魔法少女リリカルなのは~愛、恐いなぁ~   作:極麗霊夢

17 / 24
第3章 闇の書事件
第一話 紅白と暴走巫女


 ざっざっざっと森の中を走る。

 鬱陶しい草木が私の行く手を阻むが、そんなのを無視して走る。

 後ろから迫ってくる前世の知人を姿丸々似せただけの別人から、私は逃げてた。

 何せどんだけ弾幕で追い払おうと、あいつはノーダメで迫ってくるのだ。

 正直やってられない状況だ。

 

 と、もうすぐ森から抜けるかなっ!

 

 タッと地面を蹴って勢いよく森を抜けると、そこは崖だったってここ本当に日本?

 

 不思議に思いながら能力を発動させようとしたら、私が出てきたとこからもう一人現れた。

 そいつは私を追い掛けてたあいつじゃなく、真っ白な髪、赤いリボンと紅い瞳の……。

 白い女の子は私の身体をお姫様だっこするように抱え、もしかしてあいつの仲間かと抵抗しようとするが時すでに遅く、髪を結ってるリボンが私を拘束した。

 

「れーいーむーさーん!!!」

 

 バサッ! とまた私が出てきた所から一人の少女が現れる。

 あいつ……緑の長髪に蛙と蛇の髪飾り、着ている服は脇を露出させた緑の巫女服。

 東風谷早苗の姿をしたナニカ。

 

「む? 私の霊夢さんが何処の誰か知らないモブに囚われてる」

 

 まずあんたのものになった覚えはないわ。

 だからあんたも私をあいつに差し出そうとするな! 私はあの気持ち悪いのから逃げてたんだからね!!

 

「エル、補佐よろしく」

 

「了解」

 

 何処からか聞こえた声。

 私を拘束してるリボンがさらに伸びた気がして、白い少女の四肢にまとわりつく。

 一瞬大丈夫なのかと白い少女を見るが、白い少女は自信に溢れた顔をしていた。

 

 着地。

 本当に着地したのかわからないほど、衝撃の無さに驚くが白い少女はあいつから私を引き離そうととんでもない速度で走り出した。

 それは妖夢が私の引退祝いで見せてくれた縮地と呼ばれる歩法。

 妖夢は達人技と自慢してたのが印象的だった。

 そんな技を私と変わらない子がやってる。

 

「あんた、凄いわね」

 

「凄いのは私じゃなく、私の部下だ」

 

 部下? そう言えばさっき「エル」と呼んでたわね。

 その言葉に応えるようにリボンが動いた。

 つまりは私や彼女に巻き付いてるリボンが、彼女を剣術の達人の歩法を使用可能にまで押し上げてる。

 

「だが、やはり上からだと逃げずらい」

 

 チラリとあいつが居るだろう上空を見る彼女。

 それにつられて私も上を見ると、目を限界まで開いて鼻息で興奮してる変態。

 全身に寒気と鳥肌が立った。

 

 やばい、あれはやばい。

 

「ちょ、ちょっと不味いんじゃない!? あれ!!」

 

「あー、大丈夫大丈夫。 最悪同類をぶつけるから」

 

 同類? え、あれとおんなじのが居るの?

 

「ステラ! 目標私の上空! タリーホー!!」

 

 彼女がそう言うと、白い少女の側の木から黒い少女があいつに飛び掛かった。

 あいつも白い少女の大声を聞いてなにかがやって来ると警戒してたのか、飛び掛かってきた黒い少女へ弾幕を張って華麗に躱すはずだった。

 

「ウイング展開、ブースト!」

 

 黒い少女の背中に黒い機械の羽が出現し、高速で弾幕を躱してあいつへと肉迫し、右手の黒くて大きいお空の制御棒みたいなのを振ってあいつの顔面にぶちこんだ。

 

 

 ☆

 

 

 夏休み、長野県に観光旅行にいつもの面子で来た私は、夜に変な力を感じて現場へと向かった。

 そしてそこには2色の巫女さんのバトル。

 一人は逃げ、もう一人が追いかけながら光弾を飛ばしていた。

 私はひとまず逃げてる方を保護しようと逃げてる巫女さんを抱えて、エルの補佐で高速移動をして、追い掛けてる方をステラに任せて現場からおよそ一キロ離れ安全を確認して抱えてる巫女さんを降ろした。

 

「とりあえず聞きたいこともあるだろうけど、まずは自己紹介からでも……私はシングだ」

 

「博麗霊夢よ」

 

 博麗霊夢? どっかで聞いたことあるような、まぁ、いいか。

 

「で、追ってた人は友だ」

 

「なわけないでしょ!! 知らないわよ! あんな気持ち悪いの!!」

 

「でも、さっき」

 

「なんでか知らないけど、私を見るなり、名前も教えてないのに霊夢さんとか言って襲われたの!!」

 

 なるほど、私は知らないけどあっちの巫女さんは彼女の容姿が「霊夢」というキャラクターに似ていて、思わず暴走した、と……。

 ようは転生者なのかな?

