キャロルがオタクになってしまった   作:岸寄空路

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二日連続投稿。
しかし、短い。
もうちょっとたくさん書けるようになりたいです。


変身

「マジでどうしろと……?」

 

 その日、龍也は響に「借りたままのゲーム返します!」と連絡を貰い響の住まう町へとやってきた。本人としては転生特典でただで手に入れたゲーム――それも人に譲渡したり故障した場合自動的に補充される――なのでそのままあげても良かったのだが、響の方が「ただで貰うなんて出来ません!」と言うために回収しに来たのだ。

 

 ちなみに異性の家に行くのをお互いに躊躇し、三年生で時期的に授業が短縮されている龍也が響の通う中学に行く事になったのだが――

 

「まさか、目の前で路地裏に連れ込まれるのを見る事になるとは……」

 

 この日、龍也は知らないことだが立花響の学校生活は悲惨の一言だった。

 

 キャロルがヤミーを大量に使役し救助に使った結果、世間では『大量に人が死んだのは怪人が助ける人を選んだ所為』などと言われている。これはむしろキャロルが龍也の父親と協力して情報操作を行った為だ。知名度の無いヤミーを矢面に立たせ、悪印象を持たせる事で生存者から目を逸らさせるためだ。キャロルがセルメダルを集めていたのは龍也曰く「シンフォギア世界のマスゴミは信用できない」との事だったので悪役代わりにヤミーを用意する為だ。結果、面白いぐらいにマスコミはヤミーに釣られ、生存者の悪評は最低限で済んだ。

 その後、キャロルが調べた結果では響の父親の会社の方は取引先の社長令嬢は無事だったらしく、むしろ取引先の社長と意気投合してプロジェクトも成功、会社内の地位は万全となった。

 問題は響の学校だった。原作通り男子生徒が死んでいた。原作通りに男子生徒のファンのヒステリックな叫びによって校内では響へのイジめをまるで「正しい事」かの様に行っていた。ここから先は予想でしかないが本来なら父親である洸の事も有って響はこの時期かなり落ち込んでいたはず。それ故にイジめる側も溜飲を下げていたと思われる。だがこの世界では洸の問題は発生せず、生存者に向けられたバッシングもかなり控え目だ。家では平穏に過ごす事が出来る。響の性格上、両親にイジメの事も隠していたが、純粋に無事を喜んでくれる家族と親友、心ない中傷によって生まれる後ろめたさも無い響はイジメに屈せず、その明るさを維持し続けていた。その事に苛立った一部の生徒が遂に超えてはいけない一線を越えてしまった。

 その現場を龍也は目撃した。

 

「……とりあえず様子を見るか」

 

 状況が解らない以上、行動はできない。もしかしたらただのドッキリかもしれない。そう考えながら龍也は路地裏を覗き込む。

 

「……? いない?」

 

 いや、よく耳を澄ますと声が聞こえる。更に奥を見ると男達に車に連れ込まれている響と未来が見えた。

 

「やべえ!?」

 

 さすがに冗談では済まない光景に龍也は懐から一本のメモリを取り出す。

 

『ACCEL!』

 

 スイッチを押してベルトに取り付けられたマキシマムスロットに装填し叩く。

 

『ACCEL! Maximum Drive!』

「うおおおおおぉぉぉぉ!!」

 

 車が動き出したのと同時に龍也はアクセルメモリの力で車を追いかけた。

 

 車を追いかけている内に辿り着いたのは廃工場だった。いかにも場所に龍也の脳内に浮かぶ嫌な予想が現実味を帯びて来てしまったと頬を引き攣らせた。

 

「おお、思っていた以上にレベル高い」

「こいつは役得だな」

 

 壁に耳を付けると「こんな場所に人は来ないだろう」と言う油断からか嬉しそうに大声で話し合う男たちの声が聞こえてくる。

 

「こいつらなんでこんな目に遭ってるのか解らないって顔してるぜ」

「ノイズに襲われた時に好きだった男が死んでクラスメイトの女が生き残ったのが気に入らないだとよ。恋人でもないのによぉ」

「女の嫉妬は怖いねぇ」

 

「…………」

 

 男達の会話を聞いた龍也は顔から表情を消す。無言でスマホを取り出して電話をする。

 

「もしもし、警察ですか? 男達が廃工場に女性二人を拘束して連れ込んでいるのを目撃しまして……。はい、はい。場所は――です」

 

 そこまで連絡すると龍也はスマホをポケットに入れて別の電話――スタッグフォンを取り出す。

 

「あ、もしもしキャロル。ちょっと厄介な事になった。今俺が居る場所わかるか? うん、それじゃあ誰か――いや、ガリィをこっち来させてくれ」

 

 連絡を終えた龍也は再び壁に耳を付ける。

 

「撮影準備完了!」

「どっちも上玉だからな。目一杯楽しむとしようぜ?」

 

 もう時間が無い。念の為にガリィを呼んで正解だったか。と、嫌な予想が当たった龍也は腰のベルトに触れる。すると中心に赤い風車が回る白いベルトが現れた。

 

「変、身」

 

 そう呟いた龍也の服装は黒いライダースーツに赤いマフラー、ブルーグリーンのグローブとブーツ。そこに何時の間にか持っていたダークブルーのマスクを被りマスクの顎をセットする。それと同時に近くの扉を思いっきり蹴った。

 

 

「なんだ!?」

 

 突然の轟音に驚いた男達が入口の方を向いた。激しく叩きつける音が響く度に扉が形を歪めていき、爆音と共に扉はUの字に曲がり吹き飛んだ。

 

「ひ!?」

 

 金属製の扉が拉げた事で男の一人が悲鳴じみた声を上げる

 扉が外れた入口からゆっくりと人影が現れる。逆光で全容が見えないが目と思われる部分が桜色に光る。

 

「な、なんだお前は!?」

「何が目的だ!?」

 

 男達の疑問の声に人影は答えた。

 

「正義。仮面ライダー1号」

 

 自らを正義であると。

 

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