らき☆すた〜変わる日常、異世界冒険ウィザードリィ5の世界〜   作:ガイアード

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辿り付いた世界、そして、覚醒する旋律達

ゲートキーパーside

 

この場所を安定させ、見守り続けてどれほどの月日が過ぎた事か・・・。

 

ゲートキーパーという役目を代々受け継ぎ、この場所を守護し続けて、それまでは何ら異変の徴候はなく、後もう少しの間この場所を守護した後は、新たな後継者であるソーンにこの場所を守護する任を引き継がせる、そのつもりだったのだが・・・。

 

「・・・これは・・・4元素のバランスに妙な異変が起きておる・・・。わしがこの任を引き継いでからも、いや、それ以前からもこのような異変が起きたという話等聞いた事はなかったが・・・一体この場所に何が起きたというのじゃ・・・む?」

 

何かの気配を感じ、わしは辺りを見回してみた。

 

しかし、何も見つける事は出来なかった。

 

気のせいか?そう思った次の瞬間、突然に4元素の力が中央に集まり出し、その力はわしの体をその中心に捕らえる事となった。

 

「ぬ、ぬおっ!?こ、これは一体!?うぬうっ、なんという力、動く事もできぬ・・・。」

 

わしはこの場所から何とか脱出を試みようとした。

 

しかし、わしを押さえつけえる力は想像以上に強く、自力ではどうする事も出来ない程となった。

 

何とか脱出の手立てを探そうと今の自分が持ちうる知識を総動員させ、対策を取ろうとしたが、ふいにわしの捕らえられた場所のすぐ側から何者かのあざ笑う声が聞こえてきた。

 

「あははははは!いい様だね、我が師ゲートキーパー!世界の、宇宙の中心とも言える場所を守護してきた貴方も、そうなってしまってはもはや4元素を制御し、この場所を安定させることすらままなるまい!」

 

その声にわしは怒りを覚えつつ

 

「おのれっ!ソーン!どういうつもりじゃ!?この場所がどういう場所かわかっておるのか!?ここに揃いし4元素の安定を崩せば、世界は破滅してしまうのじゃぞ!?」

 

そう叫ぶと、笑い声の主は

 

「ふふふ。そのような事など百も承知よ!それを知りながら私はこの場所に干渉するチャンスを待っていたのだ!この4元素の集まる場所を我が物とし、この世界を、宇宙を私の望む姿へと造り変えるのだ!!その為にはここを守護する我が師ゲートキーパー、貴方の存在が邪魔なのさ!だから、そこで、そのゲートの中心で未来永劫我の制御せし4元素の力によって留まっているがいい!!」

 

そう言い放った。

 

「貴様っ!!わしが貴様を育てたのはこのような事をさせるためではないぞ!?」

 

わしの問いかけに笑い声を発した者はわしの前に姿を現して

 

「ふふふ・・・昔の私ならば貴方の言葉に、教えに何ら疑問はもたなかったでしょう。しかし、貴方から様々な事を学び、そして、知識を得、力を得た私にはこの場所の制御はたやすい事となった。私には野望がある。その野望の為に師である貴方を利用させてもらう事にする。せいぜい喜ぶ事です。貴方から得た知識や力はちゃんと私の役に立っていますからね。後はあなた自身をもってこの場所の制御の鍵となっていただきましょう。ふふふ・・・あはははは!!」

 

それはまさに、絶望とも言える言葉であった。

 

この魔女を倒さねば、もはやこの世界はなくなってしまう。

 

わしは、わしを嘲り笑う魔女を睨みつけながらも、最後の力を振り絞り、この状況を打開できる可能性を持った者を召喚するために呪文を唱えたのだった。

 

「・・・ソコルディ・・・」

 

そして、その呪文の発動を見届けながら、わしは心の中で

 

(・・・頼む・・・どうかわしの呼びかけに応じてくれ・・・この世界を・・・この宇宙を救ってくれ・・・この世界にやって来る者よ・・・世界の命運を、託す事を許してくれい・・・。)

 

そこまで考えた後、わしを捕らえるこの力に屈し、わしは意識を失った。

 

こなたside

 

慶一君の家でゲームをプレイしていたけれど、その時に突然に慶一君の家のテレビから強烈な光がほとばしり、私達はその光に飲まれた。

 

そのまま私は気を失ったみたいなのだけど、先程から私の体に感じるほのかなぬくもりが、少しずつ私の意識を覚醒させていった。

 

