ハーマイオニー「結局、どういう事よこれ」
まず口を開いたのはハーマイオニーだった。当然の疑問と言えばそうなのだが、言わずにはいられなかった
ロン「俺に聞かれても知らないよ。そもそもこんな場所見たことないし」
ハリー「とりあえず、落ち着いて整理しよう。まず僕らは、休暇の間元ダンブルドア軍団の数人から"姿あらわし"と"姿くらまし"を教わりたいって言われて、3人で実行したはずだ」
ロン「ああ、それで最終段階で僕とハリー、そしてハーマイオニーの3人で同時にダイアゴン横丁に"姿くらまし"、"姿あらわし"をしたろ?」
ハリー「そう、合ってるよロン。でも僕らが飛ばされた先は…」
ハーマイオニー「ダイアゴン横丁でも、ホグワーツでもなければロンドンでも無い、全く身に覚えのない町だった…のよね」
3人とも全く見覚えがない場所だった。建物の様式も彼らの住んでいる所とは異なっており、何より目立ったのが、ホグワーツとは全く違う形の"'城"であった
ロン「んでもって、とりあえず人の集まりそうな所を探して、今この酒場にいる。おかしな話だよな、酒場なのにゴッツい鎧着た人とか、俺たちみたいな格好の奴らまでいる。まるでマグルのやるテレビゲームみたいな世界だよ」
ハーマイオニー「ロン、仮にゲームにそっくりだとしても中に入るなんて有り得ないのよ。そんな魔法も移動手段も聞いたこと無いもの」
ハリー「だけどハーマイオニー、ここはダドリーがやってた日本のゲームにそっくりなんだ。もしそれと同じ所に飛ばされたとしたら…」
そこまで言うか言わないかのうちに、カウンターの女性が声を掛けてきた
???「あら、坊やたちここは初めて?ここはルイーダの酒場、旅人達が出会いと別れを求めて立ち寄る酒場。そして私はここのマスターのルイーダよ」
ロン「旅人?煙突飛行ネットワークも、箒も充実してるこのご時世に?」
ルイーダ「煙突…?そんな移動手段、聞いたこともないけれど…ねぇ、もし行くあてに困っているのなら、ここにプロフィールを登録してみない?もしかしたら、今話題の勇者様が雇ってくれる…かもしれないわよ?」
淡々とした口調で事を進めていくルイーダと名乗る女性。3人は流されるままにプロフィールを登録することになった
ルイーダ「…はい、ご苦労さま。3人とも魔法使いなのね、みんな仲良く雇って貰えることを祈ってるわ。それじゃ、後はご指名があるまでゆっくりしていってね」
ハリー「ゆっくりたって、この先何をすればいいのか…あ、そうだ、この町について教えて貰っても?」
ルイーダ「あら、ここアリアハンを知らないなんて、あなた達よっぽどの田舎者なのね、ふふっ…」
ハーマイオニー「田舎者ですって!?あなたねぇ、初対面の人に言っていい事と悪い事が」
ハリー「落ち着いてハーマイオニー、あっちも悪気があるわけじゃないんだ。それにここで情報を得とかないと、後々が大変だ。…えっと、すみませんルイーダさん、このアリアハンについて、出来ればこの世界について教えてもらってもいいですか?」
少々不満げな顔をしているハーマイオニーをよそ目に、話を続けるルイーダ
ルイーダ「ええ、ここはアリアハン。勇者オルテガと、その息子さんの住んでいるとても大きな、そして今1番有名な城下町よ。」
ハリー「勇者…そう言えばさっきも言ってましたが、勇者とは何でしょうか?」
ルイーダ「それについても、順を追って説明するわ。今この世界は魔王バラモスによって支配されかかっているの。それを討伐する為にオルテガって人が旅に出たんだけど…もう何年も帰ってきてないの」
表情を豊かに変えながら、抑揚を付けて話すルイーダ
その横では未だに頬を膨らませるハーマイオニーがあった
ルイーダ「そして今日、そのオルテガの息子さんが16歳になってね、その記念日に父の跡を継いで魔王討伐の旅に出ることになったの。その息子さんが、今話題の勇者様よ、名前は確か…アルス、だったかしら?」
ロン「勇者とか魔王とか、マジでゲームみたいだよなここ」
ハーマイオニー「そうね…作り話にしてもあまりにも出来すぎてるわ」
その時、店内がざわつくのが耳に入った。3人が声のする方に振り向くと、貧相な装備に身を固めた少年が入ってきた
ハリー「…もしかして、あれが」
ルイーダ「そう、話題の勇者様よ」
勇者様だって…?
あんな小さな子供が?
いや、そんな訳は…
口々に色々な意見が飛び交う中、勇者アルスは真っ直ぐにルイーダの元へ向かってきた
アルス「ルイーダさん、仲間が欲しいな。とにかく職業問わないから、仲間が!」
見た目通りの明るさと子供っぽさを醸しながら話しかけるアルス
その時、呆然と見ている3人が目に入った
アルス「…ん、この辺じゃ見ない服装だね、それにその腰に付けてるのは…杖かな、君達、みんな魔法使いなの?」
ハリー「う、うん、そうだけど…」
アルス「ふーん…うん、よし決めた!君たち3人と旅をするよ!」
ロン「おいマジかよ…ユーシャ様に選ばれちまったぞ」
まさか選ばれると思ってなかった3人は、それぞれ異なった驚き方をして固まっていた
ルイーダ「良いのかしら?魔法使いが3人なんて、パーティバランスを考えるとかなり偏ってるけど」
アルス「うん!ひと目見た時からビビっと来ちゃった!この人達となら魔王バラモスを打ち倒せるよ!」
ハーマイオニー「あのね、勝手に決めてるけど私達にも決定権はあるのよ?まず私たちの意見も」
ハリー「僕達で良いのなら、喜んでついていくよ」
ハーマイオニーの言葉を遮って強引に話を進めるハリー
またしても不完全燃焼におわってしまった
ハリー「ハーマイオニー、ここは堪えて。進まなきゃ何も解決しないんだ」
ハーマイオニー「もう…!」
渋々承諾するハーマイオニー。こうして3人は勇者アルスの旅についていく事となった