「フフフ」
「キャハハ」
ガブッ、ガブッ、ゴックン。
「まさかこうも上手くいくとわな」
「ガリィちゃんもびっくりですよ」
ガブッ、ガブッ、ゴックン。ガブッ、ガブッ、ゴックン。
「…………」
「ん? どうした龍也?」
「……一言、言いたい事があるんだが」
ガブッ、ガブッ、ゴックン。ガブッ、ガブッ、ゴックン。ガブッ、ガブッ、ゴックン。
「なんですかー?」
キャロルとオートスコアラーの一体、ガリィ・トゥーマーンを見ながら龍也は無表情で告げた。
「……もう止めても良いんだぞ。ガリィ」
「…………何をですかー?」
「それ以上――
セルメダル食べなくて良いから!」
そう。先程から聞こえる音はガリィがセルメダルをその歯で噛み砕き飲み込む音だ。何故そんな事をしているのかと言うと、元々『聖杯』の力を与えられ錬金術の行使に必要な『想い出』を扱う能力に長けると言う特徴が有ったガリィは現在『想い出』の代わりに『欲望』を扱っている。それというのもキャロルが『仮面ライダーオーズ』を視聴し「欲望とはここまでの力を生むのか……」と感心した様な顔すると「これも錬金術師が創った……だと……! ならば俺にも出来るはずだ!」と真剣な表情で研究室(龍也の家の地下、何時の間にか勝手に増築していた)に籠り、数日後には作成すると言う偉業を成し遂げた。
ちなみにその時に「出来たぞ! 今日がセルメダルのHappy Birthdayだぁぁぁ!!」とテンションMAXで叫びながら目の下にクマを作って出てきたので龍也が俵担ぎでベッドまで運んだと言う出来事も有るがキャロルは覚えていない。
「べ、別に、ガリィちゃんは、うぷっ、平気でっすよー。ゲフッ」
「明らかに限界だよね!」
最早イメージカラーよりも青くなったのではないかと思うほど弱っているガリィに「もういい! 休め!」と止めに入る龍也。
ちなみにキャロルと一緒に笑っている時もその目から光が消え失せており、自動人形であることも有ってちょっとしたホラーと化していた。
「ミカァァァ!!」
「呼んだかゾ?」
あんまりな光景に思わず大声で火のオートスコアラー、ミカ・ジャウカーンを呼ぶ。それに応えるかの様に龍也の隣に現れる。
「ガリィから欲望貰ってあげて! 早く!」
「良いゾ。ちょうどお腹空いたところだゾ」
そう言ってガリィに近づくミカに漸く龍也は落ち着きを取り戻す。
「――ったく、ここまでメダル食わす事はないだろ」
「どこまで行けるか試してみたくなってな」
「少しはガリィの事も考えてあげて!」
キャロルのガリィに対する所業に思わず文句を言うがキャロルは悪びれもせず自身の好奇心を満たそうとした事に龍也のガリィを心配する声がチフォージュ・シャトーに響く。
ちなみに今のチフォージュ・シャトーの役目はかつてと違う。今のチフォージュ・シャトーは――
「クエー(訳:ただいまー)」
「帰ったか」
「あれは……コンドルヤミーか」
ヤミーの集めたメダルの収集所になっている。
今のキャロルは錬金術の行使に『想い出』を償却していない。代わりに簡単に数が増え、エネルギーも大きい『欲望』から生まれたセルメダルを代償として消費している。
なんせ、たった一枚を人に投入するだけ人一人分に簡単に増え、『想い出』と違い尽きる事が無いのだから『想い出』よりも遥かに効率が良い。その為キャロルはセルメダルを創り出した。……決して趣味が高じた結果では無い。例えそうだとしても理由としては八割ぐらいだ、とキャロルは言うだろう。
「クエッ(訳:今週の納品分です)」
「ご苦労」
「さすがシンフォギア世界の政治家だな……。よくもまあ毎度の如く大量のセルメダルを」
ヤミーの役割はセルメダルを増やす事。そしてキャロルの作ったヤミーは取り憑いた相手の『欲望』をセルメダルに変換する。それを上手く活かす為にキャロルは秘密裏に各国の重鎮に護衛代わりにヤミーを取り付けている。これにより政府は使い捨て可能で強力な護衛をキャロルは大量のセルメダルを手に入れられると言うWin-Winの関係が成立している。
「これでも欲望は減退しているはずなのだが……?」
「それはそれで人の醜さがわかってしまって気分が滅入る」
「クエ~(訳:考えない方が良いですよ)」
護衛として使われているヤミーは全て『欲望』をセルメダルに変換する機能しかなくグリードが生み出すヤミーの様な個性は無い。その為か取り憑かれた相手は以前よりも『欲望』が抑えられる。
それを利用して汚い政治家をマイルドにしてやろうと龍也が考えたのがヤミーの護衛化な訳だが、予想以上に強欲な人間が多く龍也もげんなりしている。
「……もうちょっと搾り取っても問題なさそうだな」
「……賛成」
「クエ(訳:了解しました)」
メダルはいっぱいだが、(醜い)
*ここから先は時系列的に不可能なネタ
セルメダルを手に入れる為に響の欲望を煽るキャロル
「立花響! 今なら焼肉食べ放題の無料チケットを付けてやるぞ!」
「……そ、そんな物に惑わされたりしない!」
「今の間と動揺はなんだ」
クリスにツッコミを入れられるが響は聞かなかったことにしてキャロルを見つめる。
「誰かを巻き込むような真似をするなら私が止める!」
「更に有名ホテルのバイキング無料チケットとスイーツバイキングのチケットも付けるぞ!」
「どうしてもと言うなら考えなくもないよ!」
「おいコラ」
「じょ、冗談だよ~」
クリスに睨まれて響は冷や汗を垂らしながら否定するが目が泳ぎまくっていた。
「フッ……どうやら意志は固いようだな」
「当然だよ!」
「揺れまくっていただろ」
「――ならこれはどうだ」
そう言ってキャロルは懐から手を突っ込みある物を取り出す。
「もってけダブルだ!」
「それはアタシのセリフだぁああああああああ!!」
「ば、倍になったからって……!」
「とっておきだ! 寿司を奢ろう! 回らないのだ!」
「よろしくお願いします!」
「釣られるなぁああああああああああああああああああああああああ!!」
クリスちゃんが仲間になった時点で政府所属なのでこの交渉は(金銭面的に)成立しないため没。
オーズのメダルは古代の錬金術師が創ったと聞いてキャロルさんのオタク化が始まった訳です。
あともう一つはそのうち。