魔法少女リリカルなのは~愛、恐いなぁ~   作:極麗霊夢

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第二話 海水浴に行ったら襲われた夏の日

 凶暴な魔力を持った海洋生物が住む無人の次元世界で、私、すずか、ステラ、座覇、フェイト、プレシア、アルフ、キキ、ジェイル、母さん、他サーヴァント達で海水浴。

 目に毒にしかならない母さん達を見ないように、私は白のビキニの水着を着たステラの髪を弄る。

 私と同じスリーサイズであるステラの水着姿は、私にとってかなりドストライクだ。

 

「白もいいけど黒いビキニのシングちゃん最ッ高。 普段黒着てるステラちゃんも反転色の白は殺人級に似合ってるね。 魂が似てるからかな? っ……いけないいけない、これ以上視てたら私の中から愛が迸っちゃう」

 

 と、私の髪をクリクリと弄りながら、私とステラを視姦するすずか。

 私ならともかくステラを視姦して欲しくはないけど、私もすずかの事を好いてるためかあまり強く言えない。

 むしろすずかにならいいかな?とさえ思う。

 ステラもステラで、強く止めてと言えばいいが生来の優しさ故か、それとも私の恋人を信頼してるのか恥ずかしがるだけで、すずかの暴走を許してる。

 一時期感極まったすずかが、ステラに「私の愛人にならない!?」と変な事を言ってたが、それに対してステラは「考える時間をちょうだい」と言った。

 

 いやいやいや、考える余地なんてないでしょ? 愛人ですよ、愛人!! しかも本妻というか本命が私というね。

 

 だがステラはその日の夜、私に相談してきた。

 それは当然の如く、その日のすずかの告白だが……なんとステラはすずかの事が好きだったらしく、でも私とすずかの関係を知ってるから、告白の返事に迷ってると言ってきたのだ。

 正直、マジかと言いたかったが、私のキャラじゃないから「そ、そうか……」と相槌をうった。

 その後、「別にステラがすずかの愛人になっても構わない」とも言った。

 なんせすずかの愛人なら私の愛人という事になるのだ。

 ステラを愛人にしてしまえば、嫁に出すことはない。

 

 ふふふ、愛しの娘に変な害虫はいらんのだ。

 ワンチャン、座覇になら嫁がせてもいい。

 

「おや?」「あら……転移魔法の反応ね」

 

 さて、そんな私達の青春をぶち壊すかの如く現れたのは……。

 

「へぇ、こいつは当たりだな。 それなりに魔力が高いのが沢山いる」

 

「油断するな。 アレらは、いずれも強者だ」

 

 黒い騎士甲冑――とは言うけど服要素が多い――を身に纏った金髪灼眼の男と喋る大型の狼。

 見覚えのある狼に、ステイタス画面にあるリリカルなのはA'sのヴォルケンリッターが勢揃いしてる所を再生して見比べる、、、、、までもなくヴォルケンリッターが一匹、盾の守護獣ザフィーラと一致した。

 

「敵か? 敵だな? 殺るか? 殺るんだろ? 行くか? 行くぞ!」

 

「虫ですね。 羽虫です。 毒虫です。 害虫です。 愛しの娘の害です。 排除、します」

 

 言うが早いか、クーフーリンと母さんが完全武装して二人に突貫していった。

 

「いやね、すぐに暴力に訴えるなんて」

 

「前から思ってたんだけど、シングくんって守られる程弱いのかい?」

 

 プレシアが突っ込んだ二人を酷評し、私の本性というか化け物レベルの魔力を持ってるのを知ってるジェイルが、思ったことを聞いてくる。

 これに対して私は「是」と答える。

 私は未だに自衛レベルの魔法が使えないのだ。

 念話や召喚は余裕だが、それを戦闘に使うと何故か出来ないのだ。

 何度も何度もひたすら練習したし、なのはにコツを聞いたり、ユーノに教えを請うたり、フェイトに見てもらったり、アルフの戦闘訓練とやらに参加したりしたがどれもうまく行かず、終いには私を攻撃したという理由で母さんがアルフにぶちキレた。

 その時はなんというか申し訳なさがあった。

 そして最後の手段として、ジェイルに私の魔力に耐えうるデバイスを作ってもらおうとしたが、ジェイルはこれを拒否。

 無駄に私を信仰してるジェイルが拒否したのは、かなり驚かされたけど理由を聞いて納得した。

 

