性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。 作:藤 都斗
何この美味しい状況。
なんか段々と皆でアタシを取り合ってるように見えて来たんだけど。
え?妄想?
コレもしかしてアタシの妄想?
だがそれから、口論やら何やらで終始ずっと佐助に姫抱っこされ続け、ようやく解放されたのは、それから一時間後くらいに“慶次が来たから今日は宴会しよう”と決まった時だった。
…うん。
いい加減肩凝るわ!!!
まぁそんな訳で今夜は宴会となったのだった。
なんで宴会なのか毛ほども理解出来ない。
そして勿論、アタシも強制参加らしい。
何故なのか毛ほども理解出来ない。
自主鍛練の途中で幸村に『カズハ殿も共に参ろうぞ!!!』とか拉致された。
「…アタシ酒飲んだ事無いんだけど」
だって現代日本人だから。
「なんと!なれば尚更ご一緒に飲み明かしましょうぞ!」
「えぇ…いや、あの…」
「さぁさぁ!こちらでござる!」
とかそんな感じで広間へ引きずられて行った。
アタシの意思は完全無視らしい。
一応上司だから従うけどさ。
てゆかアタシ部下の部下だから元々拒否権なんて無いんだけどね!!!
「カズハ殿を連れて参りましたぞぅお館様ァァァァァ!!!」
「うむ!!そうか、楽しめよ幸村!!!」
「勿論で御座いますお館様ァァァァ!!!」
うぉぉおお!!!とか叫びながら武田さんに報告する喧しい幸村。
その間アタシは放置。
何コレ。
「お、カズハちゃん鍛練終わった?」
「その前に此処に連れて来られたわよ。なんなのアンタの主」
渡された酒をお猪口でちびちび飲んでいた所へ声を掛けて来た佐助に、思わず半眼で告げる。
…さすがは日本酒…苦い…!!!
アルコールなんて慣れてないから舌がピリピリする!!!
でもきっとコレは高い酒だから飲まなきゃ勿体ない訳で。
ゆえにちびちび飲んでいる訳である。
「あはは~やっぱりそうなった?」
「やっぱりとか思ったんなら止めろよ。アンタお目付け役でしょ」
「え~、だって面倒臭い、っ何すんのカズハちゃん!?」
クナイぶん投げたら普通にビックリされた。
折角のアタシの攻撃は、指でクナイ挟んでサラっと防御されたけど。
「え?喧嘩売ってたんじゃ無いの今の。」
「今喧嘩売ってどうすんのさ。
それに折角の宴なんだからどうせなら飲み比べ勝負とかで良いじゃん。」
「…別に良いけど、アタシ今まで酒飲んだ事無かったから、何が起きるか解んないわよ」
「…へぇ。そうなんだ?」
「まぁ飲む機会が無かっただけなんだけどね」
そう言ったら、小さくふぅん、と返って来た。
視線を巡らせれば、広間の向こうの方で三日月男と慶次が酒を酌み交わしてるのが見える。
なんか楽しそうだけど嫌な予感がするから混ざりたくは無い。
「カズハよ」
不意に武田さんがアタシに声を掛けて来た。
「なんでしょう武田さん」
「済まぬが酌をしてくれぬか?」
おぉ、お酌か。
…あんまりした事無いけど、良いか。
武田さんはダンディーだし、きっと三日月男みたいにセクハラなんてしないだろう。
飲んでいたお酒をお膳の上に置いて、とりあえず武田さんの側に正座し、近くの徳利を手に取った。
ちなみに幸村は、なんかはしゃぎながら慶次達の所に混ぜて貰いに行ってしまったので、この場はアタシと武田さんのみ。
武田さんの持った赤い盃に酒を注ぎながら、武田さんに視線を送った。
「…其方に尋ねたい事がある」
「へ?、あ、はい。なんでしょう」
不意の質問に面食らっていたら、武田さんは盃を傾け、ぐいっと飲んでから告げた。
「其方は…、異世界から来たと聞いたが…」
「あ、はい。そーです」
「…ふむ。そうか」
そこで途切れる会話。
きっと三日月男が言ったんだろう。
あのおしゃべりデリカシー無し男め。
まぁ、ホントの事だから気にしないけどさ。
そして、会話は途切れたまま、騒がしい音を耳にしながら、二人の間に訪れる静寂。
ただし、聞こえて来る喧騒はめちゃくちゃ五月蝿い。
......ん?あれ、武田さん?それだけ?
