最近用事が立て込んでいて執筆が追いつけていない状況です……
申し訳ないのですが、もしかしたら3月中旬まで続きがあげられない状況になってしまうかもしれません。
もしそうなってしまうようならば、活動報告の方に改めて記載します。読んでくださっている皆様、申し訳ございません…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
謎の置き手紙に導かれるままに藍里は、目的地へと歩みを進める。しかし、そこで何者かによってある一室に閉じ込められてしまう。その奥には地下へと伸びる螺旋階段があり、進んだ突き当たりの大扉の前でやりようのない怒りを解き放つと、そこから金髪の少女が、ひょっこりと顔を表すのだった。
今回も楽しんでいただければ幸いです。
夜だということも忘れ、謎の地下空間で勢いに任せ叫んでみると、開けてはいけなさそうな扉から1人の金髪の少女が顔をのぞかせている。
「…貴女が書き置きをしたの?」
「な…なんで貴女が此処にいるの!?」
私達の互いの問いかけはほぼ同時に放たれ、お互い意味を理解できずに目をパチクリさせている。
「…えぇっと…」
「とりあえず中に入って!」
私は金髪の少女に手を引かれ、扉へと入っていった。
私は部屋を見るなり、困惑した。
部屋の中は、地上の部屋と打って変わり壁の装飾は一切ない代わりに、まるで巨大な獣が壁を引っ掻いたかのような傷のある石の壁にベットが一つ。そしてボロボロになった人形が数個、床に落ちている。
これって………
ちらりと先程の少女を見やると、彼女は入って来た扉を閉めて何かブツブツと唱えている。
部屋に引き込まれた時には気づかなかったが、彼女も羽のようなものが生えている。
誰とも違うのは、色とりどりの宝石のようなものがそこに幾つも付いていること。
彼女が、レミリアが言っていた「妹さん」なのだろうか?
能力が故にありとあらゆる物を破壊してしまう。そのことに関しては部屋に生々しく残る傷が彼女の力量を物語っていた。
確かにこれは日常生活を送る上で中々に不便そうだ。
そんな…そんな能力を持っているから彼女はこんな地下の厳重な部屋に閉じこもっているのだろうか?
「これで…よしっと…」
思考を巡らせていると、彼女はブツブツ言うのをやめて此方に近づいて来た。
「これで暫くは大丈夫だから」
「え?」
先程から彼女の言うことに理解ができない。
「そ、それってどういう…」
「だ…だって
今貴女咲夜に追われているんでしょ!?」
「えぇ!?」
私も知らない私の危機情報を他人から聞いた。
「な、何それ…」
「…何も知らないの?」
単純な疑問を投げかけられたので素直に頷く。
すると彼女はつい数十分前の出来事を話してくれた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私が地下の部屋で1人でいると、
ガチャ
「?」
「……………」
咲夜が突然断りもなしに部屋に入って来たのだ。
「……どうしたの咲夜?こんな時間に」
「あ、いらっしゃったのですか。
先程からお嬢様の姿が見えないので探しておりまして」
…え?何それ?
咲夜に至ってそれはありえない。ずっと付き添っている咲夜がお姉様の居場所を知らないなんて。
「…冗談言いに来たの?」
「まさか、今非常事態なのです。このままだとあの方が危険なのです」
……………
「……くれぐれもあの青髪の女にはお気をつけください。あれは危険です」
「それって倒れて運ばれて来た子?」
「あんな得体の知れない輩をこの屋敷に入れるべきではありませんでした…」
……………おかしい
「あんな力も何も感じない気弱そうな彼女が何かできるとは思えないのだけれど?、第一私やお姉さまが負けるわけが…」
疑いの目を向けながら、疑惑の従者に投げかけると
返事は顔のすぐ横を鋭利なものが掠めた。
「!?」
「…………"お嬢様"もくれぐれも外に出たり彼女に接触することは無いよう」
そう、言い残して従者は目の前から姿を消した。
そして、私はあれが咲夜ではない事を確信していた。彼女は私の事を"お嬢様"なんて呼ばないし、第一 私たち紅魔館の住人にナイフを投げるなんて間違ってでもしない。
………あ、美鈴にはいっぱい投げてるっけ。
いや、そんな事より………
あの子が危ない…………!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「そ…そんなことが…」
「だから、貴女が部屋の前にいた時すごいびっくりした」
でも…どうして私が咲夜さんに?
