性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。   作:藤 都斗

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わんこわんこ

 

 

 

 町に出て、さぁコレでやっと一人旅だ!と思っていたら、何故か慶次が隣に居た

 

 「…いや、アンタなんで此処に居るのよ」

 

 「よく考えたら俺って、いつも旅仕度なんてロクにせずに家飛び出してる事を思い出して、とりあえず追っかけて来た。」

 

 とりあえずってアンタ…エェェエエ…

 

 「ちゃんと手紙渡したんでしょうね…」

 

 「ううん。でもちゃんと置いて来たから気付く筈だぜ。」

 

 「放置とかアンタ何考えてんのよ」

 「大丈夫大丈夫!まつ姉ちゃんなら気付いてくれる筈だって!」

 

 なにその理屈。

 

 「…アタシはアンタを連れてく気無いからね。」

 

 「そんな事言うなってェー。一緒に行こうぜカズハ~、女の子の一人旅は危ないって~」

 「ハァ?気持ち悪い声出さないで、ちょっ!抱き着こうとすんな!!」

 「いだだだだ髪引っ張るのは反則だって!」

 

 「知るかそんなモン。とりあえずハゲろ。ハゲてしまえ」

 「カズハ酷い!!!」

 

 

 なんだこの男。

 マジで意味解んない

 

 なんでアタシこんなに気に入られてんのよコレ

 

 昨日までこんなんじゃなかったよね

 てゆーかコイツマジでウザイどうしよう

 

 慶次ってこんな人だっけ?

 こんな阿呆な感じの奴だっけ?

 

 もっとこう、…………なんかアレだった気がするんだけど

 良い例えが浮かばなかったからもうそんなんでいいや。

 

 よし、次行こう。

 

 「とぅっ!」

 

 勢い良くそんな掛け声を発しながら、習得していた変わり身の術を発動した。

 

 「なっ!!!、丸太!!?」

 

 上手く発動したのか、どこから来たのか全く不明な丸太と、自分が入れ替わる。

 慶次と居た場所から一番近い木のてっぺんに居る事に気付いたのは、真下で騒ぐ慶次の大きい声が聞こえたからである。

 

 何回かやったけど、これ、ホントにどういう原理なんだろう。

 全く理解出来ないけど、出来ちゃうモノは出来ちゃう訳で、もう完全に自分が人間じゃなくなってる気が物凄くする。

 何これこわい。

 

 だがしかし、今はそれはどうでもいいのだ。

 

 「ふはははは!残念だったわね!カズハ様をナメんなよ!じゃあねー!」

 

 盛大に爆笑しながら逃げました。

 

 

 だってマジウザいんだもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとっ走りしてあちこち走り回った結果、なんとか撒けたみたいなので、たまたま足を止めた杉の木のてっぺんに佇みながら、確認の為に辺りを見回した。

 

 近くには居ないけど、どっか遠くからアタシの名を呼ぶ慶次の阿呆みたいな声が聞こえる。

 

 けど、無視だ。

 

 このまま静かに隠密行動しながらフェードアウトすれば、きっと完全に撒けるだろう。

 

 しかし、空の綺麗さについ、深呼吸したくなってしまったアタシは、気分の赴くままに息を吸い込んだ。

 

 「…あー…空気美味い…」

 

 吸い込んだ空気を吐き出しながら、しみじみと呟く。

 

 季節としては夏だけど、まだ朝だから少し涼しくて、でも太陽の日差しは眩しい。

 お陰で若干目が痛いけど、だがしかし風が良い感じで、いっそどっかでのんびり昼寝したいくらいだ。

 

 朝早かったから眠いわ。

 

 「ん?」

 

 不意に隣の杉の木のてっぺんに小太郎が居るのに気付いた。

 昼間っからこんなトコに居るのなんて珍しくて、つい首を傾げる。

 

 なんかあったのかしら。

 

 

 「何?どうかしたの?」

 

 

 確認の為に、とりあえず尋ねてみる事にした。

 隣って言ったって少し距離はあるけど、忍なので唇の動きだけで何を言ってるのか分かる筈なので、大声は出さない。

 

「…………」

 

 しかし、返事は無い。

 

 そりゃそうだ、喋れないんだから。

 

 いかんいかん忘れてたわ。

 ちょっと反省。

 

 その時、不意に小太郎はアタシの隣まで来て、文を渡して来たと思ったらまた同じ位置に戻った

 

 何だこれ?

