東方蒼夢録   作:音無雨芸

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皆様のお陰で1話の総UA数が300を突破いたしました!
本当にありがとうございます!
これからも、変わらずのんびり頑張れたらなと思うのでこれからもよろしくお願いします!


10話 空を飛ぶという人類永遠の夢

時は少し遡り…………

 

通りかかった草原で里の人では見かけない格好の、面白い体勢をして座っている人間を見つけた。

 

(こちらにも気づいていない様子だし、ここら辺で見ないって事はガイライジンとか言う奴だしそれなら食べてもあの賢者に小言を言われないでしょ)

 

そうしてゆっくりとスピードを緩めながらその外来人を喰べる為にに近づいてみると、ソレはルーミアを驚かせることになる。

 

その外来人は妖力を放っていた。

あの花の大妖怪に似た、妖力を

 

(なんだ、人間じゃないのか…

なんであの妖怪の妖力を纏わせてるんだろ…?

 

 

あと…やっぱり気になるな、この感じ)

 

そこにいた人間と思しき人物は、相変わらず妖力を放出しているが、基本そういった力は戦闘をする時にしか出す事はない。なのにアレはまるでこちらを威嚇するように力を放出している。

 

この行為から導き出される答えは…

此方を挑発している、と言う事。

 

(妖怪だとしても、見たこともないから新参なのかしら。ちょっ思い知らせる必要があるかもね)

そうして私は相手の挑発に乗るように、妖力を解放し、向かって行った。

 

 

そして現在にに至る…………

 

 

「へぇ、修行…」

「はい…」

 

サンドイッチを食べ終わり、食後の休憩中

私は彼女、藍里と対談していた。

 

「何の?」

「実は、私には妖力も霊力もないみたいなんです。だから修行にならないので、まずそう言った力を自分の中で作り出す修行…修行の修行ですね」

 

あはは…と苦笑いを浮かべながら彼女は私の問いかけに答える。

 

「ふぅん…?」

 

どうやら先程までの行為に悪意はなかったようだけれど…

"妖力"も…ない?

そんなはずはない。悪意がないとはいえ、先程纏っていたのは明らかに妖力だった。しかも何故か"彼女の"妖力、と言うより他人の妖力を感じた。

 

周りには他に誰もいないはずだし…一体…

 

「どうしたの?」

「うーん、いや別に?」

 

そう、藍里に言われ、思考の海中から引きずれ出された。でも嘘をついている様子もないので、本気で自分には妖力も何もないように考えているのだろう。面白そうだったから暫く黙っておこう。

 

いずれにせよ、少しは退屈せずに済みそうだ

 

・

・

・

 

私は修行を再開していた。

先程と違うのは、隣にルーミアがいることだ。

「どうせやる事ないし暇してたから付き合うよ」

彼女はそう言って私の隣で座っている。

 

すると突然、背中を何かが登る感覚が襲った

「ひゃぅ!?」

「ほらほら、集中を途絶えさせちゃダメだよ」

ルーミアがニヤニヤしながら人差し指を左右に振る。

「じゃ、邪魔しないでよ…」

「邪魔されて出来ないようじゃダメだよ」

彼女はニヤつきながら自分を肯定してきた。

いや、普通邪魔しないでしょ。

 

「全く…もう邪魔しないでよ?」

「善処しまーす」

一応不安だったのでジト目で睨みつけておく

…彼女はケタケタと笑い、全然反省してないようだったが

 

 

 

 

〜3分経過〜

 

 

 

 

何となく、隣が動いた気配がしたので右目だけちらりと開けてみると眼の前に映ったのは

 

私の頬へと伸びる両手と、しまったと言う表情をしたルーミアだった。

 

「だーかーらー!」

「あはは、怒った怒った」

私は飛びかかったが、ルーミアはひらりと躱す。めげずにもう一度飛びかかるがまたもや躱されてしまう。

 

二人とも態勢を直し、向き合う。

私が悔しさを顔に滲ませると、ルーミアはケタケタと笑って挑発してきた。

「くっそー!」

「甘いよ、藍里」

あ、このやろぅ、この余裕ぶり

でも確かにこのまま飛びかかるだけじゃダメだよね…

「ルーミア、覚悟!」

「おっ、あきらめが悪いねー」

私はまたルーミアを捕まえるべく飛びかかる。

それをルーミアは後ろに下がりながら躱す。

 

しかし、それこそが私の狙いだった。

 

わざと力を抑え、次の一手のための体勢を崩さないようにし、ルーミアが着地したところを狙う。私はフェイントをかけたのだ。

「あっ」

「今だっ!」

その態勢ならうまく避けられないはず!

