キャロルがオタクになってしまった   作:岸寄空路

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こんなに早く投稿できるとは思わなかった。
でも書けたから投稿する。


事件後

 響達の誘拐事件後、男達に依頼した女子生徒は少年院行きになった。男達に対して龍也が脅しをかけていたからか素直に自供したらしくスムーズに進んだ。また事件の事も有り、二の舞になりたくないのかイジメも収まった。響達に対する態度は変わっていないが、少なくとも直接的な行動は無くなった。

 事件の影響で若干の人間不信が見られた響と未来だったがある都市伝説が流れ始めた事で落ち着きを取り戻した。

 

 その都市伝説とは『仮面ライダー』だ。

 

 事件が起きた時、仮面ライダーと名乗る男が颯爽と現れて解決すると言う都市伝説が話題を呼んだ。響の住んでいる町とリディアン音楽院周辺で目撃情報が発生している。その為、響は必要以上に怯えなくなっていった。近場に恩人がいる事に安心感を覚えたのだろう。

 

 余談だが、龍也は自分の周りで起きた事件に原作キャラがいない事に疑問を覚えていた。響じゃないが「俺、呪われている?」と思ったとか。元からだ。ちなみに誰も気づいていない事だが龍也が関わった事件現場の近くには原作におけるリディアン音楽院での響の友達とクリスのクラスメイトがいたのだが直接事件に関わった訳ではないので気づいていない。もしも神にこの事を確認した場合、こう答えるだろう。「直接関わる事になるとは言っていないよ?」と。実際、放っておけば巻き込まれる事は容易に想像つくので仕方がない。

 

 閑話休題。

 

 最初の事件では過剰防衛が見られた仮面ライダーだが、その事件で仮面ライダーが関わった事は少なくとも不良達から語られる事は無かった。何故か? それは――

 

「龍也」

「はい」

「何故俺が怒っているか解るか?」

「解りません」

 

 事件後、龍也は父に正座させられていた。父親は静かに怒りを見せている。

 

「事件の事だ」

「…………」

「お前は犯罪者同然とは言え一般人を手加減無しで殴ったな」

「力加減が解らなかっただけです」

「確かにお前にそれを教えなかったのは事実だ。それは俺が悪い。だが――」

 

 父親は一つ息を吐く。

 

「お前は相手がどうなっても良いと思って殴っただろ?」

「そんな事は……!」

「正確には浚われた女の子のトラウマにならない程度には考慮した。だが殴った相手の事は一切考えていない」

「…………」

「むしろ嬉々として暴力を振るった。悪人相手なら容赦しなくて良いと」

「それは――」

 

 無いとは言えなかった。実際、最初から投げ技に徹していれば男達が大怪我を負う事は無かったのだから。

 

「そうでなければ女の子達を助けた後に必要以上に傷つける真似はしない。時間稼ぎに徹すれば良い。傷つけたのを気にしているならキャロルに頼んで治療してもらったはずだ」

 

 正論である。確かにあの時の龍也は相手が悪人だからと苦しめと思った。死んでなければいいと残酷な考えを持っていた。

 

「龍也」

「…………」

「それじゃ駄目だ」

 

 龍也を説得するように父は語る。

 

「確かにお前が相手していた奴らは悪だ。それは否定しない」

「…………」

「だが、悪だからと言って痛めつけていい理由にはならない。それが必要になる時はあるかもしれない。だが少なくとも今回は違ったんじゃないか?」

「…………」

「暴力が必要な時は有る。相手を傷つけなければいけない時は有る。しかし――」

 

「それは守る為だけにしろ」

 

「誰かを守る時、他に手段が無いその時に振るえ」

 

「暴力を使って相手を倒すのは楽だ。問答無用でねじ伏せられるのだからな」

 

「だが、それに慣れてしまえば……誰も傍にいてくれはしない」

 

「暴力は恐れを生む。だからこそ本当に必要な時にだけ使え」

 

「使い処さえ間違えなければ理解してくれる人は必ずいるのだから」

 

「お前にもそう言う人がいるだろ?」

 

 父親の目線を見て、龍也は後ろを振り返る。

 

 エルフナインが、紫が、燈が――キャロルが見ていた。

 

 全員が程度の差は有れど怒っていた。

 

「……俺からは、これで終わりだ」

 

 最後に龍也の頭に思いっきり拳骨を振り下ろした。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

 

 龍也はあまりの激痛に声にならない悲鳴を上げた。しかし痛みは有れど肉体にダメージは一切無かった。どうなってんだ。

 

