第一話 私の恋人
夜、町中を木霊する声と爆発音。
一匹の小動物は、得たいの知れない化け物に襲われ、小動物は魔法と呼ばれる技術で地球上に住む魔力を持つ者達に呼び掛けていた。
そうーーー助けて、と。
『嫌だ』
『『『ブフッ!』』』
『え?』
だがその救援は一刀両断され、あまつさえその一部始終を聞いてた魔力を持つ人達に笑われ、小動物の心に冷たい風が吹き
『昨日、私の夢に変なジャックしただけでも許せないのに、今度は助けてときた。 というか私は夕方にあなたを助けたからもう良いよね? 私は早く夢の中でシングちゃんに会って明日の朝またシングちゃんを見て会話して妄想して匂いを嗅いで抱き締めたいの! あなたを助けてる暇はないから』
『すずか、悪いけど全部聞こえてるから』
『シングちゃん! 以心伝心ってヤツだね!』
『いや、違うと思うぞ?』
『座覇くん、ちょっと黙ってくれない? 私とシングちゃんの愛の会話に割って入らないで』
『総督の母君の逆鱗に触れるような事をよく言えるな、貴様』
『ハッ! あの人は過保護すぎるんです! いい加減私にシングちゃんとの関係を認めればいいんですよ!』
『毒虫が……きゃんきゃんにゃーにゃーと犬猫のように喚きますねぇ。 シングちゃんは母と共にいる事こそが史上の幸せ。 何せ家族ですから』
『チッお邪魔虫は誰ですか!! シングちゃんは私と結ばれるべきなんです!!』
『あ、あの……』
『『黙れ! 穢らわしい害獣が!!』』
『し、しどい……』
『あー、元気だしなよ。 もうすぐそっちに助っ人が来るからさ』
すずかと母さんに害獣認定された可哀想なフェレット形態のユーノに、苦笑しながらもユーノに近付いてくる友達の事を教えてやる。
彼女に魔法の事を教えておらず、ただ単に私達の声を聞くだけだから、翌日の追求は免れないだろうと明日の事を考えて憂鬱になる。
なので側ですやすや寝てるフェゴ姉を抱きしめて眠る。
『だから頑張れ、なのはちゃん。 そのフェレットさんの言うことを聞いてれば解決するからさ』
『夜中のお散歩を控えるシングちゃん。 流石は私の娘です。 明日の朝は良い子良い子してあげますからね』
『なっ! 卑怯ですよ!』
『すぅ……ふふん。 ワタシは今良い子良い子しちゃうもんね』
『『フェゴール (さん)!!』』
おやすみー。
☆
翌日、私達はなのはちゃんの質問攻めにあった。
念話でにゃーにゃーにゃーにゃーと、まるで猫みたいに喚く。
『かわいいよね、猫って』
『猫がかわいいのは認めるけど、なのはちゃんはかわいくない』
『聞こえてる! 聞こえてるよ!?』
そりゃ当然念話のチャンネルが、私達のコミュニティーグループでの念話だから聞こえるはずだ。
ちなみに依代召喚してないすずかが念話使えるのは、ひとえに愛の力らしいです。 愛ってすげー通り越して恐いっていつも言ってる事だったなぁ。
『そもそも私はなのはちゃんが言う魔法☆少女(キラッじゃないよ?』
『いえ、魔法少女ではなく魔導師なんですがってちょっと待ってください!! 魔導師じゃないのになんで念話が使えるんですか!?』
すずかの発言にユーノくんが物申す。
確かにユーノくんの常識では魔導師でもない、レアスキルでもないのに念話を使えるって驚愕事実なんだど、悲しいかなこれは現実なのだ。
『そう、忘れもしない……あれは雨が降り続いてシングちゃんに会えない憂鬱な日。 電話越しでお話していく中、私は思ったの……』
『あの……それ長くなりますか?』
『あんまり話の腰を折るのはよくないよ?』
『おとなしく聞いてます』
『シングちゃんの生声を聞きたい』
なまごえってあんた。
『なんとか出来ないかとうんうん唸ってると、突然シングちゃんの裸体が写った鏡』
『ちょっと!? 初耳なんだけど!?』
え? 鏡? なに?どういうこと? って、もしかしてお風呂入って電話してた時の話? 言われてみたら念話もこの頃だった気がする。