 

 

 

しかし、私の腕に抱かれたものはルーミアではなく、地面に生える草のみだった。

 

「あ、あれ?」

「藍里の考えは見え見えだよ」

捕まえているはずの声の持ち主は、私の上から声をかける。

 

声の方を見るとルーミアがいた。

「…………え、えぇ!?」

「あはは、藍里は見てて飽きないなぁ」

「ど、どうなってるの…?」

「別に特別なことじゃないよ?空を飛ぶことなんて」

 

そう、ルーミアは宙に浮いていたのだ。

宙に浮いて、私の腕からすり抜けるように逃げたのだ。

「ふ、普通のこと…」

「そうだよ、人間だって飛べる奴は飛べるし」

 

お、恐るべし幻想郷…

もう何が起こっても不思議じゃないね…

 

「わ、私も飛べるようになりますかね…?」

先程までルーミアを捕まえるのに必死だったのに、私の脳内は 空を飛ぶことに上書きされていた。

 

「あー、うん、藍里なら飛べると思うよ」

「ほ、本当ですか!」

「じゃあ早速やってみようか」

「お願いします!」

 

敬語に戻っていることにも気に留めず、私の人類の夢の一つを叶える努力が始まった。

 

・

・

・

 

幻想郷にそびえ立つ紅い洋館、紅魔館

私は、動かない大図書館ことパチュリー・ノーレッジのもとに訪れていた。

 

「早速活用させてもらうわよ」

「好きなだけ見ていきなさい、荒らさない限りね。

…と言ってもこの中から探すのは手間よね、

こぁ〜……こあー?」

「パチュリー様お呼びですか?」

 

魔法使いの呼びかけに応じる使い魔、小悪魔

どうやら彼女は使い魔を本の整理にこき使っているらしい。まぁ服従させて使役しているわけだし、そこに口出しはしないが。

 

「このお客の要望に沿った本を見繕いなさい」

「了解しました」

 

パチュリーに命ぜられた小悪魔は、私の元へ歩みを進める。

 

「小悪魔です。どんな本をご所望ですか?」

「本はこれをお願いするわ」

そう言って私は、一つのメモを渡す。

 

渡されたメモをしげしげと眺めた後、小悪魔は困ったように

「ちょっと此処ではこう言った植物関係のは情報不足かもしれませんよ?……何せパチュリー様は薬の調合がにがt」「小悪魔」

その一言で、小悪魔のお喋りは遮られた。

 

「取り敢えず有るだけでいいから」

「わ、わかりました」

ふわふわと、逃げるように本を探しに行くのを見送り、適当に空いてる席に座った。

 

・

・

・

 

「それで、実際にはどうするんです?」

「うーむ、実際教えるとなると難しいな」

ルーミアは腕を組み、悩んでいる。

 

ルーミアに空を飛ぶことの方法を教えて欲しいと言ったところ、了承してくれた。

なんでも言って見るものだね。

…でも空を飛ぶことに関して、意識をしたことないのでその感覚を教えるのは難しいと言われてしまった。

 

「そ、そんなぁ…」

「うーむ…あ、そうだ」

急にルーミアが不敵な笑みを浮かべた。

 

すごく、嫌な予感がする。

 

「取り敢えず、さ、もう一回妖力を練るところからやろっか」

「…?う、うん…」

予想に反して、普通の提案をされた。

…考えすぎだったかな?

「私がいいよって言うまで続けててね、絶対だよ」

「わ、わかったよ…」

 

だめだ、やっぱり嫌な予感しかしない。

………でもこんな所で諦めたくないので続ける

 

 

……いつもの様に眼を閉じ、心を宥めて内にあるはずの力を探る。本当にこれをすることが、空を飛ぶことに繋がるのだろうか?

