らき☆すた〜変わる日常、異世界冒険ウィザードリィ5の世界〜 作:ガイアード
ダンジョン内で奇妙な動物の像の問いをクリアして、その先にいた行商人・アイロノーズから1階の重要アイテムの1つである”真鍮の鍵”を手に入れ、その帰り道に出会ったアイスファントムとの戦いにおいてみゆきが麻痺させられるというトラブルがあったが、俺達はクリアに向かっての確実な前進をした。
その後、冒険者の宿で鋭気を回復させた俺達は、今度はみさおとあやのをメンバーに加え、次のアイテムの捜索へと乗り出すのだった。
「今回は私達が留守番ね?くれぐれも気をつけるのよ?ちゃんと皆揃って帰ってくるんだからね?」
「帰ってきたら、わたしとおねえちゃんで美味しい御飯作って待ってるよ?皆気をつけてね~?」
と言って送り出してくれる2人に俺達も
「ああ。わかってる。きっちり成果出して戻ってくるから、今回は悪いけど留守番頼むな?」
「ま、今回は私らが頑張ってくっから、柊達はゆっくりしててくれよな?」
「そうだな、今回は俺達に任せてくれ。」
「むふふー。私達を心配しつつもツンデレなかがみん、萌えー!」
「柊ちゃん、妹ちゃん。今回は私に任せてね?」
「では、かがみさん、つかささん、行って来ますね?」
力強く頷きつつ、俺達はかがみとつかさにそう言うと、かがみはこなたの言葉に顔を赤くしつつ
「かがみん言うな!!それと、私はツンデレじゃないっての!!」
と、ツッコミを入れ、つかさはそんな2人のやり取りに苦笑していた。
そんなやり取りもありつつも、俺達は2人に見送られてダンジョンへと足を踏み入れる。
ダンジョンに降りてから全員が集まって、俺は今回の目的を説明する事となった。
「皆、今回の俺達のすべき事は2つ。1つはこのダンジョンの北東へ赴き、もう1つの”鍵”の入手。そして、そこから南西へと戻り、ある仕掛けの解除とその仕掛けを解除してから進める場所にあるアイテムのゲットだ。これを終わらせれば今の段階でこの1階ですべき事はある程度終わる。」
その説明に皆は
「もう1つの”鍵”か。それに、仕掛けかー・・・慶一、仕掛けの方は任せるゼ。私は頭使う方は自信ないし・・・。」
「この世界の事に関してはお前の方が詳しいみたいだからな。俺も肉体労働専門の方がよさそうだ。」
「南西の仕掛けかー・・・うーん、何かあったような気がしたけど、記憶がおぼろげだねえ・・・。」
「話は分かったわ。後は慶ちゃんの指示に従うから、言ってね?」
「では、その場所を目指して出発ですね?皆さん、頑張りましょう!」
そう口々に言いながら、最後のみゆきの言葉に皆も頷いて、俺もまたその言葉に頷くと
「そうだな。よっし、早速行くとしよう。皆、出発だ!!」
そう声をかけると、皆も「「「「「おー!!」」」」」と声をあげて俺の後に付いて歩き出した。
ダンジョンを道なりにあるき、奇妙な模様の柱の場所を目指す。
そして、柱を迂回し、更に進むと左手にドアが見えてきた。
俺はそのドアを開けて部屋へと入る。
この場所は特に小さい部屋以外は敵が出てこないので、ふいのエンカウントにのみ注意しつつ、いくつかのドアを開きながら先へ先へと進んでいた。
部屋の状態を見ながらこなたが
「むう、やたらとドアがある場所だねえ・・・こりゃ下手すると迷いそうだよ・・・。」
その言葉に俺も苦笑しつつ
「はは、気持はわかるよ。俺も実際に動いてみるとこんなにも似たような風景が多いと思わなかった。確かにこりゃ、迷いそうだ。」
そう言いつつ、ある程度のドアを開いて先に進んで行くうち、ようやくドアが途切れたのか、少し長めの通路へと出て来た。
その通路を少し進もうと足を踏み出したとき、ゴウッ!ゴゴウッ!!という音と共にふいに前方から火の玉が飛んできた。
最初の一発は何とか回避したが、その後ろから更に飛んできた火の玉を避けきれずダメージを食らう。
「ぐっ!!」
と短くうめきつつも俺は剣を抜いて構える。
「大丈夫か!?慶一!」
「敵、みたいだな?だが、魔法を使ってきた?」
そう言いつつ2人も剣を構える。
「ああ、そういえばそんな敵もいたっけね・・・私はここからクロスボウで狙うよ?」
そう言って、こなたはクロスボウを構え、前方を睨みつける。
「慶ちゃん、待ってて!ディオス!!」
そう言ってあやのは俺に回復をかけてくれた。
「敵は複数のようですね。いきます!!メリト!!」キュキュキュンッ!!ドドドンッ!!