 

 「…なんだろ」

 

 思わず呟いてしまいながら、それを開いて目を通す。

 

 宛先は、“黒柳”。

 

 差出人は、“まつ”

 

 

 一瞬頭が真っ白になった。

 

 動揺しながら、それでもとりあえず読み進めてみる事にした。

 

 

 “黒柳様

 

 突然の用との事とても残念でなりません。

 ですが、それは建前でございましょう

 

 きっと私達を騙している事が心苦しくなられたのでしょうね

 

 私は解っております。

 

 犬千代様は全く気付いておられませんでしたが、私は貴女様が何処かの忍で、共を連れての旅の途中だと気付きました。

 

 私は武将の妻ですゆえ、気付けぬ方が問題でございます。

 貴女様が未熟という訳ではございませぬゆえ、どうか気を落とさぬよう、お願い致します。

 

 実は、初めて貴女とお会いした時に感じましたが、貴女様は、本来はもう少し、お元気な方でございましたでしょう?

 もう少し早く腹を割って話せていれば、黒柳さんに辛い思いをさせずにすんだでしょうに…

 

 大変申し訳ありませぬ

 

 もしも次にお会い出来ました時には、どうぞ本当のお名前を教えて下さいまし。

 

 そしてまた、一緒に朝餉や夕餉を作りましょう

 

 

         まつ”

 

 

 

 「………………あいたたた…」

 

 額に掌を当てながら俯いてしまった。

 

 あー、そっかー、バレてたのか…

 なんていうか、女の勘って凄いね…

 

 でも大人の女の人って憧れるわ...

 

 暫くの間、まつさんを目標にしとこうかしら。

 あ、でも慶次の嫁に推薦されそうで嫌だわ、止めとこ。

 

 だけど、書いたお手紙の返事、来ちゃったんだから返事書くべきよね…。

 

 そういや、手紙といえば武田さんにも書かなきゃだったわ、忘れてた。

 

 とりあえず、まつさんには飛脚使えば良いとして、武田さんには…やっぱ田中さん(※忍烏)に頑張って貰わないとね。

 

 よし、そうと決まれば内容考えるか。

 

 でも、その前に。

 

 「ありがとね小太郎、わざわざ飛脚の真似事してくれて」

 

 軽く笑って礼を言う。

 だけど、当の小太郎はふるふると左右に顔を振った。

 

 「…アンタほんと真面目ねー…」

 「…………」

 

 案の定無言で佇んでいる。

 

 もう少しくらい適当で良いと思うんだけどなぁ…

 でもまぁ小太郎があんまり適当だったらアレよね、かなり違和感。

 

 …とりあえず気にしない事にしとこう。

 面倒臭いし。

 

 それはともかく、送る手紙の内容を考えなくちゃなんですよ。

 

 えーと…。

 

 思案しようとしたその時、なんか小太郎があの位置から動こうとしてない事に気付いてしまった。

 

 うん、何で?

 

 「ちょっと、どうしたのアンタそんなとこで」

 

 尋ねてみたけど反応無し。

 

 …えーと、何?

 どうしちゃったのこの子。

 

 呆然と見詰めていたその時、小太郎はサッと紙と筆と墨壷を取り出したかと思えば、さっきと同じようにアタシにそれらを渡し、また元の位置へ戻って行った。

 

 これはもしかして…

 

 「今、返事書け、って事?……え、でも今からじゃどうやって飛脚捜したら…」

 

 怪訝に思いながら自問自答するみたいに言ってたら、小太郎が自分で自分を指差しているのに気付いた。

 

「…もしかして…届けてくれんの?」

「…………」

 

 無言のまま、こくりと頷く小太郎。

 

 え……良いの?マジで?

 いや、でも流石に何度もそんな雑用を押し付ける訳にはいかんでしょ、普通に。

 

 だがしかし、小太郎って強情な人だから、ここで書かなきゃアタシが書くまでずっと、あそこで突っ立ったまま待ち続けるような気がする。

 

 …面倒臭いけど仕方ない…

 今からちょっと頑張ってみるか…

 

 「……分かった、じゃあちょっと待っててくれる?」

 「…………」

 

 小太郎は、さっきと同じように無言のままこくりと頷いた。

 

 あー、はいはいわかったわかった。

 やればいいんでしょやれば。

 

 とりあえず貸して貰った筆を墨壷に軽く浸して、それから頭に浮かんだ文言をさらさらと綴る。

 

 “拝啓まつ様

 

 お返事、有難う御座います。

 色々とバレてたみたいで正直ビックリです。 

 

 私としても、次お会い出来る機会あったらその時にでも色々語り合いたいです。

 

