前回、藍里がピンチになってしまいましたね。
一体藍里はどうなってしまうのか………
今回もお楽しみいただければ幸いでございます。
紅魔館を後にした私は、飛ぼうともせずゆっくりと自宅に向かっていた。
これからどうしようかしらね……
思ったよりあっさりと希望が潰えてしまい、軽く萎えてしまう。次にあてになるものを探さなくては。
そしてもう1つ憂鬱なことが。
まさか暫く家を開けると言った日に帰ることになろうとは。
今頃藍里はどうしているだろうか、
私が帰ったら驚くだろうか、
それとも何事もなかったかのように接してくれるだろうか、どちらにせよ何時ものように振る舞えばいい。
いつから私はあの子に肩入れするようになったのかしらね…
そんなことを頭中に巡らせていると、
紅魔館を出た時に傾いていた太陽は、すっかりと地平線の向こうにうもりかけていた。代わりに太陽の花畑が見えて来た。中央に鎮座する家を見ると、どうやら灯は付いていないらしい。
もう寝ているのだろうか?
とも思ったがにしては時間が早すぎる。
嫌な予感がすると、胸がざわつく。
そんな頃には私は既に家へと駆けていた。
「藍里!」
彼女呼ぶ声と勢いよく開かれたドアの音は
空虚な自宅に響き、暗に吸い込まれて言った。
私は1つの貸し部屋へと足を急がせ、扉を開くが、其処ももぬけの殻だった。この状況から推測される事が、頭に浮かぶと同時に私は自宅を後にし駆け出していた。
周囲の草花に睡眠中申し訳ないが起きてもらい、彼女の目撃情報を聞き出し追跡する。
どうやら、常闇の妖怪と一緒にいたらしい。話をした後に2人とも飛び立って言ってしまったということだ。少し引っかかるが、今はそんな事気にしている余裕は私には無かった。
草花に示された方角に足を急がせる。
途中、
勝手に吹っ飛んで行った。
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「…あれは?」
視界に映ったのは、月に照らされ淡く光っている氷塊…?だろうか?
近づき触れてみると、冷感が肌から伝わってくる。どうやら氷塊であっているようだ。
よく見ようとしたら、月に雲がかかってしまい
光を失ってしまう。
「う……ぅぅ………」
近くで聞こえる呻き声。
どうやらこちらを襲おうとして威嚇しているものでは無いのはすぐわかった。
声の主を確認すべく近づくと、其処には全身ボロボロの常闇の妖怪が倒れていた。
「ちょ、ちょっと!」
「あ…れ?、ゆう…か?」
駆け寄り抱き起こすと、どうやら気がついたようで、私の名前を弱々しく呼ぶ。
「藍里は…藍里は何処!?」
かなり古参の妖怪であるルーミアがここまでなるのはそうそう無い。つまり一緒にいた藍里の安全な保証はない。
「……………」
どうして、どうして黙っているのよ
答えなさいよ。ルーミア!
「藍里は………彼処…」
ルーミアはゆっくりと顔を上げ、ある方角を見つめる。其処には……………
月に照らされ、淡く光る氷塊の中に
閉じ込められている藍里の姿があった。
「ごめん………藍里を守れなかった」
「……………」
私はこの感覚は好きではない。
だってそれは弱さだから。目の前のコトガラに屈し、現実を直視することを自分が無意識に拒んでいるから。
ルーミアをゆっくり横たわらせて、立ち上がる。
その手にはいつもの日傘が握られている。
そうして、私はそのコトガラに向かって向かっていく。
「ちょ、ちょっと幽香!貴女何をするつもり!?」
何って決まっているじゃない。
私は弱い妖怪でいるつもりはない。
だから今あるこのコトガラに反抗する。決して認めない。決して。
だって、
それが私だから。
ガシャァァァァァァン!!
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紅魔館の廊下を歩きながら、床の汚れがないか点検をする。メイド長とあっても、初歩の掃除を怠るわけにはいかない。
紅魔館の完璧で瀟洒なメイドこと、
十六夜咲夜はいつものように自分の仕事をこなしていた。
ふと窓を見るともう既に陽は落ち、周囲は闇に包まれている。そろそろお嬢様がバルコニーでお茶をする時間ではないか、お茶を入れなければ
そうして私は厨房へと向かう。
ドンドン
ちょうど正面玄関を通過しようとした時に、扉が叩かれる。こんな夜更けに誰かしら?
というか美鈴どうしたのかしら。
「どなたかしら?」
私が扉けると、そこには夕方前にはこの館を去ったはずの人物が息を切らしながらそこに立っていた。そして彼女の両脇には見慣れた闇の妖怪と…
見慣れぬ少女が抱えられていた
「ちょ、どうしたのよ!」
「二人とも負傷しているの、悪いけど場所を貸してくれないかしら?」
いつもの冷酷で相手を下に見るような口調だったが、明らかに焦りの色を見せているのは明らかだった。
「.....」
「....お願い...します」
「...わかったわ、お嬢様からは私から話しておくから」
「ありがとう…」
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私は、唐突の来客者をベットの二つある客間へと案内する。そうすると幽香は二人をそれぞれのベットに寝かしつけた。
ルーミアのほうは怪我をしているものの、妖力は回復しつつ有るようなのでしばらく安静にしていればそのうち目を覚ますだろう。
問題は、幽香が連れてきたもう一方の少女。
かなり衰弱しきっている。その原因は離れていてもわかるほどに彼女は冷え切っていることだろう。如何したらそんな状態になるのか、見当もつかない。
一見、人間のようだが普通この状況で人間が生きているはずがない。
幽香、その子はいったい何者なの?