そう言って、魔法の矢を前方へと打ち出すみゆき。
そのうちの数体がみゆきの放った魔法攻撃を受け、そのダメージに耐え切れずに倒れる。
「やりました。え!?こ、これは・・・。」
みゆきの魔法を受け、倒れる相手を見て驚愕の表情を見せるみゆき。
それも、無理もない事だ。
何故なら、攻撃を仕掛けてきたのは、俺達と同じ冒険者の姿をした者だったからだ。
俺はそんなみゆきにすかさず声をかける。
「みゆき!心配するな!!そいつらは俺達に姿は似ているが、自ら望んでこのダンジョンに住み着き、ここにやってくる冒険者を襲うようになった、いわばはぐれものだ。それに、そいつらはソーンとこの迷宮の影響でもはや自我を保っていない。いまやソーンに操られる人形のようなものだ!!だから、そいつらに対する罪悪感を感じる必要はない!!こいつらはもう、人じゃない!!モンスターなんだからな!!」
そう言いつつ、俺は残った魔法使いレベル1を斬りつけて、残敵を仕留めた。
みさおやこなた、龍兄もそれぞれに担当した敵を倒し、ひとまずこの戦闘に決着がついた。
龍兄はこの状況に難しい顔をしつつも、龍神流の継承者として通って来た道があったがゆえに、この状況をちゃんと受け止めているようだった。
そんな中、あやのもみゆきも、そしてみさおもまだ少し青い顔をしていたが、俺は3人に
「あやの、みゆき、みさお。このダンジョンにはまだこういう連中がたくさんいる。しかし、そんなあいつ等をソーンの呪縛から救うには、恐らく奴を倒さなきゃならないだろう。今の俺達に出来ることは、せめてこれ以上他の冒険者を傷つけないように眠らせてやる事しかない。つらいかもしれないが、それがこいつ等の為でもある。だから、俺達はあいつ等を倒すのではなく、救うのだと思うようにしよう。大丈夫だ。その業は俺も背負う。だから、頑張ってくれ。」
そう言い聞かせると、3人は複雑な表情をしつつも
「わかったわ・・・。慶ちゃんの言葉を心に刻んでおくね。これは相手を倒すんじゃなくて救う事、そうよね?」
「私達のこの行動が彼らを救うのなら・・・私も慶一さんの言うとおりに考えるようにします。」
「ちっと複雑だけど、そういう事なら仕方ねえもんな・・・。わかったゼ?お前の言うように割り切るよ。」
そう言ってくれる3人に俺も頷きつつも、少しだけほっとしていた。
俺達のやり取りを見ていたこなたが
「あれあれ?慶一君は私にはそんな事言ってくれない訳?それって差別じゃないのー?」
と言うこなたに俺は慌てつつも、こなたの近くに行って小声で
『そんなつもりはないけど、お前はこれがゲームの世界だと分かってるからそんなにショック受けてないんじゃないのか?そう思ったからお前に言わなかったんだが。』
その言葉にこなたもペロリと舌をだしつつ小声で
『あはは。慶一君にはお見通しだったかー。まあね。これが現実世界で起きてる事なら流石に私も焦るけどさ。私達のいる世界はゲームの世界だからね。さほど慌ててなかったよ。』
その言葉に俺も軽いため息をつきつつ呆れながら
『ま、そういう事だと思ったけどな・・・でも、こういう時はお前のように冷静な奴もいてくれると助かる。だから、これからもサポートを頼むよ。』
その言葉にこなたも笑って頷きながら
『まかせたまへー。まあ、皆にも徐々に慣れてもらったほうがいいのは確かだね。それまでは私も皆のフォロー、引き受けるよ。』
その言葉に俺も笑顔を返しつつ
『すまない。お前にも手間をかけさせるな。』
そう言うと、こなたは左右に首をふって
『いいっていいって。何もかも慶一君に押し付ける訳にはいかないしね。そんなんじゃ君がいつか潰れちゃうよ。だから、私の出来る事はやらせてもらうから安心してね?』
その言葉に俺は頷いて
『ああ。ありがとう。こなた。』
そう言うと、こなたも照れたように笑ってうなずいてくれたのだった。
そんなやり取りを終えて、俺達は気を取り直し、通路を先へと進んでいく。
やがて、道なりに進んだ先に通路の終わりが見えたが、そこにはドアが1つあった。
俺は皆に
「皆、ここも敵が出るかもしれない。戦う準備をしておいてくれ。」
そう言うと、皆もその言葉に頷いて、それぞれに武器を構えていつでも戦える体制をとった。
俺はそれを確認した後、1つ頷くとそのドアを蹴り開け、部屋の中へと踊り込んだ。皆もそんな俺の後に続く。
そして、俺の思ったとおり、そこにも敵がいた。
今回の敵はアンデットウォリアー5匹とレディスパイダー6匹だった。
俺とみさおと龍兄はすかさずアンデットウォリアーへと斬りかかる。
「こいつらか、そんなにたいした連中じゃないな!うりゃっ!!」ズバアッ!!ガシャン!!