「聞いても良いか?」
「何をでしょーか」
また、暫くの沈黙。
一体何なんだろう。
「其方の居た場所はどのような所だ?」
え、どんな…って…えーと…どんなだっけ?
暫く考えてから、アタシは告げた。
「……えーと…、…色々な技術に優れてたりしますが、本質はあんまり此処と変わりませんね」
ゲームの中とはいえココも日本だし。
一番の違いは戦が無い事くらいか…
「カズハよ。」
「はい」
「辛くは無いのか?」
武田さんの問いに、ちょっと固まってしまった。
辛い、って、佐助のスパルタ鍛練の事だろうか。
だったら凄い辛いけど。
…いや、きっとそうじゃない。
武田さんはアタシの事を心配してくれてるんだろう。
アタシは文化も何もかも違う見知らぬ土地に放り出されたようなものだから。
…優しい人だなぁ。
こんな中途半端なアタシを心配してくれてるなんて、幸村が心酔する訳だ。
「…大丈夫です。アタシ意外と楽しんでますから」
「そうか。…あまり、無理はせずとも良いぞ?」
まるで子供をあやす様に告げられたかと思えば、ワシャワシャと頭を撫でられた。
あんまりそんなんされた事ないから妙に照れ臭い。
「おぉそうじゃカズハ。」
「はい?」
不意にアタシの頭を撫でる手が止まった。
若干不思議に思いながら武田さんを見ると、真剣な瞳と目が合う。
「其方…幸村をどう思う?」
「幸村、ですか?、…えーと…そうですね…いつも団子食べ過ぎだと思います」
思い浮かぶのなんてそれくらいだったので、とりあえず真面目に答えたのだが、当の武田さんは驚いたような表情の後、快活に笑った。
「ハッハッハ!!そうかそうか!成る程な!」
「…なんでそんな話をするんですか?」
「うむ、幸村は其方を気に入っているようだったからな。
あ奴もいい加減身を固めたらどうかと思うての。
しかしこの調子なら先は随分と長そうじゃな!」
ん?何だって?
「其方、幸村の嫁になる気は無いのか?」
...............は?
「Wait!信玄公、そうはいかねーぜ?カズハは俺様が奥州に連れて帰るんだ」
「ハッハッハ!伊達の小伜か。良く言うわ」
「ちょっとちょっと竜の旦那!何うちの大将に絡んでんのさ」
「そうですぞ政宗様!酔っておられるのか!?」
「カズハ殿ぉ~、何してるでござるか~?」
「ハハ!なんだなんだ?こっちは楽しそうだな!よっカズハ!楽しんでるかい?」
えーと、うん、酒臭いよアンタら。
なんか収拾付かなくなってんじゃん何コレ。
「つーか幸村!アンタどんだけ飲んだの!?ベロンベロンじゃん!!」
「ぬ?そんなに飲んでおらんぞ?さぁさぁカズハ殿!其方も共に飲みましょうぞ!」
そんな事言いながら、いつもなら『破廉恥でござる!!』とか言いそうな、女の子を後ろから抱きしめる、なんて暴挙を自分からやってんだけどこの野郎。
やっぱりムッツリか。
ムッツリなのか幸村。
とりあえず皆があんまり飲め飲め煩いから仕方なくアタシも改めてお酒を頂く事にした。
しかし、勢い良く渡された徳利。
え、何コレ。
視線を幸村へ向ければ、ワクワクした様子でアタシを見ていた。
............飲めと?
え?結構あるよコレ。
しかし、いたたまれなくなるくらい見つめて来る幸村。
だああ!もう!飲みゃ良いんでしょ飲みゃ!
何かもうヤケクソになったアタシは、とりあえず一気飲みしてやった。
っうがあああ!喉焼ける!アッツイ!
「アハハ~、カズハ殿面白い顔であるぞ~?」
うっせーこの酔っ払い!!
からかってくる酔っ払い幸村にガンを飛ばすが、変化は突然訪れた。
喉を通り過ぎた筈のお酒が、胃の中で発熱したのだ。
お酒なんて飲んだ事無かったから、コレが当たり前の事なんて知らなかったアタシは、軽いパニックに陥った。
何コレ、怖い。
突然の事に思わずそんな風に動揺していると、また不意に更なる変化が表れた。
あ…アレ?
