らき☆すた〜変わる日常、異世界冒険ウィザードリィ5の世界〜   作:ガイアード

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目指すは奇跡の泉、復活の慶一、後編

慶一君を助ける最後の望みに賭けて、私達は、奇跡の泉を目指して5階へとやってきた。

 

最初こそ順調に進めていた探索だったものの、途中からの3連戦において、私達は2人の仲間の命を失ってしまった。

 

私達もそれなりに傷つき、状況的にはかなり危険になってきた事を感じてはいたが、それでも慶一君や死んでしまったつかさとみさきちを助ける為に前へと進む事にした。

 

そして、決意も新たに扉をくぐった先で私達は、最大の脅威と相対する事になるのだった。

 

それは、全身を緑色の鱗で覆われ、その体は私達の3倍以上の大きさを持ち、そしてその咆哮は私達を怯えさせるには十分な物を持っていた。

 

私はその相手を冷や汗を流しつつ見つめながら呟く。

 

「・・・まさか、よりにもよってこんな最悪な相手に出くわすなんてね・・・」

 

と、そう言う私の言葉に龍也さんは

 

「こなたちゃん、こいつは一体なんだ?この巨体、それに、全身を覆う鱗を見ても半端な相手じゃないって事はわかるが・・・」

 

そんな龍也さんの言葉に他の皆も緊張の面持ちで私の言葉を待っていた。

 

私はそんな龍也さんの言葉に頷き、相手を見据える目を離さないまま

 

「・・・龍也さん、皆。よく聞いて。こいつはこの階でもかなりの厄介な相手”グリーンドラゴン”だよ。私達は3階で同じ龍族の”ワイバーン”と相対した事はあるけど、それよりも上の存在。強さも段違いの相手だよ。みんな、最悪の事態も覚悟はして欲しい。こいつは、それだけの相手だからさ。」

 

そう説明しつつ、私は飛び道具を構え、戦闘態勢をとる。

 

皆もまた、私の説明に青い顔をしつつも各々の武器を構えて目の前のグリーンドラゴンを見据える。

 

そんな私達の行動に気付いたドラゴンは

 

グオオォォォォォ!!

 

という咆哮を上げると、私達に向かい突進して来た。

 

それが合図となり、戦闘が開始される。

 

ドラゴン自体のスピードはその巨体のせいもあり、私達でも回避する事は可能な位の速度のようだった。

 

それに気付いた皆もまた、突然のドラゴンの突進に驚きつつも冷静に回避行動をとっていたのを見て、私もほっと胸を撫で下ろしつつ、再びドラゴンへと目を向けた。

 

そして、気を取り直してドラゴンへと攻撃を仕掛けようとした私だったが、そうするよりも早く、龍也さんが声を上げていたのだった。

 

「皆!こいつのスピードはそれ程速くない!ヒットアンドアウェイ戦法でダメージを蓄積させて行こう!みゆきちゃん達も隙を見て魔法を打ち込んでくれ!こなたちゃんも飛び道具の牽制、任せたぞ!!」

 

そう叫ぶ龍也さんに私達も頷いて

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

と叫びつつ、龍也さんの指示通りに動き始めた。

 

「おらあああっ!!」

 

と叫びつつドラゴンへと突っ込んで剣を振りかぶり

 

ブォン!ガキイッ!!

 

と一気に振り下ろしたが、堅い鱗は龍也さんの斬撃を受け止め弾く。

 

一瞬驚きの表情を見せる龍也さんだったが、すぐさまドラゴンから距離を取った。

 

「えいっ!!」

 

ビュッ!ガキッ!!

 

と更にかがみもドラゴンに斬撃を叩き込むが、多少の傷はつけれたものの、やはり堅い鱗はかがみの剣も弾いた。

 

かがみもその事に戸惑いはしたものの、龍也さんの言うようにすぐさまドラゴンから距離を取って再び攻撃の機会を狙っていた。

 

そんな中、更に御坂さんも

 

「もういっちょ行くわよ!?えいっ!!」

 

ビュンッ!ガシッ!!

