魔法少女リリカルなのは~愛、恐いなぁ~   作:極麗霊夢

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第二話 前々世からの忠

 あれから三年。

 何事もなく幼稚園生となった私は、一人(ぼっち)でも元気です。 泣きたい。

 

 はい、何事もないというのは嘘で、実は入園式の時やらかしてしまいました。

 保護者の方々が……。

 そう、あれは昨日の入園式……

 

『ママ、あの子、マッシロシロスケだよ』

 

『ほんとだー! 真っ白ー』

 

『こら、指差さないの!』

 

『あやちゃんもからかったりしたらダメよ』

 

 と、私を見てはしゃぐチミッ子達。

 それを(たしな)める保護者。

 しかし、はしゃぎ時のチミッ子達は珍しい肌と髪を持つ私に興味津々。

 だんだんと子供達の騒ぎが大きくなり、ついにはキレた。

 

『おい、ガキ共。 うちの子がそんなに珍しいか?』

 

『お母様方、保母の皆々様……少しよろしいですか?』

 

 まずはクーフーリンさんが子供達をガンつけ、フローレンスさんが保護者と保母さん達を呼びつけた。

 

『いいか、ガキ共。 他人の色が貴様らになんの関係がある』

 

『次、僕らの妹に手を出したら……わかるね?』

 

『良いですか? 司令官はデリケートなんです。 日の光に含まれる紫外線などで簡単に病気になります。 過度なストレスを受けて鬱病になったり、、、』

 

『娘がいじめを受けていたら、承知いたしませんから……その時は御覚悟を』

 

 などなど……晴れて私はモンスターペアレントの娘として、保母さんや保父さん、園長先生、他の保護者の人達、同級の子達に腫れ物扱いされております。

 

「はぁ……」

 

「どうしたの?」

 

「いや、こんな事態になって、もう今後どうしようかと」

 

「……………………」

 

「? エル?」

 

「この状況も一種のいじめ……なのかな?」

 

「いじめだなんてとんでもない! まさに私の意思を尊重した結果の状況だから余計な報告はしないでくださいお願いします!!」

 

 不穏なことを言う監視役(エル)に頭を下げてお願いする。

 これ以上状況が悪化すれば、私の小学校生活までぼっちになりそうだ。

 何故、エルが幼稚園(ここ)に居るのかと言うと、エルが持つ変身? 変容?スキルで髪に結われてるリボンとなって私の護衛兼監視をしている。

 

「いい、エル? いじめっていうのはあれだから」

 

 と、私は今現在いじめを受けてる子といじめてる子達を指差す。

 そこには集団で一人の男の子を囲ってる姿。

 端から見ればかごめかごめをしてるようにも見えるが、ようく目を凝らして見てみれば手や足を出してるし、耳を澄ましてみれば悪口らしき言葉を吐いてるのがわかる。

 

「ふぅ~ん。 性能を競い合うわけでもなく、ただ単に他者を傷付けるなんて、わからないなぁ……人間って」

 

「別に難しいことじゃないよ。 あいつが生意気だ。 あいつよりも優位に立ちたい。 みんなと同じ行動をすればハブられることはない。 とか、まぁ、そんなしょうもない理由で始まるのがいじめだから」

 

「そこが理解できないんだけど」

 

「それは……」

 

 理解できないのではなくて、したくないんじゃない? 人間の感情っていうものをさ……なんて、エルに言うことは私には出来なかった。

 なにせエルは感情があるくせに、自分は兵器だからと、武器だからと感情が無いように振る舞いってる。

 入園式のモンペ事件の時は、私を大事に思ってるような事を言ってたけど、それは人として私が好きではなくて兵器として所有者である私の事が大事という考えによる発言だけど、感情的になっていないことはなかった。

 自惚れてるわけではないけど、私が喚び出したサーヴァントは皆、私の事を好ましく思ってくれてる。

 だからなのか、理解したくないと問うて、今の関係を壊したくないのだ。

 

「シング?」

 

「ん、なんでもない」

 

「……それで、シングはどうするんだい? あのいじめ」

 

「もちろん助けるよ。 見てしまったからね」

 

 個人的に放置したかったけど、エルに説明していく内にいじめっ子どもと同類と思われたくないと思ったからね。

 

 

 ☆

 

 

「総督……」

 

 どうしてこうなった。

 

 今、私の目の前で膝ついて頭を垂れてるいじめられっ子。

 エルの影ながらのフォローで、いじめっ子達のいじめに介入して追っ払っていじめられっ子と目が合うと、いじめられっ子は目を見開き、そして何かに納得して私を総督と呼んで今に至る。

 

 意味がわかんない。

 なんだこれは!? どうする? どうすればいい!?

 

「えっと……そうとくって?」

 

「なんと!? 記憶が戻られて……いや、確かわしも今の今まで忘却の彼方にあった……で、あれば」

 

 で、あればなんなんだろうか? よもや私の頭に衝撃でも加える気なのか? だけどそんな素振りは見せてないけど……強いて言うなら今から自己紹介する体勢?

 

「わしは座覇(ざは) 修司(しゅうじ)。 前々世では総督と弟子、取巻き共と一緒に宇宙を旅していたザハにございます」

 

「ザハ……だと?」

 

 ザハ? 総督……私と取巻き達と一緒に? 余計わか……あ、もしかしてブラック★ロックシューターのゲームに出てくるラスボスの右腕的存在? もしそうだとしたら、どうしよう? 姿が似てるだけで無関係なんだけどなぁ……。

 

「その御様子では、わしの事を思い出さったのですね!?」

 

「あ、いや、なんと言うか……」

 

「もう正直に話したら?」

 

「!! 何奴!?」

 

 突然、私達以外の声が聞こえ、ザハ シュウジと名乗った少年は辺りを警戒し始める、、、んだけど、ごめんなさい。

 声掛けてきた人は私の頭でヒラヒラと風に揺られてるリボンなんだ。

 敵じゃないんだ。

 

「むっそこかぁあっ!! っ!!」

 

 そしてエルの気配を感じたのか、ザハ少年は私の頭に揺られてるリボンを睨み付けて、何かを思い止まった。

 

 なんだ? 何をしようとした? もしやその握った拳を私……というかリボンに放つ気だったのか?