なんか物凄いほかほかして来たんですけど…。
耳が熱いし掌が真っ赤だし顔も熱い。
アレ、ほんとに何コレ?
*****
余りの事に全く目が離せなかった。
それは此処に居る皆が同じなようで、旦那なんか驚いて固まってる。
綺麗だった白い肌が、酒を飲んで暫くした途端、みるみる真っ赤になって行って、彼女は若干フラフラし始めた。
…そんなに酒に弱かったのか…
凄く意外だ。
なんかザルみたいな想像してたのに。
「…カズハちゃん?えーと大丈夫?」
とりあえず恐る恐る声を掛ける俺様
「さっ…佐助ぇ!何コレアタシどうなってるの!!?」
自分でもよく解ってないのか、思いきり慌てながら不安そうな視線を向けられた。
「えっ?、えーと…全体的に真っ赤になってるよ」
「ちょマジで!?、うっわ!!!キモい!こんなんが自分なんてマジ気持ち悪い!!!」
「騒ぐと余計酒が回るよカズハちゃん」
何て言うか…、自分で自分が気持ち悪いとかホント意味解んない子だなァ。
「アハハ!カズハ真っ赤だ!可愛いなぁ!」
「慶次ィ!アンタアタシを馬鹿にしてんの!!?
なりたくてこうなったんじゃないっつーの!!その髪根元っから引っこ抜くわよ!!!」
全体的に真っ赤だから悪態吐いても全然怖くないよカズハちゃん
「カズハ殿ぉ~!、かわいらしゅうござるぞォォオオ!!!」
「ぎゃァァァアアア!!?ちょっと何すんのいきなりィィィ!!?
破廉恥は!!?破廉恥は何処行ったの幸村ァァァ!!!」
旦那がカズハちゃんを抱きしめてグーリグリほお擦りし始めた。
…真田の旦那、酔っ払うと全体的に様々な意味で大胆になるからなぁ。
…うん、頑張れカズハちゃん。
「Hey真田ァ!テメー何気安く俺様のモンに手ぇ出してんだ、ソイツは俺様のなんだよ!!!」
「カズハ殿は物ではござらぬ!!!それにどっちかって言ったらカズハ殿は某のものにござーる!!!」
うっわー、酔っ払い同士がなんか言ってる…
しかもなんかノリ的に飼ってる動物を取り合ってる子供みたいだよ二人共…
「ハッハッハ、皆、仲が良いのぅ佐助」
「…そーですね大将。」
とりあえず相槌打っといたけどアレじゃカズハちゃん苦しそうだよ。
あー…、でもあの困った顔…。
酒が入って顔真っ赤だし、苦しいからか涙目だし、眉間に皺寄ってるし...イイね、うん。
なんてゆーか、エロい。
「ちょ…!、さ…っ佐助ェ!この二人何とかしてよ…!」
酒のせいか、今まで涙なんか見せた事無いカズハちゃんが今にも泣きそうになっている。
…うん、イイ表情。
…あーいかんいかん、いい加減助けないとだよね。
そう思った俺様は未だに口論を続ける酔っ払い達から気付かれないように一瞬でカズハちゃんを救出した。
「カズハちゃん大丈夫?」
「うあ゙ぁ…、なんか幸村にはあちこち触られるし、三日月男には乳揉まれるし、あンの酔っ払い共めが…っ!!」
あんまり大丈夫じゃ無いらしい、てゆーか何してんのあの二人。
そんでそんな事しちゃうまでってどんだけ飲んだのあの二人
タチの悪いエロオヤジ化してんじゃん
「あ~…そりゃ災難だったね。今は近付かない方が得策じゃない?」
「そうね…。アイツらがこっち来たらどうしようも無いけど…」
「どうしたのカズハちゃん。珍しく弱気だね」
「カズハ様の肝臓はかなり弱かったらしくてね…意識はこんなにもハッキリしてんのに体があんまり言う事聞かないのよチクショー…!!」
うーわ、もの凄い悔しそうな表情。
「…だったら飲まなきゃ良かったのに。」
「こうなると知ってたら飲んで無いわよコンチクショーめが、二度と飲まない」
…それもそうか。
飲む機会無かったって聞いたし。
…しっかしまァ、コレはちょっと旦那達の気持ちが解らないでも無い。
だってコレ、いつも強気で高飛車なカズハちゃんが、顔真っ赤で、涙目で、しかも自分の体を支え切れないのか若干俺様の方に凭れ掛かって来てる
俺様が忍で良かったねカズハちゃん
そうじゃなかったら旦那達と同じ事してる所だよ
性格はともかくカズハちゃん外見だけは最高だから。
「もう寝た方が良いんじゃない?」
「…そうするわ。明日あの二人に制裁を加えてやる…」
とまぁそんな感じにカズハちゃんはフラフラと立ち上がったけど、今度は前田の旦那に拘束された。
それからカズハちゃんが前田の旦那と一緒に居るのに気付いた二人が乱入して、ホントに収拾付かなくなったのは言うまでもない。
…頑張れカズハちゃん。
*****
目が醒めると、天井は見えるのに全く動けなかった
うん、まぁ予想は付いたけどさ、でも
「…何この状況」
思わず呟いた。
だってコレ有り得ないでしょ
顔を右に向ければ幸村のジャニーズフェイス
左を向けば三日月男のクールビューティフェイス
そして間のアタシは二人にがっちり挟まれていて
…うん何だコレ。
「…おーい。」
呼び掛けてみたけど爆睡してるのか反応は無し。
「…佐助。」
「呼んだ?」
呼んだら来たよ、何でだよ怖いわ、別に良いけど!
