亜種聖杯戦争 ~God's penalty~   作:あいますく

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13話 在りし日の

私は英霊になど、なれない存在だ。

 

私は生前、人を斬っていた。

逆賊を斬り続けていた。

 

あの人を追いかけていた。

いつまでもいつまでもあの人になろうとしていた。

 

そうして一心不乱に追いかけ続け、私に追いつけるものが居なくなってしまった。

 

私の記憶には、それ以外にもある。

 

それは《《私が見たことのない記憶》》だ。

 

娘と戯れる自分。町娘に焦がれる自分。己の利己心のままに人を斬る自分。

 

でも、その記憶には共通点があった。

 

記憶の持ち主の全てが、私と共に戦ったことがあるのだ。

 

ああ、きっと私も『不完全な』召喚だ。

 

そうでなければ、私に彼らの記憶はないのだから。

 

きっと『あの場所』そのものが私を依代に呼び出されたのだ。

 

それでも、それでもまだ。

私たちは『不完全』なのだろう。

 

私は、私たちは、あまりにも知られていない。

英霊としての知名度が限りなく0だ。

 

いくら私たちが力を持っていたとしても、これでは英霊にはなれない。

 

私は私の記憶たちに問いかける。

 

「何故あなた達は私を依代としたのか。」

「私たちより、『彼ら』こそ英霊に相応しいのではないのか。」

「何故私たちはここに存在できるのか。」

 

返事は返ってこない。

 

知っていた。私はその問の全ての答えを理解していた。

 

私が呼ばれたのはあの刀のおかげだ。私の足りないところを補うように彼らが着いてきてくれたのだ。

 

『彼ら』が英霊に相応しいのは当然だ。そこは一人一人が英霊なのだ。

 

そして、私たちが存在出来るのは、きっと『彼ら』の存在があるからだ。

 

私たちと袂を分けた『彼ら』。

『彼ら』の名はあまりにも有名すぎた。

私たちの名を聞いて、『彼ら』と関連のある組織だと誰もが思うだろう。

だからこそ、名の知れない私たちも英霊となれたのだ。

 

そう。その問の答えなど要らなかった。

 

ただ、私は確かめたかった。

 

私の仲間たちは私を赦してくれるのかを。

私より優れた者が多くいながら、私という小娘にその魂を預けることを認めているのかを。

 

今、目の前で眠っている男を見る。

この事は彼にも伝えていない。

私自身が、そのような事はありえないと思っていたからだ。

 

しかし、ライダーの不完全な召喚や、バーサーカーのマスターに対する違和感が、私を惑わせた。

 

この戸惑いが、私の疑いを確信に変えた。

 

 

私はマスターに、もう一度、静かに名乗った。

 

私は、新徴組の隊士、中沢琴。

 

そして、新徴組そのものである。

 

私はあなたの剣であり、

 

私たちはあなたのために、この命を捧げましょう。

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