やがて、意識を取り戻した私は上半身を起こして周りを見渡す。

 

「・・・うーん・・・ここ、どこだろう?」

 

周りを見渡しながら私はそう呟いたが、私の手元に感じるぬくもりがあったので、そちらの方へと視線を移すと、私の下に、慶一君の体があって、私はどうやら慶一君の体の上で一緒に寝ていたらしかった。

 

「え?け、慶一君?何で私の下にいるの?」

 

私は驚きながら自分の体の下にいる慶一君を見てそう呟いたのだが、なんだかそのぬくもりが気持よかったのか、私はもう一度、慶一君の体の上に寝そべって慶一君のぬくもりを感じようと体を押し付けた。

 

「うーん。慶一君の体は暖かくて気持いいね。もう少しだけこうしていようかな?」

 

そう呟いて私はその体制のまま数分間そうしていたが、やがて、我に返ると

 

「おっと、いけない。こうしてる場合じゃなかったね。ちょっと名残惜しいけど、っと。慶一君!ねえ、慶一君、起きてよ!ねえってば!」

 

そう言って慶一君の体を揺すってみると、慶一君は「うーん・・・。」と唸りながら目を覚ましたのだった。

 

慶一side

 

俺の家であの場所でゲームをプレイしてる時に起きたハプニング。

 

あの光に飲まれながら俺は意識を失ったが、その時になにやら夢を見ていたらしかった。

 

魔女ソーン、そして、ゲートキーパーの2人のやりとりを見たような気がした。

 

そして、ゲートキーパーの最後の言葉も。

 

そして、それを見た直後に俺を揺すり起こす誰かの存在に気付いて俺は目を覚ました。

 

「うーん・・・。」

 

そう唸りつつ目を覚ますと、俺の目の前には何故かレザーアーマーを着込んでいるこなたがいた。

 

こなたは俺が目を覚ました事にほっとしたような表情を見せると

 

「やっと、起きたね。私のすぐ側に慶一君がいたから慌てて起こしたんだよ。」

 

そう言うこなたに俺はこなたの格好にも驚きつつ

 

「そうだったのか。俺はどのくらい寝ていたんだ?それと、こなた。その格好は何だ?お前いつコスプレなんかしたんだよ?」

 

そう言うと、こなたは俺に指摘されて初めて自分の体を見回してみた。

 

「あれ?何これ?私いつの間にこんな格好に・・・ってそれを言うなら慶一君もじゃん。なんかレザーアーマーっぽい鎧と腰にはロングソードみたいなの下げてるよ?」

 

そう指摘され、俺も自分のからだを見回す。

 

「あれ?本当だ。どうなってんだ?一体・・・それに、ここはどこなんだ?俺達は家の中にいたはずだ。野外になんて出た覚えもないんだが・・・。」

 

俺の言葉にこなたも改めて周りを見渡すと

 

「そういえばそうだね・・・。うーん・・・・・・あ!慶一君、あそこにかがみとみゆきさんとみさきちが倒れてるよ?慶一君、行ってみよう。」

 

かがみ達の倒れている方向を指差すこなたに俺も頷いて

 

「本当だ・・・。とりあえず行ってみないとな。行くぞ?こなた。」

 

そう言うと、こなたも頷いて、俺の後に付いてきた。

 

俺達はかがみ達の側に駆け寄ると、3人を起こす為に声をかけた。

 

「おい!かがみ!みゆき!みさお!しっかりしろ!!」

「かがみ!みゆきさん!みさきち!しっかり!!」

 

3人を揺すって声をかけると、3人とも目を覚ました。

 

その時に俺は3人の姿を見たのだが、かがみとみさおは俺と同じようにレザーアーマーとロングソードを、みゆきはローブのような物を着けていたのが確認できた。

 

「うーん・・・あれ?慶一くん、こなた。あんたらどうしたのよ?その格好。」

「うう・・・ここは、一体・・・慶一さん、泉さん、その格好は劇の練習か何かなのですか?」

「うーん・・・いつつ・・・あ!慶一、ちびっこ!お前らなんでそんな変な格好してるんだ?」

 

と言いながら、3人とも起きて早々に俺達の格好にツッコミを入れてきた。

 

俺とこなたは苦笑しつつ

 

「どうやら3人とも無事らしいな。それと、変な格好はお互い様だぞ?お前らも俺達とさほど格好は変わらん。」

「そうだよ。でも、みゆきさんだけはなんか魔法使いみたいだね?かがみとみさきちは戦士みたいな装備なのにさ。」

 

