本当はもっと早くに投稿したかったんですけど遅くなりました。
最初に一言
サブタイトルと違ってポ○モン要素は無い!
残り半年。
現時点での『戦姫絶唱シンフォギア』が始まるまでの時間だ。
それまで色々なイベントが有った。紫と燈が龍也と同じ高校に入学したり、響に未来の参加する大会の応援に行くのを誘われたり、父親に修行と称して山に連れていかれたりなど様々な事が起こったが特に語るほどの事ではないので割愛する。
重要なのは残り半年、それは学生にとって最も楽しい
何故なら――夏休みだからだ。
と言っても、龍也は体質の所為で夏休みであろうが関係なく精神的に休まる事は無い。
龍也の『巻き込まれ体質』は幾つか条件が有る。
一つは基本的に原作イベントに関わっていると発生しにくい事。もう一つは関係の薄い原作キャラが関わるトラブルが起きやすい事。
解っている範囲ではその二つだ。
更に龍也の日常は大きく二パターンある。
大きなトラブルあるいは接点の無い原作キャラに遭遇するトラブルが一回起きる(発生すると暫くは平穏)か、小さなトラブルが日常的に起きるか。
前者なら今までの傾向で行くとキャロルかエルフナインが何かを災いの元を持ってくる。後者ならキャロルにスパロボが襲い掛かってくる。
え? 後者は小さくない? ピンチになるほどの戦力が来た事は無いので問題無い。恐らくデータ収集目的の威力偵察だと思われる。
閑話休題。
今回の龍也の夏休みは――
「ここデス?」
「たぶんそう」
(なんできりしらコンビに遭遇しちゃうのかなぁ!?)
前者だった模様。
きっかけは夏休みに入ってすぐの事だった。
「…………」
その日、キャロルは『地球の本棚』である物を探していた。キャロルは有る事がきっかけで『地球の本棚』にアクセスできる。何故そんな事が出来るのか? 今はまだ語らない。あえて言うなら……龍也の所為である。
「龍也さーん、何か甘い物無いですかぁ?」
「今プリン冷やしてるから我慢しろー」
「わーい」
そんなキャロルを気にせず紫がゲームしながらラノベを読んでいる龍也におやつを強請る。龍也の家に来てからすっかり餌付けされているのだ。甘い物は女子の好物だから仕方ないね。ちなみに燈も龍也の言葉を聞いてワクワクしている。そんな時に――
「あ」
キャロルが何かを見つけたのか思わずと言った感じで声を上げる。
「なんだ? 何を見つけた? XDに出てきた聖遺物か哲学兵装とか言わないよな?」
「やめてください。洒落になりません」
「安心しろ……とは言えんが、違う」
キャロルの反応に龍也は真顔で確認し、それに対して紫は嫌そうな顔で止めてくれと口にする。二人の言葉にキャロルが不安を感じる言葉で返事する。
余談だが存在は判明しているが場所まで解らない聖遺物がいくつか有ったりする。本当なら回収したい処だが何故か場所の検索になると上手くいかなくなる。本棚の性能がオリジナルと違うのか、はたまた何者かによる妨害か……現時点では解っていない。
閑話休題。
「前から欲しかった物が有ってな……欠片だが見つけた」
「何を見つけた?」
ラノベを片付けながら龍也はキャロルに質問した。
「アンサラーだ」
そんな会話が有ってから数日が経ち、龍也は米国の山中に居た。
「まさかまた海外に出る事になるとは……」
龍也は頭を掻きながら事前にキャロルから言われた場所へと移動する。
「しかもこんな服装まで……何時作った?」
今の龍也の服装は黒いロングコートと白黒のドミノマスクに赤い手袋。どう見てもペルソナ5の怪盗服だった。何時の間にこんなものを作ったのかと龍也は耳に付けた通信機を使いキャロルに話しかける。
『容姿がそっくりなら着せたくなるものだろ? お前だって作れるなら作るだろ?』
「全くもって否定できない」
龍也も奏者達にコスプレさせる事が出来るなら全力で用意するだろうからキャロルの意見を一切否定できなかった。そんな下らない会話をしていた龍也だが目的地に付いたため話を本題に戻す。
