音無です。休止してから初投稿となります。遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした…
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紅魔館の地下の一室でフランと出会った藍里。そこでどうも咲夜の様子がおかしいことを聞く。唐突の事であまり信じていない藍里は、あまりその事を気にせずフランとのお喋りに花を咲かせる。その後、フランの部屋で朝を迎えると、紅魔館では異変が起きていた…
今回も楽しんでいただければ幸いです。
「…………どういうこと?」
「妹様が奥手で寝いらっしゃいますね…地下室だと言う事は本当なのですね…」
妖精メイドは私が出てきた部屋には入り、フランの寝顔を拝借している。
「一体何が起きているの…」
「それは私も聞きたいです…」
地下室の部屋が紅魔館の一室と入れ替わるなんて…
「あ!」
「どうしたのですか!?」
私は思い当たってすぐ隣の扉へと駆け出す。
「メイドさん!此処の部屋って何の部屋!?」
「え、えぇっと確かそこは…"掃除用具の入っている部屋"です!」
「わかった…開けるよ…」
「まさか…!」
ガチャ
「エントランスだ…」
「エントランスですね…」
やっぱりおかしい。この紅魔館で何が起こっているの…?
「どうして…部屋が滅茶苦茶に…」
「メイドさん、一応聞いておくけど此処につながっているのはエントランスでは無いですよね?」
「はい!間違えるはずもありません!」
此処に勤めているであろうメイドさんが言うのなら間違いはないのだろう。やはり今この館では異常事態が起こっている。一体誰がこんな事を…
「わ、私は取り敢えずお嬢様にこの事を伝えてきます!」
「わ、わかりました」
そう言い残すと妖精メイドはエントランスへと伸びる扉を閉め、渡り廊下をかけて行く。しかし、向こうの渡り廊下に渡るための扉を開けるや否や、すごい勢いで戻ってきて、
「よ、浴槽に繋がってて行き止まりでしたー!」
と言いながらまだ開けていない扉を片っ端から開けていく。
一体誰の仕業かわからないけれど、これがもし良くない者の仕業だとしたら、此処に1人で止まっているのは危険だ。何処か、安全な場所へ行かなければ。
「そうだ、私は取り敢えずフランの部屋に…
あとフラン起こさないと…流石に危険だ!」
こんな状況で寝ていたら格好の的である。
私は出てきた部屋に向けて駆け出そうとすると、突如として視界が歪む。
「ッ!?」
「うっ!?」
幸いにも、歪みはすぐ治り私も妖精メイドも何とも無いようだった。しかし、私達に何とも無いだけで、明らかに変化は起きていた。
「あ、あれ…扉が全部閉まって…」
………嫌な予感がする。
今度こそ、フランの部屋があった扉を開けてみると……………
そこには、キッチンが広がっていた。
「まさか…これって…」
「恐らくまた入れ替えられてしまいましたね…」
しまった…
この様子だと恐らく館中のすべての部屋が滅茶苦茶に入れ替えられている可能性がある。そんな中からフランの部屋を割り出すのは困難だ。
「と、とりあえずこんな所に居てもしょうがないから出なきゃ…」
「そうですね、早くお嬢様にこの事を伝えなければ…」
「…あ、そうだ護身用に何か持ってこ…」
2人でキッチンを出ることにしたが、私は過去に襲われた経験からか何が襲いかかってもいいように護身用に近くに置いてあったフライパンを持ってくことに。
「これでよしっと…あれ?メイドさん…?」
フライパンを拾うのに、一瞬目を離したら、いつの間にかメイドさんは居なくなって居た。
先に部屋を出たのだろうか?
私もキッチンから出ようと扉に手を伸ばす。
「ッ!またッ!」
またも襲いかかる歪み。
今度も何とも無いが、これが起きてしまったと言うことは…
ガチャ
「やっぱり変わってる…」
部屋を開けると、今度は私がレミリアと初めて会った食堂だった。
長机に多くの椅子が綺麗に並んでいるが、そこに誰も座って居ないってだけですごく不安を煽られる。最近1人になるって事も少なかった上にこんな状況の中なのですごく心細い。
いいやダメだ…こんな所で弱気になっちゃ…
誰かに頼っているばかりじゃダメなんだ…
私も、私も何か役に立たなきゃ…!
