十六夜が省エネに目覚めたそうですよ!?~灰色キャンバスと一縷の光~ 作:浜ナギの月
なかなか打ち込むのに時間がかかります。タイピングスキルを手軽に上げる方法はないでしょうか。
ここで一つ訂正がございます。前回の問題の答えを後書きで書くつもりだったのですが、諸事情があって物語の最後に載せることにしました。
まあ些細なことなど気にせずに、どうぞお読みください。
箱庭外 地球
★
五月晴れ。
本来旧暦の5月(皐月)からきたことばで、梅雨の合間の晴れのことを指していた。
つまり6、7月だ。
しかし現在の気象庁は新暦の5月の晴天と定義している。
言葉は絶えず移り変わり、恐らくやれ若者言葉だのなんだのと騒がれている言葉も数十年後には常識として用いられているのかもしれない。
だが、今考えているのはそこではない。
この気持ちのいい天気
なんと表現するべきか。
川辺に香る初夏の気配を感じながら俺、逆廻十六夜は一人寝転がっている。
初夏というからには今は5月。
五月晴れを使いたいものだが本来の語意と異なっているのなら使わないほうがいいだろう。
故に、
本日ハ晴天ナリ
と言うしかない。
見れば太陽が暖かな日差しを投げかけている。
これはまさに俺に思考を中断しここで寝ろという神のお告げではあるまいか。
ん、太陽の黒点が増えてきている。
奴は俺の代わりに活発に働いてくれるようだ。
太陽の黒点は、周囲よりも温度が低いがために黒く見えている。
それが増えてきているということは太陽が氷河期にでも入ったのかと思いきや実は太陽が活発に動いている証拠らしい。
せいぜいこのうららかな日差しを保っていてくれ。
何はともあれ言いたいことはただ一つ。
「幸せだ・・・」
〝疲れることならばやらない〟 〝欠かせないことでも省エネで〟
俺の二大(?)座右の銘だ。
人類はいまや〝働かざる者食うていける〟まで進歩してきた。
この世は金。金さえあればなんでも手に入る。時間も、怠惰もだ。
更に好都合なことに俺の義母である金糸雀は無駄に金持ちだ。
故に俺は省エネライフを死ぬまで堪能できるというわけだ。
では省エネの第一歩〝睡眠〟に入るとしよう
・・・・・・・・・・・・
「うるせぇ!」
もちろん大声で言ったわけではない。こんなところでエネルギーを消費するわけにはいかない。
だがそのせいで相手方には聞こえなかったようだ。
その相手方というのは、背中に刺繍と気合の入った長ランを着た不良の集団。
中心には彼らが集団で暴行を加えた少年が泣き寝入りで土下座させられている。
「おい、おめぇこの程度で済むと思うなよ。」
「死なない程度にいたぶってやるからよ」
「ひっ……!」
少年はがくがく震えながら達磨のようにしゃがみこんでいる。
すると、その少年と目があった。
だが、助けも求めずにまた丸くなる。恐らく俺の瞳が冷め切っていたからだろう。
俺が見ず知らずの奴のためにエネルギーを使うわけがない。
さて、これからどうしようか。
もう一度横になるか、このまま帰るか。
俺の睡魔がこの程度の騒音に負けるわけがない。
だがその一方で一度立ってしまったら動かないといけない気もする。
しょうがない、続きの昼寝は家でするか。
少年?生きていればいいことあるさ。
「・・・ん?」
ひゅう、と。少年を見捨ゴニョゴニョ少年がさらに強くなるための特訓を施しつつ足を踏み出すと、同時に横薙ぎの強風が吹いた。
風と共に舞った一枚の封書が不自然な軌道を描き、鞄の合間を縫うようにひらひらと投書される。
「・・・なんだ、今の」
不可解な軌跡を描いた封書を手に取ってみた。封書には達筆でこう書かれている。
『逆廻十六夜さまへ』と
♦
暑い、暑すぎるわ。
真夏なのに正装だもの。それにいくら私が久遠財閥のお嬢様 久遠飛鳥だからと言っても、わざわざ大爺様の為に日本の端まで呼び出されるなんて。