 

と、龍也さんが最初に攻撃を仕掛けた場所あたりに再び斬撃を浴びせるが、その箇所に多少の傷をつけたものの、鱗の突破はまだ出来ない感じだった。

 

「私も行くよ!それっ!!」

 

ビシュ!ビシュ!ビシュ!ビシュ!ビシュ!ドカドカガキキンッ!!

 

とクロスボウを連射してみたが、これさえも堅い鱗に阻まれてたいしたダメージになっていないようだった。

 

そんな中、峰岸さんは私達に

 

「みんな、これを!バマツ!バマツ!バマツ!」

 

と、防御力アップの魔法を重ねがけして防御力のアップをしてくれた。

 

「私も行きます!コルツ!コルツ!コルツ!」

「なら、私はこれで行きますわ!マダルト!」

 

と、みゆきさんがブレス対策を施してくれ、黒子も氷系の呪文でドラゴンを牽制してくれた。

 

「助かったよ!峰岸さん、みゆきさん!!黒子もそのまま魔法でお願い!!」

 

そう声をかけて私は、ドラゴンの撹乱の為に素早さを活かして動き回り、ドラゴンの注意を引きつける。

 

そんな最中、龍也さんたちが声を掛け合っているのが見えた。

 

「かがみちゃん!美琴ちゃん!攻撃を一点集中だ!1箇所集中で鱗を砕こう!みゆきちゃん達は俺達が鱗を破壊した場所へ魔法の集中を!」

 

その言葉にかがみたちは

 

「わかったわ!龍也さん、最初の一点を示して!?そこに攻撃するから!!」

「私も続くわ!それと、動きは止めちゃだめよ!?大きな体の所為で動きが遅いとはいえ、一撃もらったらただじゃ済みそうもなさそうだから!」

「わかってるよ!かがみ達も無茶は禁物だよ!?」

 

そう言って散開しつつ、龍也さんが攻撃をかけた場所を目印にして、その1箇所を集中して攻撃し始める私達。

 

「私達の方もいつでも行けるように準備はしておきます!皆さん、そちらの攻撃をお任せします!!」

「隙は外しませんわ!ですから思いきりやって下さいまし!」

 

そう言って、いつでも魔法を叩き込めるように集中しはじめるみゆきさんと黒子。

 

「できる限りの回復はするわ!だから、皆、頑張って!!」

 

と、こちらも回復呪文の準備をしつつ、私達に声をかける峰岸さん。

 

それぞれがそれぞれの役割を果たす為に動き始める。

 

慶一君なしでもここまでの連携をこなす私達に勝利への光明が見えた、私はそう思いはじめていたが、相手はやはり只者ではなかった。

 

龍也さん達の一点集中攻撃でとりあえずは鱗の一部を破壊し、ドラゴンの素肌の部分を露出させる事に成功はした。

 

私達の攻撃でドラゴンは自分の防御の一部を崩された事に脅威を感じたのか、太くて長い尻尾を使って私達に反撃を試みた。

 

その攻撃をそれぞれに避けつつ体制を立て直した、そこまではよかったのだが、私達がそれぞれに攻撃をかわし、再び動こうとした時、丁度私達はドラゴンの正面を交差するように飛び出そうとしていたが、その際に私達全員が一瞬だけ一直線に並ぶその瞬間に、ドラゴンはブレスを放って来たのだった。

 

ブオオオオオオオオオオオッ!!

 

そのドラゴンの動きに気付くのが一瞬遅れた私達は、もろにそのブレスを浴びる事となった。

 

「しまっ!?うおおおっ!!」「きゃああああ!!」「ああああっ!!」「た、龍也さん!?くううっ!!」「っ!?ああああっ!!」「お!おねえさまー!!」「いやあああっ!!」

 

とそれぞれに叫び声を上げた私達だったが、私がブレスを浴びるその一瞬、龍也さんが私の前に立ちふさがって私へのブレスのダメージを軽減してくれた。

 

ダメージは思ったよりも大きく、かがみ達戦士系の面々もかなりダメージが大きいようだった。

 

