東方蒼夢録   作:音無雨芸

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音無です。やはり戦闘描写やキャラの心情を考えるのは難しいですね…
今回は少し短めになってしまいました。申し訳ございません…
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朝、眼が覚めた藍里はフランの部屋から出ようとすると、紅魔館の部屋が滅茶苦茶に入れ替わっている異変に巻き込まれていることに気がつく。紅魔館を調べている途中、皆とはぐれてしまいその代わりに咲夜と出くわす。しかしどうも様子がおかしく、咲夜はいきなり藍里に襲いかかって来るがレミリアのお陰でこの危機を脱した。

今回もお楽しみいただければ幸いです。


20話 紅眼の従者、闘乱に舞う

2人の戦闘は弾幕のみを使うのではなく、体術と体術のぶつかり合いもあった。咲夜さんは手にナイフを持って斬りかかり、レミリアはそれをいなしながら弾幕を放ち牽制している。

 

咲夜さんはその弾幕の合間を縫い一気に間合いを詰めて右手を振り抜き、その勢いで回し蹴りを続けて繰り出す。

 

目にも留まらぬ速さで繰り出された体術なのに、レミリアは難なくそれを躱す。そして反撃とばかりに回し蹴りによって体制が崩れた咲夜さんに腹部を狙い拳を突き出す。

 

しかし、レミリアのパンチはあっさりとバックステップで躱されてしまった。

 

咲夜さんの身体へのダメージを考えたのだろうか、一瞬の気の迷いが、攻撃に遅れを生じさせたのだ。その遅れを咲夜さんはすかさず活用し距離を取る。

 

「……………」

ボォゥウウウウン------

スペル詠唱音を聞き、音の方を見やると、そこで咲夜さんが無数のナイフを握り、此方をまっすぐ見据えていた。

 

「チッ…藍里!くるぞ!」

「えっ!?」

 

大量のナイフが、彼女の周囲に放たれる。

しかし、一本一本の速度はそこまで早くなく、これならしっかり見てから避けられそうだった。

 

「こ、ここなら避けれそう…」

私は、放たれたナイフの弾幕が織りなす隙間に向かって進んだ。

 

「馬鹿ッ!油断するな!」

レミリアの叫びを聞いた直後、周囲の時が止まる。そして止まる時の中、先程まで規則性のあるナイフの並びが、掻き乱され四方八方に方向を変える。

 

 

 

 

 

 

そして時は動き出す。

 

「わっわっ!」

不規則に向きを変えたナイフが一斉に動き始める。先程まで隙間のあった場所には大量のナイフこ先端が向き、その道を塞ぐ。

 

あ、危なかった…

レミリアが呼び止めてくれなければ今頃串刺しになっていただろう。

 

「あ、ありがとう…」

「油断するな!次くるぞッ!」

 

慌てて相手に向き直り、第二波に備える。

今度は周囲にばらまくのに加え、此方に直接投げてくるのも含まれている。

 

私は先程の反省を生かし、まず距離をとった。

そして時が止まり、ナイフの軌道が変わって再び飛んでくるものをよく見て危なげなくかわして行く。

 

レミリアは、回避に加え攻撃の手を休めずに立ち回っている。

 

私も弾幕が使えたら手助けができるのに…

何も出来ない自分が悔しかった。

私に…私に力があったら…………

 

「そんなものか?私の知る咲夜はそんなものじゃないぞ!」

 

レミリアは相手を挑発し、距離をどんどん詰めて行く。必然的に弾幕が相手へと飛ぶ距離が短くなるので、レミリアの攻撃は激化する。

 

咲夜さんは成すすべなく彼女の弾幕に飲まれていく…………

 

 

 

 

 

いや、そうではない。そうではないのだ。

忘れていた。なんでこんな重要なこと忘れていたのだろう。

 

それは、ルーミアが私を庇い闘っている時に聞いた

 

「これは、"弾幕ごっこ"じゃない!離れてレミリア!」

「何!?」

 

次の瞬間、咲夜さんはレミリアに肉薄し、ナイフを振りかざす。

 

「ぐッ…!?」

「レミリアッ!」

「…………」

私の言葉を聞き、とっさにバックステップをしたお陰で致命傷は避けられた様だったが、左腕に数センチ赤線が刻まれてしまっている。

 

そんな様子を知ってか知らずか咲夜さんはのない殺戮ロボのようにレミリアに畳み掛ける。

 

チッ!

1つ、また1つとレミリアの顔にナイフの擦り跡が出来る。レミリアがナイフを警戒して少し離れた隙を従者は見逃さない。すかさずレミリアの腹部めがけて右ストレートが入り込む。

 

「くッ!?」

「…………」

殴られた勢いで後方に押し出される。レミリアはすかさず腕を腹部の前でクロスして防いでいたようであまりダメージは通っていないようだった。

 

「藍里!"弾幕ごっこ"じゃないってどういう事!?」

「青髪の女の子に襲われた時にルーミアが言っていたの、ルール忘れたわけじゃないでしょ…って…だから…もしかしたらって…」

 

大事な事なのに、口が痙攣した様に上手く喋れない。

 

「…成る程ね、ルールか…道理で"スペルカードの宣言"も"スペルカードをまだ突破していないのに別の攻撃をしてきた"って訳ね」

 

レミリアは自分の血を拭い、右手をかざして紅い槍を出現させた。

 

「藍里、もしそれが本当なら恐らく貴女を守ってあげられるかわからない、此処は私に任せて逃げなさい」

「で、でもっ…!」

 

ガァァァン!!

 

私が否定の意を示すと、痺れを切らした様に咲夜さんがナイフを両手に持ち切り掛かってきていた。レミリアはそれを槍で防ぐ。

「いいから行きなさい!!」

 

 

 

逃げたくない、逃げたくなかった。

初めて出来た友達を、こんな危険な所に残して1人逃げるなんて卑怯な事。

 

 

 

 

 

 

"でも、私が残った所で何が出来るのよ?"

 

 

私は、苦渋の決断をした。

膝が笑い、上手く立ち上がれないが、自分の体に鞭を打ちフラフラと持ち上げて、反対方向に駆け出す。

 

「…………!」

「おっと、主人を放って何処へ行こうと言うのかしら? 貴女の相手は私よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

私は走った。本当は走りたくなんて無い。

此処で出来た友の1人を、命を救ってくれた恩人の1人を裏切りたくなかった。

 

"裏切る?彼女はそうしろって言ったのよ?"

 

違う、私は死ぬのが怖くなってしまった。だから…逃げ出した…私も、彼女と一緒に戦いたかった。

 

"それこそ彼女を裏切るってものよ、貴女には何も出来ない。彼女の紡いだ道を無駄にして、終わり。"

 

それはッ……………

 

"どうせ、貴女は無力。行ったって無駄よ。わざわざ死にに行く必要なんてない。"

 

…そうだよ、どうせ私は無力で、何も出来やしない。

 

"だったら…"

 

でも、こんなにも人を助けたいなんて思ったのは、こんな気持ちを学ぶことができたのは此処にきて幽香さんやレミリアと関わりを持ったからなの。彼処に居ただけではこんな事は思いもしなかった。

 

 

だから…だから私は……

 

 

 

 

 

いつの間にか、私は進行方向を180度変え駆け出して居た。

 

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