キャロルがオタクになってしまった   作:岸寄空路

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まず最初に前回はすみませんでした。
今度からしっかり調べてから書く様にします。
ご指摘してくれた皆様ありがとうございました。


全ての始まり(前)

「龍也。このチケットあげるわ」

「こ、これは――」

 

 母親から渡されたチケットを見て龍也は驚愕を隠せないでいる。なぜなら――

 

「ツヴァイウイングのライブ……。なんで?」

「前からテレビでチェックしてたから購入しといたのよ。……ファンなんでしょ?」

 

 ファンの部分を小声で言う母の表情は悪戯に成功した子供の様だった、と龍也は語る。

 

「キャロルちゃんの手前、言い出せなかったんでしょ? 内緒にしといてあげるから楽しんできなさい」

「あ、ああ」

 

 実際はファンではない――と言う訳ではないがツヴァイウイングを調べていたのは別の理由だ。

 理由はただ一つ、原作一期一話、全ての始まりとも言えるその舞台に介入するために。

 

(キャロルには悪いが一人で行こう)

 

 チケットは一人分だし。そう自分に言い聞かせる。本当の理由を隠して。

 会場を見る限り今回のライブが原作の舞台である可能性は高い。だからこそ行かなければならない。なにせ――不確定要素は自分やキャロルだけでないのだから――。

 

 

 

 

 

 

 

 ――の、ノイズだぁー!!

 

 誰かのその言葉を聞き悲鳴と怒号が響き渡る。

 ある者は我先にと逃げ出し、ある者は恐怖で動けなくなる。

 一人の歌女がこれから起きる地獄を幻視し咄嗟に懐のネックレスを握る。だが目の前で槍と化したノイズによって最初の犠牲者出ようとしていた――だが

 

「ゲシュペンスト! エクスバイン!」

『Cross Combine!』

「合体!」

『Gespenst type Haken!』

『Exbein!』

『Star Lord Dragon Black Ghost!!!!』

「究極! ゲシュペンストキィィィック!!」

 

 その雄叫びと共に黒い塊が襲い掛かろうとしたノイズを全て炭素に変えた。

 ステージ上に着地したそれを見て歌女――天羽奏はようやく黒い塊が人型であることに気づいた。

 

 ノイズを炭素に変えたのは黒い鎧を纏った人間だった。

 

 先ほどの声から男、それも声変わりしてから間もないぐらいの少年と思われる。そんな少年がノイズ相手にまるでヒーローの様に腕を組みノイズを見ている姿に奏は、一緒にいる風鳴翼は、観客たちは不思議と安心感を覚えた

 

「ニュートロンブラスター!」

 

 その掛け声と共に少年は合わせた胸部の開口からビームを放った。ビームはノイズ達を消し飛ばし天へと昇っていく。その光景に思わずその場にいた人々は見惚れるが――

 

「何してやがる観客共! とっとと避難しやがれ!」

 

 少年の言葉に観客達は動き出す。そこに先程の様な恐怖一色の表情ではなく、安堵が見え隠れしていた。

 

「翼! 私達も行くぞ!」

「うん!」

 

 ――Croitzal ronzell gungnir zizzl

 ――Imyuteus amenohabakiri tron

 

 奏、翼の二人は聖詠を詠いFG式回天特機装束――シンフォギアを身に纏いノイズと対峙する。

 

 奏の槍がノイズを貫き、翼の剣が切り裂く。観客は避難に夢中で見る者は少ないが歌いながら戦う彼女達の姿は危機的状況でなければ見惚れてしまうほどだ。

 鎧を纏っている少年――龍也も負けずにナイト・ファウルに付いた剣、フェイクリッパーでノイズ達を切り裂いていく。

 

(予想以上にノイズの数が多いけどこれなら!)

 

 龍也も装者二人もこのままならいける。そう思い始めていた。

 

 だが――

 

『Giganscudo』

『Siegerlion』

『Alt Eisen』

『Weißritter』

 

「!?」

「なんだ!?」

 

 謎の機械音声が聞こえ、振り向いた先にいたのは2、3メートルサイズのデフォルメされた4体のスーパーロボット達だった。

 その光景を横目で見ていた龍也は鎧で表情は見えないが内心焦っていた。

 

(ジガンスクードとズィーガーリオンにアルトアイゼン、ヴァイスリッター!? また(・・)スーパーロボットかよ!)

 

 龍也の言う通り以前にもスーパーロボットは現れた。その話はまたの機会に話すとして、翼も奏も謎のロボット達を前にして動揺を隠せないでいる。

 その隙を突くかの様にアルトアイゼンが右腕の杭――リボルビング・ステークを龍也に向けて構えて突進してくる。

 

「危ない!」

 

 翼が龍也に向けて警告するが既に遅く龍也の眼前にまで杭が迫っていた。

 

 そして、何かが砕ける音が周囲に轟く。

 

 

 気づけば龍也の眼前は金色で塗り潰されていた。よく見るとそれは巨大な金色の硬貨だった。

 

『JOKER!』

『『『『シャバドゥビタッチヘンシ~ン!』』』』

 

「「「「「変身」」」」」

 

『CYCLONE! JOKER!』

『フレイム、プリーズ! ヒーヒー、ヒーヒーヒー!』

『ウォーター、プリーズ! スイー、スイー、スイー、スイー』

『ハリケーン、プリーズ! フーフー、フーフーフーフー!』

『ランド、プリーズ! ドッドッドッドドドンドン! ドッドッドン』

 

