性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。   作:藤 都斗

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りょこうりょこう

 

 

 

 「君達、一体何処の忍だい?」

 

 佐助や小太郎には緊張が走ってるけどアタシにはあんまり無い。

 

 だから普通に口を開いた。

 

 「アンタこそ誰よ。」

 

 佐助が『しー!カズハちゃんしー!』とか言ってるけど気にしない。

 

 「ほぅ…?僕の居城で随分な物言いだね」

 

 “僕の居城”?、えーと…此処って稲葉山城だから……誰の城だっけ?

 

 「…だから知らないわよ。誰よアンタ。」

 「名乗る必要なんて無いね」

 

 ふーん?あっそ。

 

 「…成る程ね、んじゃ勝手に呼ぶわ。桂さんで良いよね」

 

 「…僕はそんな名前じゃないよ…」

 「…煩いわね、ヅラとか呼ぶわよ。」

 「なっ…!」

 

 ヅラ(仮)が驚きと動揺を見せる。

 

 「あぁ、それより…良いの?明智の変態逃げ出したっぽいわよ?」

 「…君達が手引きしたんだろう?」

 

 あー、まあ、この状況なら仕方ないけど…どうでもいいや

 

 「来たばっかりだからそれは無理よ。」

 「そんな事を信じるとでも?」

 

 「うっさいわね、そんなんだからアンタはアタシからヅラって呼ばれるのよ」

 「僕はヅラなんて名前じゃない!それに君が勝手に呼び出したんじゃないか!!」

 

 「どうでもいいでしょそんなん」

 

 そんな風に会話しながらも隙は見せない。

 いつでも武器で反撃出来るようにしておく事も忘れない。

 

 「…どうでもよくなんか無いよ…意外と重要な事だ」

 「アタシ別にアンタに興味無いもん。だからどうでもいいし」

 

 木の枝に佇みヅラ(仮)を見下ろすアタシと、地面からアタシを見上げるヅラ(仮)の視線が絡み合った。

 

 その時、アイツの武器が伸び、鞭のようにしなるのが見えて、アタシは素早く両手に武器を持つ。

 

 じゃらりという鎖の音が微かに響いた。

 

 小太郎と佐助も気配を殺しながら武器を構えているようだ。

 

 「…もう一度問うよ。君達は何処の忍だい?」

 

 「…答えてなんの得があんの?どうせなら答えない方が死なないで済むじゃない」

 

 そう言って笑ったらヅラ(仮)はフッと笑った

 

 「……解ってるじゃないか…頭良いんだね、君」

 「褒めてもアタシが調子に乗るだけよ?」

 

 変わらぬ調子で続けるアタシに、佐助は少しハラハラしながらこっちを伺っている。

 因みに小太郎はあんまりリアクションが無い。

 

 冷静だなぁ…忍の鏡だね。

 佐助とは大違いだ。

 

 「…僕は竹中半兵衛。君は?」

 「…アタシは…生憎名乗れないわね、足が付くかも知れないから。だから…そうね“黒柳”とでも呼びなさい」

 

 偽名とか考えて無かったから咄嗟に苗字答えたけど、意外と機転効くのなアタシ。

 前回の戦で名前は少し広まってるかもだし、苗字なら個人は特定出来ないし、さもそんな名前だって振る舞えば問題無いだろう。

 コレ旅でも使おうかな。

 

 「ふゥン…そうかい…じゃあ“黒柳”君、キミ…豊臣に来ないかい?」

 「…何ソレ、勧誘?生憎アタシそんなムードのない口説きに引っ掛かる程子供じゃないの。

 もう少し女の子の扱いを学んでから出直してらっしゃい」

 

 そう言って笑うと、竹中は少し面食らった後やっぱり笑った。

 

 「そうかい…君は面白いね…、秀吉に会わせてみたいよ。だから、豊臣においで?」

 

 いや意味解んないんですが。

 

 何?アタシの意思は無視?