そう言いながら1体を斬りつけ、あっさりと仕留める。
「壊れちゃえ!!こいつー!!」ガキィッ!!ガシャン!!
みさおもまた、1体を仕留めた。
「流石にこの程度じゃ修行にもならなくなってきたな、それっ!!」ビシュッ!!ガシャリ!!
続けざまに龍兄もアンデットウォリアーを仕留める。
「これでもくらえー!!」ビュンッ!!ガシャッ!!
こなたの放ったクロスボウの矢がアンデットウォリアーの頭を貫き、破壊する。
「私も行くわよ?ディスペル!!」
あやのの呪い解きで残り2体を土へと還す。
「皆さん、下がってください!!マハリト!!」ボオウンッ!!ドドドドド・・・
みゆきの魔法攻撃が来ると察知した俺達が下がった瞬間、みゆきの魔法がレディスパイダーに炸裂し、6匹全部を消し炭に変えた。
俺達は最初の頃よりもかなり余裕でこの戦いに勝利する事ができたのだった。
「ふう。勝ったか。皆良い動きになってきたよ。さあて、こなた。さっさと宝箱の罠、解除してくれ。」
俺の言葉にこなたは頷いて早速罠の解除に取り掛かった。
今回もたいした罠じゃなかったようで、楽々戦利品とお金をゲットできたのだった。
戦闘も済んで、部屋の奥に目をやると、そこにはもう1つ扉があった。
俺は、その扉に近づくと、ドアを開こうと扉に手をかけてみる。
すると、ドアはびくともしなかった。
俺は、その事を確認すると、俺の行動を見ているこなたとみゆきに声をかけた。
「こなた、それと、念のため、みゆきもこっちに来てくれ。」
俺の言葉に2人は
「ん?何か用ー?」
「慶一さん、どうかされましたか?」
と言いつつもこちらにやってきた2人に
「こなた、盗賊の技に指先技ってのがあったろ?それを使ってこの鍵のかかった扉のこじ開けを試してみてくれ。みゆき、お前はこなたでも手におえなさそうだった場合にデストを扉にかけてみてくれないか?」
そう言うと、2人は頷いて
「おお!ここはそういう扉なんだね?わかったよ。ちょっとまってねー・・・・・・っと。」
「鍵のかかった扉なんですね?わかりました。やってみます。」
そう言うと、こなたはピッキングの道具を取り出して扉に取り付き、早速鍵のこじ開けを敢行していた。
みゆきはその様子をじっと見つめつつ、魔法の準備を終えていた。
俺が2人に指示した事の意味がよくわからなかったあやのが俺に
「ねえ、慶ちゃん。泉ちゃんと高良ちゃんの2人に何をしてもらってるの?」
その言葉に俺は頷くと
「うん。このダンジョンには特殊な鍵が必要な扉以外にも普通の鍵のかかっている扉もあるんだよ。こなたは盗賊(シーフ)だからな。そのスキルの1つを使ってもらって普通の鍵のかかった扉のこじ開けをやってもらってるんだ。みゆきにも一応待機してもらったのは、魔法使い(メイジ)の呪文にドアの鍵を開ける事ができる呪文があったからさ。いわば、こなたが失敗した時の保険みたいなもんだな。」
そう説明すると、みさおと龍兄も感心したように頷いて
「へー?ちびっこにはそんなスキルがあったんか。なあなあ、慶一。私ら戦士(ファイター)には何かスキルってないんか?」
「こなたちゃんの存在はまさにこのダンジョン攻略には欠かせない存在なんだな。」
その2人の言葉に苦笑しつつも頷いて
「はは、戦士(ファイター)のスキルはどんなに重装備でもつけることが出来て、戦士用の武器を使いこなす、そんな程度くらいだな。それと、龍兄、こなたの職業だけじゃない。みゆきやあやののような攻撃魔法、回復魔法の使い手もいなければこのダンジョン攻略は絶望的といってもいい。だから、ここにいる誰が欠けてもダンジョンは攻略できない、といっても言いすぎじゃ無いほどさ。」
その言葉にみさおは少し釈然としない感じだったが、龍兄は俺の言葉に感心したように頷くと