『あ、これ秘密だった。 とりあえず姿が見えたのなら声も届くはずと、私は叫んだ。 それはもう愛を込めて!』
………………。
『すると今度は鏡越しじゃなく肉眼で見てるように感じて、すぐに携帯のカメラ機能で連写したけど、携帯が私の部屋を撮してたことに気がついて、私はどうやったら見たものを撮せるか考えた』
なんか方向性が間違ってきてる。
『そしたらシングちゃんったら、いきなり椅子に座って足を広げたの!! これは確実に残しておきたいと思って携帯に意識を集中させたら、なんと私の携帯の写真フォルダにシングちゃんのあられもない姿が写ってることに成功したんだよ!!』
……………………だめだ、わたしのりかいをこえてる。
『あと念話はなんか出来た』
『テキトーですね!?』
『にゃははは。 ユーノくんあんまりすずかちゃんに構ってると胃に穴が開いちゃうよ?』
『アリサちゃんは尊い犠牲となったのだ』
『総督、もうじき教師に当てられます』
『え、どこ!?』
『36ページです』
『ありがとう』
さて、念話は置いといて勉強に集中だ。
って、あれ? なんのために念話してたっけ?
☆
昼休み。
いつものメンバーでお母さんの作ってくれた弁当を突っついてる。
お母さんの料理は家庭の温かさがある料理で、冷凍食品という手抜きはしない。
いや、冷凍食品を使う他のお母さん達が手抜きしてるとかそんなこと思ってない。
冷凍食品を使ってるお母さん達だって、ちゃんと家族のために炊事洗濯掃除をこなしてる。
「座覇くんのから揚げいい?」
「どうぞ」
「ありがとう。 から揚げの代わりになにか欲しいのとかある?」
「では、その小さいオムレツをいただきます」
「はいはーい」
「あ、なのは! タコさんウインナー頂戴! 代わりにアスパラのベーコン巻きのアスパラをあげるから」
「にゃ!? アリサちゃん、それズルいよ!! なのは海老フライがいい!!」
「なっ! こ、この海老フライはダメよ!! いくらタコさんウインナーでも釣り合わないわ」
「でもでも、アスパラだけよりは釣り合うよ!!」
「ただのアスパラじゃないわよ! 焼いてあるわ!!」
「…………………………え? それだけ!? せめてベーコン巻いてるヤツにしてよー!!」
「しょうがないじゃない! ベーコン食べちゃったんだから!!」
「なんでアスパラのベーコン巻きのベーコンだけ食べちゃうの!?」
やいのやいのとなのはとアリサが弁当のおかず交換で、喧嘩するのはいつものこと。
そしてすずかはと言うと……
「シングちゃん、このミニトマトを口に入れて転がして」
「転がしたミニトマトをまた弁当に容れず、食べて良いよと言ってくれるなら転がす」
「ならいいや」
と、しょぼんと落ち込むが、騙されてはいけない。 この変態なすずかの進化は留まることを知らない。 念話が良い例だ。
「あ、すずか」
「ん? ふぁに? !?!?!?」
でも、だからと言ってあんまり冷たくする気はまったくない。
すずかは暴走さえなければ、良い子なのだ。
だから、故に、私はすずかが半分
「もぐもぐ、ん」
「あんたら、いちゃつくなら他所でやりなさいよ。 見てる此方が恥ずかしい」
「あまり母君を刺激するのはよろしくないかと」
「にゃわわっ!」
「きゅ~」
「まぁ、恋人同士だから良いんじゃない? あと母さんにはしたくないけど、秘密にすればいいし、座覇くんもエルも言わないでしょ?」
「「もちろん」」
私が小さく座覇くんとエルに念を押すように言うと、黙ってくれることを了承してくれた。
「彼女の愛は本物だからね」
「ですな」
そしてさらりと言ったけど、私とすずか……付き合ってます。
キスを迫られてすずかがユリというモノを知った日に。
それからというものすずかのキスの要求が、日に日に増えていって今ではソフトどころかディープまでしたり、一緒にお風呂に入ったり、身体の洗いっこしてすずかがやんちゃしたり、お泊まり会で寝てる私の浴衣をはだけさせたり、発情して血を吸ったりと、うん、、、血よりも別の吸ってるんだよねぇ。 悪い気はしないからいいんだけど……。