 

「おや、どうしたんだい?」

 

「貴様……畏れ多くも総督の御髪(おぐし)を盾にっ!!」

 

「フッ、、、これはシング……君の言う総督が『僕』にリボンとして護衛するように命じたから、こうしてるのさ。 前々世とやらでは側近とか護衛役は君だったみたいだけど、今は『僕』だから」

 

 ギリィッ!!! ギリギリギリギリ……

 

 何かを食い縛る音と強く握る音が聞こえる。

 その発生源はザハ少年だ。

 というかエルキドゥさんや、そんなにザハ少年を挑発しないで……。

 

「はぁ、ほんとにどうしてこうなった?」

 

 

 ★

 

 

 輪廻転生。

 死して再び生を得るインドらへんの思想。

 前々世よりも前の生のことは知らぬが、わしは前々世からの転生者と呼ばれる存在だ。

 わしとしての記憶は、地球生まれでなくエイリアンと呼ばれた存在だった。

 わしが生れた星では強者が生き、弱者が喰われる弱肉強食の世界。

 わしは生きるために強さを力を求めて、必死に生きてきた。

 その生きるための技術として、宇宙空手という武術に手を出し、幾千、幾万、幾億と拳を解くことなく大木に、大地に、大気に、わしを倒さんとする敵、わしと互角にやり合う好敵手に、わしよりも強かった強者に、幾度となく拳を繰り出し、ついには弱者の世話が出来るほどの余裕ができるまでになった。

 だが、それほどまで強くなったわしを赤子の手を捻るかのような圧倒的な強さを持つ存在と出会った。

 それが『総督』である。

 総督はわしらのような者を集め、率いて広大な宇宙を巡り、とある星の衛星へと降りた。

 衛星から見える星は青くて美しかったが、そこに住む者達は弱すぎた。

 個体としても群れとしても、文明でさえ我々との差がありすぎた。

 だがそんな星の連中に可能性を見出だしたのか、総督は青い星へ降り、我々が知りうる技術の提供を開始した。

 それが遠い未来……我々を追い詰めてしまう事になろうとは……。

 

 数年後、青い星の人間共に絶望した総督は侵略を開始した。

 人間達も抵抗はしたが、元より我々の敵でない奴等は全滅させるのに時間が掛からなかったが、両手で数えれる頃になると戦況が一転した。

 

 ホワイト。

 

 総督の遺伝子を元に生み出された完全なるクローン体が現れたのだ。

 目覚めて間もないと言うのに、初めての戦場でエネミー達を殲滅し、我々の仲間であるミーを下した。

 そこから始まるホワイトと我々との戦い。

 結果は人類が滅び、それでもなお戦うことを止めなかったホワイトが、我々に挑み、弟子であるナフェ、わし、ついには総督にすら勝ってみせたのだ。

 死した総督の身体を生き延びてしまったわしが抱えて、青い星を後にしたが、やはりわしにもホワイトとの戦闘で受けたダメージに意識が失い、、、、

 

 

 ★

 

 

 次に目が覚めたのはモビルファイターと呼ばれる機械の中だった。

 わしはシュウジ・クロスという人間となって、世界中のファイター達と武を競い合ってた。

 いまだこの身に染み付いた宇宙空手の技を用いて、戦って闘って戦い抜き、世界最強という称号に手が届こうとした時、わしはまた負けた。

 チャップマンという強者に、だ。

 一度ならいざ知らず二度まで負けた宇宙空手の技術をわしは捨て、一から次こそは誰にも負けない武を編み出していった。

 

 しかし、武を編み出すと言っても中年では未完のままで終わる可能性がある、いやしかしと頭を振ってわしは己を鍛えた。

 身体中の水分が汗となって滝のように落ちるほどの晴れの日だろうと、前が見えないほど雨が降る日だろうと、台風や嵐が吹き荒れる日だろうと、吹雪の日だろうと、雷がわしに直撃しようとも、、、わしは拳を握り続けついにやり遂げた。

 厳しい自然の中に身を投げてまで、完成した武は苦戦することもあったが敗けはなく、まさに敵無しと言って良いほどだ。

 現に前世のわし、シュウジ・クロス……いや、東方不敗マスター・アジアを打ち破ったのは、愛弟子のドモン。

 あやつもまた流派東方不敗。

 敗けは悔しいが、それほどまでに弟子の成長が嬉しかった。

 病魔に犯された身での決着ではあったが、わしは満足だった。

 

 そしてまさかの第三の輪廻転生。

 最初は総督と共に歩んだ生。

 次は二度と大切な存在を失わないよう強さを求める生。

 しかし、三度……何があると言うのか。

 仕えるべき存在も居ないし、新たな生でまた力を求めるのは何か違う。

 この三度目になんの意味があるのか……そう思い過ごしてきた。

 だが、この三度の生に意味が出来た。

 出会ったのだ。

 あの白き姫。

 存在してるだけでわしを率いる御方。

 『総督』

 

「この三度目の生、、、また貴女様について行きます。 何処までも」

 

 なればこそ、流派東方不敗の再修得せねば!!




 総督に仕えてたザハは、マスター・アジアとなり、次の生で総督に再会する。 泣ける話や
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