「むう・・・私らのスキルって微妙だなー・・・。」
「なるほどな。まさに全員一丸とならなきゃ駄目、って事か。」
と、口々にそう言っていたのだった。
そうこうしているうちに、鍵開け作業しているこなた達の方からカチャッ!という音が聞こえたので、そっちに顔を向けると、俺の方を向いて親指をビシッと立てて満面の笑顔を見せているこなたが見えた。
「慶一君。解除完了だよー?早速ドア開けるけど、一応警戒しといた方が良いかな?」
その言葉に俺も頷いて
「ナイスだ、こなた。そうだな、皆、一応警戒してくれ、それじゃドアを開けて中に入るぞ!?」
と、皆に声をかけると、皆も緊張しつつ戦闘態勢を取りながら俺の後に続いて部屋へと足を踏み入れる。
幸い、今回は敵との遭遇はなかったので、俺はほっとしつつ部屋の中を見回した。
部屋は横長で、その奥も少し薄暗く、見ずらかった。
俺は皆に
「皆、この部屋の中を探索してくれ。部屋の中に石棺が置いてあるはずだ。それを見つけてくれ。」
そう言うと、皆もそれに頷いて部屋の中を捜し始める。
俺も皆の行動開始を見届けて、部屋を探し始めた。
「むー・・・?ねえなあ?ちょっと薄暗くてわかりにくいゼ・・・。」
「この部屋もあまり手を加えられてはいないようだな、いろいろと散らばってるようだ。」
「蜘蛛の巣もそこら中に張ってて嫌になるねえ・・・みゆきさん、魔法で焼き払ってよー。」
「い、泉さん、お気持はとてもよく分かるのですが、こんな場所で魔法放ったら他の物に燃え移って余計にひどい事になってしまうかと思いますよ?」
「泉ちゃんの気持も分からなくはないけどね。確かに私も少し嫌かも・・・あら?これって・・・。」
文句を言うこなたに同意しつつ、探し物をしていたあやのが何かを見つけたみたいで、俺はあやのに
「ん?何か見つかったのか?あやの。」
そう尋ねると、あやのが俺に手招きをしたのが見えたので、俺はこちらの捜索を打ち切ってあやの方へと移動する。
皆もあやのの声が聞こえたみたいで、一斉にこちらへと寄って来た。
「うん。これなんだけど、慶ちゃんの言っていた石棺ってこれの事かしら?」
あやのはそう言って自分の足元を指差した。
俺はその方向を目を凝らして見てみると、そこには石でできた棺が横たわっているのが見えた。
「・・・うん。間違いないな。これだ。ナイスだあやの。それじゃこいつを開けるぞ?龍兄、ちょっと手伝ってくれ。」
俺はあやのに礼を言いつつ、龍兄に声をかけると、龍兄も頷いて俺と反対側の石棺の蓋に手をかけるのを見て
「よし、行くぞ?いっせーの!!」
「せっ!!」
最後の掛け声を同時に叫びつつ、俺と龍兄は石棺の蓋をずらして立てかける。
そして、開いた石棺の中を見ると、中にはすでに風化してしまった遺体の残骸らしき物と、その隅にキラリと光る何かが落ちているのが見えた。
俺はそれを拾い上げ、それをまじまじと見ると、皆に
「よし、アイテムが手に入った。ここにはもう用はない。次はここから南西の仕掛けのある場所まで戻るぞ?」
そう声をかけると、皆も頷いて今度はここから南西にある場所を目指して移動を開始した。
そして、そこに向かう途中、こなたが俺に
「・・・ねえ、慶一君。南西の仕掛けで思い出したんだけどさ、それってやっぱり、あの部屋の事、だよね?」
と、俺に苦笑しながら言うこなたに俺も同じように苦笑しながら
「言うな、こなた。あれは事故だったんだ。仕方のない事だったのさ・・・。」
そう言いつつ俺は遠い目をしていた。
俺達の会話の事情を知らないみさおとあやのは頭にハテナマークを浮かべていたが、それ以外の皆はその”事故”の事を思い出して、顔に苦笑を浮かべていた。
