漸く仕事が落ち着いたので短いですが更新していきます。
「さて、あと三回質問に答えてやろう」
『回数減っていないかしら?』
「それ相応にお前らの疑問には答えたつもりだが? 質問のつもりは無かったかもしれんがな」
再び、鋭い目つきになる了子。しかし、すぐに笑顔を浮かべる。
『……まあ、仕方がないわね。それじゃ次の質問――あの怪人? は何か教えてもらえないかしら?』
予想通りではあるが、ヤミーについての質問が来た。キャロルにとってこれは無視できない質問だ。何せ情報を集める為とは言え政府の要人の護衛としてヤミーを派遣しているのだ。仮にこの場を誤魔化したとしてもセルメダルの情報を完全に隠す事も出来ない。おまけにコンサートで使ったセルメダルも完全に回収できたとは言えない。
「オレが創った人工生命体……ホムンクルスと似た様な者だ。一般的にイメージされているのとは違うが」
『あれが……ホムンクルス……?』
「薄いが自我も有る。オレはヤミーと呼んでいる」
『ヤミー? 英語で“美味しい”って意味よね……』
「意味は気にするな」
メダルを集めたいグリードや錬金術師にとって美味しい存在だからそう名付けられたのだろうし。……たぶん。
「ちなみに――」
キャロルは懐からセルメダルを取り出した。
「肉体はこのセルメダルで出来ている」
『セル……細胞ってことね』
「ちなみにお前らが欲しがっている剣のエネルギー源だ」
『ええ!? そのメダルが!?』
手に持ったセルメダルを弾きながらキャロルは言葉を続ける。
「欲しいならこれもやろう。そちらで量産はできないだろうからな」
実際は人間に投入すればヤミーとなって増える。しかしフィーネに必要以上の情報は与えたくないために言わない事にした。調べれば分かる事ではあるが、隠しとけば調べるのに労力を使う。苦労して調べたセルメダルの力を知れば、もしかしたらデュランダルの代わりにカ・ディンギルに使われるかもしれない。立花響が融合症例になる可能性が高い以上、キャロルとしては可能性が低くともデュランダルが使われない様にしたいのだ。デュランダルを握った響が暴走して誰か死ぬかもしれない。既に原作とは違うのだ。この先どうなるかは未知数、原作に近いのかXD時空か。無意味かも知れなくとも少しでも都合が良くなるように小細工をする。それ故に挑発じみた言葉も口にする。“お前にはセルメダルは創れない”、暗に櫻井了子に向けて。
キャロルのその意図が伝わったのか了子が眉に皺を寄せるのが一瞬だけ見えた。
(ふむ……)
その様子にキャロルは思う。“櫻井了子の機嫌が悪い”と。先程からフィーネとしての顔が度々浮かんでいる。感情が、いや、イライラが抑えられないと言ったところだろうか。
(あの様子だと
キャロルは自分の策が成功した事を悟り心の中で笑みを浮かべた。
「さて、ヤミーについてもういいだろう。他に聞きたい事はあるか?」
自身の策の結果が知りたくなったキャロルは話を進めさせることにした。
『そうね……なら、あのロボットが何なのか知っているのかしら?』
「ふむ……」
この質問が来る事も予想していた。キャロルとしては質問されなければ逆に聞いていただろう。
(少なくとも二課は把握していない。櫻井了子は……どっちだ?)
キャロルとしても完全に把握できているわけではない以上、情報の共有がしたい。
「詳細は不明だ。謎の物質で構成されている事とオレの命を狙ってきている事ぐらいしか分からん」
それ故にキャロルは正直に知っている事だけ話した。
『命を……? 何故そんな事を? あ、待って。今のは質問じゃないから』
「別に構わん。それにオレも知らないとしか答えられないのでな」
心当たりはあるが、しかしキャロルはその言葉を口にはしなかった。
『ふむ……ならば、こちらでも情報を集め、キャロル君にも報告しよう』
「……良いのか?」
弦十郎の提案にキャロルは一瞬、呆けてから確認の言葉を口にした。
『かまわん。奏君達を助けてもらった恩を少しでも返したい』
「そういう事ならば遠慮なく利用させてもらおう」
何者が何の目的で動いているのか。映画の26本のガイアメモリとは別で唯一創っていたメモリーメモリを使って響の記憶を覗き(ついでに事件当日数時間の記憶を封印)確認しても服装の所為で顔も性別も分からなかった。少しでも手が欲しいのが正直なところ。言葉通りに利用させてもらうことにした。
「次で最後だが……何かあるか?」
『なら俺から一つだけ聞きたい』
「なんだ?」
弦十郎は画面越しにキャロルを真剣な表情で見つめる。
『君の目的はなんだ?』
その質問を聞いたキャロルは不敵に笑い――
「死んでほしくない奴らがいる。その為に動いているだけだ」
はっきりと言い切った。