「遺跡内は俺一人が探索するのか?」
『本当ならオレが行くべきなんだが、今回はお前の訓練も兼ねている』
会話しながら龍也は懐からガイアメモリを取り出す。
『それにオレは近くに有るF.I.S.の連中が来ない様に工作している。』
「……ちょっと待て。それって近くにいるってことだよな?」
キャロルから予想外の言葉を聞き、龍也は動きを止める。
『事前に調べた限りではF.I.S.などの聖遺物関連の組織が周辺を調べる予定は無かった。だから余裕を持って行動できたんだが……もうお前の所為だとしか思えない』
「否定できないから止めろ」
龍也も薄々そうではないかとは思っているが、考えたくなくて現実逃避気味に天を仰ぐ。
『それにあまりオレが表だって行動して目立つのは避けたい。紫と燈は暫く海外に行きたくないらしいからな』
「……オートスコアラー達は?」
『F.I.S.相手に時間稼ぎだ』
「エルフナインは……」
『どう考えてもお前の方が強いだろ』
「ですよねー」
やはり龍也が行く以外の選択肢はないようだ。両親も日本にいるから頼れない。
「仕方ない。さっさと終わらせますか」
『KEY! Maximum Drive!』
龍也は腰のマキシマムスロットにキーメモリを入れて叩いた。キーメモリの能力で隠されている遺跡の出入り口を探す。ちなみに龍也の使っているガイアメモリはキャロルが普段使っている物だ。最近は護身に使えそうな物を数本借り、状況によって違うメモリを借りている。
「お、ここか」
傍目にはただの草木に覆われた地面に触れながら龍也は再び懐からメモリを取り出す。
『CYCLONE! Maximum Drive!』
「よっと」
サイクロンメモリの力で風を起こして出入り口の表面を晒す。
「念の為に」
『VIOLENCE! Maximum Drive!』
バイオレンスメモリで腕力を高めた龍也は出入り口の蓋を持ち上げる。重厚な音を出す蓋を龍也はゆっくりと引っ繰り返した。
「よし」
二メートル四方の孔の壁には手足を引っかけるのにちょうどいい長方形の穴が開いていた。
「これを使って降りろ、ということか……キャロル、今から遺跡内に入るからサポート頼む」
『わかった。気を付けて進め』
「了解」
そこから龍也は遺跡内で様々な仕掛けに翻弄された。定番の落とし穴をワイヤーで回避したり、迷路内をアクセルメモリで高速で動き回り、謎解きに時間が掛かったり、他にも命懸けのトラップが幾つも有ったが…………全て割愛する!
結果として龍也はアンサラーの欠片を三つ手に入れた事だけを告げる!
「なんか一生懸命頑張ったシーンが無くなった気がする……」
キング・クリ○ゾンにでもやられたか? と首を捻る龍也にキャロルから通信が入る。
『龍也……悪い知らせだ』
「……何が有った?」
『F.I.S.の奏者が二人そっちに向かっている』
「よし、違う道を使って帰ろう!」
『残念ながら一本道だ』
「ちくしょう!」
結局、原作キャラに遭遇する展開は避けられないのか! 龍也は心の中で叫んだ。
「ここデス?」
「たぶんそう」
「!?」
出入り口近くの広場に着くと会話らしき声が聞こえてきた。龍也は瞬時に跳躍、そのまま天井に握力で掴まった。
「ここら辺で聖遺物の反応がするけど……」
「なにもないデス?」
出入り口の方からシンフォギアを纏った月読調と暁切歌が現れた。二人の手には機械らしき物が有る。どうやらその機械で聖遺物を探しているようだ。
(や、やべえ……)
機械で探っているならこのまま奥まで行く可能性は低い。しかし、脱出しようにもゾーンメモリはキャロルが持っている。この状況をどう打破するか龍也は頭を悩ませる。
そうやって龍也は悩んでいる最中にミスをした。
(げ!?)
「デス?」
「ん?」
手に力を入れ過ぎて天井に罅が入った。その音を聞いた切歌と調は上を向いた。
「だ、誰デース!?」
「ひ、人が天井に……!?」
(やらかした!)