何も悪い事していないのに危険だなんて…
「気に病むことはないと思うわ、あれは恐らく咲夜ではないから…」
「一体何が…」
「私もわからないけれど…取り敢えずこの部屋の扉には私が封印魔法を掛けたから暫くは大丈夫なはずよ」
「ま、魔法って、貴女も魔女なの?」
「ううん、私のはパチェから教えてもらったの。普通は魔力を使うんだけど私のは妖力を変換して使ってるから魔法使いではないわ」
そ、そうなのか…
幽香さんでさえ、私に合わせて力を譲渡する事が出来なかったのにこの子は力の根本を変える事ができるんだ…
「そんな事より、まだ自己紹介してなかったよね。 私の名前は---」
「フランさん…ですよね?」
名前を言い当てられてか、彼女はキョトンとしている。まぁ初対面で名前を知らない筈なのに言い当てられたら誰でもこんな反応すると思う。
「どうして私の名前…」
「あー、それは…あっ、奥にあるぬいぐるみの足裏に刺繍があったからそうかなって…」
一瞬、レミリアから聞いた事を話そうと思ったが、彼女の仕向けによって私が会いに来たと思われたく無かったから、言葉を飲み込み、目に入った情報でこの場を凌ぐ
「なるほどね」
「私の名前は藍里です、よろしくお願いしますねフランさん」
「そんなかしこまらないでよ、藍里
フランでいいよ、フランドール・スカーレット
よろしくね、藍里」
「わかった………よろしくね フラン」
・
・
・
その後私たちはベットに腰掛け、ずっとおしゃべりをしていた。紅魔館の事や太陽の花畑の事、幻想郷の事、フランと戦った白黒の魔法使いの事。
フランには悪いのだが、咲夜さんの事は余りにも突飛だったので、余り気に留めていなかった私も、おしゃべりに夢中になっていた。
「こんなに長い間お喋りするのも久しぶりで楽しいわ!」
「そうだね、私も久々かも」
フランが少し興奮気味に話しているのを聞いているのは私もごく楽しかった。
でも、彼女の口から彼女自身の能力の話を聞くことはこの日はなかった。此方から聞いたわけでも無いけれどやっぱりあの力の事を知られるのを避けているのかな…?
