性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。   作:藤 都斗

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ていさつていさつ

 

 

 「…カズハって、ホントにくのいちだったんだなー」

 

 不意に現れた慶次が、アタシの忍装束姿を見てるのに気付いてちょっと驚いた。

 

 いつの間に…?アタシまた考え込んで気配読むの忘れた?

 

 「…アレ、慶次には言ってなかったっけ?そうじゃなくても気付いてると思ってたけど。」

 

 とりあえず慶次に向き直りながら告げてみる

 

 「いや、気付いてはいたけど、あんまり信じて無かったっていうか。」

 「なんで?」

 

 「…あんまりくのいちっぽくなかったから…かな」

 「…まぁアタシまだ完璧な忍じゃないし…人を傷付けた事も殺した事も無いからね」

 

 忍っぽくないのは否定しない。

 まだまだモブ武将レベルくらいの強さの一般人のようなものだ

 

 そんな一般人いないとかそういう事はまぁ良いや

 

 「…カズハは、どうして忍になろうと思ったんだい?」

 

 慶次の質問に少しだけ驚いた

 でも少し予想くらいはしてたから不思議には思わない。

 

 「…強いて言うなら、働かざる者食うべからず?」

 「…は?、えーと…それって…」

 「カッコ良く言えば恩返し、ってヤツよ。命は掛けないけどね。そこまで忠誠無いから」

 

 なんか『えぇー…ソレで良いの?』みたいな視線が返って来たけどまぁ良いや。

 だってそれ以外になんて言えば良いかわかんないもん。

 

 それがアタシよ。

 文句なんて受け付けてませーん。

 知りませーん。

 

 「…カズハは不思議な子だなー」

 「どうせ変って言いたいんでしょ。」

 「うん」

 

 「いや、そこはせめてちょっとくらい口ごもるとかしてよ、何即答って。鳥の飯鼻から食べさせるわよ」

 「カズハ!!?ちょっソレは嫌だって!!

 生臭そうだし痛そうだし何よりなんでだよ真実じゃん!!」

 「人間ってのはね慶次。図星刺されるとキレるモンなのよ。

 その筋肉ばっかの少ない脳みそに叩き込んで置きなさい?」

 「酷っ!!俺そんなに筋肉馬鹿じゃないよ!!!」

 

 必死になって後退りまくし立てる慶次を気にする事無く、鳥の飯摘んだ箸を慶次に突き出してたけど、田中さんの声に意識を呼び戻された

 

 「ア゙ー!」

 「あ、ごめん田中さん。存在を忘れそうになってた。はいお食べ」

 

 そんな時、不意に雛に気付いた夢吉が、ぴょこんとアタシの肩に乗り、なんか興味津々で雛を見始めたのを見て自然と笑みが零れた

 

 「夢吉、この子が田中さんだよ。お友達になってやってね」

 「キキッ。」

 「ちょ、夢吉?ソレ田中さんのご飯だよ何すんの!?」

 

 暢気に笑ってたら夢吉が田中さんの飯奪ってマゴマゴ頬張ってた。

 

 ……鶏のササミだったからかな...虫じゃなくて良かった。

 食べるだろうけどそんなんあんまり見たくない。

 

 「ははっ、駄目だぞ夢吉、ソレ生だぞ腹壊すぞー」

 

 いや、そう思うなら笑ってないで夢吉捕まえるかして止めろよ

 田中さんめっちゃ夢吉にガン飛ばしてんだけど。

 

 ...友達は無理だなコレ。

 

 「カズハどぬぅぉォォォオオオ!!!」

 「うぉお!!?何どうしたの幸村!!?」

 「手合わせ願うでござるゥァァア!!!」

 「え、また!?」

 

 なんか突然現れた幸村に通り過ぎ様に手を掴まれて拉致された。

 

 慶次が呆気に取られてポカーンとアタシが連れて行かれるのを見てるのが見えたけど、それは壁に阻まれてすぐに見えなくなった。

 

 田中さん放置しちゃってるんですけど。

 あの子まだ飛べないのになぁ…

 

 まぁ佐助とか慶次とか他の人が後片付けしてくれる事を願おう。

 

 この手合わせが終わったら一旦様子見に来なきゃ…。

 

 そんな感じで幸村と手合わせした後、戻ったら案の定佐助が片付けてくれてて、地味にアイツはオカンだと思った。

 慶次は城下に行ったらしくて居なかったけど。

 

 

 

 それからアタシは、佐助や、佐助の部下の霧隠才蔵って人とか色んな人から字の読み書きを習ったり、現在の情勢を教えて貰ったりした。

 

