年明け初投稿になります。
この作品初の戦闘描写が、今作品にはあります、その関係上いつもより多い内容となっております。
至らない点もあるかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いでございます。
おかしい、実におかしい。
私は先程まで一人で修行していて、突如として現れた食いしん坊妖怪と一緒にお昼を食べていたはずなのに、私はこの幻想郷はるか上空から落下している。
何を言っているか分からないかもしれないが、
そのままの意味であり、何も脚色もない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そうして私は絶賛降下中です。
誰か助けてください。いやほんとに。
「るぅぅぅぅぅぅみやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
聞こえるはずがないが、この状況を作り出した犯人にせめてもの恨みを向ける。絶対恨んでやる。
「なーにー?」
「ふぇぁ!?」
以外にも犯人はすぐ横を並走していた。
しかしルーミアは落下している、と言うより
下に向かって飛んでいる、と言った感じで
私とは全く状況が違うのである。
「何を!思って!こんな事ぉ!」
「言ったでしょー?感覚をつかむほうが早いってー」
そう言いながら両手を広げ、滑空する様に空を滑る。私もバタつかせていた手足をどうにか落ち着かせ、ルーミアの真似をしてみる。
「ぐぬぬ…ぅぉぉ………」
直下に見える大地に引き寄せられながら、全身に風を受ける。
すると僅かではあるが、落下する速度は落ちた気がする。
お…おぉぉぉぉ…おおぉ!
少しばかりの高揚感、すごい!私今飛んでる!
「まだだよー、今度は移動することを意識してー」
…(´・ω・)
ルーミア、貴女はエスパーか何かですか。
もう少し、噛みしめていたかったが諦めて
今度は移動することに全神経を集中させる。
身体を傾け、移動を試みる
が、然程移動できるわけでもなく態勢を崩し、一回転してしまった。
「うわ!っとと…」
もう一度試してみるが、結果は変わらず。
「ど、どうすれば…」
ルーミアに答えを求めようとした時に、言われたことを思い出す。
「感覚を掴む方が早い……」
言葉の意味を噛み締め、対処方法を模索する
地に足をつけ、 地面を感じて歩く。
同様に、空に住まう者は
翼を広げ、大気を感じて飛翔する。
両者とも、ほとんど意識することなく
在るべき場所を滑る。
然る可き動作に、身を任せ。
理屈でなはく、
ふと、身体に掛かる圧力が和らぎ風の流れが変わる。
もしかして…
ゆっくり眼を開けると、ルーミアが目の前にいる。
ルーミアは私が眼を開けるのを確認すると、何も言わず私と距離をとり、コックリ頷いた。
私も同じように頷き、
ルーミアの元へと飛ぶことを試みる。
ふわりと、浮遊感が推進力に代わり身体が押し出される。フラフラと、おぼつかないものの、何とかルーミアの手を取ることができた。
言葉に表せない気持ちをどうしたら良いか
口をまごつかせていると、ルーミアが苦笑いを浮かべながら、
「あはは、藍里手汗びっしょり」
「わっ、ご、ごめん……え?」
「しっかりついて来て」
「わっ、ちょ、まっ、」
慌てて手を離そうとしたら、逆にしっかり掴まれてしまい、そのままルーミアは飛び出した。
「わ、わっ、わぁぁぁぁぁ!」
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暫くして、藍里は私の手助けなしでも多少は飛行できるようになった。今は少し離れて一人で飛ぶ練習をさせている
チラリと並走する藍里を見ると、藍里は笑顔で手を振る。笑顔で返そうとしたが、疑問の念と相待ってきっと苦笑いになってしまっていると思う。
私は、自身の考えを悟られぬように顔を背けある提案をした。
「さて…じゃあ最後に競争しよっか」
「えぇ!?、勝てっこないよ…」
「聞こえなーい、じゃああそこの湖までね」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
私は藍里を置いて、スタートの合図も無しに飛び出した。
「ちょ、ちょっとー!」
遠くの方で藍里の抗議の声が聞こえたが
無視して飛行を続ける。
そんなルーミアを、夕日は淡く照らしていた。
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紅の図書館
今まさに一触即発の空気の張り詰めている。
その原因たる2人は、準備万端と言わんばかりに、互いをにらみ合っていた。
「さっさとお前を倒して何を読んでいたか、教えてもらうぜ」
「もう勝ったつもりなのかしら?