という指摘に3人とも自分達の格好を見て

 

「え?あれ?何これ?どうなってるのよ!?」

「いつの間にこのような物を?」

「おお?これが今はやりのコスプレ、って奴なんかな?」

 

3人の慌てる言葉を聞きつつ、俺は自分の腰にぶら下がったロングソードを引き抜いて刀身を確認してみたのだが、俺はその刀身に触れてみて驚いた。

 

作り物かと思われたこのロングソードはどうやらそうじゃないみたいで、本物の鉄で作られ、刃も鋭利に研がれていた。

 

その事実を知った俺は4人に

 

「・・・皆。言いにくい事だけど、どうやらこれはコスプレ、という訳じゃないらしい。この鎧も本物の防具だし、このロングソードもおもちゃじゃない。ちゃんと鍛えられた本物だ。」

 

俺の言葉に驚愕の表情を見せる4人。

 

そして、こなたもダガーを引き抜いて確認し、かがみやみさおもまた剣を抜いてそれをまじまじと確認していた。

 

みゆきに至っては、魔法の杖らしき物を持っていたようで、その杖に見入っているようだった。

 

ひとしきり武器に見入っていた皆だったが、かがみが

 

「・・・何よこれ、どういう事なの?何で私達は慶一くんの家のリビングにいたはずなのに外にいるのよ?それに、どうしてこんな本物の武器なんて持ってる訳?」

 

そう言うと、みゆきも訳が分からないという風で

 

「それだけじゃありませんね・・・。この雰囲気、そして、見た事のない場所・・・一体私達の身に何がおきてしまったのでしょうか・・・。」

 

そう言い、みさおも困惑顔で

 

「私らがこんなもん持ってるって事もそうだけどさ、私らの住んでる場所はこんなに人気のない場所じゃなかったはずだよな?それに、何か空気も変じゃねえか?何か重苦しいというか、妙なプレッシャーみたいなのを感じるゼ・・・。」

 

そんな3人の言葉に俺も困惑しつつ

 

「そうなんだよな・・・。俺自身も訳がわからない。それに、この雰囲気や空気、俺達のいた場所とは何か違いすぎる物を感じるな。」

 

そうして、現状を分析している俺達だったが、ふいにこなたが

 

「・・・ひょっとしたら、だけどさ。ここって私達のいた世界とは違う場所なんじゃない?」

 

その言葉に俺は驚きつつもこなたに

 

「どういう事だ?俺達のいた世界とは違う、って?」

 

そう尋ねると、こなたは腕組みしながら

 

「うん。その根拠なんだけどね?まず第1に私達は慶一君の家にいたはずなのに何時の間にか野外にいた、と言う事。そして、第2に私達のこの格好。どうみてもロールプレイングゲームで出てくる冒険者の初期装備みたいだよね?そして、第3だけど・・・あれを見て?」

 

そう言ってこなたが指差す方を見てみると、そこには少し遠めだが、俺が目にした事のない城とその城を囲むように城壁が敷かれている町が見えた。

 

「何だ?城?でも、あんな城、現実では見た事なんてないぞ?」

 

その言葉にみゆきも頷いて

 

「私も色々調べた事はありますが、あのようなお城が存在する世界の遺跡や町を知りません・・・。」

 

そう言うみゆきの後にみさおが

 

「おおー?結構でかくねえか?なあなあ、あそこに行ってみねえ?何か面白そうだってヴァ!」

 

そんな能天気なみさおにかがみは呆れつつ

 

「・・・あんたは・・・なんでそんなに能天気なのよ!?私達得体の知れない場所に来ちゃったかもしれないって言うのに!!」

 

そんな風にみさおに怒るかがみにこなたも苦笑しつつ

 

「あはは・・・。あ、そうだ。後1つ気になってる事があるんだけど・・・。」

 

というこなたの言葉に俺は

 

「気になってる事?一体何なんだ?」

 

そう尋ねると、こなたは少し沈んだような表情になって

 

「・・・うん。もしここが私の言うように異世界で、あの光に飲まれた皆が飛ばされてきたのだとしたら、つかさや峰岸さん、龍也さんはどうなったんだろう?って思ってね・・・。」

 

その言葉に”はっ”と息を呑むかがみ。

 

かがみはこなたからその事を聞かされて物凄く不安な顔になり

 

「・・・何てことなの・・・私達の事で手一杯でその事に気付かなかったなんて・・・つかさ・・・。」

 

