魔法少女リリカルなのは~愛、恐いなぁ~   作:極麗霊夢

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正直、このハチャメチャ感好き


第四話 テスト

 私のクラスには大きな家に住んでる子が一人居る。

 その子は私達転生者からしてみれば、原作組という枠組に入る。

 私のメニューにある原作や二次創作小説を映像化したモノにも登場するから、面影がなくても名前さえ知ってれば本人かどうかわかるのだ。

 さらにその子は二次創作でよくある前作のとらいあんぐるハートなる作品で、吸血鬼の末裔だかなんだかの設定がこの世界にも反映されてるらしく、何が言いたいかと言いますと……。

 

「そ、その子は関係ないの……お願い、、叔父さん帰してあげて……」

 

「へ、へへ。 関係なくともすずか嬢に絶望を与えさせることは出来ます」

 

「そん、、、な……」

 

 はい、巻き込まれなう。

 

 何故、私が月村家のゴタゴタに巻き込まれたのか……これには海よりも深く、山よりも高いそれはそれはのっぴきならない事情がなくもない。 え、結局どっちだって? ごめんなさい、自分から首を突っ込みました。 パンピーが誘拐されてるから助けなきゃって自爆めいた決断したわけでもなく、原作介入前の予行練習でもう月村すずかちゃんに接触して仲良くなろーなんてバカな思考の下でもなく、座覇くんが私の護衛役というか救出役に相応しいかどうかというテストで、ちょうど誘拐されそうになってる月村さんに絡んだのだ。 そう、拐われそうになってる月村さんに向かって、「すずかちゃん、何してるの?」と、別に親しくもないのに馴れ馴れしく、私達はお友達っ!みたいな感覚で、そんなことをすれば当然、誘拐犯は目撃者である私を排除するか一緒に連れ去られるかのどちらかなわけで、今命の危機なうな状況。

 

 そもそも座覇くんの護衛役のテストを行う事になったのは、装飾品兼護衛役のエルと同じく護衛役のクーフーリンさん、保護者の母さんの発案で、本当に私を任せるにたる人物かどうか疑わしい為だとかなんとか……。

 私としては真の英霊として覚醒したから、平気だと思ってるというか友達欲しいです。

 部下とかそんなんいらんねん。

 

「にしてもこのガキ静かだな」

 

「タスケテー」

 

「静かにしやがれ!!」

 

 あんた……私にどうしろと? ただまぁ、そろそろこの茶番も終わるころなんだよね。

 

 ちらりと天井を見てみると、黒い影が104人ほど居るって多いな。

 

 よく隠れてられるね!? 君達!!

 

 ちなみに104人の内訳は、99人が百貌のハサンさん、母さん1人、クーフーリンさん1人、エル1人、段蔵さん1人、小太郎くん1人で、今さっき座覇くんがやって来て105人。

 百貌のハサンさんと段蔵さん、小太郎くんは私が2才の頃に召喚して、イマデハリッパナカゾクデス。

 あ、お父さんには全部話してあります。

 魔法や私の魔術、母さんの英霊状態、エル達と、結果お父さんはすべてを受け入れて「僕にもママみたいに出来る?」なんて聞いてきたので、依代召喚したら誰も召喚されなかった。 うん、頑張れお父さん。

 

 それはともかく。

 

 月村家の大変な事情を告げられる前に事態を収拾して貰いたかったのだけれど、どうやら誘拐犯さんは私の思惑を裏切って月村家は吸血鬼の一族なのだ~とかなんとか私に暴露して、月村さんの顔が絶望一色に染まる。

 

 まぁ、知ってましたし? だから何って話だし、月村さんの親戚である貴方も吸血鬼の一族ってことは暴れてもOK? では、せーのっ!!

 

「きゅーけつきってなぁに? ばけものってつよい?」

 

「は?」「え?」

 

 いや、だって普通の人間の幼稚園児に何を期待してるのか。 まだまだ吸血鬼の存在だって知ってるかどうか怪しいしね。 それに……

 

「吸血鬼云々より、3歳児相手に鬼のような顔で怒鳴り迫るおじさんの方がよっぽど怖いわ」

 

「きさっ!」

 

「ザハ!! これ以上の時間の浪費は減点よ!! 速やかに処理しなさい!!!」

 

「畏まりました」

 

「何!? 後ろ!?」

 