 

 「君は“はい”と答えるだけで良い。簡単だろう?」

 「簡単とか以前に…拒否権無しかよ…」

 

 竹中はニコニコと笑っている。

 

 「服従か…死か、二つに一つだ。」

 「…うわー…何その究極の選択。全力で両方却下させてもらうわ」

 

 言い終わらない内に鎖鎌を構えた

 

 「…そうかい、実に残念だよ。」

 

 いや残念だとか思うならなんで笑ってんだよアンタ。

 アレか、お前もSか。

 そうなのかコノヤロー。

 

 

 そして、辺りの緊張感がピークに達した時、不意に血の匂いが強く、濃くなった。

 何事かと考えた次の瞬間。

 

 「…魂暗き嘆きの唄よ…!」

 

 そんな声と共に、変態がバサラ技を発動させながら乱入してきた。

 

 「…っ!!、明智光秀…!!」

 

 竹中が明智の技に巻き込まれながら状況を理解した時、アタシ達はそれを見てチャンスだと認識した。

 

 「…ちょうど良く邪魔が入ったわね。今のうちに帰るわよ二人とも!」

 「もちろん!さっさと帰って明日の朝餉の準備しないとだしね」

 「………」

 

 やっぱり小太郎は何か言いたそうだ。

 “主婦かよ”とかツッコミたいんだろうか。

 

 よく解んないからまぁ良いや。

 

 「…くっ…!、黒柳君!僕は諦めないからね…!また会おう…!」

 

 不意にそんな呼び掛けが聞こえてちょっと驚く

 

 明智を相手してんのにそんな事言うなんて…意外と余裕こいてんだな。死んでも知らんよ。

 

 「はいはい、じゃーね!ヅラ!」

 

 そう呼び掛けてアタシは忍烏に掴まって飛び立つ。

 

 「僕はヅラじゃない!竹中半兵衛だ…!」

 

 不意にそんなツッコミが背後から聞こえて軽く噴き出しそうになった。

 

 なんか面白い物聞いた。

 

 とにもかくにも、そんな感じでアタシ達は稲葉山城を後にした。

 

 明智の変態はシバけなかったけど、面白い物聞けたからまぁ良いや。

 

 

 そして上田城に帰還したアタシは部屋に帰って寝る事にして、佐助は武田さんに報告に行った。

 

 小太郎は…あの人気配全くないから解んない。

 何してるんだろうか。

 気が付いたら居たり居なかったりするし…、不思議な人だと思う。

 

 とりあえず怪我は大丈夫なんだろうか…。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よぉカズハ!今川との戦で大活躍したんだってな!」

 

 上田城の訓練場で田中さん(忍烏)の躾をしながら考え事してたら、突然慶次が現れた。

 

 そういえば最近見なかったなぁと今更思い出す。

 

 「アタシは確かに大活躍してたけど…アンタは何してたのよ?姿見えなかったから存在忘れてたじゃない」

 「いや普通そういう事は黙ってるもんじゃないの!!?」

 

 「でかい図体してんのに細かい事気にするなんて小さい男ね…」

 「えっ、コレ細かい!?」

 

 あーマトモなツッコミ受けるの久しぶりだ…

 最近ツッコミ入れてばっかだったもんなあ。

 

 「…で?アタシになんか用?」

 「あぁ、そうそう!、カズハ武田を離れるんだって?」

 「まぁね、今の所戦況がぐちゃぐちゃだからいつになるか解んないけど」

 

 田中さんの背中を撫でながら軽く溜息を吐くと、慶次は朗らかに笑った。

 

 「じゃあさ明日にしようぜ!!」

 

 

 「………はぁ?」

 

 

 いきなり何言い出すのこの馬鹿。

 

 

 「だってさァ!今の機会逃したら本当にいつ旅に出れるか解んねーじゃん?」

 「いや…アタシ別に急いでないし…」

 

 …でも言われてみれば確かにそうかも知れない。

 戦況が不安定な今なら混乱に乗じてスムーズにあちこちへ行けるだろう。

 

 が、混乱に乗じるって事は、やっぱりそれなりの危険を伴う。

 

 んー…でも少々スリルがある方が旅は楽しいかな…

 いや…うん、でもいきなり明日とか無理だろどう考えても。

 

 「ホラ善は急げって言うじゃん?」

 「いや、言いたい事は解るけどさ、急がば回れって言葉知ってる?」

 

 「知ってるよ!急ぐくらいならその場で回れって事だろ?」

 「あー、微妙に惜しい」

 「アレ?違った?」

 

 コイツ見た目通り筋肉馬鹿なんだろうか。

 でもなんでお前でかい図体で、しかも夢吉と一緒に首傾げてんだよ可愛いじゃねーか。やめろ。

 

 「で、いきなり来て、しかもいきなり明日出発しろなんて意味解んないんだけど。とりあえず理由聞かせなさいよ」

 

 「え?特に無いよ?」

 

 …エェェー…何だソレ…

 

 もしかしてその場の気分とかそんな理由か?

