亜種聖杯戦争 ~God's penalty~ 作:あいますく
「マスター、下がって。」
その場の全員が、目を覚ました少年を見ていた。
「…」
少年はムクリと起き上がり、周りを見渡す。
「ああ、そういうことか。」
その声は、凪城立海のものではなかった。
そして、ニャルラトホテプのものでもない。
「すまないね…ニャルラトホテプが勝手な行動をとったようだ。」
少年は改めて、深々と頭を垂れる。
「我が名はキャスター。その真名をラヴクラフト。」
「ラヴクラフト!?」
確かに、彼はラヴクラフトと言った。
ルーラーは問を投げた。
「…一つ、いいですか。なぜあなたはニャルラトホテプをその身に宿らせたのですか?」
「…この少年は、自らの血と肉を触媒として私を呼んだ。しかし、私にはこの死にゆく少年は見捨てられなかった。だから『
ラヴクラフトは天を仰ぐ。
「まさか、ニャルラトホテプに意思が宿るとは…本当に申し訳ないことをした。」
「…もう…霊器が限界か…最期に一つ、聞いてくれ。セイバー。聖杯戦争の勝者よ。」
「なんでしょう。」
セイバーは前に出る。少年の姿の彼に目線を合わせる。
「…聖杯は…いや、聖杯の欠片はもうない。あいつは神格を召喚するのに使い切ってしまったんだ…すまない…」
「…いいえ。あなたが謝る必要はありません。」
続いて、俺たちの方を向き、伝えた。
「君たちも…危ない目に遭わせてしまったね…迷惑ついでで申し訳ないんだが、この子の、いや、この戦争で死んだマスターの埋葬を頼めるか?」
俺は反射的に答えた。
「もちろんだ。安心して還るといい。」
それを聞くと、無邪気に笑い、
「ああ、ありがとう。これで少しは償えたかな…」
少年は気を失った、いや、死んだのだ。
亜種聖杯戦争はここに終結した。
俺たちは遺体を運び出し、大学へと向かった。
空は白み始めていた。たった一晩しか経っていなかった。
ルーラー、セイバーはそれぞれアーチャーのマスター、バーサーカーのマスターの遺体を連れてきた。
俺がセイバーを召喚した場所。
そこに4人の遺体を埋葬した。
沈痛な時間が流れる。
ルーラーが静寂を破る。
「それでは、我々も座に戻りましょう。」
セイバーはこちらを向き、伝えた。
「マスター、これまでありがとうございました。本当に、私にとっては最高のマスターでした!」
「…初めは、何が何だかわからなかった。でも、いつもお前に助けてもらった。俺こそ、ありがとう。また、会えるかな?」
セイバーはそれを聞くとキョトンとし、笑った。
「私とまた会うと、また命を危険に晒すことになるんですよ?フフッ。でも、私も、再び聖杯戦争に呼ばれるなら、また共に戦いたいですね。」
英霊の座への退去が始まる。
「マスター、本当にありがとうございました!」
「ああ。ありがとう!さようなら!」
ルーラー、セイバーは消えた。
こうして、俺達の戦いは終わった。