それだけではなく、ここで、更に被害も出てしまった。

 

ブレスを浴びた黒子がその威力に耐え切れずに倒れてしまっていたのだ。

 

みゆきさんも瀕死に近い状態。

 

峰岸さんが残っている魔力でみゆきさんに回復魔法を施しているのが見えた。

 

「黒子?黒子おぉぉぉ!!」

 

倒れた黒子を見て思わず叫ぶ御坂さんに、私達も悔しい思いを滲ませる。

 

皆もまた、その状況に意気消沈しているのが見て取れたが、そんな中で再びの絶望感に落ち込みつつも私は龍也さんに

 

「龍也さん。どうして私を庇ったりしたんですか?」

 

そう尋ねると、龍也さんはダメージで苦悶の表情を見せつつもふっと笑うと

 

「奇跡の泉の場所を知っているのはこの中ではこなたちゃんだけだ。だから、目的地に着くまでは君だけは死なせる訳にはいかないからね。うぐっ・・・」

 

そう言いつつ片膝をつく龍也さんの言葉に私は胸を詰まらせながらも

 

「私の為に・・・ごめんなさい・・・」

 

そう謝る私に、龍也さんは無理して笑いつつ首を振ったのを見て、私は更に申し訳ない気持で一杯になっていた。

 

「なあに、この程度のピンチはなれっこさ。それよりも奴が動き出す。もたもたはしてられないぞ?」

 

その言葉に私ははっとなり、すぐさま動こうとしたが、龍也さんの持っている剣の剣先が鱗を叩いた事で刃こぼれを起こしているのが見て取れたので、私はこの戦いの前に宝箱から回収していた未鑑定の剣を龍也さんに手渡して

 

「龍也さん、これを。さっき宝箱から手に入れたものだけど、今のその剣よりはましな奴だと思うから使ってよ。その武器じゃあいつにとどめを刺すには無理があると思うから。」

 

そう言うと、龍也さんも私から受け取った剣を鞘から抜いて

 

「ありがとう、こなたちゃん。確かにこれは良い剣だ。遠慮なく使わせてもらうよ。皆!また1人仲間を失ってしまったが、俺達はまだ生きてる!3人の仇を取り、この戦いに勝利する為に、もう1度全力を尽くそう!!」

 

そう叫ぶ龍也さんに皆もまた「「「「「おーっ!!」」」」」と気合を入れて応え、再び動き出すドラゴンへと攻撃をかけた。

 

グアアアアォォォォ!!

 

という咆哮を上げて再び私達に襲い掛かってくるドラゴンに私達の怒りの攻撃が炸裂した。

 

「このままやられるかっ!どりゃあっ!!」

 

ブォッ!ドズッ!!

 

と龍也さんが突き出した剣は剥き出しになったドラゴンの素肌に苦もなく突き刺さった。

 

ギャオォォォォオッ!?

 

と、まさかのダメージに驚愕の咆哮を上げるドラゴン。

 

そこへ更にかがみが渾身の斬撃を叩き込んだ。

 

「皆の仇!覚悟おっ!!」

 

ブォウッ!ズバッ!!

 

と、龍也さんが突き入れた箇所へ更なるダメージを加える。

 

「黒子をよくも・・・これは私と黒子の分よ!?受けなさい!!」

 

バチバチバチッ!!バシュッ!!ズドオンッ!!

 

と、更に傷口目掛けての御坂さんの超電磁砲(レールガン)が炸裂する。

 

ガアアアォォォオオオッ!?

 

とそのダメージに苦悶の叫びを上げる。

 

「皆の仇は取らせてもらうよ!!くらえっ!!」

 

ビシュビシュビシュッ!!ズドズドドッ!!

 

と私の放つクロスボウの矢も寸分たがわずドラゴンの傷口にヒットした。

 

その攻撃に瀕死にまで追い込まれたドラゴンは最後の抵抗を見せた。

 

スウウゥゥゥ・・・ブオオオォォォッ!!