 料理教えてくれて有難う御座いました。

 

 

 では、機会があればまた

 

 

         黒柳”

 

 書き終え、墨壺と筆を左手に持ちながら、頷く。

 

 よし、こんなモンでしょ。

 めっちゃ短いけど良いや。

 

 「よし、はい…小太郎、これ。」

 

 適当に畳んだ後、そんな感じに小太郎へ手紙を渡すと、彼はまた無言のままに、こくりと頷いた。

 

 「じゃ…アタシは此処に居るから。」

 「…………」

 

 アタシの言葉にまた頷いた小太郎は、受け取った手紙を懐にしまい込んでから、一瞬でアタシの前から消える。

 

 いやー、さすがは忍…凄いなぁ。

 なんて言うか、年季が違うよね、年季が。

 

 とか考えてても仕方ない訳で。

 

 「…さて…どうしようかな」

 

 とりあえず杉の木のてっぺんで佇みながら何となくのんびり呟く。

 特に意味は無い。

 

 よし、なんも浮かばないからついでに武田さんにも手紙書こう。

 

 そうと決まったらさっさと済まそうと、懐から手紙用の懐紙を取り出した。

 

 「…えーと、武田さんへ…昨日前田家にお世話になりました、ご飯美味しかったです、では…っと。」

 

 小太郎から借りたままの筆で、浮かんだ文言を口にしながら適当にさらさらと綴る。

 すると、なかなか綺麗に書けたので、それに満足して一つ頷いた。

 

 書道って勢いが大事なのね、と一人で納得しながらピィッと高めに口笛を鳴らす。

 

 「ア゙ー!」

 「よーしよしよし、ちゃんと来たねー、偉い偉い流石田中さんだー」

 

 口笛の合図でバッサバサ翼をはためかせながら現れた田中さん(※忍烏)。

 腕に止まったその背中をわっしゃわしゃ撫でたりしながら懐紙を足に括り付けた。

 

 「その手紙を武田さんに、頼んだわよ」

 「ア゙ー。」

 「よし、行けっ!頑張れ田中さん!アタシはアンタはやれば出来る子だって信じてる!」

 

 言われた事に返事をするように鳴いた田中さんが勢い良く飛び立つと、アタシはそれを無意味に励ましながら見送った。

 一応頑張って躾たし、佐助からもお墨付き貰った烏だからきっと届けてくれる事だろう。

 

 だがしかし、小太郎はすぐに戻って来るだろうけど…田中さんはどのくらいで戻って来るんだろうか。

 

 はい、アタシ今気付きました。

 

 どうしよう、もしかして此処でずっと田中さんを待ってなきゃダメかしら。

 

 そんな事してたら慶次に見付かるかもしれな…、いや、それは気配消してりゃ良いから大丈夫か。

 アイツ結構鈍感だし。

 

 つかむしろ野宿とか嫌なんだけど。

 だって嫌な思い出しかないもん。

 

 変態とか変態とか変態とか。

 

 あ、でも今回は小太郎が居るから大丈夫か?

 

 …でも確か小太郎ってあの変態に負けたよね?

 

 

 …とりあえず、変態に遇わないように願おう。

 うん。

 

 そんな風に真剣に思いながら遠くを見詰める。

 

 と、その時だった。

 

 「おい!お前っ、そんなとこでなにしてんだぁ!!?」

 

 突然そんな声が辺りに響いた。

 

 …なんか凄いアホっぽい感じの声が下の方から聞こえたわね

 

 なんだろう、このジャ○アンを彷彿させる頭悪そうな喋り方。

 

 下の方を見てみると、なんか

 両手に太い木の棒(?)を持った野性児丸出しな感じで、額に白い鉢巻き巻いたアタシと同い年くらいの半裸気味の男の子がこっちを見上げていた。

 

 なんだろう

 若干嫌な予感がする。

 

 …関わらないでおきたいけどアイツどうみてもアタシに話し掛けてるわよね…

 

 「おいっ!!!おれさまをムシすんなよなっ!!!」

 

 …どうしよう

 アイツ多分かなりの阿呆だ...

 

 喋り方からしてかなり頭悪そうなんだもん何アイツ...

 

 「おいっ!!!きーてんのかっ!!?」

 

 えーと、うん。

 聞いてるけど何ていうかあんまり答えたくない。

 

 「おいっ!!!いいかげんにしろっ!!!」

 

 突然、そんな声と共に拳くらい大きさの石が物凄いスピードで飛んで来た。

 

 「なっ!!?」

 

 ちょっ!