見つかってしまった以上は仕方がないと龍也は手を離し地面に降りた。何気に服装を意識してかスーパーヒーロー着地である。同時に切歌と調も龍也から距離を取った。
「何者デス! こんなところで何していたデスか!?」
「切ちゃん、このカッコいい服装の人から聖遺物の反応がしてる」
「まさかこの人が聖遺物デスか!? あと確かにカッコいい格好デスけど今気にする処じゃないデス!?」
「れっきとした人間だ」
切歌の言葉に思わずツッコミを入れてしまう龍也。あと、二人にカッコいいと言われて若干反応に困ったのは内緒だ。
「なら、どうしてあなたから聖遺物の反応がするの?」
「…………」
龍也の懐に聖遺物の欠片が有るからだ。だが正直に言う訳にもいかず、悩んでいると――
「考えるまでもないデス! この人がここに有った聖遺物を盗んだデス!」
(まあ、ばれるよな)
この状況で気づかれない訳もなく、切歌が自身のアームドギアである鎌を龍也に向ける。
「渡すデス! 私達には……それが必要なんデス!」
「悪いが……」
龍也としても苦労して手に入れた
「お宝は頂いていく!」
全速力で遺跡から脱出することにした。しかし――
「行かせない!」
調が小型の丸ノコ『α式・百輪廻』を飛ばしてきた。さすがに当てるつもりは無かったのか龍也から一メートルほど先の前方に着弾する。
「くっ!」
それを見た龍也は足を止める。その瞬間、首元に切歌の鎌が添えられた。
「そこまでデス!」
「これ以上抵抗しないで」
「…………」
「聖遺物を渡してくれればここで会った事は黙っとくデス」
「だからお願い、あなたが持ってる聖遺物を渡して」
切歌と調からすれば相手はただの人間、シンフォギアを纏っている自分達の相手ではない。そう考え龍也に抵抗を諦める様に告げた。
「……渡せば見逃してくれるのか?」
「もちろんデス!」
「うん」
それに対する龍也の返事は――
「だが断る」
「デス!?」
「え」
「この俺が最も好きな事のひとつは自分のことを強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ」
こんな性格だったかと思うだろう。ただ単に一回言ってみたかっただけである。
「カッコつけるなデス!」
「あなたじゃ私達に敵わない」
「それは――」
龍也は足を曲げ姿勢を低くする。
「どうかな!」
そして足を勢いよく伸ばして跳躍する。
「はっ!」
更に懐からワイヤーを取出し、天井へと伸ばしてくっつけた。そのままターザンジャンプで切歌達の頭の上を飛び越えた。
「行かせないデス!」
「私達にはそれが必要なの!」
しかし龍也に向けて切歌が鎖を射出、調も丸鋸を両足に着けて高速移動で迫ってくる。
「まだだ!」
龍也は空中で体を回転させて鎖を回避しながら懐からガイアメモリを取り出し腰のマキシマムスロットに入れた。
『ACCEL! Maximum Drive!』
地面に着地すると同時にマキシマムスロットを叩き発動。
「デス!?」
「早い!?」
「さらばだ!」
そのまま高速移動で遺跡を脱出する。
「追いかけるデス!」
「絶対に逃がさない!」
しかし切歌と調が遺跡の外に出た時には既にどこにも龍也の姿は無かった。
「そ、そんな……」
「こ、これじゃみんなが……」
時間制限が来たのか気力が尽きたのか膝を突いてシンフォギアを解除する二人。この後の大人達から受ける仕打ちを想像して悲痛な表情を浮かべるが――
「――デス!? なんデスか!?」
「切ちゃん?」
突然、切歌が声を上げる。どうやら額に何かが当たったようだ。
「これは――」
「手紙?」
当たった物を確認すると手紙らしき物が入った封筒だった。
「え~と何々」
『楽しませてくれたお礼にお宝を差し上げます。また会いましょう。byジョーカー』
「デス?」
「あ!」
「どうしたデス調!?」
「封筒の中に入ってるこれ……」
「ちょっと待つデス!」
切歌は調の持つ物に機械を向ける。すると機械は音を立てて反応した。
「聖遺物デス!」
「良かったね。切ちゃん」
「デース!」
二人は聖遺物の欠片を失くさない様に大事にしまって帰還した。
「あれで良かったのか?」
『一つぐらいなら構わん』
その光景を離れた場所で龍也は眺めていた。
「しかし、無駄に疲れた……早く日本に帰りたい」
『ご苦労だった。まあ、これでしばらくは何も起きないだろ』
「お前が無茶ぶりしなければって続かないよな、それ?」
『おっと電波が――』
「キャロルさん!?」
そこは否定して! と龍也の嘆きが山彦となった。
Q.何故こんな話を書いた?
A.XDで☆5の切ちゃんと調ちゃんが来てくれた記念に書いた。
それだけです。