亜種聖杯戦争 ~God's penalty~ 作:あいますく
女性は歩いていた。
彼女の後ろには、鎧をまとった武者がいた。
「ランサー。バーサーカーはいる?」
「いいえ、気配は感じません。」
「…逃げたか?」
「…!いえ、近づいてきます!」
ランサーが身構えると、そちらからロリータ衣装の少女、バーサーカーが現れた。
「よく来たわね、バーサーカー。」
「いいえ、私はバーサーカーじゃありませんわ。私にふさわしいのは…追跡者…チェイサーと呼んでくださいまし。」
「ランサー。バーサーカーを片付けなさい。」
「応!」
ランサーは鋭い一閃をバーサーカーに放つ。
「待ちなよ、ランサー。」
「誰だ!」
ランサーは槍を声のした方に向けた。
闇の奥から制服を着た少年が現れた。
「バーサーカーを虐めちゃダメだよ?僕達仲間じゃないか。」
ランサーのマスターは少年の方に向かい、言った。
「君は誰だい?」
「僕は凪城立海。聖堂学院中等部2年生。バーサーカーのマスターだよ。」
それを聞いたバーサーカーは、激怒したように叫んだ。
「違いますわ!私のマスターはこの方じゃありません!」
「バーサーカーは自分のこと狂ってないとか言うだろ?自分のマスターも認めたくないんだってさ。」
「いいえ!いいえ!私はあなたに忠誠を誓ってなどいません!」
「…ま、どっちを信じるかはあなたに任せるよ。ランサーのマスターさん?」
ランサーのマスターは少し考えた後、尋ねた。
「…一つだけ聞かせて。私が今日すれ違った女子生徒は確実に令呪を持っていた。彼女がバーサーカーのマスターでは無いの?」
「違う違う。彼女はキャスターのマスターだと思うよ?あの人、学園唯一の黒魔術部員なんて呼ばれてるからね。」
「黒魔術部員ね…なら、君は何故ここにいるの?」
「あなたがあの人にいつもの場所とか言ってたから多分そうなんだろうなーって。僕がたまたま通りかからなかったらただの変人だったよ?そんな事より、なんでバーサーカーを攻撃するの?」
「彼女は魔術の秘匿を破っているわ。」
「バーサーカーは驚かせているだけだろ?それに見た目はただの少女だ。」
「…そうね。私の早計だったかもしれない。」
凪城はニコッと笑うとランサーのマスターに近寄った。
「あなたは聖堂教会のシスターさんって所かな?名前を教えてよ。」
「…確かに、私は聖堂教会から派遣されました。名前は弥栄美玲。」
「ってことは仲間じゃないか!僕達で争うのは無意味だろ?」
そう言うと、バーサーカーが急に叫んだ。
「いいえ!その男は仲間などではありません!その男は…」
そこまで言うと、凪城はバーサーカーの方を見て、優しく問いかけた。
「君は、君自身の弱点をよく分かっているはずだよね?」
バーサーカーはその言葉を聞くと急に黙り込んでしまった。
「話の途中でごめんね。なかなか言うことを聞いてくれなくて。」
「いや、いい。そもそもバーサーカーと会話できるだけでもマシだと思いなさい。」
「そうだね。で、僕達は仲間なんだから敵がいるってことだよね?敵は三須華大学かな?」
「…君はよく知っているね。三須華大学に3騎サーヴァントがいる。セイバー、アサシン、ライダーだ。」
「対するこちらはランサーとバーサーカーの2騎。敵にはセイバーもいるし不利だね。」
「いや、高等部の生徒がアーチャーのマスターだ。数で言えば同じ。いや、キャスターのマスターをこちらに引き込めれば数で勝る。」
「なるほど…じゃあ僕はそろそろ帰るよ。明日も学校だしね。」
「…そうか。ランサー。私達も帰るよ。」
「しかし…バーサーカーはどうします?」
ランサーがバーサーカーの方を見ると、バーサーカーはきっと睨み返した。
「いいわ。今は見逃しておきましょう。戦力は多い方がいい。」
「…了解。」
「ばいばい。お姉さんたち。」
「バーサーカー。君は自由にしていていいよ。」
「…」
「それじゃ。」
凪城は元来た方へ歩いていった。
バーサーカーは夜が開けるまで、立ち尽くしていた。