 解ったのは、現在甲斐の国は奥州とつい最近同盟を組んだらしい事。

 三日月男がアタシを迎えに来た時に組んだらしいけど。

 

 ホントにアタシだけ蚊帳の外だった訳ね。

 ………なんか腹立つ。

 

 それから今現在の勢力図を見せて貰って、武田と伊達以外にどんな勢力があるかも解った。

 

 武田の一番の敵対勢力は、大河ドラマとかでやってたように、やっぱり上杉らしい。

 でも他の織田とか豊臣も大きくなって来てるらしくて、現在絶妙なバランスで拮抗状態を保っていたらしい。

 過去形なのは、武田と伊達が同盟を組んだ事によって徐々にバランスが崩れ始めているから。

 

 今はまだ何処も戦は始めてないけどいつ始まっても可笑しくない。

 

 嵐の前の静けさってヤツだ。

 

 何処かで戦が始まれば、それが火種となってあちこちを戦乱に巻き込んで行くんだろう

 

 そうなった時、アタシは冷静で居られるんだろうか。

 もしかしたらパニックになって不様に逃げ出したりするんじゃないだろうか。

 

 いや、それは無いわ。

 余りにもカッコ悪過ぎるもん。

 ナイナイ。うん。

 

 「…戦か…」

 

 和紙に筆で戦国文字の練習をして行きながら意味も無く一人呟く

 

 「手っ取り早くレベルアップするには…やっぱり雑魚倒しまくって経験値を稼ぐのが普通よね…」

 

 とりあえずRPGの常識を持ち出してみるけど、このゲームの中でそれをしようとすると大量殺戮しなければならない。

 

 「…今のアタシなら簡単なのよね…」

 「怖いの?」

 「…いや、寧ろ逆に楽しみになってる自分が怖いと言うか……ってまた佐助か。」

 

 またいつの間にか佐助が居たけどなんかもう慣れた

 

 「またって何さ。酷いなぁ、上司に向かって」

 「上司なら下っ端に構って無いでちゃんと仕事しなさいよ。アタシは今勉強中で忙しいの。」

 

 お手本の文字を書き写しながら、さも面倒臭そうに告げる

 

 「あーでもね、悪いけどのんびり勉強してる暇無くなっちゃったんだよね~」

 「…それってもしかして…」

 「うん。ウチの国じゃないけど、戦始まっちゃった。」

 

 「…マジで?」

 「うん」

 

 「…何処と何処?」

 「北条と織田」

 

 北条は主が大分ご老人で自ら天下取りに動いたりしないし、織田に攻め込んだりするような度胸も無いらしいから、織田が北条に攻め込んだか。

 織田はなんかよく解んないけど魔王がいるらしいね。

 

 「と言うわけでカズハちゃん。」

 「何よ?」

 「戦の様子を見に行こうか。」

 

 はい?

 

 「…今から?」

 「うん」

 

 いや、うん、じゃねーよ、とか思った瞬間、ニコニコしながら思い切り手を掴まれた。

 

 確かに偵察とか必要なんだとは思うけどさ、これも鍛練だって解るけどさ。

 

 「アタシの意思とか全無視かよ」

 「うん。何たって俺様上司だからね」

 

 …アタシなんで忍になんかなっちゃったかな…女中になれば良かったマジで。

 そしたら、覚えるの炊事洗濯掃除身の回りの世話だけで済んだもん。

 プラス暗器、空手、合気道、忍の技なんて意味解らん事習わなくて済んだもん。

 

 なんかもうそれ忍じゃない気がするんだけど女中仕事込みで忍って武田軍どうなってんの。

 

 お陰で出来なかった炊事洗濯出来るようになっちゃったんですけど…?

 

 「大丈夫大丈夫!ただの偵察だし、向こうも戦でそれ所じゃないから気付かないって」

 「…そうだと良いけど。まぁ良いや…結局アタシには拒否権無いんでしょ?、じゃあさっさと行こうよ」

 「うん。じゃあまだ道解んないだろうからはぐれないようについて来てね」

 

 なんかそんな感じで小田原に向かった。

 

 

 

 

 

 しかし、夕方頃、もう少しで小田原城という所でアタシは思わぬ足止めを食った。

 

 佐助の凧を追っかけて森の中の木の枝を足場にして伝って居たら突然足を置いた木が倒れたのだ。

 驚いたけど、何か居るんなら確認して佐助に報告しなきゃならない。

 

 ので、仕方なく地面に降り立ったら。

 

