亜種聖杯戦争 ~God's penalty~   作:あいますく

2 / 30
1話 召喚の儀

土曜、17:50。

俺は三須華大学についた。

事務員さんに砂木教授の部屋を聞くと、少し眉をひそめたが、案内してくれた。

その途中、事務員さんが話しかけてきた。

「あの…もし気を悪くされたら申し訳ないのですが…」

「なんですか?」

「その…砂木教授はあまりいい噂を聞かない人で…気をつけてくださいね。あ、ここです。」

事務員さんはそう言うとそそくさと立ち去った。

「いい噂を聞かない…ね。」

時計を見ると17:55であった。

オレは3度、ノックをした。

「誰だ。」

奥から初老の男性の声がした。

「八戸切gameの滝原です。招待状を見て来ました。」

「…入れ。」

「失礼します。」

 

教授の部屋の中を一言で表すなら、不気味が正しいだろう。

ホルマリン漬けになったコウモリのようなものや、猫の解剖図なんかが貼ってある。

 

「よく来たね。わたしはここで人類について研究している砂木だ。座りたまえ。」

「人類…?この猫とかコウモリは?」

「趣味だ。」

そう言うと砂木教授はニッコリと笑った。

「君を呼んだ理由について、知っているかね?」

「確か…戦いに参加するとかなんとか。」

「その通り。」

砂木教授は椅子から立ち上がってこっちに歩いてきた。

「聖杯というものを知っているかね?」

「いえ…」

「知らなくても良い。君は魔術師ではないからな。」

そう言いながら、俺の前のソファに座った。

「端的に言えば…なんでも願いが叶うものだ。」

「そして、君にはその聖杯を手に入れるために参加してほしいのだよ。」

 

「『聖杯戦争』にね…」

 

「ちょっと待ってください。本当にそんなものがあるんですか?」

「ある。いや、もっと詳しく説明しなければならないかな。」

そう言うと、棚から丁重に一振りの刀を取り出した。

「これは、無銘の刀だ。」

「はあ。」

「しかし、名は無くとも歴史は詰まっておる。」

「そうですね。」

「…この世にこの刀の持ち主が再び現れるとしたら君はどう思う?」

「…どうって、どうも思いませんよ。そんなことありえないんですから。」

そこで、教授は深く呼吸をすると、こう言った。

「この世に、魔術は存在する。」

「…は?」

「一般人として生きてきたキミは知らないだろうが、魔術が存在しているんだ。」

「聖杯は魔術の完成系のようなものでね、それを求めて7人が戦う。」

「しかし、聖杯は過去の英雄を呼び出すんだ。ピッタリ7人。その呼び水としてこの刀を用意した。」

教授は刀の鞘を撫でた。

「なんで英雄を呼び出すんだ?」

「詳しいことはわからんが…そういうものだと思ってくれ。」

「…俺は魔術の存在を信じられない。目の前で見せてくれ。」

「なら簡単だろう。わしの見立てではこの刀に触れれば令呪を宿すはずだ。」

「令呪…?」

俺は半信半疑ながら、刀に触れた。

その時、触れた右手の甲が痛んだ。

「痛っ!」

右手の甲を見ると、アザのようなものが浮かんでいた。

「それが令呪。そしてそれが、魔術だ。」

「これが…?」

「刀を持って裏庭へ行くといい。今なら人も少ない。」

「そこで何をするんだ?」

「召喚の儀だ。この紙に呪文は書いてある。」

「はあ。」

「君はマスターとしては半人前ではあるが、佐々見君によれば魔術回路はそこそこのものがあるらしいしな。」

「佐々見社長も魔法使いなんですか?」

「魔法使い…正確には魔術師だが…まあいい。彼は私の元で魔術の研究を手伝っていただけだ。早く行きたまえ。考えるよりまず行動だ。」

 

裏庭には魔法陣とその奥に大きな四角い石が置いてあった。

「ここに刀を乗せれば良いかな。」

そして、呪文を読み上げた。

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公…」

魔法陣が光り始めた。

これが魔術…

「抑止の輪より来たれ。天秤の守り手よ。」

詠唱を終えた直後、その場に突風が吹き荒れた。

 

風が止み、魔法陣を見た。

すると、そこには和服を着た人間がいた。

石の上に置いた刀を見ている。

「お前は…誰だ?」

そいつはこちらを振り向いた。

美しい容姿をしていた。男とも、女とも取れるような。

その人は、片膝をつき、こう言った。

「サーヴァント。セイバー。召喚に応じ、参上しました。」

「問いましょう。貴殿が私のマスターですか?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。