そう、自分を奮い立たせて食堂のにあるもう一つの扉を私は開く。
「………此処は…」
そこは、また長い長い渡り廊下だった。
「何階のどっち側の廊下なんだろう…?」
紅魔館は、中央一階に玄関がありそこから左右対称に伸びている。外からの見立てだと3階に屋上があったはずなのでこの紅魔館では渡り廊下は6つあるはず。
でもその渡り廊下の装飾の違いなんて私が分かるわけもないし、ましてや入ってくる方向も滅茶苦茶になっている今では判別はほぼ不可能…
此処はどこなのか考えるのを諦めて私は廊下へと歩みを進める。
すると、渡り廊下の奥に扉に向かい私に背を向け立っているメイド服の人を見つけた。
よかった…誰かいた…
私は安堵の息を漏らし、その人に近づく。
どうやら羽も生えていない様なので、妖精メイドではない様だ。そして髪は銀髪のショートヘヤー。私は彼女が誰なのか一瞬でわかった。
「よかった…咲夜さん此処にいたんですね…」
「…………藍里、私も貴女を探していたわ」
彼女はゆっくりとこちらに向き、その紅い目を私に向けた。
「咲夜さん………?」
「今この館は危険だわ、一緒に行動しましょう」
そう言って、私の手を取ろうと彼女は手を伸ばしてくる。
「だ…だって
今貴女咲夜に追われているんでしょ!?」
「!」
「…………」
私は、とっさに一歩下がり彼女の手から逃れた。私の手を掴もうと伸ばしていた彼女の手には、ナイフが握られていて、あのままだったら私は恐らく手をやられていただろう。
「……やっぱり、貴女は誰?」
「黙りなさい、薄汚い侵入者めが」
私にそう言い放つと、彼女はナイフを持ち直し私に猛スピードで突っ込んできた。
「わ!ちょ!あぶな!」
何とか手に持っていたフライパンで私に向かってくるナイフを防ぐ。
「小癪な」
突っ込んんできた上にナイフを防がれたのに、彼女はすぐに体制を持ち直し私の足を回し蹴りですくい上げる。
「わっ」
私はそんな予想外の攻撃を避けれるはずもなく足をすくわれ背中から思いっきり落ちてしまう。
「他愛もない」
そんな私を見下しながら彼女は新たなナイフを取り出し私に向かって投擲してきた。
私はそれを何とか右に転がりそれを躱す。
だが、彼女に攻撃は止まらない。
彼女は私に馬乗りになり動きを封じて、ナイフを振りかざし、フライパンが弾かれてしまった。
「くッ…」
「全く手を煩わせないで…安心して、一瞬でやってあげる」
も、もうダメ…………
彼女はナイフを逆手に持ち直し尚も振りかざす。そのナイフが喉元に届こうとしていた。
人は死を覚悟すると、その瞬間が数分にも感じられる。と、何処かで聞いたことがある。
私はまさにその状況に立たされていた。
既にナイフが私の喉元へ届きその命を刈り取ったであろう時間は、未だゆったりと流れ、いつまでも来ない様に感じる。
だが止まることはない。いずれ私は彼女の手によって故人となってしまうだろう。
ゆったりと流れる時の中、私だけの時間が止まる。私は、私ならざる者へと変わっていく様も見る事になるのかな………
「………………」ギリッ
(…………あれ?)
私の、死を目前にして起きた現象だと思っていたものは、どうやら彼女の、咲夜さんの能力によって見せられているものだったようだ。
先程まで真紅に染まっていた彼女の瞳は、いつもの蒼い目と相まって薄紫色をしている。
「は……やく……」
(咲夜さん!)
彼女はやっぱり今正気ではない。それがわかった事が少し嬉しかった。だがそんなことより今はこの状況を脱しなければならない。
彼女が紡いでくれた私の生きる道を途絶えさせるわけにはいかない。
(くっ………ぅ…………)
しかし、彼女の能力を私も受けているようで、まともに身動きが取れない。
その間咲夜さんも必死に抑えているようだが完全に時は止まっていないので、彼女のナイフは目ではわからない程度に私の喉元へと着実に近づいている。
「ぐっ……………ガッ………」
(まずい…このままじゃ…)
彼女の目は、さらに赤みを増し、ナイフの迫る速度が早まる。そろそろ彼女も限界が近づいているようだ。
私は出来るだけ腕に力を込め、彼女の腕を抑えようとする。いつもならすぐに伸びるはずの腕はまるで全方位から圧力を掛けられているかのように重いが、ゆっくりとだが動き出す。
だが、彼女の手の獲物の方が標的を狩る方が早く、私の喉元には冷たい死神が感触を伝えてくる。
「……や……っ……」
(!!)
彼女の真紅の目から、一筋の涙が落ちた時。
急 に 身 体 が 軽 く な っ た 。
「だぁぁ!」
力を目いっぱい込めていた両腕は、留められていた勢いのままに彼女の片腕へと目掛けて飛んで行く。
しかし、勢いが解放されたのは彼女もまた同じ。ナイフの冷ややかな触感を私の喉に伝えたまま進行してくる。
間に合わ………ない………
何か熱いものが、ナイフに伝わり流り始めるのを感じる。
私の…運命は…ここで…つき………
「運命は、他人が決めるんじゃない!自分で掴むものよ!」
ボォゥウウウウン------
神槍「スピア・ザ・グングニル」!!!
後方から、聞いたことのあるスペル詠唱音と、私の"知り合い"の声が聞こえてくる。
「!」
バァァァァン!
突如飛来したその紅い大槍は、彼女を轢き、渡り廊下の入り口の扉を豪快に破壊していった。
「藍里!」
「がはっ…はぁ…はぁ…れ…ミリア…」
「よかった、致命傷にまで届いていないわね」
そういって彼女は私の血を親指で拭き取り、口に含む。
「あら、貴女結構美味しいのね」
「レ…レミリア…」
「ちょっと惜しいけどこれで傷元縛っておきなさい」
そういって彼女はハンカチを渡してきたので、指示に従ってスカーフのように傷元を抑えてハンカチを巻く。
「さて…従者の失態は主人の責任、よね
また一から基礎を叩き込んであげるわ」
「レミリア!咲夜さんは…」
「えぇ、わかっているわ藍里、咲夜が正気じゃないってくらい。でも仮にも私に仕えるメイド長。いかなる時でも常に瀟洒でなければいけないわ」
そう言う彼女は憤怒の表情に満ちていて、フランの話をした時を思い出す。
カチャン…
扉を破壊した時に巻き起こった煙の中から彼女は破片を踏みながら此方へと向かってくる。
どうやらあまりダメージを負っていないようだった。
「さぁ、誰だか知らないけど、返してもらうわよ私の
「………………」
2人は同時の床を蹴り、ナイフと槍が激しくぶつかった。