 

 「俺が甲斐を発つのが明日だからさ!どうせなら一緒に行きたいと思って」

 

 エエェェェエ…アタシの意思無視かよ…

 

 力の限り意味が解らないんだけどどうしてくれようこの男。

 

 「とりあえず…準備とかあるから明日いきなりは無理よ」

 「えぇー…、解ったよ、じゃあ明後日まで待つからさ!」

 

 なんか、残念そうにしながらもそう言われた。

 

 いや…何が解ったのアンタ。

 

 あー駄目だコレ…確実にアタシを道連れにする気だコイツ。

 

 まぁ元々出てく予定だったし…予定は未定だし、特に問題は無いっちゃ無いんだけど…しっかし幸村達驚くだろうなぁ…どうしよう…

 

 「カズハ?どうかしたかい?」

 

 不意にひょっこりと視界へ慶次が入って来る。

 

 「…なんでもないわ、一緒に行けば良いんでしょ、ったく…」

 

 まぁどうとでもなるだろう。

 いきなり言っても絶対止められたりするだろうからとりあえず置き手紙でもして行こう。

 

 あー…アタシ流されてるなぁ…。

 

 「よし!、そうと決まったら早速準備始めろよ!」

 「…えぇ…今から?面倒臭…」

 

 田中さんから慶次に視線移しながら呟く。

 

 「…とゆー訳で小太郎、そんな訳で明後日発つ事になったからさ、のんびり準備しといてくれる?」

 

 とりあえずそう言って振り向く。

 

 有り難いことに小太郎はいつもアタシのすぐ傍に控えてくれてるから今日も何処かに潜んでいるだろう。

 案の定振り向いた先の何処かで微かに気配が動いたからやっぱり居てくれたらしい。

 

 いつか小太郎の気配も解るようになりたいなぁ。

 

 小太郎に手伝って貰いながら鍛練すればもう少し成長出来るだろうか。

 

 …いや、コレ以上人外になってどうすんだアタシ…

 

 まぁそんな感じで慶次と旅に出る事になっちゃいました。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 「旦那っ!旦那!!大変大変!!」

 

 幸村は佐助のそんな声に、半分寝ぼけながら自室の布団から跳び起きた

 

 「ぬぅ!!?さ…佐助!?そんなに慌てて一体どうしたと言うのだ!!!」

 

 何処かの国が攻めて来たのかと寝間着姿のまま二槍を構える幸村を気にする事無く、佐助は慌てた様子で言う。

 

 「カズハちゃんがコレ残して居なくなったんだよ旦那!!!」

 

 一枚の紙を見せながらそう告げる佐助に、幸村の顔付きが一変した

 

 「…何だと…?」

 

 眉間へ皺を寄せ、普段見せた事も無い程の真面目な表情を浮かべながら、持っていた二槍を元の位置へ戻し、佐助の見せる紙を受け取ってそれに目を通す。

 

 

 “拝啓武田の皆様

 

 私はちょっと旅へ出てきます

 

 いきなり消えてゴメンね?

 でも今じゃないと次いつ行けるか解んないんだもん。

 

 いつ帰還するか具体的に決めては居ませんが、一応帰るつもりなのでご心配無く。

 

 ちゃんと文も送るからね。

 

 じゃ。

 

 

 

      カズハ”

 

 紙には若干汚い字でそう記されていた。

 

 

 「…旦那…どうする?」

 

 

 佐助が、紙を見つめたまま静かになってしまった幸村に、恐る恐るといった様子で話し掛ける。

 幸村は暫く黙り込み、それから見詰めていた紙を持ったまま、ぽつりと呟いた

 

 

 「佐助」

 

 「…な、何?旦那…」

 

 いつもと様子の違う幸村に佐助は若干戸惑いながら呼び掛けに答える

 

