小学生になった。
順調にすずかちゃんと普通の友達として付き合い続け、その隙間を縫うが如く座覇くん経由でなのはちゃんと友達になった私はギリギリのラインですずかとなのはちゃんが遭遇しない綿密な計画と小太郎くん他100名余りが陰ながらフォローした事で、あの原作3人が友達となった感動秘話のシーンが始まらなかった。
原因はただ一つ。
私に相応しい友達というちょっと何言ってるかわからない間柄になりたいすずかちゃんのやった事は、まず自分の人格の矯正にはいったのだ。
うじうじしてて自己主張をあまりしなかった子が、私に対してだけぐいぐいとそれはもうぐいぐいとスキンシップしたり、言葉もハキハキとして
ちなみに幼稚園では隠してた身体能力を座覇くんと張り合うことで、子供にしては異常な身体能力をこの子なら普通という認識にしてしまった。
まぁ、私から座覇くんに合わせるよう言ったんだけどね。
そのお陰か、バニングス嬢はうじうじしないすずかちゃんのリボンを取ることはなく、見覚えがあって集団から離れて見てる私のリボンにターゲットを変えてリボンを奪う瞬間、
「大丈夫? アリサちゃん」
「あ、あんた……」
「しっ! 静かに、奴らに気付かれる」
「奴らって誰よ……そ、うじゃなく……けほっ」
「いけない、思ったより苦しそう。 保健室に連れていかないと! そもそもなんで私にちょっかいかけたの? 此処に通うほどの頭があるなら、私がキチガイ共に守られてるって理解してるでしょ?」
如何にもバニングス嬢の事を心配してる風に周囲に聞こえるように言いながら、私はさらにバニングス嬢に顔を近付けないしょ話をする。
その際、テンテンテンと、何かが落ちて此方に転がってくるのを後ろから感じ取り、振り返ると光を一切感じない目をしたすずかちゃんがガン見してた。
恐い。
しかし、なんだろう……果てしなく嫌な予感がする。
「シ、シシシシッ!! シングちゃんとバニングスさんがき、きききキス、フッ!!」
ズシンと鈍い衝撃音と震動。
青紫色の瞳だったすずかちゃんの瞳は
ハハッ笑っちゃうよね、私……すずかちゃんに依代召喚なんてしてない。
つまりはこの惨状はすずかちゃんによる素の実力……死ねる。
ちらりとバニングス嬢を見ると泡吹いて倒れてた。
もうダメかもしれないと思ったけど、バニングス嬢が倒れてるならなんとかすずかちゃんを抑えることが出来る……といいな。
「ちょっと落ち着こう、すずかさ」
「さん!?」
「い、いや、すずかちゃ」
「ちゃん!?」
え? 私、今まですずかちゃんって呼んでたよね? え、間違ってる?
「す、すずか……」
「なぁに? シングちゃん」
私に呼び捨てされたことが嬉しかったのか、漫画なら台詞後に音符がついてるような声色でおとなしくなった。
もっとも目はいまだに爛々と輝いてるけど、下手したら死を覚悟せねばならない。 いや、死なないけども……。
「私とバニングス嬢は、キス」
「キス! 口付け!! 接吻っ!!!」
「ちょ、声、声大きい……」
え、なに? 説明させてくれないの?
「私もシングちゃんと……」
「ちょ、ちょっと待ってねぇ! 待って、お願いなんでもするから」
「いくらでも待つ!」
あ、うん。 なんでもするって言うとほんとこんな事になるから気を付けよ……。
「あのね、すずか。 お友達ではキスはしな」「親友!!」
「あ、うん。 私も親友だと信じて疑わない「だったら!」………………」
こえぇぇ……。
「親友でもしないかなぁ……あれは好き「大好き!」あってる……うん、親友としてだよね? 同じ好きでも「大! 好きなの」うん、大好きでも恋人同士じゃないとダメなの」
「そ、そん……な……あ!」「女同士じゃ恋人関係になれないから恋人にはなれないよ!」
かっこ一部の人達は除くかっことじる。
「じゃあ、バニングスさんとキスしたのはなんなんですか!」
「してないから!! それともすずかは私の言葉を信用出来ない?」
「してます!」
すずかちゃんの目の輝きが収まりつつある事に、ホッと胸を撫で下ろす。
「デュフフフ……ユリユリでしゅなぁ」
「ユリユリ?」
と、思ったらすずかちゃんの目が輝きだした。
クッソ、デュフフフ転生者ッ!!!