そんなかがみにみゆきもまた不安な表情で

 

「かがみさん・・・まだ、つかささんがこの世界に来ていると決まった訳じゃありません。まだ、悲観するのは早すぎますよ。」

 

かがみを慰める為に声をかけていた。

 

そして、そんな2人を見てみさおも落ち込みつつ

 

「・・・あやのー・・・お前もこの世界に来ちゃったのか?無事だよな?あやのー・・・。」

 

そんな風に落ち込む3人にこなたもまた、何も言えずに不安げな表情で3人を見つめていた。

 

俺はそんな3人に励ますように

 

「・・・かがみ、みさお。大丈夫だ。もし、つかさ達もこの世界に来てしまったていたとしても、俺は不安には思っていない。何故なら、つかさ達がこの世界に来ているなら、龍兄もおそらくは一緒にこの世界に来ているはずだからな。何かの拍子に俺達は2手に分かれてしまったんだろう。それに・・・何となくだけど分かるんだ。つかさ達の方にはきっと龍兄がいる、ってね。龍兄は俺よりも強いんだ。そんな龍兄ならきっと・・・皆を守ってくれる。だから、希望を捨てるなよ。な?かがみ、みさお。」

 

俺のその言葉に、かがみとみさおは顔を上げて俺を見つめていたが

 

「・・・そうね。そうよね。私も信じてあげなくちゃね・・・それに、慶一くんの言うように龍也さんもこの世界に来ているって言うなら・・・きっと大丈夫。ありがとう、慶一くん。私も信じるわ。慶一くんの事、そして、龍也さんの事を。」

「サンキューな、慶一。私も希望は捨てないゼ?あやのは無事だって、信じる。」

 

そう言ってくれたのを聞いて、俺とこなたとみゆきもほっとしていた。

 

「何にしても、まずはあの町を目指してみよう。あそこで何かわかるかもしれないからな。」

 

俺の言葉に皆も頷いて

 

「そうだね。手掛かりがあの町にあるかもしれないなら、まずは行ってみるべきだよね。これ、RPGの基本だよねー。」

「今は、それしか現状を知る手立てがないんじゃ、仕方ないわね。とにかく歩きましょ?」

「何にしても行動してみる事ですね。とにかく動いてみませんと。」

「おーし、それじゃあの町に向かって出発だってヴァ!!」

 

その言葉に俺と皆は「「「「「おー!!」」」」」と気合を入れて歩き始めたのだった。

 

そして、あの町に向かって歩き始めてしばらく経った頃、俺は俺達の後をつけてくる不穏な気配を感じ取っていた。

 

俺は皆に小声で

 

『皆、俺達の後を何者かがつけてきている。俺が合図をするから、合図と共に町へ向かって走れ。俺がつけてきている連中を食い止める。』

 

そう言うと、皆は驚きつつも恐怖の表情で

 

『え?で、でも、慶一君、1人じゃまずいよ。私達も一緒に手伝った方がいいんじゃ・・・。』

『ちょっと!またあの時みたいに無茶する気なの?だめよ。逃げるなら一緒に逃げましょ?』

『そうですよ・・・無理です、慶一さん。かがみさんの言う通り逃げましょう。戦うのは無謀です。』

『そうだぜ?無茶する事ねえって。一緒に逃げようゼ?』

 

そう言う4人に俺はかぶりを振って

 

『だめだ。足止めの為に戦うって言ったって俺とこなた以外はほぼ素人も同然だ。戦った事もない人間には今の状況では何も出来やしない。かえって足手まといになるだけだ。それに、俺は皆を守るって誓ったからな。俺自身、死ぬ気はないけど、お前らを見殺しにも出来ない、分かってくれ。それに町まではもう少しだ。走って町に飛び込んでしまえば安全だ。なあに、心配はいらないさ。俺もお前らが町に飛び込んだ頃合を見計らって逃げてくるさ。後で町で落ち合おう。それじゃ、合図したらダッシュだ、いいな?皆。』

 

俺のその言葉に4人ともあまり納得の行かない顔をしていたが、結局は俺の言った事を実行する方が安全だと判断したようで、渋々ながら頷いてくれたのだった。

 

それを確認した俺は、4人を逃がすタイミングを見計らい、合図を出した。

 

「走れっ!!皆!!」

 

そう言うと、皆は町に向かってダッシュしたのをちらりと見つつ、前を見据えると、茂みから4人の盗賊達が飛び出してきた。

 