 「…クックック…、またお会いしましたね…逢いたかったですよカズハ…」

 

 変態がご光臨しくさってやがりました。

 

 「なんでアンタがこんな所で油売ってんのよ。」

 「いえいえ…この方が向かって来たので…戦いを楽しんでいただけですよ…」

 

 変態の足元には、死んではいないけど若干死にそうな感じの、若干黒ずくめで兜で顔が見えないお兄さんが転がってた。

 

 「…で、なんでまたアンタはわざわざアタシの足元の木を切り倒すのよ」

 「…ふふふ…そんなの決まっているじゃないですか…空を飛ぶように走る貴女が気になったんですよ」

 「気になったからって木を切り倒すアンタの神経が解んない」

 

 距離を取りながら、持てるだけ千本と呼ばれる針に似たクナイを両手に構えて明智を見据える。

 

 「…ふふ…大分私好みに育ったようですね…」

 

 うるせーよ気持ち悪いよ笑ってんじゃねーよ

 

 

 不意に、いつかみたいに明智が視界から消える。

 

 でも、今のアタシにはアイツの動きが解った。

 てゆーかアイツ動き早い割に気配駄々漏れなんだけどコレ、もしかしてアタシ、ナメられてる?

 

 今のアタシは、殺されかけたあの頃の、弱かったアタシとはもう違う

 

 ……甘く見た事、後悔させてやろうじゃないの。

 

 思い切り気合いを入れて気配を消し、駿足移動して、そのままの勢いで逆に相手の背後に立つ。

 

 「…っ!!?」

 「ナメんなよ」

 

 あの時のお返しとばかりに、驚く変態の耳元へ向けて、出来る限りの低い声で言ってやる。

 

 「…おぉ怖い…!、私は善良な人間ですよ…?」

 「アンタが善良ならアタシなんか聖人になれるわよ!!!」

 「ふふふ…あぁ…愉しい…!、実に愉しい…!!!」

 

 背後から首にクナイを突き付けていたんだけど、突然、そんな言葉と共に、何だか良く分からないモノに吹っ飛ばされた。

 

 「魂暗き嘆きの唄よ…!」

 

 低く、暗く、気持ちの悪い声での、何かに対する呼び掛けのような言葉。

 

 この台詞、とっても聞いた事がある。

 

 アレだ、バサラ技だ。

 

 簡単に言うと、必殺技みたいなモノである。

 何だか良く分からない『気』みたいなモノを身体や武器に纏わせて、それぞれの武将が思い思いのモーションで、兵や武将を惨殺していく技だ。

 

 これはマジでヤバイ。

 兵士なんて紙か草のように死んで行くのだから、シャレになんない。

 

 「くっそ…!!」

 

 この間合いだと確実に当たる。

 惨殺される。

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!

 

 こーゆー時、ゲームではどうしてたっけ?

 

 確実なのは防御だろう。

 だけど、防御力に自信なんてない。

 でもやるしかない訳で。

 

 「ッ考えてる暇無ぇし…!!!」

 

 悪態をつきながら迫り来る鎌を防御する為にと、佐助から貰った一番丈夫で大きなクナイを両手に構えた。

 

 途端に、持ったクナイが衝撃を受け止めると同時に、重くて鋭い音が辺りに鳴り響いた。

 

 毎日幸村と手合わせしてて良かったと思う。

 

 お陰でこんな攻撃を防ぐ事が出来るのだ。

 幸村と同じくらいか、ちょっと強いくらいの衝撃。

 幸村様々である。やったね。

 

 「っ何すんのよこんないたいけなか弱い乙女に!」

 「ふふふふ!なかなかやりますねカズハさん…!!!」

 

 ツッコミ無いのなんて解りきってたけどでも何でコイツこんな楽しそうなんだよ畜生!!!

 

 「ンの野郎…アタシをナメンのも大概にしやがれェェエエ!!!」

 

 思い切りブチ切れたら、辺りが闇に包まれたような感覚に陥った。

 更に、ゲームでバサラ技が発動した時みたいに、周囲の時が止まる。

 

 でもこの闇は、さっき発動させてたから明智のモノじゃない。

 

 て事は、必然的にアタシの身体から出たモノ、という事になる。

 

 .........マジでか。

 

 えー、アタシ闇属性?