 

と苦し紛れに再びブレスを放つ。

 

この返しは私達にとっても意外な事で、とっさの反応が遅れた。

 

そして、再びブレスに呑まれる私達だったが、ここで、再び龍也さんとかがみが私を守るように立ち塞がった。

 

御坂さんもまた、峰岸さんとみゆきさんを守ろうと2人の前に立ったのだが「きゃああっ!?」「ああっ!!」「くっ!?う・・・」

 

という声が聞こえたと同時に、辛うじてその場に立っていたのは御坂さん1人で、峰岸さんもみゆきさんもその場に倒れ伏していた。

 

「っ!?峰岸さん!みゆきさんっ!!」

 

思わず叫び声を上げる私に、2人の様子を見ていた御坂さんが首を左右に振っているのが見えた時、私は悔しさで奥歯を噛み締めた。

 

こちらの方はかがみが瀕死に近いダメージを、龍也さんもかがみよりは少しましな状態ではありそうだったけど、大ダメージを受けているようだった。

 

私達に最後の抵抗をしたドラゴンはもはや瀕死状態で、これ以上の反撃はないかのように思えたが、私がドラゴンの方へと目をやった時、瀕死のドラゴンが必死にブレスを再び放とうと息を吸い込もうとしているのが見え、それを見た瞬間、私は絶望感に襲われ、この戦いに負ける、そう思いつつ、来るべき最後に目を閉じた。

 

(・・・ここまでだね・・・必死で頑張ったけど、届かなかった・・・ごめん、慶一君。ごめん、みんな・・・)

 

そう考えていた私だったが、不意に風に乗って聞こえてきたとある言葉に私は驚きつつ、再び目を開けていた。

 

「・・・ツザ・・・リク・・・」

 

それは、死んでしまったはずのみゆきさんから発せられた最後の声だったのだ。

 

その言葉と共に魔法が、ブレスを放とうとしているドラゴンの、私達が集中攻撃をかけた傷口にヒットし、その衝撃でブレスは放たれずに止まり、そのままドラゴンはその巨体を地に横たえて息絶えたのだった。

 

私はドラゴンが完全に倒れた事を確認してから、みゆきさんに目をやると、みゆきさんはドラゴンの方へ杖を突き出した姿のまま倒れているのが見え、私はそんなみゆきさんに

 

「・・・みゆきさん、ありがとう。」

 

もう届かない声だったが、私はそうみゆきさんに伝えたのだった。

 

「・・・はあ、はあ・・・な、なんとか・・・勝ったな・・・今回ばかりはかなりやばかった・・・」

「・・・もう・・・戦う力はないわ・・・それに・・・失った物も大きかったわね・・・」

「・・・私は黒子と峰岸さんを連れて行くわ。」

 

そう最後に言う御坂さんの言葉に龍也さん達も頷いて

 

「なら、俺はみゆきちゃんとみさおちゃんを連れて行かないとな・・・」

「私はつかさを連れて行くわ・・・こなた。目的地はまだなの?」

 

そう聞いてくる2人に私は頷きで応えつつ

 

「わかったよ。みんな、ごめんだけど、死んじゃった皆の事お願い。それと、かがみ。後もう少しでつくから、もう少しだけ頑張ってね。それじゃ行こうか。」

 

そう説明すると、私達は死んでしまった仲間たちを引き連れて、ドラゴンがいた先のドアをくぐり、次の部屋へと入り込む。

 

敵がまた出るかと警戒はしたけれど、幸いにもここでは敵と出会わずに済んだのだった。

 

その事にほっとしつつ、私はその部屋の中央から右を向く。

 

すると、その先に扉が1つ見えたので、私はそこを目指した。

 

かがみたちもそんな私に着いてその扉へと移動してくる。

 

そして、かがみ達がちゃんと付いてきている事を確認しつつ、私はその扉をくぐった。

 

そして、目の前にもう1つの扉が見えたのを確認してから私は龍也さん達に

 

「・・・皆、着いたよ。ここが・・・この先が奇跡の泉。私達が目指した目的地だよ。さあ、行こう。皆も生き返らせなくっちゃね。」

 

そう説明しつつ、声をかけると、龍也さん達も私に頷きで応えてくれたのを見て、私はその扉をくぐった。

 