そして、もと来た道を戻り、おかしな記号が彫られたダンジョンの中央部を南へと進む俺達。
そのうちに目の前に真っ暗な通路が見えてきた。
俺はその通路の前で足を止める。
俺が止まると同時に他の皆も揃って足を止めた。
この真っ暗な通路を凝視していたみさおが俺に
「なあ、慶一。この先って何でこんなに真っ暗なんだ?目の前に通路あるみてえだけど、こんなに近づいても全然何も見えねえぞ?」
その言葉に俺は頷いて
「2人は初めてだったよな。ここはこのダンジョンでも特殊な場所でな。ダークゾーンって言うのさ。この中に入ったら手探りで進むしかない。何しろここは、魔法の明かりも通じない場所だからな。」
その言葉にみさおはごくり、と喉を鳴らして緊張していた。
俺はそんなみさおを見つつ、皆に一応
「ここに飛び込むと同時に戦闘もありえるから、皆、一応戦闘準備はしておいてくれ。」
そう伝えた後、一呼吸おいてから
「よし、踏み込むぞ!」
そう言って、俺はダークゾーンへと飛び込んだ。
そんな俺の後に続いて皆もダークゾーンへと飛び込んでくる。
だが、今回も何とかモンスターと出会わずに済んだようだった。
その事にほっとしつつ、俺は一歩一歩ダークゾーンを進んでいく。
そして、数歩歩いた辺りで行き止まりに突き当たったので俺はそこから右を向く。
そして、そこにあるドアに手をかけて中へと進入した。
俺の行動を察知した皆も俺の後に続いて部屋の中に入ってくる。
部屋の中には中央にもう1つ小さな部屋があり、そこからは機械の稼動音が聞こえてきていた。
あやのは俺にこの部屋の事を尋ねてくる。
「ねえ、慶ちゃん。ここはどういう場所なの?」
あやののその言葉に俺は頷くと
「ここはこの先にあるベルトコンベアのトラップを動かしている動力室さ。さっきから聞こえている機械の稼動音はこの部屋の中央より向こうにあるドアの先のベルトコンベアを動かす機械の音なわけだ。」
そう説明すると、あやのはその事には納得して頷いていたが、更に俺に
「そこの所は理解したわ。それで?慶ちゃん、私達はここで何をするの?」
そう聞いて来たので、俺は頷きつつあやのに更に
「ここでの目的は2つある。1つは動力室に入ってベルトコンベアを動かしている機械を止める事、もう1つはコンベアを止めてから進む事のできる部屋にあるもう1つの重要アイテムのゲットだ。」
そう、追加で説明すると、あやのも俺の説明に頷いて
「そういう事なのね。それで、この後はどうするの?」
あやののその言葉に俺はまたも頷きつつ
「まずは動力室に入るために、あやの達とダンジョンに潜る前にかがみ達と拾って来たアイテムを使うんだ。こなた、頼む。」
そう説明しつつ、俺はこなたに合図をすると、こなたは懐から俺達が最初にゲットした”真鍮の鍵”を取り出して
「あいよー。ここの鍵ってこれの事だよね?それじゃ開けるよ?それっ。」
そう言ってこなたは部屋の鍵穴に”真鍮の鍵”を差し込んで回すと、ガチャリという音と共に鍵が開いた。
俺は部屋の鍵が開いた事を確認してから、部屋へと足を踏み入れる。
皆もそれに続いて部屋に足を踏み入れてきた。
そこにはいまだ稼動しつづけるコンベアを動かす動力の機械があった。
「ねえ、慶一君。何か、いくつかのレバーと張り紙があるよ?」
こなたの言葉を聞いて、俺はその張り紙の方へと目を向ける。
「ふむ・・・。何々?”コンベアの動かし方”か。」
そういう俺の横で、みゆきもその張り紙の内容を読みつつ首を傾げていた。
「えっと・・・。ベルトを滑車につなげて、シャフトを滑車に取り付けてから、ギアを入れる、ですね?よく見ると、このレバーはそれぞれの部品に対応しているような感じですが・・・。」
そう呟くみゆきにみさおは頭を抱えつつ