☆
放課後。
この世界を原作通りに手を出さず、見守っていこうとかいう転生者達に呼び出された。
正直、行きたくない感満載だが、行かなければ行かないで後が五月蠅い。
ちなみにデュフフ転生者くんは、何処の派閥にも入ってない。 あと以前ギルに殺された誰々さん達も俺の嫁組とか、原作介入組とか、原作遵守組にも入ってなかった。
というか……
「原作遵守って海鳴市に居ることとは矛盾してるよね? だって、居たら確実に介入されるんだもん。 他でもない闇の書のヴォルケンリッターによって」
「そ、それは……」
当然、その事に考えは至ってたのだろう。
だが相手は転移魔法が使えて、こちらは転移魔法が使えるほど魔法技能は低いし、闇の書に狙われたら確実に逃げられない。
そもそもこの町に居る転生者を軽く調べたら、10人で完成に至る。
私入れたら2人で十分だけど、私には護衛がいる。
護衛がいない彼女達では、ヴォルケンリッターを退けるのは難しい。
だからこそ、彼女達は転生する場所を間違えてる。
「私は赤ん坊の頃、八神はやてよりも魔力が多いせいで、闇の書に目をつけられマスターにされそうになった。 まぁ、特典の英霊召喚で事なきをえたんだけど……もし、私の抵抗が遅れていたら世界は確実に滅んでたし、君達の中で戦乱のベルカで猛威を振るってたヴォルケンリッターに対抗できる? 出来なきゃ君達の信条である原作遵守の誓いは破られる」
「確かに私達が此処に留まれば何人かの犠牲で闇の書は完成するわ。 だけど、それは何も対策しなかったらの話よ! 私達の中には魔力反応を誤魔化す道具を所持してる!! あなた達が彼女達に近付かず、縁を切るのであれば……」「シングちゃん?」「!?」
遵守組の言葉を遮るように口を挟んだのは、私を探しに来たであろう月村すずかだった。
「月村、すずか……」「どうして此処に……」「認識阻害は?」「依然として健在です」「なん、で?」
「どうしたの、すずか?」
「シングちゃんの匂いが消えたから、探しに来たの」
匂いって……すずかは犬かなにか? いや、夜の一族である吸血鬼の末裔による嗅覚の恩恵なんだろうけど。
「ところでシングちゃん。 そこの劣等種が私とシングちゃんの縁を切れとか、距離を置けだとか、冗談としても許容できない事を抜かしてなかった? まさか、いやいや、そんな、、、ねぇ、シングちゃん? そんなクソみたいな冗句をうけるなんて、ない、、、よね?」
すずかの目がアカくなる。
この流れは私としては久々だ。
話としてはつい最近、前話であってると思う。
ズシンと、一歩足を踏み出したすずかの足元は、コンクリートなのに蜘蛛の巣状に
なんて言ってる場合でもない。
くどいようだがすずかは私と関係を持ってるとはいえ、依代召喚で擬似的な英霊になっておらず、夜の一族とはいえ一般人だ。
まれに原作組最強が転生者に圧倒してる創作モノはあるが、あれは転生者が手を抜いてるまたはギャグ時空あるいは、このキャラに勝てる気がしないなどの思い込みによるものだ。
それも魔法少女リリカルなのはの世界では高町一族というのが挙げられるが、月村一族には残念ながらそんな補正はない。
つまり月村すずかと転生者の間には反則的な強さで勝てる方式が……………………………………あった。
「ごみ処理は終えたから、一緒に帰ろ?」
にっこりと頬に彼女達の血を付けて笑うすずかに、私は顔を青褪めながら「はい」と答えた。
彼女らとすずかの強者の差がどれだけ埋められたか知らないが、断言しておこう…………………………これ、ギャグ時空じゃないわ、ガチだ。
月村すずか……どうやら私の恋人はヤバかったらしい。
召喚しか出来ない主人公が念話を使える理由は、鯖達とのコミュニケーションとしてデフォルトでついてきたオプション魔法の応用。