十六夜が省エネに目覚めたそうですよ!?~灰色キャンバスと一縷の光~   作:浜ナギの月

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「わっ」

「きゃあ」

「・・・はぁ」


視界が開けたとき、俺達は上空4000mほどの位置にいた。
眼前には見たことのない風景が広がっている。
視界の先には世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。
眼下に見えるのは、巨大な天幕に覆われた未知の都市。
目の前に広がるこの世界は・・・・・完全無欠に異世界だった。






√9話 ノーネームあるところ、召喚されても問題児

箱庭 東の端の方

 

 ★

空は青い

 

太陽の光は地上に届くまでに、待機中の水蒸気・塵・ゴミにぶつかって屈折し、いろいろな方向へ飛んでいく

そんな中で青色は特に散乱しやすい

以上の理由より、地球上では基本的に空は青いのだ。

では、なぜ海は青・・・いや、そんなことを考えている場合ではなかった。

何故なら俺の座標はZ軸方向におよそ4000正だからだ。

わかりやすく言おう

 

上空4000m程の位置から落下中だからだ。

 

しかも迷惑なことに一人でではない。周りを見れば女が二人に猫が一匹。

 

さあて、助けるべきか

 

少し考えよう

 

俺は体より頭を動かす派なのだ。考えた結果動かなくても良くなった事例は山ほどある。

 

経験に則し、考察を始めるとするか。

 

まず第一事項として、俺は謎の招待状によってこの苦境に立たされている。

つまり、

 

招待者側が何か救済処置を施してくれている可能性が高い!!!

 

というか何も無ければもこれはもはや招待ではなく傷害である

・・・できるだけ音を似せたものの全然うまいこと言えない

 

えーこほん。先の仮説が正しいかどうか、確かめてみよう。

体を回転させて下を向くと、水膜が三十枚も貼ってあった。さらにその下は湖だ。

 

・・・計算中・・・計算中・・・計算中・・・

 

どうやら、ギリギリ無傷で陸に上がれるようだ。

もうちょっと余裕を持とうよと突っ込みつつ、結局働かずに済んだことに感謝する。

勿論あの水膜は油断させるトラップで、近づいたら消えるという可能性もないことはない。

寝るのは止めておくとするか。

 

上空4000mからの自由落下では、地表に届くまでだいたい15分。

ここまでの思考を10秒で終わらせたので、残りはおよそ15分。

眼下に広がるこれは何と言うのかは分からないが、仮に惑星Xとしておこう。

 

惑星Xよ、精々頑張って俺を地表にたどり着かせてくれよ。

 

動かなくても移動できるとは素晴らしい。

一つの矛盾を今。俺は超越することができたのだ!

・・・一体俺は何を言っているのだろう。気を取り直して、この何もしなくてもいい時間を楽しむとしよう。

 

 

 

・・・何か忘れている気がする。

 

この感覚を感じなくなって随分久しい。よもや空から落下中に再会するとは。

俺は知っている。

この感覚に襲われたが最後、絶対になにか重大なことを忘れていて、かつ絶対に思い出すことができないことは今までの経験から帰納的に確定されてるのだ。

だが思い出せないとは分かっていても思い出す努力をしてしまうことも帰納的に確定されてしまっている。

しょうがない。残り15分これに費やすとするか。

 

 

 

そして、トウトウ、思い出した!

 

だがやはり確定事項を塗り替えることはできなかった。

 

何故なら実際には、ボチャーン!と水中に突っ込んだあとに

 

「あ、ヘッドホン」←さっきの閃きここ

 

勿論、時既に遅し

防水機能など装備していないヘッドホンは湖の水に蹂躙され、

 

壊れた。

 

 

 

 

 

 

時は十六夜達の召喚まで遡る

 

箱庭 東の端の方 草叢の中

 

 ♥

黒ウサギでございます

今、新たな同士の召喚を待っています。

・・・えーと、やって来たようですが、まず一つ言いたいことが。

なんで空から降ってくるのですか!

あ、あ、ああ。三人とも水中に落下してしまいました。

皆様、大丈夫でしょうか

・・・どうやら全員無事なようでございますよ!

