本当に1週間経つのが早く感じます…
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パチュリーに自分の程度の能力のヒントを貰った藍里は、紅魔館の園庭に出て、手がかりを模索する。そこで、門番の紅美鈴と出会い、お腹が空いたので紅魔館に戻ることになった。
今回もお楽しみいただければ幸いでございます。
紅魔館に戻りご飯を食べた後、この日は外に出ることはなかった。掴めるかと思ったヒントもこれと言ってピンとこなかったので後は図書室で過ごすことにした。
「ぁ〜、目頭痛い……」
すっかり日も落ち、辺りに暗闇が立ち込める時刻。また本を数十ページ読み、疲れたは私は客室へと戻っていた。
扉を開き、備え付けのベットに飛び込もうとした時に、隣の小さな丸いテーブルに昼前には無かった小さな書き置きが増えていた。
「幽香さんまた来たのかな?」
私はその紙に手を伸ばし読んでみると、どうもそうではないようだ。
そこには、
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この場所に夜0時に待っているわ
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と言った書き置きと、簡素に書かれた図書館の見取り図に、赤いマークがあるものだった。
こんな回りくどい事をするなんて何者なのだろう?
一瞬、良からぬものの存在も考えたが、門番の美鈴さんや、咲夜さんも館内を巡回しているだろうから、そもそも館に侵入するのはほぼ不可能だろう。と思い、私は書き置きのとうり夜中に図書室へ向かうことにした。
だけどその前に……
「お風呂借りよ…」
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「うわぁ…さすがお屋敷お風呂も広い」
咲夜さんにお願いしてお風呂を借りれることになったので早速入ろうと思い、浴場に来た。
見るからにだだっ広い浴槽と、複数あるシャワー……
1人で入るにはとても虚無感を感じずにはいられない空間になっていた。
だが流石に一緒に入ろうなんて言えないので諦めて1人で入ることにする。
「あ、服他にもないと不便だなぁ……」
脱衣所で服を脱ぎ、カゴに入れて入場する。
体を洗い、シャワーの蛇口をひねって泡を洗い流す。少し熱いぐらいのお湯が体全身を流れて行きとても心地よい。
全身を洗い流し、いよいよ湯船に浸かる。
私位1人だけなので、周りの音は先程使用したシャワーから滴る水の音だけ。ポチャン、ポチャンと一定の周期で雫が弾ける。
しかも無駄に広いせいか、その音だけがこだまし、幾重にも重なり合っている。
…お風呂ってこんなに寂しいものだったっけ
ガチャ
「!?」
そんな事を考えていると、脱衣所でドアが開く音がした。誰かが入って来たようだ。
「……………………」
何か言っているようだが音がこもっていて聞こえない。
暫く待って見ると、何故か赤面したレミリアがタオルで体を隠しながら入場してきた。
「あ、レミリアだったんだ」
「あ、藍里…い、いたのね……」
「脱衣所でいることはわかると思うのだけど…」
「そ、そそうね!、わ、わかっていたえあ!」
「なんでそんなにうろたえてるの…」
何故かレミリアは顔を真っ赤にしたまま、呂律の回らない調子で受け答えする。
「さ、さぁてシャワーでも浴びようかしら!?
ちべた!?」
「落ち着いてレミリア………」
「他の人とあまりお風呂はいった事ないんだ」
「え、えぇ…小さい頃フランとそれっきり…」
話を聞いて見ると、ただただ他人に見られるのが恥ずかしかったのだそう。
今は話を聞くため、彼女の背中を流しなしてあげている。彼女の小さな背中に生える蝙蝠の羽が、彼女が本当に吸血鬼である事を物語っている。
羽の付け根の部分まで、傷つけないようにゆっくり洗ってあげる。
「ん……なんか変な感じ」
「あ、ごめん、何せ吸血鬼の背中流すなんて初めてだったから…」
「大丈夫よ、藍里」
ちょっと変な雰囲気になったものの、背中流しが終了し、彼女も湯船に浸かる。
「………………」
「………………」
「………ふふっ」
「どうしたのよ急に」
「いや…さっきまでなんか寂しくてさ、誰か来てくれないかなぁって思ってたから」
「……………そう」
これ以上は、これと言った会話はしていないが、なんだか身体以上に心が温まった気がした。
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現在時刻11:50、私は書き置きと、部屋に備え付けてあったランプを手にベットから這い出し目的の場所へと向かっていた。
そして図書館前までつき、その扉をゆっくりと開けて中に入り、書き置きを頼りに図書室内を進んで行く。
すると、厳重そうな鉄の大きな扉を発見した。どうやら書き置きの地図もここを指しているようだった。
「えぇ…これ入っていいのかな…」
明らかに他の扉とは雰囲気が違うので勝手に入る事を躊躇していると、
ギィィィィ
「!?」
ひとりでに扉が人ひとり通れるぐらい開き、そこから手が伸びて来て私を掴む。
「わっ、ちょ!?」
私は扉の中にあっさりと引き込まれ、中に入ってしまった。すると今度は扉が勝手に閉まり出す。
「え!?待って待って!」
急いで扉に手をかけようとするが間に合わず閉め切られてしまった。開けようと踏ん張って見るもビクともしない。
「嘘でしょ…」
あぁ、やっぱり罠だったのか…迂闊だった…
と後悔しそうになった時、後ろに螺旋階段が続いているのを発見する。
扉も開きそうにないので、私は恐る恐る螺旋階段を降りて見ることにした。
私をここに引き込んださっきの手…
一体誰だったんだろう…?
