なのだろうか?蔵間は男の子が発した言葉の真意が理解できず、取りあえず避難先へと連れて行こうとする。

 

だが。

 

 

 

「おいお前らこっちに一緒に来い!!」

 

最後に残った薄茶髪の強盗が蔵間の腕を掴み車のドアを開け中へと連れ込もうとする。

 

「ダメェェエエエ」

 

その様子を偶然見つけた佐天が自分(レベル0)だって非力な存在なんかじゃないと走りながら叫ぶ。

 

「佐天、任せた!!」

 

「うぉっ、とっグヘッ」

 

蔵間は男の子が自己防衛本能に従い(ベクター)を使い強盗を殺害する(・・・・)のを防ぐために駆け寄ってきた佐天目掛けて男の子をベクターで摘み上げて射程に届かない分を上に放り投げて佐天に託した。

 

 

「な!?テメ、」

 

「きゃ!!」

 

「動くな!!」

 

御坂、白井が能力を使い救出しようと目論むも、蔵間が後頭部の髪を掴まれナイフを突き付けられ下手に動けなくなる。

 

「ちょっと、髪痛い。離して! 「「あ」」え?・・・あっ!?このぉ・・・離せ!!」

 

強盗が突き付けたナイフが蔵間の頭を横切りネクタイリボンの結び目が何本かの髪と一緒に切り裂いたのだ。視界の脇に紫紺の帯が通った。

怒りを露わに口調が変わったのを合図に蔵間の背中から伸びるベクターがナイフを掴み取り柔らかい針金のようにクニャっと折り曲げる。

強盗は、取り上げられ虚空に浮かぶ使い物にならなくなったナイフが道路に落ちるさまを見て唖然とする。

 

「な、え!?」

 

一度強盗から四、五歩離れると彼女は更に三本ベクターを出し合計四本の手腕(ベクター)を両手足の一番細い各指を掴み本来動かす方向とは逆のほうにレバーを下ろすように折り曲げた。

 

 

「あ?ふぃ、ぐあぁぁぁぃぃぃぃてぇぇぇええ。クソクソクソ」

 

パキュリと、四箇所に骨と筋肉の筋が鳴らしてはいけない音が響きわたり、強盗の小指四本の関節を全て逆方向に無理やり折り曲げられたことが伝わった。

 

「あ、・・・うぐぅぅ、ぅ、ぅぅ」

 

蔵間は、痛みに転げ回る強盗を無視して切り落とされたリボンを見つけるとベクターを使わずに普通の手で大事に拾い上げ両手で胸の上に抱きしめるように縮こまり嗚咽を漏らし泣き出してしまった。

 

「このガキドモが」

 

「!!「黒子」え?」

 

転げ回るうちに最初から逃走用として準備されていた車なのか強盗が鍵のかかっていないドアを開けて運転席に乗り込んでいった。

白井が、空間移動(テレポート)で強盗を捕獲しようと足を動かそうとすると、御坂が怒気の含んだ芯の強い声で白井を呼び止める。

 

「これは、私個人に売られた喧嘩だから。手、出させてもらうわよ」

 

「ああー」

 

こりゃもう完全に手遅れですの、と白井がこれから吹っ飛ばされる強盗と始末書に追われる自分の姿に哀れみを送っていると、鉄矢に縫い付けられた強盗が顔青ざめて、まくし立てるようにしゃべり始める。

 

「思い出した、風紀委員(ジャッジメント)には捕まったら最後、身も心もズタボロにして再起不能にする最悪の腹黒テレポーターがいるという噂!!」

 

「誰のことですの?」

 

「それだけじゃねぇ。常盤台にはそいつの身も心も虜にする最強の電撃使い(エレクトロマスター)

 

そうしているうちに、いったん距離を置いた車はそのまま逃走すれば良いものを指を折られた恨みを晴らすためかターンをして助走をしこちらへと猛スピードで突進してきていた。

と、そこにポケットから出したゲームセンター用のコインを右手に構える御坂の姿が。

 

「そう、あの方こそが学園都市最強の超能力者(レベル5)の第三位」

 

雷に似た轟音とオレンジ色のレーザーのような閃光が道路のアスファルトを抉りその上を走っていた強盗の乗る車が文字通りに吹き飛ばされ三、四度縦に大車輪のように車体全体を回し御坂の立つ十m後ろに着地する。

その様子を、最初に白井に伸され気絶している強盗以外の全員が見ていた。

 

「『超電磁砲(レールガン)』御坂美琴お姉様。常盤台中学が誇る最強無敵の電撃姫ですの」

 

「お姉さん達、強ぇえ」

 

その宣伝のような紹介に答えるように佐天に抱きかかえられている男の子が漏らすようにつぶやく声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「蔵間さんお怪我などは大丈夫ですの?」

 

「え?・・・うん、平気」

 

 

その後、白井が強盗を拘束し警備員(アンチスキル)に引き渡すと、切られたネクタイリボンを膝の上に放心状態の蔵間にやさしく声をかけるも彼女の様子を見る限り今日知り合ったばかりの自分よりも同級生の佐天が相手をする方が良いと思い早速佐天を手で呼ぶと静かに離れた。

 

「蔵間のそれ大切な物だったの?」

 

「うん、小学校に入学して写真撮影する時にパパに強請ったものだったの」

 

力無く頷き、目に涙を溜め始めていた。すると、蔵間の右横から誰かが駆け寄って来たのかパタパタと可愛らしい足音が聞こえる。

 

「お姉ちゃん、お兄ちゃんを助けてくれてありがとう」

 

右を見ると、御坂と一緒に手を繋ぎながらゲコ太を貰った子が蔵間が付けていたネクタイリボンと同じ色のリボンを差し出していた。

 

「これは?」

 

「ゲコ太とお兄ちゃんのお礼、わたしが付けてあげる」

 

蔵間は、御坂の方を見て恥ずかしそうに手を振る姿に蔵間がゲコ太を御坂に上げたことを話し、お礼ならあのお姉さんに言ってね。とでも言ったのだろう。

 

「はいできたー」

 

「蔵間、似合っているじゃん」

 

「どうぞ」

 

結び終わると佐天が歓声を上げ白井が鞄から二つ折り鏡を出して蔵間に見せる。

 

「ありがとう」

 

「じゃあ、また会おうね『お姉ちゃん』」

 

「そうね、また会いましょう」

 

長い白髪を靡かせて兄と付き人が待っているリムジンに向かう少女の帽子の下には蔵間や灰神と同じ一対の角が生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本日のゲスト
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
シェロ(士郎)・E・フォン・アインツベルン

幸せな衛宮(アインツベルン)一家があってもry

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