「この状況何がどうしてこうなったの?」
「えーとね、あの後酔っ払い二人が離れなかったからそのまま一緒に連れて来たの」
いやなんで一緒にすんだよ
「ん…Heyカズハ、お目覚めか?」
「うっさい黙れ。張っ倒すぞ離れろや三日月男」
「Ha…!なんだカズハ…照れてんのか…?」
「はぁ?ちょっ、なんだよコノ、まっ顔近い顔近い顔近い顔近い!!」
「むぅ…?、もう朝でござ、カズハ殿!!?」
「うぉわ幸村煩い!!耳元で叫ばないでマジで!!」
「チッ、煩い奴が起きやがったな」
「政宗殿ォ!!?ちょっ、ははははは破廉恥ィィィ!!!」
「っ!!!アタシの麗しき鼓膜が…!」
だからさホントに何この状況
スゲー耳痛いんですけど、主に幸村のせいで
「良いからさっさと離れやがれコノヤロー。
あと昨日はよくも散々な事してくれやがったなテメーらァァァァァ!!!」
「What?ちょ、オイ何を…」
「カズハ殿!!?」
横の二人の頭を掴んで勢い良く『ゴッッ!!!』と、なんか地味に痛そうな鈍い音を立て、仲良く額をゴッツンコさせてやりました。
酔った勢いでアタシにセクハラした罰だ思い知れ。
ふん!と踏ん反り返りながら、額をおさえて悶える二人を余所に、布団から起き上がる
ちなみに佐助はそれをアラアラといった様子で見ているだけだった。
オカンか。
そんなこんなで本日はそんなグダグダな起床でした。
「佐助、…アンタに聞きたい事がある」
「ん?なーにカズハちゃん」
アタシは現在、自分に宛がわれた忍烏の調教中。
いや、餌あげの途中。
実は雛から育ててます。
なんかその方が仕込みやすいんだって。
まぁそんな中でアタシは佐助に声を掛けた。
案の定佐助は特に興味無さ気だが、そこは無理矢理気にしない
「どうしてアタシに現在の情勢とかこの辺の地理とか、そーゆーのを片っ端から隠すの」
「あれ、バレてた?」
そりゃーこんだけ調べようとすんの色んな人から邪魔されたりすれば気付くよ。
うん、そうなんです。
お女中さん達や家臣の人達皆に聞いて回ったりしたけど誰一人として協力してくれなかったよ。
何?嫌がらせ?
「…そんなに知りたい?」
「隠されると余計に知りたくなるのが人間の性でしょ」
そう言ったらやれやれとばかりに肩を竦められた。
暫くの沈黙の後、佐助の口が開かれる
「…カズハちゃんさ。人、殺した事無いでしょ?」
確かにそうだけどそれが何さ
「…今のカズハちゃんなら人だってすぐ殺せる。実力だって忍として申し分ない。
でも、情勢とか教えたら、カズハちゃんは本当に俺様の部下の忍として動かなきゃいけなくなるんだよ」
いつになく真剣な佐助の表情に、苛立ちを感じた。
成る程、つまり情勢を知るという事は甲斐の敵が明確になるという事か。
敵が解れば、アタシは必然的に誰かを殺さなきゃいけなくなる
そして地理が解るようになれば必然的に敵地へ偵察に行く事になる
つまり一歩間違えば死にたくなるような拷問を受けたり、死んだりする事になる
…随分と優しい上司だな
今までのドSさが吹っ飛びそうだよ、飛ばないけど。
知らなければ闘う必要など無いと、人を殺さずにすむと、そういう事か。
…今、アタシには武田軍の為に死ぬ覚悟がある?
