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「さて、アレン・ヴィルム君。君には選択肢があるわけだが…どうする?」
アレンの前で椅子に腰掛け、肘を立て、組んだ両の手の上に顎を載せる白髪の老人が、静かにアレンを眺め続けていた。
――――――――――――――
キングとの死闘を終え、ドロシー達共和国側の隠れ家に到着した。
外見は他の建物と変わらず、どこも変哲もない只の家のようであった。、
しかし中は違う。
様々な諜報員が、出入りをする。別名『コントロール』と呼ばれる。
アンジェとドロシーは躊躇うことなく、ずんずんと中に進み、一つ、ドアの前で止まった。
ドロシーがコンコンッとノックし、
「DとA、ただ今、帰還しました」
と声をかけると、中から低い声で、入れと聞こえた。
ドアを開け、中に入る二人にアレンは続いた。
中に入ると、席の奥に白髪の老人と目が合った。
その老人はアレンを一目みて、片眉をあげた。
手前には軍服を着た、ガタイのいい男。
向かって右側には、妙齢と思しき綺麗な女性と、小太りの男が一人座っていた。
「任務は無事に果たせたようだな」
白髪の老人がまず、最初に口を開く。
「ふん、いったいいつまで時間をかけるつもりだったんだか」
ガタイのいい男が、嫌味を口にする。
アレンは少し、腹が立ちそうになったが、相手にしない二人をみて、少し黙ることにした。
「確認だが、君がアレン・ヴィルムでいいな?」
「ん?…ああ、俺はアレン。アレン・ヴィルムだ」
「君のことは、色々と調べさせてもらった。その上で聞こう……我々に
「…………何故だ?」
「恍ける必要は無い。今、君が単身、王国に反旗を翻そうとしているのは知っている。しかし、単身では分が悪いだろう。だから、我々と協力しないか?」
「俺はーーー
「君の身体については知っているよ〜」
「っ!?」
突然、これまで静かだった小太りの男が口を挟んできた。
「昔、お父上に
「これは、提案じゃない」
「「脅迫か(さ)」
「おや」
しかし、小太りの男が言うのも事実だ。
かつて戦ったキングと先程戦ったキングとでは、明らかに性能に差がある。
要するに、父、スカーの研究が進み、更なる強敵が生産されつつあるという事実を裏付けている。
「分かってるさ。でも、これは俺の戦いだ。勝手にあんた達共和国の目的とすり替えてもらっちゃ困るんだよ」
アレンの目的は、スカーが造った人造ウィルス兵器の殲滅。
共和国の目的は、王国側から覇権を奪い、革命を起こすこと。
共和国側の主張としては、「革命を起こす時に、人造兵器が邪魔になるから、倒してほしいんだけど、それなら君の目的も達成できるでしょ?」というもの。
しかしアレン個人としては「目的は
一見アレンが、我儘を通そうとしているようにも見えるが、共和国はアレンを無理矢理連れて来ている。怒るのも当然とも言えるだろう。
「やはりな。こんな奴はさっさと殺すべきだ!」
軍服の男が声を荒げて、机を叩く。
「大佐」
大佐と呼ばれた軍服の男は、怪訝そうな顔で声がした方を見た。
「なんだ、7」
「お言葉ですが、それを決めるのはあなたではないでしょう?」
「…………」
7という妙齢の女性は尻込みすることなく、堂々とした態度で意見を述べた。
「決めるのは、Lです」
『L』
おそらくだが、あの白髪の老人を指すものだろう。
「僕もそう思うな〜」
小太りの男が続ける。
「貴様は黙っていろ!ドリーショップ!」
そして、またブツブツと文句を零す大佐。
「アレン君。もう少し、考えてみてはくれないだろうか?」
「我々も、君のような重要な戦力を無駄にはしたくない」
「ん……」
アレンは少し目の前で座る老体をまじまじと見た。
白髪の頭に、彫りの深い顔立ち。
飄々とした雰囲気は無く、厳格さを感じさせる佇まい。
あくまでも、そう思わせることが目的かもしれないが。
嘘を言ってる様子はない。
正直に言って、現状では誰が味方で、誰が敵なのか全くわからない状態でもある。
この誘いを受けることで状況が打破出来るなら、悪くは無いかもしれない。
しかし、軽率な行動は命取りになる。
実際問題、もう国家レベルのところまで首を突っ込んでいるのだ。
「…分かった」
アレンはLを真っ直ぐ見ながら告げた。
「やってやるよ。仲間でもなんでもな。暗殺だろうが、捨て駒だろうが、関係ない。1度は捨てかけたこの命。アンタらのために使ってやる」
「その言葉を待っていたよ」
Lはこう言った後、ドリーショップと呼ばれた小太りの男を見た。
ドリーショップはその太い指でパチン!と指を鳴らした。
すると、部屋の外から白衣を着た人達が数人やってきた。
「君の任務服だ。何か必要なものがあれば、ドリーショップに頼むといい」
渡された衣服は、膝まである黒いロングコート、灰色のシャツ、黒色のカーゴパンツ、同じく黒色のベルトブーツだった。
「任務についてはDに伝える。誰がいつ、君を狙っているかわからない。常に気を引き締めて行動するように」
L達、上層部はさっさと部屋を退室していった。
気が付いた時には、アレンはドロシーが運転する車に乗り込んでいた。
「まぁそんなわけで、よろしく。アレン」
ドロシーは運転席からアレンに声をかけた。
「ん?あ、あぁ。よろしく」
「因みにそっちのぶっきらぼうがアンジェだ」
「……」
「よろしく」
アレンはアンジェをみて、そう言った。
アンジェは返事こそはしなかったが、小さく頷いた。
どうも、玉響です。いつもながらの不定期更新すいません。今回でようやく、アレンを共和国側と引き合せることができました。ここから原作に沿ったストーリーを展開していこうと思います。これからもよろしくお願いします!