そして、そこには、ひっそりと佇む神秘的な雰囲気の泉が姿を現したのだった。

 

私はそれを確認した後、泉の一番浅い場所へと飛び込んでみた。

 

私の突然の行動に驚く龍也さん達。

 

けど、その驚きをよそに、泉は淡い光を発し始めた。

 

そして、光が収まった後、私は泉から出て

 

「龍也さん、かがみ、御坂さん。とりあえず私と同じように私が飛び込んだ場所に入って?そうすれば体力もダメージも全快するから。」

 

そう説明する私に、3人共頷くと、おそるおそる泉へと入っていくのが見て取れた。

 

そして、私と同じように泉から淡い光が発せられ、それが収まってから3人は泉から上がってきたのだが、3人はとても驚いていた。

 

「おー・・・すごいな、これは。さっきの大ダメージが嘘みたいになくなってるぞ。傷も残らず回復してる。信じられんな。」

「さっきまですっごく疲れてたけど、ほんとね。これは驚きだわ。」

「火傷の跡すら残ってないわ。この泉って本当に凄いのね。」

 

と口々に言う皆に私も頷いて

 

「これがこの泉の効果の1つだからね。それじゃ、アヒルのおもちゃをつけて、っと・・・まずはつかさ達を復活させるから、一人一人泉の底へ連れてくね。じゃあ、行って来るよー。」

 

そう言って私はつかさ、みさきち、峰岸さん、みゆきさん、黒子の5人を1人ずつ泉の底へ連れて行った。

 

そして、泉の底で5人は何事もなく無事に復活を果たして帰って来たのだった。

 

「・・・はあ、はあ・・・び、びっくりしたよ~・・・気がついたら水の中にいるんだもん。でも、こなちゃんの言う通り、本当に生き返れるんだね~・・・」

「ぷはー・・・私も死んでたんか・・・何か胸に攻撃食らったなーってのは覚えてたんだけどなー・・・あっ!?そうだ!あやの!あやのは無事か!?」

「みさちゃん、私は大丈夫よ。それよりもみさちゃんも無事に生き返ってくれてよかった・・・」

「まさに凄い力を秘めた泉ですね・・・これなら、慶一さんもあるいは・・・」

「本当に生き返れるなんて思いませんでしたわね・・・おねえさま、私の心配してくれましたの?」

 

と、最後に御坂さんにそう声をかける黒子に、御坂さんは顔を赤くしつつそっぽを向いて照れ隠しをしているのを苦笑しながら見ている私だったが、いよいよここに来た本当の目的を果たすべく、行動を開始しようとしていたのだった。

 

「龍也さん。慶一君の灰が入っている袋を貸してください。」

 

龍也さんにそう声をかけると、龍也さんは頷きつつ、懐から慶一君の灰の入っている袋を取り出して私に手渡して

 

「ああ、これを。こなたちゃん、これを君に託す。慶一の事は期待してもいいんだよな?」

 

そう言う龍也さんに私は少し不安を滲ませつつ

 

「そう・・・ですね・・・不安がないと言えば嘘になりますが・・・それでも、今の私達にはここに賭ける以外の方法はありませんから・・・だから、祈っていてください。」

 

そう応える私に、他の皆も不安そうな表情を見せていた。

 

私は気を取り直して

 

「それじゃ、行って来ます。」

 

そう言って泉に飛び込んで泉の底を目指す。

 

そして、泉の底に着いた私は慶一君の灰入りの袋を取り出して、祈るような思いでその灰を泉に撒いた。

 

灰は、袋から広がって泉の中を漂う。

 

私はどんな些細な変化も見逃さないように慶一君の灰を凝視し続けた。

 

すると、泉は先程同様に淡い光を発し始めた。

 

それと同時に、泉の中を漂っていた慶一君の灰が一箇所に集まり始めるのを私は緊張しつつ見ていた。

 

そうしているうちに、灰は徐々に人の形に固まり始め、そして、完全に人の形になった灰が更に光を発すると、そこには死んだ時の姿のままの慶一君の肉体が蘇っているのが確認できた。