ホッと胸を撫で下ろしたところで、本来の目的である視察を始めるとしましょう。

 

 

 

あれから十分が経ちました。

今までに分かったことをまとめてみましょう

 

まず三人の名前

男の方が逆廻十六夜さん

上品そうな雰囲気の方が久遠飛鳥さん

猫を抱えている方は春日部耀さん

 

そしてどうやら、三人とも状況適応力はなかなかあるようでございます

なんと、三人とも陸地に上がった直後から、

 

大事なことなので二回言います

 

陸地に上がった直後から、

 

罵詈雑言を吐き捨て始めたのです!

これで無いとは言わせませんよ!

 

・・・み、耳が痛いです。ついでにお腹も痛くなってきてしまいました。

 

罵詈雑言の一つ一つがグサッときます。

 

出るタイミングも完全に見失いました。

 

も、もう限界です!

 

次の会話が終わったら、諦めて出ることにしましょう。

 

 

 

「みんなは、今更 招待者側の人がノコノコ出てきたらどうする?」

 

燿さんが危険な質問を投げかけました。ですが、ここで聞いておいたほうが後で言われるよりも心の準備ができていいかもしれません・・・

 

「俺は、1週間何もしなくてもいい時間を与えるように要求する」

 

ん?今チラッとこっちを見たような・・・気のせいでございますね。

 

「・・・何もしないなんて退屈になるだけじゃないの」

 

「俺は幸せだ」

 

「そう、変わってるわね」

 

今思い出しましたが十六夜さん。あなたはギフトを持っていない、普通の学生じゃなかったのですか!なんでこの状況で落ち着いていられるのですか!

 

黒ウサギのツッコミなど意ともせず、と言っても聞こえていないので当たり前ですが、飛鳥さんが会話を繋げます。

 

 

「そうね、要求するとしたら・・・私、前から噂の〝メイド〟なるものが欲しかったの。一週間メイドとして奉仕してもらうとしましょう」

 

そ、それは由緒正しき箱庭の貴族である黒ウサギとしては絶対に受理できない要求でございます!

それにしても今度は飛鳥さんがチラッとこちらを見たような気がしたのですが・・・

 

「春日部さんはどうなの?」

 

「私は美味しいご飯をお腹いっぱい・・・一週間ぐらい食べられればそれでいい」

 

な、なんといい子なのでしょう!

一週間強制メイドの前では普通の要求でも神のご考慮のように感じられます。

ですが、困ったことに、黒ウサギのコミュニティは・・・

燿さんの願いが一番良心的なのに、最も実現が難しいだなんて、なんという皮肉でしょう。

それより、やっぱり今こちらをチラっと見たような・・・

 

その時、十六夜さんがため息交じりに

 

「・・・仕方がねえな。面倒臭そうだが、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「当然。気配を隠すつもりはないらしいしな。そっちの猫を抱いてるやつも気づいていたんだろ?」

 

「・・・風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

やっぱり、あの視線は気のせいではなかったのですね。まあそれのおかげである程度の心の準備ができてよかったですが。

その代わり、三人の視線に生命の危機を感じます。禍々しく冷ややかそれは、どう解釈しても黒ウサギに向けられたものでしょう。

ここは、明るく繕って、

 

「や、やだなあ御三人様。空から落ちたのは、黒ウサギのせいではありませんよ?それと、その狼みたいな目で見るのをやめていただけません?ええ、ええ、孤独と狼はウサギの天敵と、相場は決まっているのでございます。そんな黒ウサギの繊細な心臓に免じてここはひとつ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「却下」 飛鳥

 

「拒否」 耀

 

「多数決の結果。その案は否決とする」 十六夜

 

「あっは、息ぴったりですね♪」

 

なるほど、三人とも肝っ玉は及第点でございます。

十六夜さんも、この状況でNOと言える勝ち気があれば恩恵が無くても十分やっていけると思われるのですよ。

さて、これからどう接すれば・・・

 

あれ、どうしたのでしょう。

燿さんがキョトンと首を傾げて黒ウサギの隣まで歩み寄り

 