「ちっ!逃がすか!!」

「捕まえろ、男は殺しても構わん!!」

「女どもは捕らえて慰み者にするんだ!!」

「どけっ!きさま!!」

 

そう言って逃げた4人を追おうとしたが、俺はその盗賊達に「させるか!!」と叫びつつ真横からの体当たりをかました。

 

1人が吹き飛ばされ、その吹き飛ばされた盗賊に他の3人も巻き込まれ、足を止めた。

 

その隙を見計らい、俺は相手との間合いを詰める。

 

そして「お前は寝てろ!螺旋掌!!」と、相手の鎧の脇の辺りに掌打を叩き込む。

 

ドカアッ!!という鈍い音と共に吹き飛ぶ男の1人。

 

それを見たほかの盗賊達がそれぞれに持っている武器を抜いて襲い掛かってきた。

 

「上等!かかって来い!!」

 

そう叫んで俺もまた、反射的に武器を抜いて3人の盗賊に対処する。

 

「おらあああああ!」

「殺してやる!!」

「邪魔しやがって!許さん!!」

 

と、言いながら3方向から切り付けてくる。

 

ガイン!!キンッ!!ガキィ!!

 

と何とか3人の剣を打ち払い、体制を崩した1人に「うらあっ!!」という気合と共に龍神流の蹴り技、螺旋龍神脚を打ち込み吹き飛ばす。

 

「よし!次!!」

 

そして、残り2人に対処しようと体制を変えたとき、最初に吹き飛ばした盗賊が復活し、背後から襲い掛かってきた。

 

ズシュッ!!「うぐぁっ!!」

 

という苦悶のうめきと共に体に切りつけられる感覚を感じながら、俺はそいつへの反応が遅れ、更には前にいた2人への対処も遅れた。

 

迫る剣、俺は自分の死を覚悟しながらもこなた達を逃がせた事に安堵していた。

 

(ちっ、ここまでか・・・。でも、なんとかこなた達を逃がせたな、それだけでも良かった・・・。)

 

そう心の中で思いながら、目前に迫る死に俺は目を閉じたが、次の瞬間、ガキィン!!キィンッ!!という剣を金属のような物で受け止める音が聞こえた。

 

そして、いつまでもやってこない、トドメに俺はおそるおそる目をあけて見ると、そこには相手の剣を受け止めるかがみとみさお,そして、背後では何かを突き刺すような音と共に

 

「慶一君は殺させないよっ!?」

 

と言う、こなたの声が聞こえ、そして、俺の方に向かって

 

「大丈夫!?慶一くん!?」

「慶一はやらせないってヴァ!!」

 

と叫ぶかがみとみさおの姿があった。

 

俺はそんな3人の姿に驚きを隠せず

 

「か、かがみ!みさお!こなた!お前らどうして!?」

 

思わず俺はそう叫んでいた。

 

こなたside

 

自分達をつけている者がいる、という慶一君の言葉に、私達は緊張を隠し切れなかったが、慶一君は私達に自分が囮となるから、その隙に町へと逃げろ、と言ってきた。

 

慶一君の強さは知っていたけど、私達は慶一君のその言葉に不安を感じていた。

 

結局、慶一君に説得で押し切られた私達は慶一君の指示通り、合図と共に町へとダッシュしたのだけど、そのすぐ後に走り出した私達を狙って4人の盗賊らしき男達が飛び出した。

 

慶一君はすぐさまその盗賊の1人に攻撃をかけて連中を足止めしていたのだが、すぐに人数差で劣勢に追い込まれたようだった。

 

私達は思わず足を止めて慶一君の方を見た。

 

私達が振り向いた時には慶一君は後ろから襲い掛かってきた盗賊に背中を切りつけられた所だった。

 

それを見た瞬間、私達は無我夢中で慶一君の方へとダッシュしていた。

 

かがみやみさきちが無意識な感じだったけど、手持ちの剣を抜き、慶一君にとどめをさそうとする盗賊2人の間に飛び込んでこの攻撃を受けた。

 

それに慌てた、背中から慶一君を切りつけた盗賊は慶一君へ前の2人の代わりにとどめをさそうと剣を振り上げたが、その時にはすでに私はその盗賊の背後に回りこんでいて、手持ちのダガーを相手の背中へと突き立てていた。

 

その一撃を受けて倒れる盗賊。

 

そんな私達の姿を見た慶一君は

 