「ヴァー・・・・・・何が何だかさっぱりだってヴァ・・・。」
そう唸るみさおにあやのも苦笑しつつも慰めていた。
「慶一、お前はこれをどうすればいいのか分かるのか?」
そう声をかけてくる龍兄に俺は頷いて
「ああ。とにかく皆、ここは俺に任せてくれ。それじゃ操作開始、っと・・・・・・・。」
そう言いつつ、俺はレバーを操作していく。
やがて、ガコン!という重苦しい音と共に機械が停止した。
俺の成果にみゆきは感心しながら
「すごいです!慶一さん。この仕掛けを止める方法をご存知だったのですね?」
少し興奮気味にそう言うみゆきに俺は笑いながら
「はは。これの正解もその張り紙に書いてあったからな。ようは、この紙にかかれた通りに部品を組めば機械が動く。だから、その逆をやって、俺は機械を止めた、と言う事だ。それがここの正解って奴なんだ。」
俺の言葉にこなたは苦笑を俺に向けると
「なるほどね。とりあえずこれであの悪夢はもう見なくても済むって事だよね?何だかほっとしたよ。」
その言葉にみさおとあやの以外の全員は重々しく頷いていた。
機械を止めた俺達は動力室を出て、出た先にあるドアを開けて新しい通路に足を踏み入れる。
そして、通路に足を踏み入れた俺はすぐさま右を向いて進むと、そこにもまたドアがあった。
俺はそのドアも開いて更に先に進む。
そして、道なりに進んだ場所にもう一枚ドアがあった。
俺はこなたとみゆきにまた声をかけた。
「こなた、みゆき。ここもさっき鍵を見つけた部屋と一緒だ。頼むぞ?」
そう言う俺の言葉に頷いたこなたは早速、指先技でドアのこじ開けをしはじめる。
その後ろでみゆきは魔法の準備を終えて待機していた。
少しの間挑戦していたこなただったが、今回は失敗に終わったので、みゆきに出番が回って来た。
「ちぇ、今回は失敗だったよ。みゆきさんお願いー。」
そう言うこなたにみゆきも頷くと
「わかりました。行きますね。デスト!」
と、扉に向かって魔法をかけると、カチャリと鍵の外れる音が聞こえ、今回は呪文が成功したのだった。
「よし、開いたな。皆、中に入ったら、また部屋の中を捜してくれ。ここにも重要アイテムがあるからな。」
その言葉に皆も頷いて、部屋の中へと踏み込んでいく。
部屋の中を見渡すと、ここもまた、荒れまくっていたが、そんな中での部屋の中での捜索が始まった。
「ここは、さっき以上にひでえ場所だなあ・・・。」
「確かに、このちらかりっぷりはさっきのとこの比じゃないな・・・。ん?」
「ほんとだよねえ・・・まあ、文句を言ったところで仕方ないかなー?あれ?」
「何か落ちてるわね?え?こ、これって・・・。」
「・・・慶一さん、このぼろぼろになった鎧や骨は、まさか・・・。」
龍兄達が何かを見つけたらしく、口々にその事を言っていたが、最後のみゆきの言葉に俺は頷くと
「みゆきの想像通りで間違いはないな。これは、俺達と同じ、だが、この場所で力尽きた冒険者達の物だろう。とりあえず、これらの残骸に俺達がしてやれるのは祈りをささげてやる事だな。」
そう言うと、皆もまた、そんな冒険者達の魂に祈りをささげるように目をつぶって黙祷をささげる。
しばらくの間、俺達はそうしていたが、ふいに奥のほうからカタカタと音が聞こえ始めたので、俺達はその音に反応して、その方向を見据える。
すると、その場所から何かが立ち上がり、俺達に襲い掛かってきた。
ガアアアアッ!!
という咆哮と共に襲い掛かってきたそれは、巨大なゾンビとアンデットウォリアー9匹だった。
「うお!!皆、気をつけろ!!こいつはちょっと強いぞ!?」
そう言って何とか相手の奇襲を剣で受け止めながら俺は皆にそう叫ぶ。
「でかい奴だけど、その分、動きは鈍いはずだゼ!?いっくぞー!!」シュバッ!!