 天井から誘拐犯の後ろへと降りた座覇くんは、誘拐犯が振り返ってから動いた。 減点10。

 誘拐犯が驚き振り返って座覇くんの正体に気付いて安堵した瞬間、座覇くんの右の掌底が誘拐犯のお腹に直撃し、すかさず左の掌底で顎を撃ち抜く。 私が視認できる速度なので減点30。

 顎を撃ち抜かれた誘拐犯は膝から崩れ落ち倒れて、座覇くんのドヤ顔が現れた。 減点60。

 

「計➖100点で護衛役失格。 参考までに母さんの対処法を」

 

「可愛い娘に手を出した瞬間、消します」

 

「は参考にならないからクーフーリンさん」

 

「殺戮だ」

 

「も参考にならないからエル」

 

「ゴミの処分なら貫いて燃やす、だろ?」

 

「頼むよ、小太郎くん!」

 

「火でしたらお任せを」

 

「何を任せられるのか原稿用紙十枚くらい書いてろ! 段蔵!!」

 

「尋……」

 

「百貌のォオオオ!!」

 

「生きてる事を後悔させながら始末」

 

「こんなんばっかだよぉおおおおおおおっ!!」

 

 あかん。

 まともな英霊を呼ばないとダメだ、これ。

 

「あのっ」

 

 と、大分放置してた月村さんが私達に声を掛けてきて、そう言えば一緒に拐われたというか私が便乗しただけなんだけど、放置はいけないよね。

 たぶん、月村さんちのセ○ムも来る頃合いだろうし、私は月村さんちの秘密を知ってしまったから、二次創作映像では記憶の封印かズッ友契約させられるらしい。

 まぁ、記憶の封印受けると絶対黙ってない英霊が居るし、逃げるにしても月村さんをどうにかしないことには、月村家の情報網で徹底的に調べられて、二次創作では鉄板の妹キチ侍が加わった脅迫、もしくは月村家の闇に葬られそうになったら、やっぱり英霊が動く。

 どちらかが滅びるしかないルートだ。

 座覇くんの試練とは言え、あっぶない橋だよね。 どうしよ。

 

「彼女の記憶を弄ればいいんじゃない?」

 

「バレたときは戦争だし、その手の方法は二次創作にもあってたいていが効果のない結果に終わってるのよ、エル」

 

「それは素人がやるからでは? 主殿ならばその手の専門家を召喚できるのでは?」

 

「それしかないのかな? しかし、記憶を改竄する専門の英霊なんて………………」

 

 記憶の改竄、記憶記憶と呟きながら魔力を捏ねる。

 私が最も欲してる技能を持つサーヴァントを英霊の座に繋いで、、、

 

「あのっ!!」

 

「おぅわ!? へ? 何?」

 

 突然の大声ーーまぁ、自分の記憶をどうこうするという話だから当然だけどーーに驚いて捏ねてた魔力が霧散する。

 そのせいか召喚されそうな英霊は、その透明な姿を空気中に散らして消えた。

 

「わ、わたし、酷いことしないようにお姉ちゃんに言うから! ちゃんと止めてって言うからわたし、、、わたし……忘れたくない、です」

 

 私達という恐怖しか感じられない相手に、無理をしてでも自分の意思を通そうと涙目ながら言うその気迫に私は押されながらも、なにもしないと告げて座覇くん以外を影に潜めさせて、月村家のセ○ムを待った。

 

 

 ☆

 

 

 座覇くんに助けられてから、数時間後。

 予想外の遅さに、私と座覇くんはすずかちゃんと本当の友達になった。

 また誘拐されそうになったら助けてねと、座覇くんじゃなく私に言うすずかちゃんの頬は若干赤かった。 解せぬ。

 

「すずか! 無事!?」

 

「あ、お姉ちゃん!!」

 

「すずかちゃんから離れろ!! って、え?」

 

 そして漸くすずかちゃんのセ○ム登場。

 

 というかおっそい。 何してたんだろ?