 謎の声が聞こえたかと思った直後、カーボンロッドが、水が、風が、金色の硬貨がスーパーロボットに当たり、ロボット達は弾き飛ばされていった。

 

「……げっ」

「何で嫌そうな声を上げる龍也」

「失礼ですよ。龍也さん」

 

 声を掛けられて龍也が振り向くとそこにはマフラーを身に着け右側が緑、左側が黒になった髪にアルファベットのWの形をした髪飾りを付けた――所謂ライダー少女――姿のキャロルが立っていた。ちなみに大人バージョンだ。

 しかも表情が別人の様に変わる。肉体的なことを考えるなら相方はエルフナインなのだろう。

 

「いや、何故に来たし、と言うか何時作ったダブルドライバー。そしてなんでライダー少女?」

「一つずつ答えてやる。一つ目は俺も調べていたからに決まっている。二つ目はこんな事も有ろうかと、と言うやつだ。三つ目はこっちの方がお前好みかと思ってな?」

 

 そう言って胸を持ち上げるキャロルから思わず目を背ける龍也。

 

「そ、そんな事より! 俺が一人で来てる事まで知ってたのかよ!?」

「龍也さんの事が心配だったんですよ。ね、キャロル」

「うるさい」

「ガリィちゃん的にはー有象無象がどうなろうと知ったこっちゃないんですけどー」

「真っ先に来た奴が何か言ってるゾ」

「うっさい!!」

「一人で地味に戦うのは感心しない」

「ここから私達も一緒に戦います」

 

 更にキャロルの後ろにはそれぞれの属性の色に合わせた装飾がされたローブを纏ったオートスコアラー達が勢揃いしていた。

 

「なんで全員来ているんだよ」

「全員お前が心配だったからだ」

「えー」

「(それってマスターが龍也を心配しているって事なんですけどー)」

「(たぶん、自覚してるけど目を背けてるゾ)」

「(マスターはもう少し派手に好意を表に出すべき)」

「(それが出来たら苦労しないでしょうが)」

「なんか言ったか?」

「「「「いえ、何も」」」」

 

 オートスコアラー達の会話は幸か不幸かノイズ退治しながらキャロルと会話していた龍也には聞こえていなかったが、キャロルには聞こえていた様で睨まれてそれぞれロボットとの戦いに移る。

 

「アタシはデカブツをやるゾ」

「じゃあガリィちゃんはあの青いので」

「派手に戦えそうな角付きをやろう」

「では私は白いのを」

 

 オートスコアラー達はそれぞれの相手を決めて戦闘を開始する。

 その様子を見ていた翼は龍也とキャロルに近づく。

 

「援軍に感謝します。ですけどこのままじゃジリ貧に――」

「なに、こちらには切り札が有る」

「なんか嫌な予感がするけど、なんだ!」

 

 龍也の不安げな声を無視しキャロルは『ZONE』のガイアメモリを使用する。

 

『ZONE! Maximum Drive!』

 

 ZONEの効果でキャロルの手にどこかの宇宙人の顔に似た形のアイテムが転送される。それを空に翳すと光り始める。

 

『バトルナイザー、モンスロード!』

「行け! ゴモ……ゴライアス!」

 

 キャロルが叫ぶとアイテムの中から四角い光が現れ、その光は全身が紫色で両腕が槍の様な形をした恐竜に似た完全聖遺物・ゴライアスとなった。

 

「いろいろ待てぇぇぇ!!」

 

 その光景を見ていた龍也は大声で制止を掛ける。鎧で表情が見えないがなんとなく血管が浮き出ているのを幻視したと後に翼は語る。

 

「ツッコミたい事は幾つも有るけど! 一つだけ言わせてもらう! 何時の間にそいつを手に入れたぁぁぁ!!!」

「ダインスレイフを探し各地の遺跡を巡っている時に見つけたのを思い出してな。前にアメリカに行った時に回収しといた」

「あん時かぁぁぁ!!」

「あの――」

「なに!?」

「の、ノイズが……」

 

 翼に言われて龍也がノイズの方を見ると今まさに観客に襲い掛かろうとしているところだった。

 

「やべ――」

「任せろ! ゴライアス! 超振……ライトニングディザスターだ!」

「もう突っ込まないからな!」

 

 キャロルの指示にゴライアスは両腕にエネルギーを溜め、巨大なビームに変えてノイズを薙ぎ払った。

 

「」

「レイア! 戦闘中悪いがセルメダルを!」

「了解」

 

 あまりの光景に翼は絶句しているが、そんな翼の様子を無視してキャロルはレイアに指示を出す。

 キャロルの指示を聞いたレイアは両手にセルメダルを持ち構える。そしてセルメダルを観客に向かって弾き出した。

 

「な、なにを――」

「黙って見とけ」

 

 弾かれたメダルは突如、観客達に現れたメダル投入口に入っていく。観客達からヤミーが現れ観客を連れ去っていく。

 

「な……!」

「後は奴らが安全な処まで連れて行く」

「その発想は無かった」

 

 予想外のヤミーの活用法に思わず龍也も感心した声を上げる。

 

「ま、待ってください! 先ほどのロボット達は――」

「あれぐらいなら俺の最高傑作達が何とかする」

 

 そう言ってキャロルはゴライアスの制御に集中する。

 

(エルフナイン、索敵を頼む)

(はい、わかりました)

 

 エルフナインもある確認の為にキャロルに協力する。

 

(…………)

 

 この戦いを観察する者の正体を知るために。




予想以上に長くなったので分割しました。
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