「追撃しろ」

 

 キャロルの一言に見守っていた三人が前に出た。

 

「とりあえず……ライダーを名乗っているくせに何やっているんですか!」

「へぶ!?」

「ヒーローがやる事じゃないでしょ!」

「こふぁ!?」

「もっとボク達を頼ってください!」

「げふ!?」

 

 紫、燈、エルフナインの順でビンタされる龍也。

 

「最後にオレから――火野映司が言っていただろ? 『正義のためなら、人間はどこまでも残酷になれるんだ』と。正しくその通りになったな」

『YESTERDAY! Maximum Drive!』

「反省してこい。とりあえず同じ場面で完璧に手加減できるようになるまでだ」

 

 痛みで喋れない龍也は顔を青ざめた。

 

「題して『手加減できるようになるまで起きれま10』だ。題名通り十回連続成功するまで目覚めないからその心算で」

「ま、まって……」

「では、御休み」

 

 そしてキャロルによるイエスタディメモリの力でNARUTOのイザナミの様な事をされた龍也は力加減を無理矢理体に覚えさせられた。キャロル曰く「意図せず人殺しなどしたくないだろ?」との事。そう言われてしまえば龍也も納得せざるを得なかった。おかげで手加減できるようになり殴って骨を砕く事は無くなった。むしろ上手に気絶させられるようになっていた。

 

「あ、言っておくが男達に仮面ライダーの記憶は無い。精々が謎の不審者にやられたと言う程度だ。さすがにそれ以上は誤魔化せなかった」

「私がキャロルに頼みました。仮面ライダーのイメージを必要以上に悪くしたくなかったので」

 

 紫がキャロルに頼んだ結果、そういう事になった。

 

 その後、龍也は身近なトラブルに変身して対処していたが、以前と違い痛めつけるような闘いはしなくなった。ある時は引っ手繰りを走って追い駆け投げ飛ばし、ある時は銀行強盗を殴って気絶させ、ある時は変質者の股間に跳び蹴り喰らわせたりとしていたが大怪我を負った相手は今の処いない。変質者? キャロルが治療したから表向きは無傷だ。裸コートの変態相手では仕方が無いね。

 

 そんな以前よりも何故か増えたトラブルに巻き込まれる環境が落ち着き始めた頃、未来から龍也に一本の電話が掛かってきた。

 

「進路相談?」

『はい』

 

 予想外の内容に龍也の脳内ではクエスチョンマークが幾つも浮かんでいた。未来の事だから響と同じリディアン音楽院にすると思っていたからだ。ちなみに龍也の家はリディアンと同じ町に有る。どう足掻いても一期のラストに巻き込まれると知った時に気が遠くなったとか。それも有って龍也は受験する高校を実家から電車で三駅程度の範囲を選んでいる。結局、隣町の高校に受かるが。

 

 閑話休題。

 

 響に合わせるはずの未来からの進路相談に龍也はまず話を聞く事にする。

 

『響は『翼さんに会いたい』って言ってリディアンにするつもりなんですけど……』

「将来的に心配なのか?」

『いえ、そういう訳ではなく――』

「ん?」

 

 何故か言い淀む未来。龍也も特に追求せずに待つ。

 

『えーと、その、龍也先輩の進路も参考にしようかなって思って……』

「俺の? 参考にならないと思うぞ? 実家の近くの高校にしようと考えているだけだし」

『龍也先輩の実家って何処ですか?』

「あれ言ってなかったけ? リディアンと同じ町だ」

『え』

 

 未来の小さく驚いた声が聞こえる。何故驚いているのか龍也には解らない。

 

『そっか、それなら良いか』

「?」

『ありがとうございました。参考になりました』

「そうか? まあ、小日向の役に立ったなら良かった」

『はい。あ、あと――』

「ん?」

『私の事、未来って呼んでも良いですから』

「え」

『それじゃ、失礼しました』

 

 そこで電話を切る未来。

 

「なんだったんだ?」

 

 未来の態度の変化に理解できない龍也は暫く頭を抱えるのだった。

 

 




父親の言っている事は作者の考えです。
暴力は必要な時は有るけど使い時を間違えてはいけない。
前回の龍也はあえてやりすぎる様に書きました。
少なくとも最後の蹂躙は必要無い行動だったと思っています。
まあ、悪役を倒すのはスカッとするけど何事もほどほどが大事だと思っているので。
それがヒーローの在り方かな、と。

まあ、それっぽい事を言いたかっただけです。
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