「龍也ぁ……! 覚悟はいいな?」
「待て。落ち着くんだキャロル」
現在、龍也とキャロルの二人は亜空間にて向かい合っている。キャロルは全身から怒気を発し、それに対して龍也は距離を取り様子を見ている。よく見ると龍也は冷や汗を流しながら口元が引きつっており、キャロルもガイアメモリを取出し戦闘態勢に入っている。
一触即発と言えるほどの緊張感が漂っていた。
「貴様ぁ、なんで、なんで――
俺の分のクッキーを作らなかった!!」
それもすぐに霧散したが。
「だから材料が足りなかったんだから仕方がないだろ!?」
「それでも、それでも俺の分を取っといても良かっただろうが!」
なぜこんな事になったかと言うと、昨日の事だが龍也がエルフナインの為にクッキーを焼いた。この男、実はお菓子作りが趣味で甘い物を作るのも食べるのも好きと言う筋金入りの甘党だ。前世の時もコーヒーは砂糖無しで飲む物ではない、と話していたほどだ。
その為か龍也のお菓子作りの腕はプロには及ばないが一般家庭の中でも上位と言える。このお菓子の味をキャロルは気に入り時々作る様に強請ってくるのだ。
閑話休題。
エルフナインにクッキーを作り振る舞った事をトレーニングの為に亜空間に入る直前にガリィから聞き「なんだと!?」と叫び本気モードになってしまったのだ。
「また作ってやるから! 冷静になれ!」
「関係ない……! 食べ物の恨みを知れ……!」
……ここまで怒っている理由に実は乙女的嫉妬心が有ったりするのだが龍也が気づくのはしばらく先だろう。
『LUNA! Maximum Drive!』
「げ」
「行け! マスカレイド・ドーパント!」
キャロルが使ったのはルナメモリ。幻想的な不思議な特殊能力が秘められているとされる。ぶっちゃけなんでもありな能力だ。
バトライド・ウォー創生では仮面ライダーエターナルが分身をしたので分身として他の怪人を創り出す使い方もできるだろう
ガイアメモリならマスカレイド・ドーパントを、セルメダルならヤミーを、といった風に。
『LUNA! Maximum Drive!』
「追加だ! ヤミーもくれてやる!」
「数多くない!?」
更にキャロルはセルメダルを取り出しマキシマムドライブで多種多様なヤミーの軍団を創り出し龍也を取り囲む。
「大丈夫だ。これは訓練だ。例え難易度が上がっても殺しはしない――痛いだけだ」
「それ、言葉の前に“死ぬほど”とか付きません!?」
最早どうしようもないと悟った龍也は「こうなりゃやけだ!」とジードライザーとカプセルを取り出す。
「ゲシュペンスト! エクスバイン!」
『Cross Combine!』
「合体!」
『Gespenst type Haken!』
『Exbein!』
『Star Lord Dragon Black Ghost!!!!』
「おりゃぁ!」
鎧を纏った龍也は全力でマスカレイド・ドーパントを殴りつける。殴り飛ばされたマスカレイド・ドーパントは他のマスカレイド・ドーパントやヤミー達を巻き込みながら消滅した。
「ほれほれ、どんどん倒していかないと、これがノイズだったらどうする?」
「ちくしょうっ!」
ナイト・ファウルを乱射しながら龍也はドーパント&ヤミーに立ち向かっていくのであった。
その光景を見ながらキャロルは物思いに耽っていた。
(そろそろ原作一期一話……ツヴァイウイングのライブが迫っている)
龍也に見せてもらったアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』がこの世界と酷似している事は事前に聞いていた。だからこそセレナとネフィリムの戦いにも介入したのだから。
……まあ、ゼ○トンのそっくりさんを見たかったのも事実だが。
(はっきり言ってアニメと同じなら立花響の命が危険だ。今後の事を考えると少なくとも生存していてもらわなければ怖すぎる)
すでに龍也と自分自身もイレギュラーと化した以上、どうなるのかわからない。
だから考えうる限りの万全を尽くす。そう決めたからこそキャロルは戦力と権力を蓄え龍也を鍛えているのだ。
…………決して趣味とか私怨が混じっている訳ではない。少なくとも100%ではない。
(いざとなればこのメモリを使うか……)
そう考えながらキャロルは龍也の様子を見ながら懐にあるEの頭文字が書かれたメモリに触れるのだった。
短くてすみません。
次回はその分長くなると思います。
11/16追記
感想によるご指摘ありがとうございました。
次から気を付けます。
あと、キャロルが創るガイアメモリはT2ガイアメモリをメインにしておりまう。