魔法をかじった程度の人間風情が」
その一言に魔理沙は顔をしかめ、
さっさとやろうぜ、と言わんばかりに構えて来る。
こういう自信のある奴を完膚なきまでに打ち負かした時の表情が堪らない。
私は人差し指を折り曲げ挑発した。
「舐めやがって!ならばこっちから行くぜ!」
全く、馬鹿の一つ覚えね。
それでこそやりがいがあるわ。
私は向かって来る魔理沙を撃ち墜とそうと、身構えた。魔理沙は未だこちらの策に気づいていないようだ。
「喰らえ!恋符 ノンディレ-----」
「遅い」
魔理沙が懐から一枚のカードを出そうとした瞬間。私はもう彼女に肉薄していた。
「ッ!?」
魔理沙は慌てて距離を取るが、そこにすかさず攻撃を叩き込む。持っていた傘の先端から夥しい量の弾幕が展開され、目の前の敵を翻弄する。
「全く、いやったらしい弾幕だぜ…
だったらこいつで突破してやる!」
魔理沙は懐から新たなカードを出し、宣言する。
「彗星 ブレイジングスター!!」
魔理沙は持っていた箒の穂先に彼女の武器である
ミニ八卦炉を装着すると、星型の弾幕をばら撒きながら猛スピードで突っ込んで行く。
……全く何かと思えば
ため息を1つ付き、傘を身構え、居合の構えを取る。魔理沙はニヤリと口角を上げ、さらにスピードを上げ、迫る。
魔理沙が眼前まで迫った時、
私は目を見開き、傘を振るった。
しかし、傘は魔理沙の目の前で空を切った。
魔理沙が直前でスピードを落とし、こちらのタイミングをずらして来たのだ。
「これでッッ終わりだッ!」
いつの間にか箒の上に立っていた魔理沙は八卦炉を片手に力を溜め、もう放射寸前だった。
完璧な動きだ、相手に言うことではないが
意表を突いた必勝の立ち回りだ。
そう、"意表を突いた"らの話だ
空いている左手で勢いの弱まった箒の先端を掴み固定する。そして振り切った傘を逆手に持ち直し、
ミニ八卦炉を弾き飛ばす。
遠くの方で硬いものがバウンドする音と、
目の前の人物の絶対的な自信を打ち砕いた音が重なり合い、試合終了の合図となった。
「……………まだやるのかしら?」
「…………クソッ!」
金髪の魔女は私の手から箒を払い取ると、
その姿を見送った後、振り返ると銀髪の従者が音もなくそこに立っていた。
「確かに貴女を客として招き入れたけれど仕事を増やさないでもらえる?」
彼女は冷たい目線を送ってくる。
「……………あの魔女が悪いのよ」
「そうよ、あまり客人を困らせないの」
「パチュリー様もそもそも客人をそんな事に仕向けないでください」
紫の魔女は、読んでいた本から半分顔を出し肯定してくれたが、咲夜の一言でゆっくりと開いていた本で顔を隠してしまった。
「…………悪いけどやっぱり帰るわ」
「えっ?」
「持って来てもらった本もあらかた読み終えてしまったし、おそらくこれ以上進展はないわ」
「そ、そう……」
「勝手を言って悪かったわね、それじゃあ」
私は開け放たれた扉を通り、紅魔館を後にした。
・
・
・
「はぁ…はぁ…」
「藍里も最初よか大分マシになったね」
「く、空中は勝手が違うからやりにくいね…」
「そっか………あれ」
「どうしたの?」
「あぁ、やっぱり」
ルーミアが振り向いた方向を見てみると、そこには見知らぬ少女が、同じ様に宙を浮いていた。背中には、見たこともない羽の様な物が6つ浮いている。
どれもが氷のように透き通っているが、その氷の中は赤の粒子が散りばめられているかのように、紅かった。
彼女は、ゆっくりと右手をこちらにかざすと。
次に気がついた時には、私はルーミアに小脇に抱えられていた。
「……一体どう言うつもり?」
私を抱えたままルーミアが彼女に問う。
「憎い…憎いのよ…
分からないけれど、
だから
そう言うと彼女は無数の氷塊を自身の周りに発生させると同時に空を蹴り、もの凄い勢いでこちらへ突進してきた。
「ッ...とにかく逃げなきゃ...!」
そのただならぬ雰囲気から、ルーミアから先ほどまでの落ち着きは完全に消え失せ、踵を返すとこちらも高速で飛行し少女と距離を一定以上保つ。
「逃げても無駄よ...!」
