亜種聖杯戦争 ~God's penalty~   作:あいますく

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24話 主従の槍

「自害しろ、ランサー。」

重い、重い、一言。

きっとキャスターはランサーが自害しても弥栄を殺すだろう。

「ランサー!気にしないで!こいつを早く…うっ!」

キャスターは弥栄の腹に拳を打ち込んだ。

「マスター!」

「おっと、それ以上近づくならこいつの命はないぞ?」

キャスターは気を失った弥栄の首を握り、力を込める。

「やめろ!」

「なら、さっさと自害してもらおうか…」

「この…!」

ライダーが再び飛び出す。

先程より鋭く、重く剣を振り下ろす。

キャスターは弥栄を盾にした。

「っ!」

ライダーの動きが鈍る。

キャスターは拳を打ち込む。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ライダーは数メートル先まで吹き飛ばされてしまった。

「ライダー!」

「マスター…私は…」

セイバーはこちらを見る。その目は怒りを顕にしていた。

「今は…ダメだ…」

「ですが…」

「…何か…何かチャンスがあれば…」

焦り。1歩引いて考えれば、方法があったのだ。

だが、俺には、その時の俺には何も思いつかなかった。

「ランサー。」

ルーラーがランサーに近づく。

「そいつに近づくな!近づけば殺す!話しかけても殺す!」

キャスターは叫ぶ。

「…っ。わかりました。」

ルーラーも、引き下がるしかなかった。

 

全てはランサーの判断に任されたのだ。

 

ランサーは苦悩の表情を見せる。

 

キャスターは弥栄の首にかけた指の力を強くする。

 

「……あああああああ!」

ランサーは叫び、槍を高々と掲げる。

 

その槍は空の星々の、地上の海の輝きを受け、煌々と輝いている。

その鋒をランサーの身へ向ける。

 

この時だった。俺は見えたのだ。宇宙から老父が戻ってきているのだ。しかし、それはあまりにも、遅すぎた。

 

ランサーは、蜻蛉切(宝具)を心臓に突き立てた。

 

槍は、天下無双のその身に深く刺さり、鮮血は二又に裂ける。

 

「よくやったぞ!ランサー!」

キャスターはランサーの横に弥栄を放り投げる。

その衝撃で弥栄は目を覚ましたようだ。

「ラン…サー…」

「マスター…貴女は…2人目の…我が君主だ…」

「そんな…」

「初めは…貴女を…君主と認められなかった…だが…貴方の采配は常に正しかった…」

弥栄は涙を流す。消えゆくランサーの手を握る。

 

ランサーは深く、深く、息を吸い、その魂を吐き出すように辞世の句を、彼の最期の言葉を告げた。

 

「死にともな……嗚呼…死にともな……死にともな……深きご恩の……君を思えば……」

 

ランサーは、消滅した。

遺された槍は地面に突き刺さった。

 

「ランサー…」

 

その時だった。先の黒い弾丸のような魔術が飛んでいった。

 

やはり、キャスターは約束なんて守るつもりはなかったのだ。

 

断末魔さえ聞こえなかった。

 

そこに残ったのは、静寂と、身体だけのシスター。

 

そして、その首から放たれた十字架が、ランサーの槍にあたり、重い二人の死の金属音が鳴る。

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