「えっと・・・なんでしょうか?」

 

「・・・えい!」

 

「フギャ!」

 

イタイ、痛いです。黒ウサギのウサ耳を思いっきり引っ張られました。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!まさか初対面でいきなり遠慮無用に素敵耳を引き抜きにかかるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる業」

 

「自由にも程があります!」

 

「あら、このウサ耳って本物なの?」

 

え?と思った時には既にウサ耳を掴まれ

 

「・・・あなたはやらないの?」

 

「俺は今から寝ることにした。じゃ、おやすみ」   

 

本当にグースカ眠り始めてしまいました。

 

「じゃあ遠慮なく」

 

「何が遠慮って、ちょ、ちょっと待!!!」

 

飛鳥さんが右、耀さんが左と左右に力いっぱい引っ張られ、黒ウサギは悲鳴を・・・如何ほどのものだったかは、ご想像にお任せするのですよ・・・

 

 

 

しかし悲劇はこれだけでは終わりませんでした。

黒ウサギがショックから立ち直り、それでは箱庭についての説明を、と思って顔を上げると、

 

「(∪。∪)。。。zzzZZ」

 

一人、爆睡しているお方が居りました。勿論十六夜さんです。

いえ、爆睡というのとは少し違いました。何故なら

 

「十六夜さん、起きてください!」

 

「zzz」

 

「起きてください!!」

 

「zzzzz」

 

「起きてください!!!」

 

「・・・只今」

 

「起きた!!!」

 

「・・・起床することができません。ご用件のある方は、ピーという音に続けて、お名前とご要件をお話ください」

 

「・・・・・・ピーは!?これじゃ残せないじゃないですか!なんですかこの不良品留守番電話もどきは!」

 

ハリセンで突っ込んでも「zzz」すら止めません。

他の二人は、と思って辺りを見渡すと

 

あれ?

 

いない!

 

「どこに行っちゃったのですか問題児様方!」

 

黒ウサギの叫びは・・・今回もご想像にお任せするのですよ・・・

 

 

 

 

 

「あ、ありえないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うのに違いないのデス」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

どうやらこの事態に陥った原因の大部分が十六夜さんの睡眠にあると自覚も反省もしていないようでございますね。

飛鳥さんと燿さんは近くを探検していただけですぐに見つかりましたけれど、まあ十六夜さんが起きない起きない。

もう殺意を覚えるレベルでした。

 

それでも、

 

どうにか、

 

半ば本気の涙を瞳に浮かばせながらも、

 

黒ウサギは話を聞いてもらえる状況を作ることに成功したのでございますよ。

 

ああ、いい響きです。もう一度、

 

〝黒ウサギは話を聞いてもらえる状況を作ることに成功したのでございますよ〟

 

こほん、感傷に浸ってる場合ではありませんでした。

三人は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、話を『聞くだけ聞こう』とういう程度には耳を傾けています。

 

「それではいいですか、御三人様。定例文で言いますよ?十六夜さん、寝ないでください!いいですか?さあ、言います!ようこそ、〝箱庭の世界〟へ!我々は御三人様にギフトを与えられた者たちだけが参加できる『ギフトゲーム』をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、あなた方は皆、普通の人間ではございません!・・・若干一名普通の人も入っていますが・・・『ギフトゲーム』はその〝恩恵〟の力をそれぞれが発揮し、競い合うためのゲーム。そしてこの箱庭の世界は、強大な力を持つギフト保持者が自分の力を最大限に開花させ、オモシロオカシク生活する為に作られたステージなのでございますよ!」

 

両手を広げて精一杯アピール!