「はい、すずかちゃ「シング、ちゃん?」……すずかはあっちで私と遊ぼうねー」
「うん!」
はぁ、原作の友達シーンどうしよ。
☆
翌日。
私はすずかに壁ドンされた。
後ろからパラパラとビシビシと壁の破片が落ちる音と
おかしい、依代召喚……してないよね? わたし……。
しかも昨日の放課後では収まってたアカい目の光が、昨日以上に輝いていた。 恐い。
「で、どうかした?」
「家でユリを検索したら
「あー、その分だと意味も……」
「調べたの!!」
ビカーッ!!と目がさらに輝く。 眩し恐い。
「そっかー知っちゃったかー……」
こんな恐ろしい状態のすずかだけど、実はこんな事態は予想していた。
こうなっては仕方ないと、私は覚悟を決めている。
「ならしょうがないな……」
「え、えっえ、え! ええっ!!」
近すぎるすずかの顔を、頬を撫で、顎に移動させクイッと上げて、すずかの唇を舌で舐めると、すずかの目がぐるぐると泳ぎだす。
さらに追撃としてすずかの唇を唇ではみはみしたり、あっと開いた口の中に無理矢理舌を入れて、そこでボンッ!とすずかの顔が真っ赤になった。
「ふふっギブアップしたかにゃー」
「な、なにやってんのよ! 人前で!!」
「あ、バニングス嬢おはよう」
「おはようじゃなーい!! おはよう」
私のゆっる~い挨拶にツッコミをいれるも、挨拶を返してくれるバニングス嬢。
それよりもっと、バニングス嬢は自分の事をバニングス嬢じゃなくアリサと呼びなさいと言ってきた。
「え、嫌だけど」
「え?」
「え? なんで?」
「え、だって友達でしょ?」
「え?」
「え!?」
「友達? 誰と誰が?」
「私と貴女がよ!!」
「嘘でしょ?」
「そ! れ! は! わ! た! し! の! セ! リ! フ! よ!!!」
叩けば響くとはまさにこの事なのだろう。
バニングス……アリサちゃんは本当に面白い子だなぁ。
「その意気ですずかとも友達に」
「嫌よ。 だってその子恐いもの」
「……………アリサちゃん、すずかが恐いからと言って、友達になりたくないなんて好き嫌いしたらダメだよ?」
「いや、好き嫌いって問題じゃないと思うんだけど?」
「すずか……アリサちゃんと友達になるなら、今日はお泊まり会でも」
「アリサちゃん、私と友達。 OK?」
「は、はい……」
私のこの一言で、気絶してるフリしてたすずかは勢いよく起きて、アリサちゃんを私から離して小声で強迫紛いな事を言って友達になった。
うん、お泊まり会を餌にしたとは言え、アリサちゃんには悪いことしたかも、だが私は謝らない。
あとはなのはちゃんかな。
今のままだと座覇くんに依存しきっちゃうからなぁ。
☆
結果、私のソレは杞憂だった。
夜、お泊まり会を開いた私はすずか、座覇くん、アリサちゃん、なのはちゃんと開いたらちゃんと原作最初の三人娘となった。
「さて……あと何年かで大きな事件が起きるんだけど、どうしよ?」
「関わらなくてもよいのでは? 重要なのはその次」
「ああ、闇の書なんてふざけたモンが優先だ」
「そうだね。 僕らが居ない時、随分と勝手な事をしてくれたみたいだしね」
「ですが、そのお陰で娘と会えた……感謝はしますがそれは前回見逃した事で終わり」
「はい。 次は徹底的に滅菌させてあげます」
「僕も真の英霊になれたら、力になれたのですが……すみません」
「段蔵らの力では、彼の書の邪気には耐えられませぬ」
「申し訳なく……」
「んー? 真の英霊って簡単じゃん。 こうすれば良いんだよ、やー」
《HS/フェゴールの上限が愛にて突破しました》
《HSから真の英霊・フェゴールへと転臨しました》
「え? うそ!? なんで!?」
「いやー、ゼボちん以外に私を本当の姿にする人居ないと思ったんだけどなー。 案外シンちんの抱かれ心地と抱き心地はゼボちんと同じだからなー」
「それでも愛情を持つには弱くない?」
「ワタシにとってゼボちんと同じってのは大切なんだぞ」
「そうなの!?」
「そうだぞー」
「静謐のならば、マスターに尽くす愛はあるだろうが、我らには難しいものがあるな」
「ぼ、僕も……難しい、です」
「段蔵も、です」
「でもそうなるとフェゴールも働くことになるよ?」
そう真の英霊状態とは、マスターに対する忠誠心或いは愛によって至れる境地で、そこに至った英霊は令呪の縛りはないがマスターの心からの命令には絶対に従うモノなのだ。
「シンちんは優しいからなー。 だからシンちんが頼ってくれるならなんでもしてあげるぞ。 大丈夫、姉上は強いんだぞ」
強いのはステイタス見てわかってる。
ま、フェゴールが私を認めてくれたのはうれしい。
さぁ、始めようか、闇の書さん。
どちらが生きるか破壊されるか勝負だ! ただしお前が負けたらネブレイドだ。
このすずかは清姫と融合していません。