そう言えばルーミアも妖怪って言ってたっけ

…と、言うことは無意識に妖力を使っているって事なのでは無いのだろうか…

と、言う事はそんな物持ち合わせていない私は…

 

「藍里、気が乱れてる。」

 

ルーミアに言われてハッとする。

そう、一言で私は思考の渦から引き上げられる。悪い癖だ、とことん悪い方向に結果を考えてしまう。分かってはいる、分かってはいるのだが、止めることはできない。

 

気がついたら渦の中にいるのだ。

そうして一人では戻ってこれない。

ズブズブと沼にはまる様に

 

「藍里」

「…………ごめん」

 

ふるふると顔を振り、余計な思考を振り落とす。そして全神経を身体全身に巡らせる。

 

 

そう、時をたてずに、ルーミアに

「藍里、もういいよ」と声を掛けられた。

ゆっくりと開かれた眼前には………

 

 

 

大 空 が 広 が っ て い た

 

 

「…………えぇっと、ルーミア さん?」

「やっぱり理屈云々より感覚掴む方が早いと思うのよね」

 

その声は、押してはいけないスイッチを押したそうにうずうずした子供の様無邪気に感じられた。

 

「ちょ、まっ、死ぬ!死んじゃう!」

「暴れたら落ちるし落とすわよ」

「ぜぇっったい楽しんでるでしょ!?」

 

私は上空数千メーロルもあろう所に、ルーミアに持ち上げられていた。しかもすごく恐ろしいことまで言ってる。

 

「藍里いいこと教えてあげる。

本で読んだことあるんだけど、「あい きゃん ふらい」って言えば飛べるらしいわよ」

「いやそれだめなやつ!言いながら飛んじゃだめなやつ!」

「うん、私も腕疲れてきちゃった」

 

「ちょ、ちょっと待ってルーミア」

「あ(・)い(・)り(・) きゃん ふらーい」

「今私のなまえぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」

 

・

・

・

 

「……………」

小悪魔から受け取った本を開き、片っ端から読み漁る。

「パチュリー様、お茶が入りました」

「ん、ありがと」

音もなく咲夜が図書館に訪れる。

 

カチャ

 

「……?」

「貴方にもよ、お客様はもてなしなさいとお嬢様に言われているのでね」

「そう」

「そうそう、あのお菓子妹様に好評だったわ、ありがとうね」

「……………」

受け取った紅茶の飲み、また本に眼を落とす。

「ごゆっくり」

そう言って咲夜は姿を消した。

そうしてまた、図書館は静寂に包まれた。

 

と思いきや、突如としてパチュリーがため息をつく。すると図書館の扉が勢いよく開けられた。

 

「パチュリー、邪魔するぜー」

「……うるさいのが来たわね」

「客に向かってなんて口の聞き方だ」

「貴女は客でも何でも無いわ。客扱いされたいならせめて本を返しなさい。」

「今日も本を借りてくぞー」

「……聞いてないし」

 

声の正体は普通の魔法使いこと霧雨魔理沙、

私の所にもよく調合用の植物を要求しに来るが、返り討ちにしている。普通に貰いに来ればいいものをわざわざコソコソと盗んで行くのが原因なのだが。

 

「おっ、幽香じゃないか、珍しいなお前がここにいるなんて」

「………………」

「何読んでるんだ?」

「邪魔」

「そう固いこと言うなって」

 

そう、魔理沙は私の手にある本の表紙を見ようと周りをぐるぐるしだす。挙げ句の果てに彼女は本に手を掛け、ぐいっと手繰り寄せようとした。

 

「邪魔よ、3度目はないわ」

「なら力ずくで見せてもらうぜ」

そう言いながら彼女は箒を片手に自分の大きな黒い魔女帽子を指でピンと弾く。

 

はぁ、全く……

邪魔で本どころじゃない。

 

「紅魔の魔法使い」

「構わないけど、あんまり荒らさないでね」

「おっ、やる気だな?」

「身の程をわきまえろ白黒が」

 




年内の更新はこれが最後ですね、皆様良いお年を!
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