 

「そして、御三人様は皆、数多とある〝コミュニティ〟に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

即答でした。しかし、ここで折れるわけにはいきません。

 

「だめです。御三人様は皆、黒ウサギの・・・コホン。数多とあるコミュニティに属していただきます!」

 

「嫌よ」

 

「属していただきます!!」

 

「・・・嫌」

 

「属していただきますと言ったら属していただきます!!!」

 

はぁ、はぁ、プレゼンがこんなにもハードなものだとは・・

ええと、どこまで話しましたっけ・・・まあ、雰囲気で分かるでしょう。

とりあえず続けます。

 

「そして、ギフトゲームの勝者は〝主催者〟が指定した賞品を得ることができます」

 

「・・・主催者って誰?」

 

「修羅神仏の試練からコミュニティの独自開催まで、難易度も様々でございます。なお、後者には参加のためにチップが必要な場合もございます」

 

「チップには何を?」

 

「金品から恩恵までありとあらゆるものでございます」

 

「そう、なかなか野蛮ね。でも、面白そうじゃない」

 

よかったです。この世界に興味を持っていただけたようでございます。

んーと、もう質問はないようですね。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、新たな同士候補である皆さんをいつまでも野外に出してくのは忍びない。ここから先は、我らのコミュニティに入ってからお話しさせていただきたいのですが・・・よろしいです?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

今まで静聴していた十六夜さんが突然声を上げました。

でも、表情はさっきまでと同じくやる気のなさがにじみ出ているので特に身構えること無く聞き返します。

 

「どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

「そんなものはどうでもいい、腹の底からどうでもいいぜ。そういうことじゃなくて黒ウサギ、………オマエ、何か決定的なことを隠しているよな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★

俺の最も嫌いなもの、疲労。

疲労というものは、大きく二つに分けられる。

肉体的疲労と精神的疲労だ。

肉体的疲労とは、体を実際に動かした時に溜まる疲労のこと。

精神的疲労とは、頭を動かした時に溜まる疲労のこと。

どちらも睡眠をとることで大抵は取り除くことができる。

そして幸運なことに俺は基本的に精神的疲労を感じない。

勉強に対しての〝金糸雀〟の教育が良かったのだろう。

そういう訳で、推理するのは嫌いじゃない。

むしろ、人よりも先のことを考えることで、省エネに繋げることが可能なのだ。

黒ウサギが話している間も頭の片隅でその真意を図っていた。

推理したことを見せびらかすのは趣味ではないし、説明するのは疲れるから嫌いだ。が、話が進まないので、掻い摘んでお教えしよう。

 

 

 

黒ウサギの話から分かること。

 

まず一つ目

〝黒ウサギは俺のことを恩恵を持っていない(もしくはすごく弱い)奴だと勘違いしている〟

これについては簡単に分かった。

黒ウサギが話の初めの方に「若干一名普通の人も入っていますが」と小声で呟いたからだ。

俺はかなり耳がいい。どんなに小声で話したことも、絶対に聞き逃しはしない。

しかもアイツは呟く直前にちらっとこちらを見た。今まで殆どほかのふたりを見ていたにも関わらず、だ。

確定できるわけではないが、80%ぐらいの確率であたっていると思われる。

 

二つ目

〝黒ウサギのコミュニティは弱小のチーム〟であるということ

黒ウサギはコミュニティに入れ!嫌だ!の応酬の際「黒ウサギの・・・」と言いかけた。

話の流れからして「黒ウサギのコミュニティに属して貰います!」と言いたかったのだろう。

それに最後の方には〝新たな同士候補〟とか〝我らのコミュニティに入ってから〟とか言っている

また、奴は必死だった。

そして最大の決め手は、〝自分のコミュニティの宣伝を全くしなかった〟ことだ。

「名前を名乗らない奴は後暗いことがあると昔から決まってる」、と金糸雀に断言されたからきっとそうなのだろう。

これらのことから推測されるのは上に示したものと、〝俺らには他のコミュニティを選ぶ権利がある〟ということだ。

ほかの可能性もあるが、いろいろな観点から消去された。それについていちいち話していくのは疲れるし無意味なことだ。

 

 

 

このような旨のこと(分かったこと二つ目)をもう少しわかりやすく話したら、その返しが

 

「・・・十六夜君って意外と知性派なのね。見かけからは考えられない」

 

・・・随分とモノをはっきりと申されるお嬢様らしい。

こういう方の対処法は、ズバリ皮肉で返す

 