 佐助とカブるじゃん

 

 まぁ良いや。

 何で使えるのかも、なんで闇属性なんだかも全然解んないけど、とにかく

 

 黒柳カズハ

 人生初のバサラ技発動である。

 

 その途端、両手に持ってたクナイが手の中から消え、代わりになんか凄い見覚えのある物体が両手に収まってた。

 

 伸縮性のある赤い紐の付いた、赤い、金鎚の柄が無くなったような妙な形の器具である。

 

 『ビリーバンド』だった。

 

 そう、知る人ぞ知る、ていうかもう殆どの人は知らないだろう。

 

 とにかく、ビリーさんが「諦めるな!」とか言いながら両手でフンフンやってたあの物体だ。

 

 1kgの柄が無い金槌みたいな形のウエイトに1.5mくらいの赤い紐ゴム、そしてゴムの先は、ゴムそのもので作られた輪っか。

 そのセットが二個、私の両手にそれぞれ一つずつ、ウエイトの方を下にして収まっていた。

 

 ........なんという酷いバサラ技だろう。

 

 ちなみに普段はこの輪っかに足を入れて固定し、ウエイトを両手に動き回る事で身体を鍛える補助器具である。

 

 だけど、今回は輪っかを持ち手にしながら、思い切り振り回せとの、誰かからのお達しのようだ。

 

 状態としてはお祭りで見掛けるヨーヨー風船の、風船の部分が柄の無い金槌みたいな。

 

 .........使い方は鎖鎌と同じ感じで良いだろう、多分。

 

 「この前はよくもアタシの背中に痕が残る傷を付けてくれたわねコノヤロー嫁の貰い手つかなかったらどうしてくれんだボケェェェエエ!!!」

 

 「なっ…!!?」

 

 両手は伸ばし、そのまま手首のスナップだけでブンブン振り回しながら、変態に向かって突進する。

 

 見た事無い武器に面食らったのか、明智はモロにアタシの連続攻撃を受けて身体をのけ反らせた。

 

 ビリーさんが持ってたのより重くて固いから意外とダメージを与える事が出来ているらしい。

 

 うん、なんだろうねこのバサラ技。

 

 でも、この武器意外とアタシと相性が良いっぽいから、今度同じ感じのを作って貰おうと思います。

 

 それからトドメの一発として思い切り振りかぶって、アタシはビリーバンドを振り下ろした。

 

 土煙が上がって勢い良く明智が地面に転がるのを尻目に、腕を組んで仁王立ちしたら

 

 「さっさと死ね!!!」

 

 というセリフが口から飛び出ていった。

 

なんか技が発動した後の捨て台詞みたいなの言っちゃったけど、なに今の。

 

 凄い台詞言っちゃったよアタシ。

 

 

 「…痛い、痛い…!、苦しい、苦しい…!、…くっ…はは、ハハハハハハハハハ…!!」

 

 だけど気が付けば明智は立ち上がってて、気が付けば手の中のビリーバンドは持ってたクナイに戻ってた。

 

 あれ?やばくね?

 

 「…意外とピンチ?」

 

 しかし、ぽつりと呟いた次の瞬間、遠くから洞貝の音が聞こえた。

 

 どうやら近くでやってた戦が終結したらしい。

 完全に偵察し損ねた。

 

 何コレ嫌がらせ?

 酷くない?

 

 折角の初仕事だったのにコレは無くない?

 とか思っていたら。

 

 「…おや……もうおしまいですか…、仕方ありませんね…」

 

 そんな事言いながら普通に帰ろうとした明智に思わず普通にビックリした。

 

 「ちょっ、アンタ何帰ろうとしてんのよ!!勝敗決まってないじゃない!!!」

 「…ふふふ…私の仕事は今日は此処まで…大丈夫、今は乱世…きっとすぐまた逢えます…、決着は…またいずれ…」

 

 気持ち悪くそう言った明智は、なんか突然現れた黒い忍達に担がれ、そして消えて行った。

 

 

 見上げると木々の合間から小田原城が燃えて居るのが見えて、この戦いは織田が勝ったのだろうと予測した。

 

 そしてアタシは不意に思い出す。

 

 キョロリと周りを見回せば、若干死にかけの男の人が血だらけで転がっているのが視界の先に入る。

 

 ……えーと、この人どうしよう。

 

 そのまま放って置くのも寝覚めが悪い。

 

 そっと近寄ってみたら意外と怪我が酷そうで。

 

 

 「…ほっといたら確実に死ぬ…よね…」

 

 

 ピクリとも動かないのは意識が無いからだろう

 

 

 「よし。佐助には悪いけど連れて帰ろう。」

 

 怒られるだろうけど良いや。

 気にしない気にしない。

 

 なんせ、アタシはこれから戦忍として沢山の人を殺すだろうし、なら、今のうちに助けられる人は助けておきたい。

 