『シングくんの化け物魔力に耐えられるデバイス? まずその魔力の1割でも良いから耐えられる物質を見つけることから始めなきゃいけないんだけど……あると思うかい? 未だ魔力が増え続けてるシングくん』

 

 まぁ、無理だよね。

 まず私の魔力の成長が安定しない。

 日に日に魔力の増加速度が速くなったり、遅くなったりする。

 さらに困ったことに遅くはなるけど、減少したり停滞することはないのだ。

 常に上昇し続けてる。

 上昇し続けるなら私の全体の魔力の1割は、それこそ秒単位で変わるのだ。

 

 と、それはともかくとして、、、。

 

 私は母さん達が突貫した方向を見る。

 凡人だった私の視力は、溢れてる魔力によって動体視力が勝手に強化されて達人の動きをなんとか見れるようになったのだ。

 

 

 ★

 

 

 突然現れた敵に向かう。

 奴らの牙が、主人に届く前に速く。

 狙いは黒い、、、と行きたいが、どうやら源が行くみたいだから、オレはあの犬っころか。

 

「チッ……やりづれぇが飛び出した手前、獲物を譲る気はねぇ」

 

 別に主人に撫でられる黒いのが羨ましいとかじゃねぇ。

 オレは槍だからな。

 

「お前が俺の相手か」

 

「んなわけあるか。 今から始まるのは殺戮だ。 戦いなんて綺麗なもんじゃねぇ」

 

「何!?」

 

 迅速に的確にただ相手の心臓()を貫く。

 

「舐めるなぁ!!」

 

 が、オレの槍は白く薄い壁一枚で阻まれる。

 主人を信仰する科学者は、ソレをシールドと言う魔法らしいな。

 魔法……オレらからしてみればあんま言葉に出したくねぇ言葉だ。

 なんせ人が言う奇跡を起こす事象のことを魔法と呼ぶんだからな。

 だから、そんな陳腐な技術は魔法って言葉を格落ちさせてるようなもんだ。

 

「それは、こちらの台詞だ。 んなもんで、オレの槍を止めれると思うな……」

 

「な!?」

 

 少し力を込めて押し出せば、奴のシールドを砕く。

 驚く奴を余所に、オレは槍を振り回して刃先で奴を切り裂く。

 少し奴の筋肉質が硬かったが、問題なく奴を怯ませることも出来た。

 

「と、遊びすぎた……このままじゃ主人に何も言えなくなる、、、終わらせるか」

 

「ぐっ!」

 

 右腕の筋肉を盛り上げ、槍を奴に突き放つ。

 例え先程のシールドで防ごうとも、さらに強力な壁を展開しようと容易に貫き、心の臓を砕く。

 また避けようとしても槍に付与された追跡機能で心の臓に食らい付く。

 問題は……

 

「助かった……」

 

 …………奴らの後方で、標的を転移させる奴が居ると回避されるという事だな。

 やはり真名解放しねーと一撃鏖殺にはなんねーか。

 

 獲物を取り逃がしたオレはもう一人の方を見て、大丈夫そうだと判断して主人の下へ帰った。

 

 

 ★

 

 

 娘から少しだけ離れて、あの黒い虫に向かう。

 

「お、俺の相手はあんたか? 楽しめそうだな」

 

 虫が何かほざいてますが、気にせず我が刀で切り裂く。

 

「ってっぶねぇーな!! あにしやがる! ババア!!」

 

「あまり口を開かないで下さいまし……娘が呼吸してるこの世界で虫が飛ばした唾が空気中に分散して、娘の口内に入ったかと思うと不愉快ですので」

 

「無茶苦茶言ってる自覚ある!? つーか無駄な心配してんじゃねっからあぶねーだろ!! 最後まで喋らせろ!!」

 

 ピーチクパーチクと囀ずってる割には、私の矢も躱す虫。

 ここまでしぶといとは思いませんでした。

 虫一匹潰すのにこんな手間を取るなんて……。

 

「ああ、腕が鈍ってしまいましたかね……いけません。 これでは娘が危険です」

 

「いや、俺ぁ……あんたのが危険だと思うわって……今度は(まさかり)かい、、、おたく殺意高過ぎワロタ」

 

「よそ見、していいんですか?」

 

「は?」

 

 虫の背後を取ってた牛頭天王が私の姿で虫を惑わし、後ろを振り向いた瞬間に残り三体の牛頭天王が刀で首を、矢で心の臓を、槍で胴を狙い穿ち斬る。

 が、それも紙一重で避けられる。

 