「その通り!俺は知性派なので労働のために指一本動かすつもりはありません。そういう訳で、

 

「あら、私は貴方の代わりになんか働かないから」飛鳥

 

「働かざる者食うべからず」燿

 

問答無用。隙がないとはこのことか

 

「・・・・・・・」黒ウサギ

 

「で、どうなの黒ウサギ。十六夜君の推理に穴はなさそうだけど。沈黙は是也とも言うわよ。私達がほかのコミュニティに行ってもいいの?」

 

あ、俺の人生に関わる要求についてもう少し交渉の余地を・・・

 

「や、だ、駄目です!いえ、待ってください!」

 

ダメですか、だがこれで終わるわけには・・・ん?違う話か

 

「だから待ってるじゃない。ほら、さっさと話しなさい」

 

「・・・分かりました。それでは黒ウサギもお腹をくくって、精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」

 

そういえば、俺の当初の目的は黒ウサギのコミュニティについての詳細な状況を知ることだったっけ。

仕方ない。交渉は諦め、情報収集に徹することにしよう。

 

なになに?

 

ふむふむ、

 

ふんふん。

 

さて、省エネを極めるために黒ウサギの話をまとめてみるか。

 

黒ウサギのコミュニティは三年前〝魔王〟に〝主催者権限〟を使われてゲームに強制参加させられ、負けた。

因みに箱庭での〝魔王〟とは〝主催者権限〟を悪用する奴全員を指すらしい。

そして、その魔王にコミュニティとして活動していく為の全てを奪われ、名前も旗印も無くなり、その他大勢、という蔑称の〝ノーネーム〟がコミュニティ名となった

その時からコミュニティの最終方針が〝魔王から誇りと仲間を奪還する〟になった。

 

「いいわね、それ」

 

おっ!決断早いなお嬢様

 

「……は?」

 

「HA?じゃないわよ。協力するって言ってあげているのよ。もっと喜びなさい」

 

「・・・私も、黒ウサギのコミュニティでいい」

 

「え・・・あ、あれ、今の流れってそんな流れでございました?」

 

「そんな流れだったわよ。だって、魔王退治なんてかっこいいじゃない」

 

おい、その理由死亡フラグがプンプンするんだが大丈夫か?

 

「私は、ここに友達を作りに来ただけだし。何処のコミュニティでも同じ。強いて選ぶなら少し仲良くなった黒ウサギのいるコミュニティのほうがいい」

 

「あ、あ、あ、ありがとうございます!!!!!」

 

黒ウサギは嬉しそうにウサ耳をピョコピョコしている。喜怒哀楽は耳にも現れるのか

 

「春日部さん。そういうことなら私が友達第一号になってもいいかしら。私たち正反対だけど、うまくやっていける気がするの。」

 

「え?あ、うん。よろしく、飛鳥」

 

飛び回っている黒ウサギを横目に、女子二人は友達となったらしい

 

ふーん。二人は入るのか。

とすると答えは一つ

 

「俺も入ってやるぜ」

 

「ありがとうございます!」

 

やっぱり喜びの度合いが少ない。

俺が使えない奴だってのは確定的だな。

まあそれのおかげで黒ウサギの不意をついて楽に白状させられたのかも。

それにうまく立ち回れば省エネを極めることができるかもしれない。

使えるものは使えわなくては

 

因みに俺が入った理由は

「弱小ならきっと仕事も楽なものだけだ。それに、ちょっと働くだけでコミュニティのためになる。そしてそれを恩に着せて仕事をさぼる。いざとなったらリ-ダーにでもなって楽しよう。どうせリーダーも雑魚だし」

という黒ウサギには言えないものだったがそこはご愛嬌ということで

 

「ところで黒ウサギ、お風呂って入れるよね?」

 

春日部がいきなり尋ねる。

そうか、こいつは食事と風呂さえあれば生きていける、という類の人間か。俺の友にもそんな奴いたなぁ。

 

「え?」

 

嬉しさのあまり踊っていた黒ウサギの動きが止まる。

え?まさか、無い?