 

「貴女の姿が好きな人にダブって見えた……」

 

「私の姿も何も、今も昔もこれからも私は博麗霊夢よ」

 

 彼女……博麗霊夢というのがなかなか思い出せないけど、たぶん座覇やステラと同じ存在なのだろう。

 博麗霊夢……なんだったかなぁ、、、なんか姿と名前に見覚えあるんだよなぁ。

 あとあの緑の巫女さんも……。

 

「で、あんたは何者? それに私の弾幕すらノーダメだったあいつにダメージらしいダメージ与えて今も足止めしてる子は?」

 

「その事なんだが、気を悪くしないで聞いてほしい。 私もあの子も、キミもあの緑の巫女さんも同類だ」

 

「なっ! ふっざけんなっての!!」

 

「だから落ち着けと言ってる! 前の生を全うし、神と呼ばれる存在に次の生に記憶を持ち込めるようになった! 言わば特殊な転生を受けた者!! 転生者!! それが私達やあの緑の巫女だ!!」

 

「…………じゃ、じゃあ、あいつは私の知ってるあいつってこと?」

 

 やはり、あの容姿は前世の知合いか。

 まぁ、認めたくはないか。 知合いが変態染みた行動を取ってると……。

 

「それは知らない。 中には好きな人の容姿や能力を望んで転生する者もいる」

 

 私は神に何を願ったか知らないが。

 

「………………あいつが私の前の知合いって証明する方法はないの?」

 

「あるが、それには情報が必要だな。 あの容姿の名前とあれの名前は………………調べるかぁ。 そして能力を知る必要がある」

 

「能力はどっち?」

 

「キミが知ってる方のだ」

 

「……………………あいつの名前は知らないけど、あの身体は東風谷早苗。 守矢神社の現神人で能力は奇跡を起こす程度の能力よ!」

 

 やはりどこか覚えのある名前だ。

 まぁ、いい……今は…………

 

「無限夢想アザバール13遊星に接続」

 

 私の声は言霊となって概念空間という次元空間、虚無空間とは違う観測されることはない空間に漂うアザバールに届き、アザバールの全機能が私と一体になり、なんとも言えない全知全能感が私を酔わせる。

 ジュエルシード事件以来、何度か接続してるがこの感覚は一向に慣れる気がしない。

 まぁ、慣れたら慣れたで私がラスボスになりそうなんだけど。

 

「緑の巫女を『観測』。 名前は二風谷沙苗(にぶたにさなえ)。 彼女の記憶に『干渉』。 生誕より前へ……前世の名前と能力は、東風谷早苗、奇跡を起こす程度の能力……」

 

「っ!」

 

 私が名を連ねるように言うと、博麗が息を飲む音が聞こえる。

 確認の為に出ただけで確定したわけじゃないけど、アザバールを制御しないと端から端までの検索結果を寄越してくるから気が気じゃない。

 と、結果は……

 

「前世の名前は谷川遥(たにがわはるか)。 趣味は東方Projectの百合同人誌? 至言? レイサナもいいけどサナレイもいけるわ……」

 

「早苗じゃないの?」

 

「…………あ、うん、みたいだな」

 

 アザバールとの接続を切る。

 あんまりと言えばあんまりな結果に何も言えない。

 

「そう、なら全力で懲らしめてもいいってわけね」

 

 博麗が力を練りながら言うが、正直に言って博麗が勝てるイメージがわかない。 あの二風谷という人間はすずかと同種。 つまりは『愛』による規格外という事だ。

 ステラでもヤバイ気がする。

 

「きゃふっ!」

 

 ズザザザーッとステラが吹き飛ばされてこちらまでやって来た。

 ステラの身体は大きな傷こそないものの擦り傷だらけで、痛々しいとこも所々ある。

 わかってはいたけど、これはブチ切れそう。

 

「ありがと、もう大丈夫」

 

「へ? いや、あれの処理なら私達がするけど!?」

 

「色々と世話になったけど、これは私の問題だし、何よりこのまま任せきりだと、、、私が私ヲ許セナイ」

 

 ぞわりと寒気がする。

 博麗が此方を振り向き様に着けた赤い鬼の仮面。

 

「霊夢さん霊夢さん霊夢さん霊夢さん霊夢さん霊夢さんレイムさんレイムさんレイムさんレイムさんレイムさんれいむさんれいむさんれいむさんれいむさんれいむさん……あれ? 鬼巫女?」

 

「私ノ大事ナ人ノ姿デ調子ニ乗ルナァァアアアアーーーーッ!! 哀符『怒発天葬(ドハツテンソウ)』」

 

 一撃。

 いや、私の目では見えなかったから、何発入れたかわからないけど、技で言うなら一撃で博麗は二風谷を瀕死まで追い込んだ。

 あれほどの怒りで生きてるということは手心というより、法律を考慮しての事だろう。

 証拠隠滅しなくて済むから助かると言えば助かる。

 しかし、彼女もまたすずかの同種とは思わなかった。

 

 二風谷をぶっ飛ばしてスッキリしたのか、博麗は仮面を消してこちらに振り向く。

 

「はーっスッキリしたわ。 ありがとね! これで未練なくこの地から離れられるわ」

 

「どっか行くのか?」

 

「ええ、海鳴市の八束神社ってとこで巫女をする事になったのよ」

 

 海鳴市……。

 魔力はそんなにないから巻き込まれる事はないと思いたい。

 

「なら運か縁があればまた会えるだろ」

 

「え?」

 

「私達は海鳴市から来たからな」

 

「あ、そうなんだ。 そうね、貴女達と私の縁が本物なら会えるでしょうね。 それまでじゃあね!」

 

「ああ」

 

 博麗と別れ、私はステラを抱えて皆が居るホテルへと帰った。

 勿論、瀕死の二風谷はそのまま。

 『愛』に生きる存在なら、瀕死で死ぬことはないのは確認済みなのだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。