と、ゾンビを斬り付けるみさお。
一瞬ひるむゾンビだが、すぐさまみさおに反撃してきた。
ブォン!!ガッ!!
ゾンビの放つ緩慢な攻撃だったが、避けきれずにダメージをもらってしまうみさお。
「あいたっ!!こ、こんのー!!」
そう叫びつつ剣を構えなおすみさお。
「みさおちゃん!無理はするなよ!?うりゃあ!!」ズバアッ!!
みさおにそう声をかけつつ、龍兄もゾンビを横薙ぎに切り払う。
その一撃でもまだ倒れないゾンビは先程のように緩慢な動作で龍兄にも反撃をしかける。
ブンッ!!
だが、その反撃は見事に空を切り、龍兄はバックステップでゾンビとの距離を取っていた。
「流石龍兄。次は俺の番だぞ!!そらっ!!」ズバンッ!!
と、俺は飛び上がり、体重を乗せて袈裟斬りに斬りつける。
その攻撃にも耐え切ったゾンビがまだ空中にいる俺に反撃を繰り出した。
ブンッ!!ドコッ!!
「ぐはっ!?しまった!!」
空中では攻撃を避けれなかった俺は、ゾンビの攻撃をもろに受けて吹き飛ばされた。
「慶一君!!このおっ!!」ビシュン!ビシュン!!ドカカッ!!
俺が派手に攻撃を受けて吹き飛ばされるのを見たこなたは、クロスボウをゾンビに連射する。
その攻撃は全てゾンビを捉えた。
その攻撃によろめくゾンビにあやのの怒りに満ちた一撃が追加される。
「慶ちゃんへの攻撃のお返しよ!?受けなさい!!バディオス!!」
と、あやのが僧侶系の攻撃呪文を叩き込んだ。
そして、それがとどめとなり、ゾンビはズズウン!という重苦しい音を立てて倒れ伏した。
さらに、みゆきも全力で魔法をアンデットウォリアーに繰り出す。
「残りは私が仕留めます!!マハリト!!」ボウンッ!!ドドドドド・・・・・・
その一撃を受けて全ての骨を崩壊させて崩れ落ちるアンデットウォリアー。
ゾンビに苦戦しつつもこの戦いにも何とか勝利を収めた俺達だった。
俺はダメージを受けたからだを何とか起こしつつ
「痛たた・・・あれで倒せると思って油断したよ。手ひどいダメージ食らっちまったな・・・。」
そんな風に言う俺に、あやのは俺の側に来て治癒の呪文をかけながら
「大丈夫?慶ちゃん。あまり無茶しちゃだめよ?」
そう言うあやのの言葉に便乗しつつ龍兄から
「状況判断がまだ甘いぞ?慶一。だから、そんないらんダメージをもらうんだ。今後とも気を引き締めないと、取り返しのつかないことにだってなりかねんぞ?」
と言う龍兄に俺は苦笑しながら
「はは、龍兄の言う通りだな。反省するよ。」
その俺の答えに龍兄も満足げに頷いていた。
そうこうしているうちに、みさおとこなたとみゆきが俺達の方へとやってきた。
「皆、おつかれさん。さっきちびっこが倒したモンスターの近くで何か見つけたらしいゼ?」
「そうなんだよね。ねえ、慶一君。こんな小袋見つけたんだけどさ、これって何なのかな?」
「それと、先程倒したモンスターさんが宝箱を持っていましたので、そちらからも戦利品を入手した所なんですよ。」
その言葉に俺はこなたの持っている小袋に目をやると
「そうそう。それだよ。それがここで見つかる重要アイテムだ。よし、これで1階は大体探すべきアイテムは探し終える事ができたな。後は地上に戻ってそのアイテムを鑑定してもらおう。皆、行くぞ?」
そう俺が言うと皆も頷きつつ、この部屋を後にして地上へと俺達は戻って行った。
そして、ボルタック商店での鑑定の結果は、”鍵”が”銀の鍵”、”小袋”は”トークン入りの袋”後は、取るに足らない武器や防具類だったが、その中から1つだけ俺の手元に武器が収まる事となった。
それが、ゾンビからの戦利品、ロングソード+1だった。
俺は新たな武器を手にすると共に、次の探索と戦いに向けて、思いを巡らせていたのだった。
おまけ、その2
みさおやあやのをパーティメンバーに加えて探索に向かう前の事、俺達は戦闘等を繰り返しつつ、歩き回っているうちに動力室のある部屋へと迷い込んだ。
動力室の扉を調べつつ、とりあえずのマッピングを行っていた俺達だったが、そこで悲劇がおきる。
