昨日の驚き疲れで寝むった私は、自分の周りがドタバタと忙しない音が聞こえてしょうがなしに目を覚ました。
自分の子供がスヤスヤと寝てるのに、何をしてるのかと我が両親の様子を観察してると、どうやら引っ越しの準備をしてるみたいだ。
どういうこと?
なんて疑問に思うけど、こちとら声があうあうとかいひひーだとかそんな赤ちゃん言葉しか発せれないので、暇潰しに魔法少女リリカルなのはを視聴することにした。
『カッコー』
ん? ああ、お昼かな?
鳩時計ならぬ郭公時計の鳴き声で、頭内で放映中のリリカルなのはから意識を離すと、目の端から見える窓の明るさから12時回った頃と判断する。
身体へと意識をやれば、猛烈な空腹感と喉の乾き、さらには股間辺りに生暖かい何かがある。
……………………み、みみとめたくないも、ももものだな……わかさゆえのあやまちとやらわ。
どうやらこの体……転生物語でよくあるような赤ちゃんの頃はオートで泣きながら親に知らせる機能がないようだ。
そうとわかればなにももんだいない。
赤ちゃんとは乳を吸って、漏らしてやらかすのがお仕事だ。
決して良い歳した精神年齢体がアニメに夢中になって、お漏らししてしまって恥ずかしいなんて事はないのだ。 うん。
そんな現実逃避をしてると、母親がやって来て抱っこされたが、ゆっくりとベッドにリリースされた。
私は魚か!!
「おっぱいの前にオムツ変えましょうね~」
アッハイ。
「朝からバタバタしてごめんね~。 パパが海鳴市に転勤になっちゃったから、ママとシングもついていくことになったの」
なん、、、だと? いや、まてしかし……早まるな、私。
期間、そうだよ、、、転勤には期間がある。
どうせ二、三年に決まってる。
原作まで居るなんてそんな、、、ないない、ない、よね?
「最低でも20年くらいはあっちに居るんだって」
それ、左遷やないの!? いや、まてまて勝手に左遷と決めつけるのは良くない。
もしかしたら今よりも役職が上になったり、お給料が良くなったりする左遷とは別の……なんだっけ? えっと異動? なんか違うけど良いことかもしれない。
ふぅ……少し焦ったZE。
さてさて確実に原作真っ只中に海鳴市で住むことが確定した訳だけど、今更ゴネゴネしたり、抵抗したりしても遅いというか出来ないので先の苦労よりも今を大切にしていこう。
ということでやることもなく暇な私は再び、魔法少女リリカルなのはを視聴するのであった。
初期の魔法少女リリカルなのはを見終わっちゃった。
感想としては、主人公が沈んでる時に友達と喧嘩したシーンなんだけど、魔法の事を伏せて相談することは出来なかったのだろうか? あと怪我してる使い魔、オレンジの毛並みをした狼なんだけど、うん、普通に考えて居るわけないっ!! まぁ、そんな気にしてたらアニメも楽しめないよね。
さて、今日はもう寝よう、そうしよう、うん。
「はーい、お風呂の前にお尻をキレイキレイしましょうね~」
ああ、どうやらまた私はお漏らし……い、いや、赤ちゃんとしてのお勤めを果たしたにすぎんっ!! 親に報告の泣きじゃくりをしなかったけど……。
☆
海鳴市に引っ越してきて4日。
特に大きな出来事もなく、父が配属された会社も可もなく不可もなく至って普通らしい。
そのことを父と母がご飯時に話してたから、間違いないだろう。
母と一緒に胸を撫で下ろしたしね。
さて、これからA'sを視聴するとしよう。
確か魔法少女リリカルなのはシリーズ全体を通して、ジュエルシードと呼ばれるロストロギアが海鳴にやって来る前からA'sで活躍する闇の書があるはずだし、闇の書の主として私が選ばれる可能性もある。
現に目の前に禍々しいオーラを放って自己主張してる本が浮かんで……ってギプリャッ!!
ちょ、まっ!
『接続』
なに? なんて!? チッ!! 此処は日本なんだから日本語で話してよ!! 郷に入っては郷に従えという言葉を知らないのか、あっあ、あ、あっ本から本から禍々しいのが私に近っ近づ、いて……うぅ。
誰でも良い、誰か! 誰か助けて!! 私、闇の書となんか契約したくないっ!! あんな呪いのアイテムなんか要らないっ!! 誰か!!
「虫の気配がしますねぇ……我が子に近付く毒虫が……」
「毒虫ですって? ならば排除しなくてはいけません。 司令官は非常にデリケートな方です。 清潔な環境を保たねばいけません」
え? え?