 

私はおそるおそる慶一君の側へと近づいて、慶一君の心音を確かめる為に左胸の所へと耳を当ててみた。

 

そして、私ははっきりと慶一君の心臓が鼓動を刻んでいるのを聞いた。

 

その瞬間涙が溢れ出し、私は、私達が望むとおりの結果が得られた事を確信する。

 

と同時に、慶一君の意識が戻ったらしく、突然の水の中での意識の覚醒に慌てる慶一君の姿を見たその瞬間、私は慶一君に飛びついて慶一君と唇を重ねたのだった。

 

慶一side

 

風の王との一戦の後、意識がやみに沈んだままの俺だったが、不意に意識が戻ったその時には俺は何故か水の中にいた。

 

俺は何故こんな状況に陥っているのか訳が分からずにパニックになったのだが、そこに突然こなたが突っ込んできて俺に飛びつき、唇を重ねて来たので、俺は更にパニックになったのだった。

 

俺はこなたを1度引き剥がしたのだが、それでも俺にひっつくこなたに困惑していたが、水の中のままじゃ拉致があかないと思った俺は、こなたを連れて水上へ向かった。

 

そして、水上に戻って水面から顔を出した時、周りには皆の姿があり、俺をしばし、呆然としたような顔で見ていたが、御坂さんと黒子、龍兄以外の全員が俺を見て涙を流しながら飛びついてきたので、俺は驚いたものの、そんな皆の飛びつきを回避できずに5人分のボディアタックをもろに受ける事になったのだった。

 

龍兄side

 

こなたちゃんが慶一を復活させるために泉の底に潜って行ってしばしの時が過ぎた。

 

皆もまた、不安な面持ちで事態の成り行きを見守っていたが、少しすると、俺達が回復をした時と同様の光が泉から発せられ、それが収まって少ししたら誰かが泉の底から上がってくる気配を感じ、それを注意深く見守っていた。

 

そして、水面に現れた奴の顔を見て、俺は奇跡を起こせた事を確信したのだった。

 

そこにはこなたちゃんに抱きつかれながら困惑の表情を見せる慶一の姿があったからだった。

 

俺は今回のミッションが成功した事を確信すると同時に再び会えた弟の姿に思わず涙ぐんでいた。

 

と同時にかがみちゃん達もまた、そんな慶一の姿を確認すると同時に一斉に飛びつくのが見え、俺は心の底からほっとしていたのだった。

 

慶一side

 

こなたに抱きつかれたまま水面に出てきた俺を待っていたのは、龍兄、御坂さん、黒子以外の全員のボディアタックの洗礼だった。

 

そして、俺に飛びついてきた皆は俺に抱きついて涙を流していた。

 

俺は俺に飛びついて来た皆が口々に言う言葉を聞く。

 

「慶一君、よかった。本当によかったよー!」

「慶一くん!慶一くん!慶一くんっ!!」

「けいちゃん!よかったよ~嬉しいよ~」

「慶一さん・・・慶一さん・・・私は・・・私はっ!うううう・・・」

「慶ちゃん、よかった・・・本当によかった・・・」

「慶一ー!本物だよな!?なあ、嘘じゃねえんだよな!?なあ、慶一ー!!」

 

そんな言葉に、俺は何か重大な事があったのだという事を悟った。

 

そして、俺は飛びつきには参加してなかったが、俺を見て涙を流す龍兄達に

 

「龍兄、一体何があったんだ。皆の様子を見るにつけ、何か重大な事があったんじゃないか、と思うんだけど。」

 

そう声をかける俺に龍兄達は溜息をつきつつ

 

「ああ、あったさ。お前は地下3階の探索に於いてボスの放つ魔法を受けて死んでいたのさ。」

「そして、その後のカント寺院の復活にも失敗して消失(ロスト)しちゃってたのよ?」

「慶一さんを復活させる方法を探して私達はここまで来たんですわ。」

 

そう説明してくれる皆の言葉に俺は顔を青くしつつ

 