丁度動力室の扉の正面。
まだ動きの止まっていないコンベアの動いている通路側のドアがあるのだが、つかさがその扉の前でうっかり転んでしまうというきっかけが起こった。
「は、はわわっ!!」
と、つかさの短い悲鳴があがり、そして、躓いたつかさはコンベアの動いている側の通路への扉に突っ込み、扉を開けてその通路へと倒れこもうとしていた。
「つ、つかささん!!」
そう叫んで、それに気付いたみゆきがとっさにつかさに手を伸ばしてつかさの手首を掴んだ。
「ふう、危なかった・・・ああっ!!」
つかさの手首を掴み、安心していたみゆきだったが、今度はそんなみゆきから悲鳴が発せられる。
その悲鳴2つに俺達がその方向へと目を向けると、そこにはつかさがコンベアの動く通路に倒れこみかけ、それを助けようとしてつかさの腕を掴んだみゆきがいたが、すでにコンベアに乗ってしまっていたつかさはみゆきをそのコンベアの通路に引っ張り込む形になろうとしていたのだった。
結果的につかさにコンベアの通路に引き込まれかけるみゆきに今度はこなたが思わず手を伸ばす
「つ、つかさ!!みゆきさん!!う、うわわっ!!」
こなたはとっさにコンベアの通路に引っ張り込まれるみゆき達を掴んだものの、そのコンベアの勢いに逆らえずに更に引っ張り込まれそうになっていた。
それを見たかがみがこなたに手を伸ばし、そして、龍兄も手を伸ばし、最後に俺も手を伸ばして龍兄の手首を掴み、コンベアの勢いに抵抗を試みたが、その試みも無駄に終わり、俺達は
「「「「「「うわああああああああああっ!!」」」」」」
と言う叫び声と共にコンベアに強制的に移動させられ、そして、目の前に扉が見えたが、それでも止まらずに扉を押し開けて、その部屋へと流される。
そして・・・・・・
”シュート”と言うメッセージと共に、俺達は足元にある穴に落ちていった。
「「「「「「ぎゃあああああああーーー!!」」」」」」
と言う叫び声がダンジョンにこだまする。
そして、俺達は2階へ落とされ、パニックになり、ぼろぼろになりながら必死に1階へと逃げ帰り、九死に一生を得たのだった。
それが原因で、今度はつかさがかがみにきっちりお説教を食らっていたのは言うまでもない。
後書きと次回予告
みさおだゼ!
連戦と苦戦をしつつも、何とか重要なアイテムを集める事ができたゼ?
次はいよいよ2階へ挑戦だな。
だが、2階への挑戦に意気込む私達の前に新たな異世界の人間が現れた。
次回、らき☆すた〜変わる日常、異世界冒険ウィザードリィ5の世界〜
旋律達の新たな挑戦、そして、更なる異世界人との邂逅
また仲間が増えそうだゼ!
どうぞ、お楽しみに。
今回は、2つの重要アイテムと盗賊の技について。
”銀の鍵”これは、前回の時にかがみに指摘された場所の扉を開く為の鍵です。その部屋には2階への階段があり、基本的には2階にはそこから降りる事になります。
”トークンの入った袋”これは、上の方法とは少々違う方法で2階へと降りる為に必要なアイテムです。
また、これを使って降りた2階のエリアにはそこから更に5階まで降りれるエレベーターと、2階で必要なアイテムもそのエリアで見つける事ができます。
盗賊技の1つ、指先技。
”銀の鍵”や”真鍮の鍵”のように、特殊な鍵が必要な扉にはこの指先技はつかえませんが、それ以外の普通に鍵のかかった扉なら、この盗賊技でこじ開ける事も可能です。
そして、魔法使いのデストも同様の効果をもちますが、盗賊の指先技に比べると、成功率は低いようです。
特殊通路について。
今回出てきたダークゾーンはこのウィザードリィでは特殊な部類に入ります。
この中では魔法の灯りすらも効果をなさないので、進む時には自分達の座標位置がわかる呪文、デュマピックを上手く使いつつ進むのが常套手段となります。
実際のゲームでは最大で9回しかマジックポイントがないために、多用するとすぐに魔法切れを起こす事になりかねないので、使えるメンバーが多いほうが結構有利にマッピングをする事が出来るでしょう。
今回は以上です。