「と、分身とかまじすげぇ! ババア、もっとだもっと俺を熱く滾らせろ!!」

 

「本当に、、、(はらわた)が煮え繰り返そうです。 なんなんでしょう、貴方は……娘に害なす存在なのに! 簡単に潰れないなんて!! 娘を愛する母が願ってるのです! 簡単に潰れてください!!」

 

「ア″…… こっちもなぁ、やっちゃいけねーって事は理解してんだよ!! でもやんなきゃなんねー!! やらなきゃ主がやべーんだよ!! だからさぁ、魔力を寄越しやがれぇぇええええーーー!!」

 

 刀と拳がぶつかり合う。

 虫の拳には魔力が込められてるのか、私の刀では斬り潰すことは出来ない。

 その事実にまた苛立つ。

 

 虫が 何かを叫んでいましたが、平穏な日常を壊しにきたのは彼方(あちら)です。

 正義は我にあり。

 正義でなくても、正しいのは私の娘です。

 

 一息で十八の斬撃を放つが、虫は九つは躱し、九つを拳で防ぐ。

 虫も九つの拳と九つの蹴りを繰り出すが、先程の十八の斬撃で対処して、その隙に槍を穿つが、槍を出した瞬間に回避行動を取られて追撃に至らず。

 

「神脚無双! グングニール!!」

 

 蹴り一閃。

 回避が間に合わない程の鋭い蹴りが、私のお腹に吸い込まれるように放たれる。

 蹴りの威力を軽減する為の後方に跳ぶという方法もありますが、此処はあえて受けることで確実に仕止める。

 

「ぐっ!」

 

 直撃。

 身体の中で暴れるダメージを全身の筋肉、関節などに流して外へ外へと分散させる。

 そして見せた虫の隙。

 

 刺突一閃。

 多少のダメージで間が開いてしまいましたが、虫を討つことに成功

、、、、しませんでした。

 

「っ!!」

 

 私の攻撃が届く前、虫の足下に緑の陣が現れて虫が消えました。

 恐らくは後方に控えていた虫の仲間が居たのでしょう。

 まぁ、戦略としては定石ですが、、、潰すどころかこれは敗けですね。

 

 

 ☆

 

 

 しょんぼりと落ち込んだまま、母さんが私のとこへ戻ってくる。

 労いの言葉をかけてやると、落ち込んでた母さんはみるみる元気になった。

 

 それにしても母さんと対峙したアレ……完全に転生者だよね? 正確には彼のオリジナルが……。

 

「過去にも転生者居るとか勘弁してほしいわ」

 

「ふむ、なら僕もその転生者とやらに出会ってるかもね。 アルハザードにキミみたいなの居たかなぁ」

 

「ジェイルをもってしてもわかんないの?」

 

「何分、僕はオリジナルのクローンだからね。 アルハザードの知識はあっても僕のオリジナルの記憶まではどうだか……。 それにアルハザードはどいつもこいつもおかしな奴ばかりだったから」

 

「ふぅ~ん」

 

「そういえばシングちゃん」

 

「何?」

 

「あの紫虫は何処に?」

 

 母さんがキョロキョロと辺りを見渡して、すずかの所在を聞く。

 

「すずかならちょっと泳いでくるとか言って海に潜ってったけど?」

 

 勿論、嘘だ。 いや、私のでなくすずかのね。 私の予想が正しければ、今頃すずかは襲撃者のとこで遊んでるはずだ。

 

「あと仮にも私の恋人を虫にしないで」

 

「うぅ……ごめんなさい」

 

 目尻に涙を溜めて謝罪する母さんの頭を撫でながら、すずかが居るであろう方向を見る。

 

 

 ★

 

 

 小さな小さな無人島。

 そこにシングちゃんとの休みを邪魔する不届き者が居た。

 金髪で緑の服を着てる女の人とピンクのポニーテールをした女剣士だ。

 

 シングちゃんが言うには幼女が居るはずなんだけど、今日は居ないのかな? まぁ、どうでもいいや。

 

「アザバール、起動。 私の権限でクト顕現。 ちょっと驚かしちゃおうか(蹂躙)♪」

 