『……!!』
「我が子に巣食わんとする毒虫が思い上がりましたねぇ」
バチバチと私の側から電流が迸る音が聞こえる。
心の底から震えそうな言葉だけど、私には優しく、頼もしい声に聞こえたのは、その声の人物が私の味方と本能レベルで理解していた。
「此処は危険です。 司令官は私の後ろから出ないように」
「『牛王招雷・天網恢々』」
赤服の女性の影からチラッと見える紫の雷と紫の女性。
紫の女性が複数人見える。
声からして赤服と紫の女性の二人かと思ったけど、どいう状況なのか……。
「ふふ……あははははっ! ――矮小十把、塵芥に成るがいい!」
う、うん? わいしょ? ちり、あくた? ちょ、まっ
なんだかよくわからず、でも助けてくれてる事は理解してるけど、それでもなんかやらかしてしまったとも理解してしまい、タンマを掛けようとするが、私の制止は遅すぎた。
紫の雷は家を半壊しながらも、闇の書を追っ払った。
「チッ……逃しましたか」
「今は司令官の無事を喜びましょう」
くるりと私に背を向けていた赤服と紫の女性は、私の方を向いて穏やかな微笑みを浮かべながら名を教えてくれた。
看護のバーサーカー。
……バーサーカーはつおいね、とでも言っとこう。
あ、それより家、つか母さんはどうした!? まさかさっきの雷で家もろとも巻き添えになったんじゃっ!!
「大丈夫だった? シングちゃん」
ん?
紫の……源のバーサーカーさんから、私の耳によく馴染む声が聞こえてきた。
チラリと源のバーサーカーさんの方を見ると、源のバーサーカーさんは光の粒子に包まれ、粒子が消えると同時に私がよく知る母の姿として現れてきた。
なん、、だと……?
☆
あれから、母というか源のバーサーカーが説明してくれたのが、母の身体を依代として召喚されたとのこと。
子である私の要請で源のバーサーカーになるし、戦闘が終了すれば母親に身体を返すらしい。
母も私が安全安心に育んでくれるならと、依代として快く承諾したとのこと。
「看護のバーサーカーさんも娘が病気に苦しんでたら助けてくれるみたいだし~。 アルビノのシングちゃんにとってもママである私としても安心だわ~」
「お任せください、司令官のお母様。 司令官の命を救うためなら私はなんでもしますっ!! ええ、どんな手を使ってでもっ!!」
「ありがとう~看護のバーサーカーさん」
その人に私の命を預けるのは、かなり命の危機を感じるのだけど、此処は母の看護のバーサーカーに対する信頼を信じよう。
にしても、看護のバーサーカーとか、源のバーサーカーとかいちいち言いにくいなぁ。
なにか他に呼び名はないものか。
「……毎回毎回、その呼び名ではスマートさに欠けますので、そうですね、、、フローレンスと呼んでください」
「あ、なら私の事はママって呼んでね? フローレンスさん」
「はい、ママさん」
うん、私も看護のバーサーカーのことはフローレンスさんと呼ぼう。
看護のバーサーカーよりも名前らしいし、実際に名前かもしれないし、あとは父さんの説明は私の将来の為に近くに住んでた医者に専属医としてお願いしたと言えば良いしね。
「では早速ですがママさん。 この町は色々と危険が多く、司令官の自衛力もありません。 随時私やママさんが居れば問題ありませんが、そういかないのが世の中です。 ここは司令官にも自衛力を持ってもらうのはどうでしょう?」
「そんなに危険なの?」
「割りと危険です」
「そうね~。 シングちゃん、何かないかしら?」
って、私に言われてもなぁ。
英霊召喚とか神霊召喚って最低でも人の形をした存在だから、そんな所持できる存在は居ないんじゃないかな? まぁ、やってみるけど……………………
んーっと自分で力を込めてみるけど、何かが召喚される気配もなければ、私の中から何かが抜けていく感覚もなく、もしかして魔力が足りないのかとステータスを開いてみる。
・魔力 まだまだいっぱいあるよ
……………………………………うん? うん。
いっぱい……あるのか。
内心首をかしげて、ほんとにどうしたもんかと考えてると、魔力についての詳細が頭に浮かんだ。
〔魔力について〕……貴女の魔力は数値化出来ない為、言葉で表現します。 魔力が全快から空っぽの時の表記は以下の順です。 『魔力が満杯だよ』『まだまだいっぱいあるよ』『まだいっぱいあるよ』『いっぱいあるよ』『まだまだいけるよ』『まだ大丈夫』『へーきへーき』『あと8回は神霊召喚いける』……『もうすぐ危険域だよ』『あと5回しか宝具使えないよ』……『あと1回しか英霊召喚できないよ』『あと1回しか宝具使えないよ』『危険域だよ』『危ないよ』『もうすぐ空になるよ』『空っぽだよ』 なお、魔力回復量は秒間2ランク回復していきます。
ま、まぁ、召喚はできる魔力はあるみたいだけど……召喚方法はどうすればいいの? もしかして魔力の時と同じでジーッと見てたら詳細が出てくるのかな?