「か、かがみ!みさお!こなた!お前らどうして!?」

 

と、驚愕の表情で叫んでいたのだった。

 

慶一side

 

思いがけず、盗賊達の足止めに失敗した俺は、もはやその命運も尽き果てたと諦めかけていた。

 

しかし、そんな窮地を救ってくれた奴らがいた。

 

それは、かがみ、みさお、こなたの3人だった。

 

俺は思わずこなた達にどうしてここへ戻った、という風に声を荒げたのだが、その言葉が終わると同時に俺達の背後で”ボン!”という、何かが燃え上がるような音と、「ぎゃあああああ!!」という4人目の盗賊の断末魔が聞こえたので、思わず俺はそっちに振り返ってみたが、そこには黒焦げになり、前のめりに倒れつつあった4人目の盗賊の姿があった。

 

俺はその光景に驚いていたが、そんな俺に、かがみやみさおの後ろからもう1人、声をかけてきた奴がいた。

 

「大丈夫ですか!?慶一さん!!」

 

それは、杖を構えて俺を心配そうに見つめるみゆきだった。

 

「み、みゆき。これは、お前が?」

 

そう尋ねると、みゆきは黙ってコクリと頷いた。

 

そして、少しの間混乱していた俺だったが、ガキィン!!キィンッ!!という剣を弾く音と「きゃあっ!!」「うわっ!!」というかがみとみさおの悲鳴で俺は我に帰った。

 

声と音の方に目を向けると、ちょうどかがみとみさおが生き残った盗賊に剣を弾かれていた所だった。

 

俺はすぐさま剣を握り締めると、かがみ達の剣を弾いて無防備になった盗賊達めがけて突っ込む。

 

「はあああっ!でやあ!!」

 

気合と共に剣を振り下ろし、俺はまず1人を切り倒す。

 

そして、最後の1人も切り伏せようと向き直ると、生き残った盗賊は大慌てで俺達の前から逃げ去ったのだった。

 

こうしていきなり発生した戦闘だったが、俺達は何とか生き残る事ができたのだった。

 

盗賊から受けたダメージでその場に思わず座り込む俺。

 

そんな俺を、同じように地面にへたり込むように座っていたかがみだったが、ふいに恐ろしい形相で俺の側にやってきて大きく腕を振りかぶると、”パアンッ!!”という乾いた大きな音を響かせながら、かがみは俺の頬を張ったのだった。

 

そして、怒りに打ち震えながら

 

「ばか!ばか!このおおばかっ!!何やってんの!?何やってんのよ!あんたはっ!!1人でこんな無茶して!!あの日の夏休みの時だってこんな事したわよね!?あの時も同じような事をして私達を泣かせた事を忘れちゃった訳!?分かってるの!?あんたが私を・・・私達を大事に思ってくれているように、私達もあんたの事が大事なのよ!?それがわかっていながらどうしてこんな無茶な真似すんのよ!?今回はあの時とは違うわ!!本当に死にそうになってたのよ!?それがわかってるの!?」

 

かがみにまくし立てられ、呆然とする俺の背中にこなたも抱きついて来て

 

「・・・怖かった・・・怖かったよ、慶一君。君が死にそうになったのを見て本当に怖かった。君がいなくなる事を考えたら物凄く怖かったよ・・・。あの夏休みの事は私は体験してはいなかったけど、今、実際に目にしてみてかがみやみゆきさん、みさきちの気持が分かった気がするよ・・・お願い慶一君・・・無理は・・・しないで・・・?」

 

そう言うこなたの言葉の最後の方には涙声になっていた。

 

みさおもみゆきも俺をかがみの後ろから俺を見つめながら

 

「慶一、私の言った事、覚えてっか?私らが泣いた事、その思いを忘れるな、ってさ。今のおまえはそれをわすれてんぞ?慶一、もう一度考えてくれよ・・・私の言ったあの言葉をさ・・・。」

 

そう言ってあの時と同じように涙をこぼすみさお。

 

「慶一さん、無事でよかった・・・。あなたがいなくなる事なんて考えたくはありません・・・。私も言いましたよね?慶一さんが中学生の頃の事を話してくれたあの時にせっかく拾った命なのですから今後もそれを無駄にするような事はしないでください、と・・・。お願いです・・・お願いですから・・・私の言った言葉をもう一度心に刻んでください・・・。そして、これからも1人で何でも背負い込まないようにして下さい・・・。私達に出来る事があるのなら、私はこれからも協力はおしみません。いえ、皆さんもそうです。ですから、慶一さん・・・。」