 「お前…忍では無かったのか?」

 「いや、忍だよ?どうしたの旦那…」

 

 「ならば何故カズハ殿が出て行った事に気付かない」

 「いや、無茶言わないでよ旦那…俺様だって任務あるし、何よりカズハちゃんは一人前の忍なんだよ?」

 

 本気で気配を消されたら流石の俺様だって解らない、そう付け足しながら答える佐助。

 

 しかし、現在の幸村にはブラックな何かがご降臨していた。

 

 「ほぅ?主に意見するか佐助…良い度胸だな」

 

 ニヤリと、普段の幸村からは考えられない邪悪な笑顔を浮かべて不敵に笑う幸村に、佐助はただ固まるしかなかった

 

 「…佐助、これは命令だ…カズハを捜せ」

 

 旦那…一体どうしちゃったのさ…まるで別人じゃないか

 

 てゆーかカズハちゃんどうしてくれんの

 うちの素直だけどちょっと馬鹿な旦那が、なんか突然真っ黒い笑顔浮かべるようになっちゃったんだけど。

 

 そんな風に内心凄い動揺しながらそう思った。

 

 

 当の幸村としては、カズハが拾った忍が妙に気に入らない、とか、カズハがお館様や自分に何の挨拶も無く旅に出た、とか、何もわざわざこんな危険な時期に、とか、武田に仕える者がなんて不用意な、とか、当初言っていた事と違う、など。

 

 諸々の要因があって妙なスイッチが入ってしまったのだが、佐助は知る由も無い。

 

 

 とにかくその日は、幸村が初めて『ドS』に目覚めた日となった

 

 

 

 *****

 

 

 

 「カズハ~、ホントに馬に乗らなくて良いのか?」

 「いらないわよ、馬なんか。何たってアタシ忍よ?馬使ったらおしまいでしょ」

 

 蝉の鳴き声がこだまする森の中をそんな事を言いながら慶次と一緒にのんびり歩く。

 

 今頃、甲斐では大騒ぎしているんじゃないか、とか、また佐助が大変そうだな、とかぼんやり思いながら、青空が垣間見える木々を眺めた。

 

 普通に清々しくて綺麗な景色だと思う。

 

 森の何処かには小太郎が居るんだろう、時々気配が動いて居る。

 

 早朝というより明け方…っていうか夜が明けきる前に、アタシは書き置きを残して上田城から出た。

 

 そして、甲斐の国境に程近い森の中に待機していた慶次と合流して、現在に至る。

 

 大分歩いたからとりあえず甲斐は抜けただろう。

 

 ちなみに、現在のアタシの格好は、誰にも怪しまれないように、この世界での世間一般の女の子が普通するような旅装束だ。

 

 「慶次、解ってるわよね?アタシの事は、『カズハ』じゃなくて『黒柳』って呼びなさいよ」

 「はいはい、解ってるよ…えーと…黒柳?」

 「いや、何で疑問形?、黒柳はアタシのもう一つの名前なんだからちゃんと呼びなさいよ。」

 

 慶次は微妙な顔をしてアタシを見てた。

 

 …なんかムカつくわね。

 

 「何よ、なんか問題でもある訳?」

 「…いや、そうじゃないんだけど…呼び慣れてないから違和感があってさァ」

 

 慶次はそう言いながらバツが悪そうに頬を掻いている

 

 「それは仕方ないかもだけど、『カズハ』の方は結構広まっちゃってるんでしょ?」

 「あぁ、うん。今川と武田、伊達連合軍が戦った時に『武田のカズハって武将が初陣なのにも関わらず百人斬りを達成した』って」

 「……いや…アタシ百人も斬ってないけど…」

 

 噂に尾鰭羽鰭がつくのは仕方ないけど、随分増えたな…っていうかアタシ武将じゃなくて忍だし…

 まぁその辺りはきっと情報操作とかがされたんだと思おう。

 

 どのみち忍だから目立っちゃ駄目だしな。

 

 

 「そんで『百人斬り』って通り名が付いたらしいよ」

 

 

 何そのゴツイ通り名…

 

 まるでアタシがゴリラみたいじゃん。

 やだよゴリラとか、うわ、なんか脳内でこの世界の秀吉が走ってった。

 

 てゆーかいくらなんでもソレは安直じゃない?