すると、少女の周囲を回転しながら追従していた氷塊が彼女の手の動きに合わせ、速度を上げて藍里目掛けまっすぐに飛来してきた。
勢いの割に真っすぐこちらを狙ってくるだけの単調な攻撃に少し安心したのか、ルーミアはそれを見て態勢を少し右に傾け、それをギリギリ躱す。
「んー...やっぱいつもと変わらない感じー?」
全弾回避を確認した彼女は余裕を取り戻し、速度を落とし振り返る。依然こちらへ勢いを落とさず向かってくる少女は体を横へ一回転させたかと思うと、両手を広げた。
「おっ、やるのかー?」
ルーミアはそれを見るや否や八重歯をのぞかせ、悪戯をする前の少女の様な顔をして彼女と向き合うようにして立つ。
「えっ、何…あれ...?魔法陣みたいなの出てるけど...?」
心配そうに藍里は問いかける。
「知ってるでしょ?スペルカードよっ...ささ、危ないから藍里は降ろすよー」
「えっ、でも...スペルカードって-----」
「その辺の物陰にでも隠れててねー!」
ルーミアは藍里の言葉には耳もくれず、藍里を下ろすと嬉々として少女のいる方へ飛んで行った。
「大丈夫かなぁ...」
どうやらルーミアは少女がスペルカードを使用する様な素振りを見せたことから弾幕ごっこでもするつもりだと思ったらしい。
まだ突然の展開に、状況確認が満足にできていない藍里は先ほどの恐ろしい雰囲気を醸し出していた少女が、本当に弾幕ごっこなんてするのだろうか?
という疑問など思いつきもしなかったのだった。
・
・
・
「何よこの攻撃...まるで殺しに来てるかのような...!」
少女の背後でゆっくりと回転する魔法陣からは、数秒ごとに整列した氷柱が上空に放り出される。そしてそれらは規則的な方向を向き落下し、ルーミアに襲い掛かる。また少女自身の手のひらからも定期的にこちらへ向けてエネルギー弾が放たれる。
そんな絶え間ない攻撃と、ルーミア自身が見たことも体験したこともないレベルの無慈悲なその"弾幕"から、これがもはや"ごっこ遊び"に用いるものでは無いという事を彼女は悟った。
「普段のチルノちゃんの"アイシクルフォール"じゃない...どうしたのよ!?チルノちゃん!」
そう、先ほどから攻撃を仕掛けてきていた少女は、ルーミアの友達である氷精チルノ。
友の呼びかけにチルノはこう答えた。
「...フフ...私は"サイキョー"なんだから当たり前でしょう...?」
「えっ...?」
改めて彼女の台詞を聞いたルーミアはそのどこか大人びた口調に強い違和感を感じた。
ボォゥウウウウン------
チルノの身に何が起こったのか、推察する暇も無く突然スペルカードの発動音と共にチルノの背後から先ほどより巨大な魔法陣が出現する。
「...っく!なんでよ!」
間髪入れずに繰り出されようとしている弾幕に対応するためにルーミアは大きく後ろへ退避し、懐から一枚のカードを取り出し、それを目の前に提示した。
「月符...ムーンライトレイ--------!」
そう呟くと両手を大きく広げ、手元から白く強い光を放つレーザーを真っすぐに放つ。そしてそれを放ったまま両腕を自分の前で交差させるように動かし、眼前に広がる氷塊の弾幕を消し払った。
しかしチルノの周辺から発生し続ける氷塊はなおも止まず、それどころか発生頻度が上がっていき、弾幕はさらに濃くなる。
ルーミアは弾幕を目にしてからチルノが何のスペルカードを使っているかを理解する、というプロセスが明らかにおかしい事にその時気づく。
...そう、チルノはスペルカードを"宣言"してないのである。それによりルーミアは先ほどからチルノからの攻撃への反応が少し遅れてしまっているのだ。
「チルノちゃん!スペルカードルール...知らない訳じゃないでしょ!?なのにどうして--------」
ボォゥウウウウン------
彼女の呼びかけはチルノに届くことなく次の弾幕が形成されようとしている、ルーミアは一瞬困ったような悲しいような表情をしたが、すぐに目の前に集中し、また距離を取り直す。
(チルノちゃんの使うスペルは大体知ってる...多分。...しっかり弾幕を見極めれば...!)