 

そう俺に必死に涙ながらに訴えるみゆき。

 

俺は思わず4人を抱きしめて

 

「・・・ごめん・・・ごめんよ・・・心配させてごめん・・・泣かせて、ごめん・・・。俺はまた・・・繰り返す所だだった・・・。」

 

そう言って4人と一緒に俺もまた自分のふがいなさ、そして、皆への罪悪感から涙を流し、しばらくの間泣いていたのだった。

 

しばらくして俺達は落ち着いたが、こなたが、俺の背中の傷に気付き、一応の応急手当をしてくれた。

 

「・・・よっと・・・これで一応は大丈夫だよ。背中の傷も思ったより浅かったしね。とはいえ、あまり無茶しちゃだめだよ?」

 

そう言うこなたの頭に俺は手をぽんとおくと

 

「ああ。わかってる。ありがとうな、こなた。大分楽になったよ。」

 

そうお礼を言うと、こなたは照れ笑いを浮かべていた。

 

「さっきの切り傷もそうだけど・・・殴った所、大丈夫?痛かったわよね?」

 

とかがみが申し訳なさそうな顔で俺にそう聞いて来たので、俺はその言葉に首をフルフルと振ると

 

「いいんだ。俺にとっての戒めみたいな物だからな。かがみ、心配かけてすまなかった。」

 

俺の言葉にかがみは複雑な表情で

 

「いいわよ、もう。でも、もうあんな無茶しないでよ?」

 

そう言うかがみに俺も頷いて応える。

 

「町まではもうすぐだゼ?そろそろ動くか?」

 

と、一応周りを警戒しながらみさおが俺に声をかけてきた。

 

俺はそんなみさおに

 

「そうだな。もう少ししたら動こう。すまない、みさお。結果的に俺の行動が一番負担だったな。」

 

そう言うと、みさおは豪快に笑いながら

 

「いいっていいって。こうして無事にいるんだからな。」

 

そう言ってくれるみさおに俺も「ありがとう、すまない。」と声をかけると、みさおもいつもの笑顔を見せて頷いてくれた。

 

「応急処置をしたとはいえ、傷の状態はまだ心配です。町についたら怪我を見てくれる所があるといいのですけど・・・。」

 

と言うみゆきに俺は

 

「そうだな・・・でもあれだけの大きな町だし、そう言う場所もあるかもしれない。とにかく行ってみる事だな。」

 

そう言うと、みゆきは緊張の面持ちで頷いたのだった。

 

俺はそんな会話をしながら、先程の戦闘の事を思い出して4人に

 

「なあ、こなた、かがみ、みさお、みゆき。お前らさっきの戦闘では何かすごいいい動きしていたけど、あれはどういう事だ?どう見ても素人の動きじゃない感じだったが・・・それに、みゆきも何かやったような感じだったしな。」

 

そう尋ねると、こなたは

 

「うーん・・・どう、って言われると説明しにいんだよねえ・・・慶一君が殺されそうになってるのを見た瞬間に体が勝手に動いてたんだよね。それに、何でか私はあの動きを最初から知っていたようなそんな気がしたんだよ。」

 

と説明してくれた。

 

かがみとみさおも首を捻りつつ

 

「私もそうかな?慶一君が危ないって思ったら体が勝手に動いて・・・それに、不思議だったのは、あんな重いはずの剣を苦もなく振れた事だったのよね。それに何故かあの瞬間に戦い方が分かったような感じでさ・・・。」

「私もそうだゼ?不思議と体から力が湧いてきた。今でもあの動きができた事が不思議な感じがすっからなあ・・・。」

 

そう言っていまださっきの事が真実なのか夢なのか、と言う感じでいる2人だった。

 

「そうか、やっぱりそれは俺達がこの格好をしている事に何か意味があるのかもしれないな。」

 

そう感想を言うと、3人とも俺のその言葉に何故か頷いていたのだった。

 

俺はその頷きを見ているうちに、俺の中にある種の疑念が浮かび上がって来たのを感じていた。

 

そして、こなた達以上に困惑していたのはみゆきだったようで、みゆきは

 

「・・・私の場合は、皆さんが駆け出すと同時に皆さんに付いて行きましたが、その時に私の頭の中に奇妙な言葉が浮かんできたんです。私は夢中で相手に杖を向けてその言葉を唱えていました。そして、その言葉を口にしたと同時に杖から火の玉が出て相手に当たったんです。」