そう、彼女に問いただそうとしたが、
彼女の本気で心配している顔を見てしまったとき、今は聞くべきではないと、そう思ってしまった。そう、今はこの子を救うほうが先決なのだ。かろうじてまだ生きているので、早急に温めなければならない。私は再び厨房へと向かい、残っていたお湯を桶に入れてタオルと一緒に持って行き、お湯で温めたタオルを彼女に巻いていく。
とりあえず応急処置はこれでいいので、幽香たちをいったんお嬢様に話をしに向かった。
従者が主の許可なしに行動するのは問題がある。しかし、ここでお嬢様の許可が取れなければ彼女たちを追い出さなければならなくなる。
あんな顔をする幽香を追い出すのは、さすがに心苦しい。お嬢様はお許しに下さるだろうか...?
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メイドは、
「お嬢様にこの旨を話して来るわ」
と言い、部屋を後にした。
そうして部屋には私と、穏やかな寝息を立て始めたルーミア、昏睡状態の藍里が残された。
藍里のベットの近くの椅子に座り、彼女の冷え切った手を握る。メイドが持って来てくれたお湯とタオルで温めてはみているが、まだ人肌とは程遠い程に彼女の肌は凍てついていた。
このまま呼吸を止めてしまいそうな、浅い息を繰り返している。
コンコン
扉がノックされ、先ほど出て行ったメイドが戻って来た。主人に話をしに行ったのではないのか、いや、もうして来たのか。
「お嬢様がお呼びです」
「…えぇ、わかったわ」
このまま部屋に残していくのは少し不安だったが、早めに話をつけて戻ってこようと内に秘め、私はメイドに続いて部屋を出た。
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「よく来た、四季のフラワーマスターよ」
「悪いわね、夜中押しかけて 助かったわ」
「構わないさ、夜こそ我ら吸血鬼のホームよ」
私は大広間へと案内され、その部屋の奥で待っていたのはこの紅魔館の主人、
レミリア・スカーレットが鎮座していた。
「それで、話っていうのは?」
「そうね…咲夜、もう下がっていいわよ」
「…?かしこまりました」
そう言って、カリスマ性に溢れる館の主人は従者を下げた。
ギィ…………
パタン
何刻か沈黙が流れたが、それは1人の少女のため息によって破られた。
「それで?あの子は何者?」
「……急に砕けたわね」
「ずっとはさすがに大変よ」
レミリアは、メイドがいなくなった途端に主人としての仮面を外し、1人の「レミリア」として話しかけて来た。
「そんなんでいいのかしら」
「そりゃぁ印象は大事よ、だけど今更こんな堅っ苦しい挨拶を続けなくてもいいでしょう?
初めて知り合ったわけでもないし」
「それもそうね」
片手をヒラヒラと振り、やれやれと言った様子で話していたが急にその動作をやめ、目には真剣を宿してこちらに向き直った。
「それで、話を戻すわ」
「えぇ、彼女のことね」
「彼奴は何者なの?貴女が手を掛けるなんて珍しい」
「……気まぐれよ」
「へぇ……まぁそう言うことにしておいてあげる。
だけど問題はそこじゃなわ、彼奴は何者?」
「………何が言いたいのかわからないわ」
「私の能力を使わせてもらったわ」
そう、彼女の能力は"運命を操る程度の能力"
対象の運命を垣間見、その先の起こりうる可能性を見出すことができる。
"操る"と言っても、大それた干渉をすることはできないらしいが、先の運命を知る事ができるだけで十分優位な能力だと思う。
「彼女の運命は"見えなかった"わ」
「……え?」
「だからと言って先が無いだけじゃないわ、
道はあるのに先(未来)が靄がかかったように見えない、そんな感じよ」
「………………」
「本当に貴女も何も知らないのね」
「………えぇ」
私の口から漏れる、今にもかき消えてしまうそうな声で返事をした。
「レミリア・スカーレット」
「どうした、急に改まって」
「貴女の協力をお願いしたい」
「彼女の"本質"探し、だな?」
今までの会話で、依頼の内容は容易に悟ることができたのだろう。彼女は私が言う前に彼女はそれを口にしていた。
私は静かに頷く。
すると彼女は少し考えるそぶりを見せると、急にこっちを見て全身をジロジロ見て急にニヤリと笑った。
「な、何よ」
「わかったわ…協力してあげる。
条件は貴女がそれまでココのメイドとして働くこと!!」
「はぁ!?」