というわけで英霊召喚の欄を穴が空くほど見続けると、魔力の時みたいに頭に詳細が浮かんだ。
〔召喚について〕……貴女の魔力を代償に英霊や神霊を召喚する。 英霊依代召喚の場合は、依代となる生物と貴女の魔力による召喚となり、消費する魔力は通常よりも少なく済みます。
〔召喚方法について〕……貴女がどんな英霊を喚びたいかという意思と魔力だけです、、、が、英霊、神霊側が召喚を拒否して召喚されない場合があります。
〔召喚不能な英霊と神霊について〕……〔英霊〕名君ギルガメッシュ、英雄王ギルガメッシュ、賢王ギルガメッシュ、ファラオ・オジマンディアス(他、ファラオ)、騎士王アーサー、円卓の騎士、征服王イスカンダル……他。
〔神霊〕イシュタル、エレシュキガル、オーディン、アルテミス、ステンノ、エウリュアレ、メドゥーサ、ゴルゴーン、ケッツアル・コアトル、ジャガーマン、アンリ・マンユ、巨神⬛⬛⬛⬛⬛……他。
……なるほど、召喚出来ない人達も居るのか。
まぁ、私が制御してる未来が想像できないけどね。
フローレンスさんや源のバーサーカーさんが私の召喚に応じたのも、フローレンスさんは私の
しかし、自衛の為の戦力なんて……
そんな事を考えてると、私の側に2つの光柱が発生した。
召喚……出来たのかなぁ?
「クー・フーリン、召喚に応じ参上した。 最初に言っておく、俺はお前の槍だ。 敵が現れたらソイツを指差せ」
「サーヴァント、ランサー。 エルキドゥ。 君の武器が欲しいという呼び声で起動した。 好きに使っておくれ」
現れたのは、朱色の槍を持った黒くて異形な姿の男と緑の中性的な男の人。
私の槍と称したクー・フーリン。
自分を武器と呼称してるエルキドゥ。
……たぶん、私はとんでもない存在を呼び出した。
☆
闇の書の襲撃を
父さんが帰ってきて、私が初参加の家族会議が開かれた。
まずは今日あった出来事で、いきなり魔法の本に襲われたとか馬鹿正直に話さない。
別の意味で頭の中を疑われる。
父さんに話すのは、以下の通りだ。
今日の昼頃、私を乗せたベビーカーと母さんが公園で散歩してたところ、非番の女医と出会い、アルビノである私の事で意気投合して格安で専属医になってくれると言われた事。
次に町中で行倒れてた外国人二人を発見し、
そう、事後報告だ。
これには母さんも私も同情を禁じ得ないが、母さんは源のバーサーカーやフローレンスさんによって、海鳴市の将来の危険性を教えられてる為、私から危険を出来るだけ守らないといけないのだ。
転生した身とはいえ、私は歴とした母さんの子供だからね。
「ホームステイ……その人達の国は何処なんだい?」
「確か……ケル、アイルランドとウル、イラクだったかしら?」
「? ふむ、二人ともバラバラだ……んー、まぁ、勉強に来たとはいえ、知らない土地、しかも行倒れになるほどの苦をまたさせるのも心苦しいし、なによりもうママが許可しちゃったんだよね? なら僕が却下するわけもいかないよ」
「ありがとう、パパ! 大好きっ!」
「ははっ僕もママのこと大好きだよ。 もちろん、シングもね」
こうして無事にフローレンスさんやクーフーリン、エルキドゥの諸々は片付いた。
というか、もうこれで十分だよね?
源のバーサーカーに撃退された闇の書は、次に魔力が多い他の転生者の元へと向かったが、、、
「フォオオオオオオオオッ!! 闇の書ちゃんキターーーーッ!! はやてよりも魔力いっぱいにして正解ですなぁああ!! 俺の嫁! バインバインのシグナム! リインフォースも良いよね! ただしメシマズシャマルは駄目だぁあっ!! ロヴィータん、お兄たまって呼んで!! ザッフィーはマスター権限で女体化してワフワフフォオオオオオオオオッ!! あっれー? 何処に行ったの? 闇の書タァァアアアアアンッ!!!」
相手側の精神汚染が酷いため、おとなしく八神はやての元へと向かった。