 

そう説明してくれた。

 

俺はそのみゆきの言葉に驚きつつ

 

「奇妙な言葉?それはどういう言葉だったか思い出せるか?」

 

そう尋ねると、みゆきは俯いてその事に思いを巡らせていたようだったが、ふいに顔を上げると

 

「・・・あ・・・落ち着いて考えてみたら、思い出せます・・・いえ、思い出すと言うよりは、最初から知っていた、そんな感じですね・・・。その言葉は「ハリト」です。他にもう1つ、知っている言葉がありました。それは「カティノ」という言葉ですね・・・。あの時口にしたのは「ハリト」でした・・・。」

 

みゆきからその言葉を聞いた時、俺は物凄く驚いた。

 

何故なら、その言葉は、俺がプレイしていたあのゲームででてくる、初期の魔法使いが使用できる呪文の1つだったからだ。

 

俺は、みゆきの言った言葉の事をみゆきに説明すると、みゆきは俺の言葉にかなり驚いているようだった。

 

「ま、魔法、ですか?」

 

と、おそるおそる言うみゆきに、俺も複雑な表情で頷いて

 

「そういう事だ。これでまた1つ疑念が浮かんだな・・・。」

 

と言う俺の言葉にみゆきもかなり困惑しているようだった。

 

さっきのかがみ達の動き、そして、ここにもう1つの疑念が浮かび上がる。

 

そんな風に考え事に没頭している俺に、こなたが声をかけてきた

 

「ねえ、慶一君。慶一君が何を考えているかは大体見当はつくけどさ、とりあえず町に行かない?いつまでもここに居ても仕方ないし、慶一君の怪我の事もあるしね。」

 

そう言うこなたの言葉に俺は”はっ”と我に帰ると

 

「そうだな、とりあえず町へ向かおう。皆、行くぞ?」

 

他の皆にもそう声をかけると、皆も頷いて俺に付いてきてくれた。

 

そして、少し歩くと俺達の目指す町の入り口が見えてきた。

 

その町の入り口には町の名前を刻み込んだ看板が立っていて、俺はその看板の前に立って、看板に書かれた文字を眺める。

 

不思議な事に、その文字は俺達の世界では見たことのない文字で、さらに不思議なのは、何故か初めて見るその文字が普通に読める事だった。

 

俺はこなた達を呼ぶ。

 

「こなた、皆、ちょっと来てくれ。」

 

すると、俺の呼びかけに気付いたこなた達が俺の側にやってきた。

 

俺は皆が揃うのを確認すると、看板を指差して

 

「なあ、皆、この文字、読めるか?」

 

そう尋ねると、皆は看板をじーーーっと凝視していたが、俺に顔を向けると

 

「うん。見たことない文字のはずだけど読めるよ?何でかな?」

「私も読めるわ。ほんと、不思議ね。」

「文字そのものは変な形してんだけど、なんだろ?普通に日本語みたいに見えるよな?」

「私にも読めます。本当に不思議な物ですね。」

 

そう言う4人に俺も難しい表情を向けていた。

 

こなたはそんな俺に

 

「私達はこれが読めるけど、慶一君はどうなのさ?読めるの?これ。」

 

俺はその言葉に頷くと

 

「ああ。読める。ここに書いてある文字は『トレボー城、城下、リルガミン』と書いてあるな。」

 

そうこなたに答えながら、俺は、俺の中に渦巻く疑念が確信に変わるのを感じていたのだった。

 

 




後書き

慶一だ。

ゲームをしていた俺達が突然の光に飲み込まれ辿り付いた場所はまさにゲームの世界そのものだった。

初の戦闘を経て、町に辿り付いた俺達、そこに待っていたのは、俺達の2手に分かれた仲間達だった。

仲間と合流し、元の世界へと戻る為に俺達は決意を新たに冒険へと出発する。

次回、「仲間との合流、決意の旋律達」

こなた「ねえ、慶一君。私達、元の世界に戻れるのかな?」

こうご期待!!

今回みゆきの使った呪文について。

魔法使い系呪文のレベル1から7あるうちでレベル1の4種のうちの2つ。

レベル1は4つ覚えますが、初期にはまだこの2つのみしか覚えていません。

「ハリト」炎の弾を撃ち出す呪文。威力は小さい。
「カティノ」敵1グループを眠らせる効果がある。上手く眠らせると与えるダメージが倍になる。
序盤ではかなり使用頻度の多い呪文。
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