「し、死んだ上に、消失(ロスト)だって?でも、消失(ロスト)したら復活は・・・あ、まさかここは・・・」

 

そう呟きつつ、俺が今いる場所に思い当たるふしがあったので、そう言葉にする俺に俺に抱きついているこなたが

 

「そうだよ。慶一君。ここは奇跡の泉。君もここの泉の事は知っていたよね?」

 

と、まだ涙で濡れた目であったが、そう説明してくれたのを受けて俺は頷いて

 

「ああ。確かにここの事は知っていた。でも、ゲームではダンジョンから出てしまった場合はここも意味はなさかったはず。だからこそ驚いているんだが・・・」

 

その言葉に今度はこなた達が青い顔になって

 

「え?そ、そうだったの?そこまでは私も知らなかった・・・あ、で、でも、ちゃんと復活できたんだし、ここでは大丈夫って事みたいだよね。」

「・・・結果オーライだったからいいけど、危うく無駄足になる所だったって事?」

「・・・よかった・・・復活してくれて本当によかったよ・・・」

「ぶ、文献には復活したという記述があったわけですし、この結果は想定の範囲のはずですよ?で、でも、失敗しなくてよかったです・・・」

「これで慶ちゃんが復活しなかったら、私達も死んじゃった意味がなくなる所だったわね・・・」

「よかった・・・本当に・・・私達の行動が無駄になんなくて・・・」

 

そう言う皆に俺はただただ苦笑するしかなかった。

 

そして、龍兄達もまた

 

「俺達には賭けるしかなかったとはいえ、その賭けに勝てたのはやっぱり奇跡のおかげだったのかな?」

「まさに、その名前を体現している泉だった、って事なのね。上手く行ってよかったけど、これで失敗だったら流石に凹むわ・・・」

「ふふ。でもよかったじゃありませんの。頼れるリーダーさんが戻って来てくれたのですし。これでまた、私達も元の世界に帰る為に動ける訳ですから。」

 

そう言うのを聞いて、俺は改めて事態の大きさと重さを感じていた。

 

そして、俺にいまだに抱きついて不安そうな顔を見せる皆に再び目を向けると、俺は皆に

 

「・・・ごめん。散々心配かけて、泣かせてしまって。本当にごめん。それと同時に、ありがとう。再び俺がここに戻れたのは皆のおかげだ。本当に、ありがとう。」

 

そう言うと、皆はそんな俺の言葉に笑顔で頷いてそして、俺にこう言ってくれた。

 

「「「「「「「「「おかえり<なさい>、慶一<慶ちゃん><けいちゃん><君><さん>」」」」」」」」」

 

その言葉に俺もまた、力強く頷いて

 

「ただいま、みんな。」

 

そう応えると、皆も嬉しそうな顔で頷いてくれたのだった。

 

かくして俺は、消失(ロスト)という最大のピンチから再びこの場所に戻って来ることが出来たのだった。

 

目的を果たして凱旋する俺達だったが、それから少しの間だけ、休息をとる事となった。

 

 




後書き
かがみよ?

慶一くんが復活してくれて本当によかったわ。

まあ、結果オーライではあったけど、とりあえずほっとしたわね。

今回の戦いで結構疲れちゃったし、少し体を休めないとね。

次回、らき☆すた〜変わる日常、異世界冒険ウィザードリィ5の世界〜

しばしの休息、それぞれの旋律達

ベ、別にあんたが戻って来てくれた事が嬉しい訳じゃないわよ!か、勘違いしないでよね。

次回をお楽しみに。

今回のモンスター

グリーンドラゴン:この階で出てくるブラックナイト、ヴァンパイア、ロイヤルロード、マスターシーフ、ハタモト、同様にかなり厄介な敵。

防御力も高く、ブレス攻撃もやっかい、おまけにけっこうHPもある相手。

出会ったなら、大ダメージ覚悟で戦うか逃げるかのどちらかで行く事になります。

余裕で倒せる程になったならあまり怖い敵ではないですが、今回のこなた達レベルの場合、苦戦は必至になると思うので、注意したい。

今回は以上です。
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