…ぶっちゃけ無い。
アタシは全体的に中途半端だから。
だからアタシには命を掛けるなんてまだ、無理だ。
しかしこのまま好意に甘え続けるのもアタシの性に合わない。
でもぶっちゃけあんまり死にたくなんてないし、戦うのも…なんかアレだし
誰かが殺されたりするのを見るなんて多分無理だし、戦場で戦うのも…アレだし
沢山の人が傷付き倒れていく様を、冷静に見て居られるとは思えない。
でもアタシは佐助の訓練によって様々な意味で成長した筈だ。
正直、それでもたかが知れてるけど、でも、だからこそ、こんなアタシでも
甘くたっていい、偽善がどうした、中途半端だろうが知るか。
アタシを此処に置いてくれた人達の役に立てるなら。
軍とかそんなの関係無い、寧ろそんなんどうでもいい。
ただの、死なない程度の恩返し程度ならきっと、こんなに中途半端でもやっていける気がする。
それより何より、このまま何もせずに見てるだけなんて全くもって面白くない
どんだけアタシをナメてんだよテメーら!!!
「…カズハちゃん?」
突然静かになったアタシを怪訝そうに見ながらアタシの名を呼ぶ佐助に気付いて、アタシはゆっくりと静かに口を開いた
「佐助…。その気持ちは有り難いんだけどね。
ソレじゃアタシは駄目になっちゃう訳よ」
何より、アタシはしなきゃいけない事から逃げたくない。
どうでもいい面倒な事は全力で回避するけど、コレは違う
「…アタシは逃げたくない。」
言いながら真っ直ぐ佐助を見詰める
「アンタがアタシをここまで強くしたんだ。…だったら、最後まで責任取って殺人マシーンを作り上げなさいよ」
ニヤリと口の端を上げて、女の子は絶対しないような笑顔を浮かべた。
「ははっ…上等。途中で逃げ出すなよ?」
と、佐助が、…なんか今までに無いくらい邪悪な笑みを浮かべて『ニヤ…ッ』と笑った。
ヤバイ、もしかして早まった?
うっわ、やっちゃったかもしれない
佐助がなんか凄い邪悪に楽しそうなツラしてるんですけど
「よーし、そうと決まれば、まずは読み書きが出来るようにならなくちゃね、…あとは地図の見方と…」
とか何とか言いながら、ニヤニヤとこれからの指導について楽しそうに思案し始める佐助
「………田中さん、どうしよう。
うちのドS上司やる気になっちゃったよ…」
田中さん(只今調教中の忍烏の雛)は、早よ飯寄越せとばかりに『ア゙ー』と鳴きながら小さく羽ばたいて、つんつんと小さい嘴でアタシの手をつっついていた、地味に痛い。
アタシは自分の言った事に早くも後悔して思わず溜息を吐く。
確かにアタシはこの戦国の文字なんて書けない。
読むのはかなり時間掛ければなんとか、ってくらいだけど。
だからまぁ有り難いっちゃ有り難いけど…勉強嫌いなんだよね…
「んじゃ、俺様そろそろ仕事だから行くね。
明日っから色んな事教えてあげるから楽しみにしててね★」
楽しみにしたくなくて死んだ目のアタシなんて軽く無視しながら、佐助は駿足移動で姿を消した。
「…田中さん…カズハちゃんはそろそろやさぐれそうだよ…。
やっぱり早まったかな…アタシ」
「ア゙ー。」
「そうだよねぇー、コレただの自業自得だもんねー。…何やってんだろアタシ」
箸で雛に餌を与えながら溜息を吐いた。
でもアタシは確かに誰かに守られたりすんの嫌いなんだよね。
守られるよりも守りたいのマジで
なんかどっかで聞いたフレーズだけどなんだっけ。
しかし、まさかカッとなってあんな事言って自ら人外への道に飛び込む事になるとは思わなかった。
…まぁ良いや。
なんか無駄に矛盾しまくってるけど、自分で決めた事だし、仕方ないから腹を括ろうと思います。