そんな事を考えながらフランとの雑談に花を咲かせていると、だんだんフランの言葉が途切れ途切れになるのに気がつく。フランを見やるとうつらうつらと眠そうに首が落ち始めていた。
「…もう寝よっか」
「い…嫌…まだ喋ってるのぉ…」
「でも眠そうだし…」
「んん〜…」
目をこすり、必死に起きようとしているが
ついに大きな欠伸をし、眠気を抑えきれなくなったようだ。
「にゃむ………」
欠伸をし終わると、しまったと言わんばかりにフランは私の顔を見つめかぶりを振った。よほどおしゃべりが楽しかったのか………
「さてと…じゃあ私も戻ろうかな」
そう言って腰掛けていたベットから立ち上がろうとすると
「……………………」ぎゅぅぅぅ
「………フラン……」
私の洋服のしっかりと掴み、離そうとしない半目の少女が俯きながら涙目になっている。
「……………」
しょうがないなぁ……全くその顔は反則だよ…
私は立ちかけた身体をベットの上へと戻し、上半身を大の字にして寝転がった。
「…………?」
「…と思ったけど、私もなんだか眠くなってきちゃった」
「!」
「だからほら、もう寝よう?話したければ明日でも明後日でも好きなだけ話せばいい」
「………うん!」
飛び込んできたフランを受け止め、私もベットに横たわり直しフランを横に寝転がせた。
私がベットの端にもみくちゃにされたタオルケットに手を伸ばし、それを自分たちにかけようとしたら、空いている方の手をフランに握られた。
「……えへへ、いいでしょ?藍里?」
と微笑みかけてきた彼女に、私は無言で頷く。
「じゃあ、おやすみ フラン」
「おやすみ……藍里…」
……………………
程なくして、フランは寝息を立て始めた。
どうやら眠ってくれたらしい。
私も、フランに右手を拘束されたままだからこのまま寝ちゃおうかな…
私もフランの寝顔を見ながらゆっくりとその視界を閉じていった……
…
「あなたはだぁれ?」
・・・・・・・・・・・
「どうしたの?ぐわいわるいの?おなかすいてるの?」
・・・・・・・・・・・
「じゃあこれあげる!わたしのとはんふんこしよ!」
・・・・・・・・・・・
「うぅん……」
目を開けると、そこは見慣れないコンクリートで固められた天井。
まだ完全に覚醒しきってない頭を持ち上げ、欠伸を抑えるために右手を持ち上げると、するりと何かが右手から落ちる感触があった。
その方を見やると、フランが未だ規則正しい寝息を立てている。
あ、そうだったそうだった。
私もフランの部屋で一緒に寝たんだった。
こうして見ると、ただ寝顔の可愛い幼子のしか見えないけれど、本当にレミリアの言うような危険な力なんてあるのかな……?
そのふわふわとした金髪を撫でるとふにゃりと表情を綻ばせ、気持ち良さそうな顔をした。
「…………ッ〜〜」
これ以上はいけない。
だめだ、戻れなくなってしまう。
…………確かにこれは危険かもしれない。
私はフランを撫でるのをやめ、ベットから出て扉に向かった。扉を開けようとドアノブに手をかけ、その扉を開くと………
ガッ
「……?」
開かない。鍵はどうやら付いてな…
…あ、付いてた。
ガチャリ
ガッ
「…………??」
やっぱり開かない。一瞬すごい恥ずかしい…と落胆してたけれどそんな心配しないで良さそうだった。
いやそんな事より、このままではこの部屋から出れない。困った事になってしまった…
立て付けでも悪いのかな…
「………あ、そういえば」
私が入ってきた時、フランが私のために扉に魔法をかけて開かないようにしてくれたんだっけ。うーん、まだフラン寝てるしなぁ…起きるまでこの部屋で待機かな。
開かない扉から離れようとした時、外が騒がしい事に気がつく。大勢の…足音?のような地響きが聞こえる。しかも目の前を通り過ぎるような足音。
でもここは地下の行き止まりの部屋。
走り抜けれるようなスペースはない事はこの部屋に入る前に周囲をよく見たのでよく知っている。だから部屋の前で何が起こっているかが想像ができない。
しかし、今この扉は開ける事は出来ないので今起きている珍現象を確認することができない。
私は諦めて再び扉から離れようとすると、
ガチャ
「………え?」
先程までビクともしなかった扉が、あっさり開けられたのだ。
私も突然のことに驚いていると、
扉を開けた…妖精…だろうか?咲夜さんと同じようなメイド服を着た、一言で言うなならば妖精メイドがこちらの様子を見て向こうもびっくりしている。
そして妖精メイドは、扉を開けたまま部屋の前を見て、首を傾げ唸っている。
「………どうして開けられたの?」
「どうして…と申されましても…此処は"物置部屋"があった場所なのですが…」
「…え?此処は地下室の…フランの部屋のはずだけれど…」
「え?」
「え?」
私は部屋を飛び出してみると。
そこは暗い地下空間…………
ではなく紅い渡り廊下が続いていた。