それも一言で終わり。
大爺様も大爺様よ。こんな簡単に賛成するならもっと早く決めておきなさいというものよ。
時代の流れには逆らえないことを最も知っているのはあの人でしょう。
ああもう、蝉の声すらも鬱陶しい。
「黙りなさい!」
ピタリと鳴き止むとはこのことね。まあ、いつものことだから気にしないけど。
なんで人でも動物でもYESしか返せないの。
今からでも家出してみようかしら。きっと、もっと面白い人たちにも会えるだろうし・・・。
あら?何故机の上に封書が
「飛鳥お嬢様。冷たいお飲み物を」
「ねえ貴方。つかぬことを聞くけど、私がいない間に誰か部屋に入った?」
「いえ、この部屋の鍵はお嬢様しかお持ちでないので」
「そう・・・そうよね。いいわ、下がって」
出入り可能な場所は全て調べたわ。何れも使われた痕跡なし。つまり、
「・・・ふふ、何方か知りませんが、密室殺人ならぬ密室投書とは気に入りました」
封書には達筆でこう書かれていました。
『久遠飛鳥さまへ』
♣
季節が紅葉前線に差し掛かる頃。
「た、大変やお嬢!空から手紙が降ってきた」
「・・・空から?」
一瞬冗談かと思ったが、この様子だと、三毛猫は嘘をついていない。
先に断っておくけど、三毛猫は別に怪猫の類ではない。私、春日部燿が特別なのだ。
「お嬢。早く開けて下せえ。好奇心の余りストレスで禿げちまう。」
「しょうがないなぁ」
着替えかけていた着物を一旦脱ぎ、いつもの私服 スリーブレースのジャケットとショートパンツを着直す。
三毛猫が禿げるのは困る。
はやく、はやくと三毛猫が急かし立てている。
すぐに着替え終わり、三毛猫の持ってきた手紙の封を切ってみた。
そこには、
『悩み多し異彩を持つ少年少女に告げる。
その才能ギフトを試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界のすべてを捨て、
われらの〝箱庭〟に来られたし』
前回の問題の答え
〝from Monday till(by) Sunday〟
「え?それってあり!?」
「あら、十六夜君。月から日まで全部書いたの」
「普通そう思うだろ、てか一応これでも正解だろ」
「残念。契約書類をよく見なさい。〝真意〟を謎解けと書いてあるでしょ。つまり私が意図した答えじゃないといけない。問題にもちゃんと〝月曜日から日曜日まで〟を英語に直せって〝〟で示唆しているじゃない」
「ああ!ほんとだ。なんか違和感あったんだがそれか。くそっ、今回は俺の負けか。次は俺が問題を出す番だな。絶対間違えさせてやるから」
『ギフトゲーム名 〝十六夜の月と金糸雀の詩〟
・プレイヤー一覧 ここまで読み進めてくださった読者の皆さん
・ホスト側ゲームマスター 十六夜
・プレイヤー側ゲームマスター 金糸雀
・プレイヤー側勝利条件 一、十六夜の月の真実と真意を謎解け。
・プレイヤー側敗北条件 一、勝利条件を満たせなかった場合。
二、次話を読まなかった場合
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗のもと、〝浜ナギの月〟はギフトゲームを開催します
〝浜ナギの月〟印』
問題 Level ①
今、金糸雀は三百円を持って自販機の前に立っています。
そして120円の○○ジュースを一本買うことに決め、お金を入れて買いました。
さて、お釣りはいくら出てくるでしょうか
今回もお読み頂き、ありがとうございました。
十六夜についてはぐだぐだと書いたのに、残りの二人の分は・・・
それについては初めに書いた通り、すっとばしていきます。ファンのみなさんすみません。
次回予告 三人がご対面!会って早々黒ウサギは・・・
では、さよならなのです