 ぶくぶくと海中に潜ませたアザバールが浮上してくる。

 無人島で休憩中だった二人は不信に思いながら、自らの得物に手を掛けるが、次第に現れる巨大な触腕と海坊主のようなツルペタな表面の紫色をした丸い頭部。

 バシャバシャと海面を揺らし、無人島で待機してた二人の女性は騒がしくなった海を見るが時折見える触腕に顔を青ざめてる。

 

「シングちゃんの敵なら容赦しません。 あ、でも未来ではシングちゃん……というかなのはちゃんのお友達さんかぁ…………………………シングちゃんに害をなす存在なんて、たとえなのはちゃんの友達になる人達だとしても必要ないよね」

 

 クトの触腕で二人を叩き潰す。

 触腕は無人島を縦に両断し半壊させたが、残念ながら敵を倒すには至らなかったみたい。

 驚いてる隙を作ったつもりなんだけど、避けられてちょっと悔しい。

 

「なら次は2本でどうかな?」

 

 触腕が2本振り上げて、宙に足場を作って停滞していた二人を叩き落とそうとするが、これも空を飛んで避けられたり、剣で防がれたり、逆に斬られたりする。

 

「んー、こういう戦い慣れないなぁ……。 いつもはパーッと行ってパーッと終わらせるし……もう私が動こうかな? でもでもシングちゃんにあまり戦いに参加してほしくないって言われてるんだよねぇ……」

 

 ……………………ちょっぱやで、あ、ダメだ。 私には及ばないけどあの二人も多少は愛を力に変換してる。 瞬コロするには時間を掛けちゃうかな。

 

「って、クトさん。 私の目だけじゃなく自分の目でも追ってよ」

 

 私がクトにそう言うと、上げて上半身までせせり上がった。

 クトの上半身が顕になったことで、二人の動きに乱れが生じた。

 

 当然だよね、クトというかアザバールに使った素材の特性は、常人にとってかなりキツイ異様さだもん。 全体でないにしても上半身丸々見て発狂しないだけマシかな。

 

「それじゃ、蹂躙再開!」

 

 クト自身で操る触腕は、先程よりも動きが洗礼されて振り回す速度も上がってる。

 何度か避けていく内に二人だったのが三人になった。

 

「……………………使えない保護者ですね。 一人逃すなんて……クーフーリンさんでしょうか? もう一人増えたらあのモンペさん達より一歩リード……そして逃した相手を倒せばさらにリード! これには私もニッコリだよ」

 

 うへへへぇと妄想してると、取らぬ狸の皮算用という言葉をこの身で味わうことになった。

 

 

 ☆

 

 

「ただいまあぁ~……」

 

 浜辺でステラの体に砂を埋めて、ステラの要望で胸を大きくした砂ボディを作ってると、やけにローテンションなすずかが戻ってきた。

 

「どうしたの? なんかアザバールも浮上させてたみたいだけど」

 

「うぅ……シングちゃんごめんなさい」

 

 そう言って今までやっていた事を説明しだしたすずか。

 なんでもピンクの女剣士と緑の女魔導師を驚かせていたら、いつの間にか戻ってきた犬っころと黒い男闘士に不意を突かれて逃げられたそうな。

 

「やばいよ、シングちゃん!」

 

「あ、うん、そうだね」

 

 この世界最強と思ってたすずかに、逃げ仰せるとか本当にヤバそう。

 しかもこの時期は主のはやて嬢と、まだ幸せの生活を送ってると思ってたのに、襲撃だもんねぇ。

 

「奴ら……オレ達と同じ匂いがした」

 

「「は? 言葉の訂正しろよ、駄犬。 私達のシングちゃん(むすめ)に対する愛と()の主人に対する愛が同じなわけないでしょ?」」

 

「あ? 駄犬だと? 己の身を削ってまで蚊を殺す蚊取り線香以下の虫コロリどもが」

 

「「虫一匹潰せない駄犬に存在価値ないよ(ありません)」」

 

「テメェ……」

 

 一発触発。

 このままだと本当にヤバいと感じた私は、魔力を一気に放出した。

 魔力チートを越えた魔力。

 それは魔力という枠組みを越えて別の新しい何かとして、発せられる私の威圧は物理的な干渉が可能となって、結果……騒いでる三人を止めることが出来た。

 

「逃げた、逃がしたのどうでもいい。 危険がなくなったら遊ぶ……そうだろ?」

 

「はっ!」「うん」「了解」

 

 でも、三人が苦戦したってことは、あちらも『愛』溢れてるのか……。

 これは遅れを取る可能性を考慮しとかないとね。

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