だがルーミアの眼前...否、周囲に展開された弾幕は自分の記憶の中にあるそれでは無かった。
チルノは開いた右手を頭上にかざす。それに合わせて、ルーミアを取り囲むようにどこからともなくハンドボールより一回り大きいサイズの氷球が現れた。
「何よこれ...」
ルーミアはチルノに対し疑念の表情を向け、彼女の心中を探ろうとする。
「うふふふふ...貴女が私の前に立ちふさがるのが悪いのよ?私は悪くない...私は...」
不敵な笑みを浮かべ、ルーミアを軽蔑するような目で見降ろす彼女。しかし、一瞬彼女の顔に悲しみの色が滲み、
一筋の涙が頬を伝っているのをルーミア
は見逃さなかった。
「目を覚ましてよ!チルノちゃん!!」
「ぐっ…」
するとチルノは攻撃を戸惑う仕草を見せたがすぐに元の憐れむような表情に戻り、口角を上げニヤリとするとかざした右手を強く握りしめた。
ルーミアを取り巻き、ゆっくり周っていた氷球は次々とガラスの割れるような甲高い音と共に勢いよく破裂していく-------
突然の出来事に戸惑う彼女を容赦なく飛び散る破片が襲い、その殆どが直撃せずとも掠り衣服を切り裂く。最後の一球が破裂し、ひと際大きな破片が攻撃に身を躍らされているルーミアをついに直撃した。
「かはっ!」
十分な力を働かせることが出来なくなった彼女はそのまま墜落する。
「!! ルーミア!」
岩陰に隠れておびえながらも空中で行われる激しい戦いを見ていた藍里は墜落していくルーミアを認めるが早いか、その場を駆け出し落下地点へ急ぐ。
それを見たチルノはしめたと言わんばかりに本命である藍里へ向けて氷柱を飛ばそうと両手を前に構え、それを放つ。
「えっ--------」
藍里は、後ろから感じる突発的な冷気に振り返るとそれはもう眼前にまで迫っていた。彼女の視界に走馬燈が写り始めたその時、
どこからか青く光を放つ光球が鞭の様に連なり飛来し、氷柱を破壊した。
何が何だか分からなくなった藍里はその光球の飛来してきた方向を向くと、落下しながら一枚のスペルカードを握りしめて右手から連なる青と緑の光球を交互に力なく放つ半目のルーミアが視界に入った。
「ルーミアッ…!」
「くっ…」
チルノは予想だにしないその攻撃に表情を歪ませ、なすすべもなく被弾し、次々と連なる光球を食らっていく。
光弾がぶつかり合い、発生する煙の中にチルノが為す術なく飲み込まれて行く…
すると突然チルノは目を見開き、藍里の方へ向き直りそのまま突進し距離を一瞬にして詰めた。
「!?」
「チ…ルノ…!」
「………………」
藍里が気づいたときは身動きが取れなくなっていた。
「うぅ...寒い...冷たい...」
自身を包み込む極寒に呻く彼女はその拘束から逃れようとするが、力強く藍里を抱きしめるチルノがそうさせなかった。
体温を奪われ、藍里の動きが段々と弱々しくなる。次第に眼も虚ろになり、固まって行く。
たちまちそこには二人の少女を氷漬けにする一つの巨大な氷塊が出来上がっていた。
そして皮肉にもそれは太陽の光を受け美しく輝いていた-------