 まぁ、一番の理由はこの人も微妙に見覚えがあるからなんだよね。

 

 だから多分、この兜の下はかなりの美形だろう。

 

 美形は大事にしないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…で、得体の知れない奴を連れて帰って来ちゃったって訳?」

 「おっしゃる通りですが何か?」

 「何か?じゃ無いでしょカズハちゃん。何考えてんの?」

 「だって、美しいものはなんだろうと大切にしたいじゃん?」

 

 と言ったら頭を叩かれた。

 

 手加減されてたけど結構痛い

 

 

 現在アタシは上田城の一室で、とりあえずは助けた人を布団に寝かせ、その傍らで佐助に説教されている。

 

 

 「だってもクソも無いでしょ!どうすんの?

 コイツが武田を内側からブッ壊そうとするような奴だったら!」

 「は?そん時はぶっ殺せば良いじゃん」

 

 平然と告げてみたら、佐助は言葉を詰まらせた。

 

 なんだ一体、どうした佐助、何が言いたい。

 

 「いや、そうだけどさ…でも…コイツどう見たって忍じゃん…」

 「大丈夫よ、とりあえず面倒はアタシが見るし、ホントにそんな奴だったら悲しいけどアタシが責任持って始末するから」

 

 まだ何か言いたそうな佐助を遮って捲し立てる。

 

 「…だから、良いでしょ?…佐助…お願い。」

 

 アタシの外見をフル活用したおねだり攻撃(しょんぼりバージョン+上目遣い)である。

 

 自分でやってて鳥肌立ちそうだけど、それは無理矢理押さえ込む。

 

 「…そ…その手には…乗らないからね…!」

 

 とか言いながらも佐助にこの攻撃は意外と効いているっぽい。

 声が結構震えている。

 

 なので。

 

 「そんな事言わずに…ね?、ちゃんと世話するから…お願い。」

 

 さっきと同じ感じでそんな風におねだりしながら、佐助の服の裾をちょっとだけツンツンと引っ張った。

 

 「~…っ!、…あ゙ーもー!!!今回だけだからね!!ちゃんと面倒見るんですよ!!!」

 

 

 佐助 陥落。

 

 

 「さすが佐助!!!有難う!!!」

 

 お許しが出たのでとりあえず満面の笑顔で抱き着いておいた。

 

 当の佐助は思い切り溜息吐きながら『反則だよ…』とか呟いてるけど気にしない!

 神様!私を外見だけ整えまくってくれて有難う!

 

 …そういえば、あの変態はあんな場所で忍のお兄さんを虐めて何をしてたんだろうか

 とか暢気に思いながらとりあえず佐助から離れて、未だに意識の戻らない男の人の寝ている布団の傍らに座った。

 

 黒柳カズハ

 18歳、女。

 職業、学生、兼忍

 趣味、自分を磨く事

 

 …初めて人間を拾いました。

 

 

 まぁとりあえずそんなグダグダな感じで、上田城には居候(超怪しい&大怪我で意識無し)が、ペット飼う時の親子みたいなやり取りの後、仲間入りを果たした。

 

 当の本人は意識無いからそんなの知らないと思うけどね。

 

 そして、とりあえず意識が無い間に傷の手当をする。

 

 さっき自分で世話をするって言ったから、佐助は手伝ってくれないらしい。

 

 まぁ薬は置いてってくれたから良いや。

 

 明智に切り刻まれて服は大分ボロボロになってたけど、中に着てた鎖帷子(くさりかたびらって読むらしいよコレ)のお陰で致命傷には至っていないらしい。

 

 どっちかって言ったら血が流れ過ぎたんだろう。

 

 …あの時のアタシと同じように。

 

 とりあえず着物を脱がして鎖帷子を外す。

 

 こんな沢山の生傷、直に見た事無かったから思わず顔をしかめた。

 血の匂いが鼻を掠めて眉間に皺が寄るのが解る。

 

 慣れない手つきで薬を塗布しながら本やらなにやらで手当の仕方を学んでおいて良かったと、少し思った。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 身体が痛い

 

 

 …そうか、たしか織田軍の明智光秀に不意打ちされたのだったか…

 

 痛みの原因を思い出して軽く落胆する

 

 

 自分の実力を過信し過ぎていたのが原因だろう

 

 気配で誰かが潜んで居るのは解っていたのに返り討ちに出来るとタカを括っていた

 

 余りにも不様だ。

 

 

 きっと北条は負けただろう。

 

 何せ本陣にはあのじい様しか居なかったから

 

 

 唯一の食いぶちが無くなった。

 

 

 

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