キャロルがオタクになってしまった   作:岸寄空路

10 / 29
連続投稿ラスト
次の投稿はしばらくお待ちを。


全ての始まり(終)

「さて後始末を終えたし帰るぞ」

「いや待て」

「なんだ?」

「明らかに何か聞きたそうにしている二人はどうする? あと、天羽奏の状態は大丈夫なのか?」

 

 龍也の言う通り風鳴翼と天羽奏が龍也達を見ている。だが二人とも満身創痍であり、特に奏はラフトクランズの攻撃を受けていた為に瀕死と言っても過言ではない。

 

「仕方がない。治療して口止めしとけば時間稼ぎぐらいはできるだろ」

「時間稼ぎ?」

「こんだけ派手な事をして奴に調べられないとでも?」

「あ」

 

 装者二人に目線を向けたキャロルの言っている事が解り「しまった」と言わんばかりの声を上げる龍也。今回の事で特異災害対策機動部、特に二課に所属しているある人物に狙われるのは確定だろう。

 

「まあ、俺がなんとかしてやる」

「……お願いします。キャロル様」

「無駄に敬語を使うな。気持ち悪い」

 

 そんな会話をしながら翼と奏に近づく。見れば奏の意識は既になく翼の膝に頭を乗せて横たわっている。

 

「あの――」

「天羽奏を治療してやる。だから何も聞くな」

「そ、そういう訳には――」

「放っとくと死ぬぞ」

「!?」

 

 奏の容態を聞き動揺を隠せない翼。薄々と奏に命の危険が有る事には気づいていたが認めたくなくて目を背けていた。そして、このままじゃ間に合わないかもしれないことも。

 

「俺なら助けられる」

「……本当ですか?」

「疑うのは構わんが時間は無いぞ?」

「…………」

「どうする? 選択肢はないと思うが」

「……お願いします。奏を、助けてください」

「任せろ」

 

 翼の返事を聞きキャロルはあるメモリを取り出す。

 

「待て」

「なんだ、龍――タッツー」

「人をポ○モンみたいに呼ぶな!?」

「??」

 

 ガイアメモリを使うと思っていなかった龍也がキャロルを止めに入ると何故かあだ名みたいな呼ばれ方をされて思わずツッコミを入れてしまう。その様子を見ていた翼は龍也とキャロルの会話の意味が解らず首を傾げている。ちなみにキャロルが呼び方を変えたのは念の為に龍也の名前バレを防ぐためだ。……散々本名で読んでいたので今更だが。

 

「そんな事よりガイアメモリを使うのか? 俺はてっきりシフトカーでも作っているもんだと」

「このメモリを使えば治療も可能だ。一応な」

「不安になる言い方だな。おい」

「あと、シフトカーはまだ研究中だ」

「やっぱり創っているのか」

 

 龍也と会話しながらキャロルは更に一枚のセルメダルを取出す。

 

「これぐらいで良いだろ」

『GENE! Maximum Drive!』

 

 メダルを握りこんだキャロルはジーンメモリのマキシマムドライブを発動させて奏にメダルを持つ手で触れた。そこからキャロルは奏にセルメダルを何枚か投入する。メダルを投入する度に奏の体に何度かメダルが浮かび上がり段々と傷が消えていき同時に血色も良くなっていく。

 

「仕上げだ」

『GENE! Maximum Drive!』

 

 マキシマムドライブを発動させてもう一度奏に触れる。

 

「これで治療できたはずだが……」

「…………」

 

 キャロルの言葉に全員が奏を真剣な表情で見つめる。

 

「う、う~ん。あれ? あたしは――」

「奏!」

「うお!? つ、翼?」

「良かった……助かって……良かった……!」

「翼……心配かけたな」

 

 奏が助かり、目の端に涙を流しながら起き上った奏を抱きしめる翼。そんな翼を抱きしめ返す奏。龍也は二人の様子を見て鎧の下で笑顔を浮かべている。

 

「ふう……」

「お疲れさん。それにしても何をやったんだ?」

「簡単な話だ。遺伝子融合でセルメダルと天羽奏を融合させて一時的に『グリード』にした。正確にはなりかけていた火野映司と同じ状態に、な」

 

 さらりと驚愕の事実を告げるキャロルに龍也は硬直してしまう。

 

「その状態でセルメダル投入してダメージを回復して、最後に遺伝子組み換えで『健康な人間の肉体』に戻したから問題ない……はずだ」

「若干不安だけど……その言葉信じるぞ」

 

 しかし、龍也とキャロルは後に知る。『健康な人間の肉体』にした結果、LiNKERによる今まで体に残っていた負荷すらも消えていたことに。

 その事を知り二人して頭を抱えることになるのは、もう少し先。

 

「あの、ありがとうございました」

「あたしからも礼を言わせてくれ」

「何黙っていてくれれば良い」

「……それは」

「恩人だから正直に言うけどあたしらが黙っててもすぐにばれると思う」

「構わん。こちらから連絡入れるまで時間を稼いでいてくれればいい」

「そ、それなら何とかなるかと」

「そうか、なら頼む」

「ああ、解った。でも、できれば早めに頼むぜ」

「解っている」

 

 そう言ってキャロルと龍也は奏と翼から距離を取る。キャロル達の下にオートスコアラー達も集まったタイミングでキャロルはメモリを取り出す。

 

『ZONE! Maximum Drive!』

「また会おう」

 

 そしてキャロル達はコンサート会場から姿を消した。

 

 こうしてライブ会場の惨劇は原作の被害の1/5程度に収まり天羽奏の命も無事だった。しかし、立花響は融合症例になる条件が謎の人物によって成されてしまい、龍也の原作ブレイクは中途半端な形になり、この事を龍也はしばらく引きずることになる。

 

 そして肝心の立花響は――

 

「響……」

 

 響の病室の前に小日向未来が扉に手を掛けるのを躊躇しながら立ちすくんでいた。自分がコンサートに誘った結果、響は大怪我負ってしまった。その事に自分を罵倒し殴りつけたくなるほど後悔している。何故あの時、一緒に行けなったのか、もっと早くに知らせればコンサートに行く事を中止できたかもしれないのに。そんな後ろめたさから病室に入れずにいる。そうしていると――

 

「――――!」

「――!」

 

 中で口論様なものが聞こえてくる。片方は自分の親友の声だと言う事に気づいた未来は先程まで躊躇いを捨てて扉を開いた。

 そこには――

 

「お願いします! インスタントごはんで良いんで買ってきてください! 病院食だけじゃ足りないんです!」

「クエッ!(訳:ダメです!)」

「そう言わずに! どうか! どうか!!」

 

 二足歩行の鳥に似た何かにベッドの上で土下座しながら飯を集る親友がいた。

 その様子を見た未来は深呼吸をして――

 

「何やってるの! 響!!」

 

 思いっきり叫んだ。

 

 当然この後、看護師が来て二人とも怒られた。

 




響が元気な理由は次回。

奏の治療方法は無理矢理かもしれませんが自分の頭ではこれが限界でした。
シフトカーでも良かったのですがライダー的に最初から全アイテム使えるのは面白くないかと思ったのでこうしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。