 

「えっと………すみません。黒ウサギのコミュニティにはお風呂に使うだけの水が・・・」

 

マジか!水不足なのか

でも考えてみたら可能性がないわけではない。

地球でも金がなければ水にありつけない、というところがたくさんあるし

 

「でもこのままじゃ風邪をひいてしまうわ」

 

「風邪についてはもう遅いと思うけど・・・お風呂がないのはちょっと残念」

 

「すみません。でも、銭湯があるので、今日はそこを使っていただきますから大丈夫です!」

 

そう、それならまだ許される。

でも水不足はちょっと問題だな。

「何か水を生み出せるような恩恵は存在しないのか?」

 

「あるといえばありますがお風呂を作るぐらいの水の量とすると・・・一番近いところでは蛇龍様が持っている水樹でしょうか」

 

「「「蛇龍?」」」

 

龍、だと・・・

 

「ええ。トリトニスの大滝の近辺の水神の眷属で、蛇と龍の高位生命でもあり、しかも神格持ちというヒジョーにお強いお方です。しかし、世界の果て付近にあるということもあり、一番近いとは言っても何キロも先でございます」

 

「そうか、龍がいるのか・・・」

 

「いえ、龍とはいっても蛇との混血でかなり蛇の血が濃くなっているので本物とは程遠いと」

 

「それでも龍には変わりないわ。そのトリトニスの大滝というのはどのように行けるの?」

 

「ここからまっすぐ東に進めばありますが、あいにく乗り物のようなものは無いので途方もなく時間がかかりますね」

 

「黒ウサギ、トリトニスの大滝って、綺麗?」

 

「ええ、とても綺麗でとにかくでかいらしいですよ。しかし、やはり距離があり、本当の物好きか暇人じゃないと見には行けませんが」

 

「そう。残念」

 

「大丈夫です。箱庭には皆様が見たことのないような凄い景観など山のようにありますので。ギフトゲームに勝ち進んでいけば、必ずトリトニスの大滝に負けないくらい素晴らしいものを目にすることができる、と黒ウサギは保証いたします♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の問題の答え

 

〝80円、30円、0円の何れか〟

 

 

 

「十六夜君。私がこんな簡単なものに引っかかるわけないじゃない」

 

「あ、ああ。だが30円と0円ってのはどこから・・・」

 

「え?80円は私が100円玉を三枚持っていた時に出てくるお釣り。120円のジュースを買うのにわざわざ300円も入れないから。

30円は50円玉があって丁度20円になる組み合わせがない場合のお釣り。

0円は120円を丁度支払うことのできる場合のお釣りね。

問題文からはどのパターンかわからないし、私は別にいつも持って行くお金を決めているわけではないから、答えはこの三つだと思ったのだけれど・・・どこか間違ってる?」

 

「え?いや、そんなことはない俺も答えとして80円、30円、0円の何れかというのを用意していた別に80円だけが答えだとか思っていなかったしゴニョゴニョ」

 

「ふーん。まあいいわ。十六夜君がそう言うなら今回も私の勝ちでいいわね」

 

「次は絶対勝つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギフトゲーム名 〝十六夜の月と金糸雀の詩〟

 

 ・プレイヤー一覧 ここまで読み進めてくださった読者の皆さん

 

 ・ホスト側ゲームマスター 金糸雀

 

 ・プレイヤー側ゲームマスター 十六夜

 

 ・プレイヤー側勝利条件 一、金糸雀の歌声の真実と真意を謎解け。

 

 ・プレイヤー側敗北条件 一、勝利条件を満たせなかった場合。

             二、次話を読まなかった場合

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗のもと、〝浜ナギの月〟はギフトゲームを開催します

                               〝浜ナギの月〟印』

 

 

 

問題 Level ❷

 

 

6,2,8,2,10,18

 

ある規則に則したこの数列

このあとに続く数字を3つ上げよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回もお読みいただきありがとうございました。
更新遅れてすみませんでした。ここひと月忙しかったもので。
前回の問題、意味不明になっていたので修正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

次回予告 蛇龍様がご登場してすぐに・・・



では、さよならなのです



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