亜種聖杯戦争 ~God's penalty~ 作:あいますく
「え…?」
セイバーの言ったことが俺には理解出来なかった。
「ああ、これは私の直感なのでもちろん違うかもしれませんけど、何だか普通の人間ではないような気がして。」
「…そうか…その事は他の奴らに伝えた方がいいか?」
「いえ、混乱を避けるため伝えない方が良いかと。ただ、マスターには子供だからといってあまり油断しないように伝えようかと思いまして。」
「なるほど…ありがとう。」
「マスター。おやすみください。今日は疲れたでしょう。」
「ああ。ありがとう。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
その日、俺は夢を見た。
港町であの怪物が暴れ回っていた。
そこに、いくつもの爆音が鳴り響く。
突如、夢が変わった。
あのバーサーカーのマスターがあの怪物に姿を変えたのだ。
そいつは俺に鋭い爪を振りかざした。
「…っ!」
目を覚ました。時計を見ると深夜2時。
セイバーが声をかけてきた。
「大丈夫ですか?随分魘されていたようですが…」
「悪夢を…見た…大丈夫だ。もう大丈夫。」
「…差し支えなければどのような夢か教えていただけますか?」
「…えっと…思い出せないや。ごめん。」
「いえ。大丈夫です。」
「それじゃあ、おやすみ。」
「ええ。今度見る夢はいいものでありますように。」
聖堂学院
緊急の全校集会が行われた。
神妙な面持ちのふくよかな男性が全校生徒の前に立った。
「…昨日駆都撫子さんが亡くなっていました。非常に残酷な強盗犯に殺された様です。未だ犯人は見つかっていません。皆さんも重々気を付けて下さい。」
少年は周りの生徒のひそひそ話を聞いていた。
「気をつけろって…どうしろってんだよ。」
「駆都撫子ってあの黒魔術部の?魔法に失敗したんじゃないの?」
「俺はアイツが悪魔を召喚したって聞いたぜ。」
集会が終わった後、少年にシスターが話しかけてきた。
「授業が終わったらすぐ懺悔室に来なさい。」
授業後、凪城、弥栄、広辻が懺悔室に集まった。
「…で、何のようだ。またお説教か?」
「…本当にあなたは…!」
「まあまあ、お姉さんもお兄さんも落ち着いて。話すことはキャスターについてだよね?」
「そうね。キャスターのマスター、駆都撫子が死んだ。」
「それがなんだよ。最初からキャスターはこっち側じゃないんだろ?関係ねえよ。」
「問題はそこじゃないわ。」
「じゃあなんだよ。」
「彼女の家に見張りをつけてたんだけど急に使い魔からの映像消えたの。それで駆けつけたら結界が破れてて家の中は血だらけ。それに1階は焼け焦げてた。殺害以外の目的があったのは確かよ。」
「キャスターが自分の工房を破壊したってことはないですか?」
「…じゃあキャスターはこれまで何をして、これから何をすると思う?」
三人の間に沈黙が流れる。
「…ああ!そんなこと考えるより全員倒した方が早い!」
そう言って広辻は出ていこうとした。
「待ってください。広辻庚さん。」
「なんだよ。」
「僕の考えはこうです。キャスターは準備が整った。だから作戦を実行に移す時が来たってことです。」
「…キャスターは何をする気だ?」
「長い時間準備が必要なことです。」
「…話にならんな。」
そう言って広辻は出ていった。
去ったあと、アーチャーが姿を現した。
「つまりお前はマスターに気をつけろと言いたかったんだろ?」
「はい。直接言っても取り合ってくれなさそうだったので。」
「俺からも言っとくよ。少年、お前はなかなか賢いな。」
そう言って、アーチャーは消えた。
「キャスターはそんな単純なことをするかしら。」
「さあ。でも、最悪のパターンがそれですから。それじゃあ僕も失礼しますね。」
一人残された懺悔室には隙間風が流れ込んでいた。