亜種聖杯戦争 ~God's penalty~   作:あいますく

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9話 小休止

「キャスターをこっち側に…ね。」

永治先輩はスマホを操作した。どうやら院都さんにメッセージを送っているようだ。

「そろそろ作戦会議でもしようと思ってたんだ。明日、19:00に大学に来い。アサシンが何か掴んだかもしれない。」

「わかりました。」

 

その夜、セイバーが改まって話してきた。

「言いそびれていましたが、一つ忠告を。」

「何だ?」

「あなたはライダーのマスターを殺せますか?」

「えっ?」

「…聖杯戦争は大抵、マスターが生き残ることはありません。」

「な、なんで?サーヴァントが殺し合うんだろ?」

「私達が現界出来ているのはマスターからの魔力供給があるからです。逆に言えば、マスターがいなければ、サーヴァントは数日で消えてしまうでしょう。」

「…だからサーヴァントより殺しやすいマスターを狙う…と。」

「はい。改めて問います。ライダーのマスターを殺せますか?」

「…」

俺はしばらく黙っていた。

セイバーはじっとこちらを見ていた。

そうして俺は、悩み抜いた結果を伝えた。

「無理だ。出来るならば誰も殺したくない。」

「…何故ですか?」

「罪もない人間を殺すのは嫌だ。ただ、それだけだ。」

「……」

「覚悟ができてないのはわかってる。だけど、永治先輩にも、出来るならアーチャーのマスターも死んで欲しくない。」

すると、セイバーは誇らしい顔つきになってこう言った。

「…それでこそ私のマスターです!」

「えっ?」

「もし殺せるなんて言ったらマスターのこと逆に殺してましたよー。」

「ええっ!」

「…私があなたに呼ばれたのは触媒となったこの刀ではなく、別の理由だったのかも知れませんね。」

「どういう事だ?」

「そういう事です!さあ、夜も遅いですしマスターは寝てください!私はいつも通り見張ってますから!」

「はあ。おやすみ。」

 

 

翌日、19:00。

俺と、永治先輩と、院都さん。

3人は重苦しい空気の中、作戦会議を始めた。

「まず、お互いの収穫を話しましょうか。」

俺たちは、アーチャーの真名と宝具、ランサーの真名と思われる名を伝えた。

「なるほど、ウィリアム・テルと本田忠勝…これは厄介ですね。両者知名度はかなり高い。ライダーの真名がバレてしまったのも手痛い。」

「いや、ライダーの真名はバラしたかったんだよ。」

永治先輩はにやりと笑ってそう言った。

「何故?」

「ライダーの宝具はいくつかある伝説の道具を取り出すってものだ。つまり宝具に満たない様な神秘の寄せ集めだ。」

「だからこそ単一の対策が取れない…という強みはありますが…」

「…まあ、ライダーが脅威であるってことが伝われば十分さ。それで、そっちは?」

「残念ながら、バーサーカーのマスターの少年を発見しただけですね。それと、キャスターのマスターらしき人間も。」

「どんなやつだ?」

「アサシン。直接見たお前が伝えるといい。」

そう言うと、アサシンが現れた。数日前より少し疲れている様子だった。

「バーサーカーのマスター。名前は凪城立海。中学生かな。」

それを聞いた永治先輩は戸惑っていた。

「中学生!?…いや、中学生だからバーサーカーを野放しにしているのか…?」

「で、そいつの推理によると、聖堂学院高等部の駆都撫子がキャスターのマスターらしい。確かに家には結界が張ってあったし、その可能性は高いね。」

「で、重要なキャスターは見つからなかったのか?」

永治先輩が聞くと、アサシンは首を横に振って消えた。

「と、この程度です。申し訳ありません。」

「いや、十分だ。」

永治先輩は少し溜めて、院都さんに言った。

「滝原の提案なんだが…キャスターをこちら側につけるのはどうだ?」

「…不可能ではないでしょう。ですが、どうやって接触するんですか?」

「…とりあえずキャスターのマスターの家に行ってみるしかないな。」

「では3人で行きましょうか。いざとなればアサシンの気配遮断スキルが役に立つでしょう。」

 

「ここ…か。」

家は、至って普通の一戸建てであった。しかし、魔術師でない俺でもわかるくらい違和感を感じた。

「…結界とは言えども、この程度なら簡単に破れそうだな…」

「もしかしたら罠ということもありますので、慎重にいきましょう。」

院都さんがそういった直後、聞き覚えのある声が聞こえた。

「あら。お久しぶりですわね。セイバー、ライダー。それに…初めてお会いしますわね。アサシン。」

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