 

 と、まぁ、そんなことを思っても言える立場と歳でもないので私達は後日また会うことを約束して、その場を立ち去った。

 帰り道、デュフフフ言いながら辺りを見渡してる同年代っぽい子が居たけど、精神的にゾワゾワしたから全力で見逃してやった。

 あと何人かマシな同類が居たし、彼らに憑いてた何人かの英霊がこっちに来たことで、召喚出来なかった英霊が召喚出来るようになった。

 なんでも妄想が激しくてやってられんだとか、(オレ)の姿を似せるだけでなく、我が宝物庫と中身を雑種が好き勝手するのは我慢できんだとか、助けてくださいメイガスだとか……なんでも転生者達の転生特典とやらで一緒に憑いてく事になったらしく、自分達の知る魔術師が近付くのを待ってとのこと。

 ちなみに憑いてた英霊が離れたら、転生特典は使えなくなるらしい。

 ……………………強く、生きてほしい。

 

 その後、能力を失った事を知った転生者達は慌ててこうなった原因は他の転生者に違いないと、まずは自分が知る転生者を疑い、次に原作組に接触する異質な存在を疑いだした。

 つまりは私と座覇くんである。

 座覇くんはモブだの私はレズだの罵倒されてるけど、そんなのは無視無視。

 実害は能力が扱えるようにと頼んだ身体能力くらいでないが、再召喚で救出した英霊達によって粛正されてる。

 酷いのなんか英雄王の能力を望んだ転生者だ。

 如何に子供好きな英雄王と言えど、中身は成人した大人だからバッサリ切り伏せてる。

 そのお陰でちょっとした騒動があったけど、犯人はいまだ見つかっておらず、今後も見つかる予定はない。

 私的に納得いかないのが、デュフフフと笑っていた転生者の転生特典が健在な事だ。

 どうやら転生特典が英霊に関する特典じゃなかったから、私の英霊救出な対象外だったらしい。

 

 

 ☆

 

 

 さて、すずかちゃん誘拐事件から五日が経った。

 座覇くんのもう一度チャンスをと言うので、チャンスを与えることになった。

 今度はそうアリサお嬢様誘拐事件に巻き込まれよう。

 今度は別の幼稚園の子なため難しいかなっと思ったけど、すずかちゃんの時と同じ要領で誘拐された。

 

 要は「アリサちゃん、大丈夫!?」「なんだガキ!? チッこいつも連れてくか!」「なっ! その子は関係ないでしょ!?」「うっせー」って感じだ。

 

 今度も一部始終を見てた小太郎くんから、遠く離れてた座覇くんへと情報が伝わり、座覇くんが動くという手筈となってる。

 そしてその座覇くんの後を私の保護者がついてくる感じだ。

 で、今回はというと……

 

「今回は間に合った。 そこまでだ! 誘拐犯!! フヒッ貴様の悪事、たとえおてん……おて……! お日様が許してもぼきゅは許しゃなひで! ひははんだ……」

 

 以前見たデュフフフ転生者だった。

 

 終わった……即失格だね、これは。

 

 私が諦めた瞬間……

 

此処(こぉこ)かぁああ!! 流派東方不敗が秘技!! 十二王方牌大車併ハイパーーーモーーードッ!! 我が忠義! 我が愛!! 我が魂の一片まで燃やして総督を御守りせん!! 酔舞(すいぶ) 再現江湖(さいげんこうこう)デッドリーウェイブ!!」

 

「「超級覇王電影弾ッ!!!」」

 

光輝唸掌(こうきおんしょう)! 日輪よ我が手に宿りて光輝けぇえええ!! 灼熱!! サァアアンシャイン・フィンガァアアアーーーーッ!!!」

 

「「光輝唸掌(こうきおんしょう)! 九龍(くーろん)よ、我が手に宿りて猛り吼えよ!! クーロン・フィンガァアアアーーーーッ!!!」」

 

光輝唸掌(こうきおんしょう)! キング・オブ・ハートよ……くっやはりキング・オブ・ハートは無理か……ならばっ!! 悪魔が如き暗黒の力よ宿れ、敵を粉砕爆発せよ! ダァアアクネス・フィンガァアアアーーーーッ!!!」

 

「「超級覇王日輪(ちょうきゅうはおうにちりん)(だぁぁああああん)ッ!!!」」

 

「逝くぞぉおお!! 流派東方不敗が最終奥義……石破天驚拳!!」

 

 ああ、なんということでしょう。 人知れない港は座覇くんのやりすぎで崩壊。 一緒に拐われたバニングス嬢は気絶してるし、デュフフフ転生者と誘拐犯の姿が見えないし、ここは撤収しとこう。 うん、これはヤバイ。

 

 と、言うわけで私は気絶してるバニングス嬢を公園の遊具に背を預けさせ、家へと帰った。

 あ、崩壊した港はクーフーリンさんのルーン魔術で元に戻りました。


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