 あっ、今度はその後をヅラ(仮)が追い掛けてった何コレ。

 

 「ま、とにかく。黒柳って呼べるように練習しとくさ。

 そんなに気にしなくても良い気はするけどな」

 「確かに、百人近く斬ったのがこーんな麗しい美少女だなんて誰も信じないだろうけど…でもまぁ用心しないに越した事は無いでしょ。」

 

 うん、道中何があるか解んないからね。

 保険保険。

 

 「さてと、えーと黒柳、何処行くかとか決めてるかい?」

 「いや、特に決めて無いよ。とりあえず甲斐から出る事しか考えて無かったから」

 「じゃあさ、京行ってみないかい?」

 

 突然の言葉に少し戸惑う

 

 「え、京?なんで?」

 

 「カズハ…じゃなかった、えーと…黒柳に見せてみたいんだよ、祭をさ!」

 

 宣言通り、意外と名前間違えないように頑張ってくれてんな、慶次…

 

 「祭?そんなのあんの?」

 

 一応尋ねてみる。

 

 いや、どんな祭かとか大体は想像つくけどさ、一応ね、一応。

 

 「おぅ!楽しいぜ!皆でワイワイ騒いで飲めや歌えや殴り合えやの大騒ぎすんだ!」

 

 飲めや歌えやは分かるけど、殴り合えやは全く分からん。

 どんな祭それ、ヤダ、酔っ払いしか居なさそう。

 

 「そうと決まれば目指すは京だ!さっ!行こうぜ黒柳!」

 

 いや、決めた覚えないけど…まぁ他に特に行きたい場所がある訳じゃないし良いか。

 流されてるけどもう気にしない。

 

 「はいはい…んじゃ、目的地は京にしときましょ。」

 

 そんな感じに京へ向かう事になった。

 

 

 それから、慶次は近くの町で馬を借り、アタシはその後を忍らしく忍装束で忍んで付いて行きながら道を進んだ。

 道中、人がいる場所では確実に慶次の一人旅に見えて居る事だろう。

 

 寧ろその方が楽だから気にしない。

 慶次は結構気にしてたけどアタシ個人は気にしない。

 

 「…なぁカズハ…折角の二人旅なんだからさ…もっとこう…」

 「何言ってんの慶次、この方がお金掛からないし楽じゃん、それにアタシは今カズハじゃなくて黒柳よ」

 「あ、ごめん。」

 

 まぁそんな感じに京へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…うわー…、華やかっつーか賑やかっつーかうるさいっつーか喧しいっつーか…、アレね。むさ苦しい?」

 

 京に着いて辺りを見回したアタシの感想は、ソレだった。

 

 「ちょ…黒柳、ソレ途中から暴言になってるぜ?」

 「だってそうじゃん。ケンカ祭だかなんだかよく解んないけど、オッサンばっかじゃないの。むさ苦しいわよコレ」

 「だからってそりゃないだろ…」

 

 頭を抱えて溜息を吐く慶次。

 

 アタシは京に着くちょっと前に忍装束から普通の旅装束に着替えたので、端から見たら慶次が旅の女の子をナンパしているように見えている事だろう。

 

 「それより、京の街を案内してくれるんでしょ?とりあえずお腹減ったから何か美味しいの食べたいんだけど」

 「お!そうだったな、よォーし!じゃあ俺オススメのそば屋に…」

 

 不意に慶次が言葉の途中で固まった。

 

 「慶次?」

 

 不審に思って声をかけるけど、返答は無い。

 

 なんなのよ一体。

 

 何がなんだかよく解らないけどとりあえず、慶次が見ている方向へと視線を巡らせて、思わずアタシも固まった。

 

 「けェーいィーじィ~…?」

 

 そこには、なんかもう鬼の形相で、箒を片手に猪やら鷹やら熊やら半裸やらを引き連れた女の人が仁王立ちしてて。

 

 ちょっと待って何コレ、何この状況。

 

 「…ま…まつ姉ちゃん…なんで…」

 

 横の慶次が顔を引き攣らせながら、さらには所々ひっくり返った声を出しながら後退るのが解る。

 

 やっぱり知り合いですよねそんな気はしてた!

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