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妙に長い螺旋階段を降り切ると、これまた妙に大きな鉄の扉を発見した。
何この館…どんだけ厳重にしないといけないもの持ってるの…
見渡して見るが周囲にはこれと言ってこの大扉しかなく、ここが最下層のようだった。
うーんでも、流石にこれは開けたら怒られそうだしなぁ…かと言ってさっきの入り口も開きそうになかったし…暫くここで待っていようかな…?
しかし、何分待っても私を呼んだ当人も現れなかった。
えぇ…誰もこないんだけど…
え、何この如何にも開けたら怒られそうな奴開けなきゃいけないの?
いやでもそんなこと書いてなかったし…
もう私はどうしたらいいの!!
そんな心の葛藤を続けること数分、何だか答えの出ない悩みを自問自答し続けていたら何だかイライラして来た。
「全く…誰なのよ!!!!
呼ぶんだったら姿ぐらい表しなさいよ!!」
誰にも聞こえないだろうけど、やりようのない怒りを夜中だと言うことも忘れて声に乗せて解き放つ。
すると
目の前の鉄の扉から、1人の少女が驚いた様子で部屋から出て来た。
・
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最近なんだか騒がしいと思ったら、お姉様の友人らしき人が誰か連れてきていた。1人は見たことあったけれどもう1人は知らない子だった。
またあの異変の時に来た巫女や魔理沙みたいに私と遊んでくれないかな?
でも、事態はそんな場合ではなく、友人らしい人の顔は強張ってて咲夜に案内された客間に2人を抱えて入っていった。
私も続いていこうとしたら突然咲夜が現れて
「すみません妹様、非常事態なので今はこの部屋には入らないようお願いします」
と、丁寧な口調で私に言った。
「ねぇ、何があったの?」
と、声を相手に投げかけるともう相手は目の前にはおらず放られた音は虚しく廊下へと吸われていった。
むぅ、つまらないなぁ、ちょっとぐらい教えてくれたっていいじゃない。
最近は私が勝手に部屋を抜け出し、紅魔館をうろついていても異変前ほど咎められはしなくなった。長い時間はかかったが最近はなんとか力を抑えられて来ているからだろう。
でも今まで地下に閉じこもってた時間は無情にも、私とこの館の住民との間に溝を作ってしまった。みんな私と話すのがぎこちないし、なんだか見ず知らずの客人みたいに扱われる。結局、前と何も変わっていない。
すると、また扉が開き、今度は咲夜とあの友人が出てきた。私はとっさに開かれた扉の陰に滑り込み気配を殺す。
ご丁寧に扉を閉めやがるお陰で私の姿は露わになるが、どうやらよそ見をしながら扉を閉めたらしく、そのままこっちを向くことなく咲夜と友人は向こうへと歩いて行った。
「ふぅ…」
しょうもないけど少し刺激があって楽しかった。やっぱり人に止められるとやりたくなるのはこの刺激を求めているせいだろう。うん。
見事2人の監視をかいくぐった私は
扉を潜るや否や、部屋に漂う冷気に少し身震いした。
「さ、さむっ…なんでこの部屋こんなに冷えてるの…」
部屋を見渡すと先ほど連れ込まれた2人の少女が別々のベットで寝かされているのが目に入る。金髪の方は…ルーミア…だっけ
そして見知らぬ青髪の少女。
興味本位で彼女に近づいてみると、周りを漂う冷気が一層濃くなる。まさか…
彼女の肌に触れた瞬間、こちらまで凍てついてしまうように冷たく、体温を感じられなかった。
「ひっ………」
その事だけで私の過去を思い出させる十分な状況だった。
気がつくと私は蒼い少女の手を握っていた。
手がかじかんで感覚が少しずつ麻痺していく。
「だ…ダメだよ…ねぇ…起きてよ…」
わかってる。目の前の蒼い少女は全くもって赤の他人で、私は彼女がどうなろうが関係ないはずだった。
でも、思い出してしまったのだ。
目の前で生命が消えてゆく瞬間を。
もう…もう見たくないこの恐怖を。
「やめてよ…思い出させないでよ………
私の前で消えないでよ……………」
頰に熱いものが一筋流れるのを感じる。
なんで私は名前も顔も知らない彼女に涙を流しているのだろう。やっぱり私っておかしいのかな。おかしいからこンな力持ってルのかな。
だかラ、ダからワタシハアノヒトヲ……
「……………」
「…………!」
私の目の前を暗黒が覆いかぶさろうとした時、彼女の微かな呼吸が聞こえた。
まだ…まだ生きてる!助けられる!
彼女の手を握っていた手に力がこもる。
助けなきゃ…私が…ここで…!
何か…何か出来ることは…
周りを見渡すと、まだ湯気が残ったお湯とタオルを見つける。これで身体温めていたのだろうか?
私は魔法で湯を火傷しない程度に温め直し、タオルを湯で湿らせて彼女の額に乗せてあげる。
あとは…
……!
誰か帰ってきた!
さっき咲夜に咎められたのもあるし流石に見つかるのはまずいかな…
じゃ、じゃあせめて…
私は彼女とルーミアに治りが良くなるように治癒魔法を掛け、見つかる前にさっさと退散した。
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その後、彼女の容体は良くなったらしく、ちょくちょく図書室に来るのを見かけるようになった。話しかけたい気持ちはあったが、なんて話しかけたらいいかわからないのもあったが、心の何処かで私の能力が暴発するのを恐れて本棚の陰で様子を伺うだけしかできなかった。
私は、迂闊に他者と関わってはいけないのだ。
みんなみんな、私の目の前からいなくなって
結局寂しくなってしまうだけなのだから。
私は欲望を沈めいつもの生活をおくる為にあの部屋へと戻っていく。
「全く…誰なのよ!!!!
呼ぶんだったら姿ぐらい表しなさいよ!!」
しかし予想外にも、彼女は自ら私のもとへと迷い込んできた。