 意味解んない意味解んない意味解んない!!!

 何してんのアイツ何考えてんの何なのよ突然!!!

 

 反射的に武器を取り出し、そのまま思い切りブン回して飛んで来た石を叩き落とす。

 

 「おっ!お前なかなかやるなっ!!!これならどうだ!!?」

 

 「ハァ!!?ちょっ、女の子に向かって石投げるなんて何考えてんのよ馬鹿じゃないのアンタ!!!」

 

 とか言ってる間に、ぶんぶんぶんぶん手当たり次第石を投げて来る馬鹿

 

 「何なのよ意味解んないんだけどマジで!!!」

 

 こんな足場の悪い所で飛んで来る石を全部対処しろってか

 

 佐助かアンタは

 

 ああ、懐かしき佐助のスパルタ訓練。

 絶対二度としたくないと思ってたってのに、突然何なのこの馬鹿は。

 凄いムカつくんですけど何この嫌がらせ。

 

 「おれさまさいきょう!!!」

 

 帰れ馬鹿、黙れ馬鹿、石投げんな馬鹿。

 

 駄目だ…コイツ今までに無いくらいウゼェ…

 

 「いい加減に…っしろやボケ!!!」

 

 腹立ち紛れに叫びながら、飛んで来た石を勢い良くキャッチ&リリースしてやったら、綺麗に馬鹿の額にクリティカルヒットしました。

 

 「げふっ!!!」

 

 あ。

 

…なんか、ガスっ!っていう痛そうな音が辺りに響いたんだけど、…えーと、どうしよう。

 

 「いっ、…石なんて危険極まりないモノ投げて来るアンタが悪いんだからね!!!」

 

 そんな風に断言しながらも、様子を見る為にと地面に降り立った。

 

 「いっ…てててて…」

 

 衝撃で思いっきりすっ転がってた少年が、頭をさすりながら起き上がると、火がついたみたいに吠え始める。

 

 「てめー!いきなりなにすんだっ!!!」

 

 いやいやいやいや。

 

 「その台詞そっくりそのままアンタに返すわよ。初対面の人間に石投げるなんて何考えてんの馬鹿じゃないのアンタ」

 

 「なっ!おれさまはバカじゃねぇ!!!てめーこそしょたいめんのヤツにしつれーだぞ!!!」

 

 「馬鹿に馬鹿っつって何が悪いのよ馬鹿。」

 「うっせーうっせー!!!バカっていうヤツのほうがバカなんだよっ!!!ばーか!!!」

 

 ヤバイ、頭痛して来た。

 真面目に頭痛くなって来た。

 

 アタシと同い年くらいなのに何このレベルの低さ。

 

 両手の人差し指を口突っ込んで、真横に引っ張りながら舌出すからかい方する奴なんて、今まで生きて来て初めて見たんだけど。

 よく見たら顔は良いのになんて残念な頭してんだろコイツ。

 

 ダメだ、コイツと居たらアタシまで馬鹿になりそうな気がして来た。

 

 逃げたい。

 力の限り全力で逃げてしまいたい。

 

 でも此処から移動したら田中さんが帰って来た時迷ってしまう。

 

 だぁぁぁあ!!!早く帰って来て田中さん!!!

 そしたらアタシ田中さんに掴まって逃げるから!!!

 

 「……はァァァア…」

 

 「なっ!ヒトのカオみてタメイキつくなんてしつれーだぞ!!!」

 「あーもー、喚かないでよ欝陶しいわね。大体アンタ何なのよ」

 

 「おれさまかっ!!?おれさまはムサシ!!!宮本武蔵ィー!!!」

 

 

 ………ええぇ……ちょ……ま……

 

 ………………えぇぇええ…

 

 

 …うん…えーと……このゲームって戦国時代じゃなかったっけ?

 なんで幕末ちょっと前くらいの偉人がいるの…(※本当は江戸初期です)

 

 てゆーかこんな宮本武蔵嫌だ。

 

 待って…宮本武蔵ってアレよね?何とか流の開祖的な偉人よね(※うろ覚え)

 

 …もしかしてこいつもこのゲームのキャラ?

 でもコレどう見てもそうよね。

 

 偉人の名前付いてるし。

 半裸気味だし顔良いし。

 

 …阿呆だけど。

 

 なんか、物凄く、力の限り、阿呆だけど。

 

 見る限り阿呆としか形容出来ないけど。

 

 うん、なんかもうマジで他に形容詞が浮かばないくらい阿呆に見えるけど。

 

 阿呆としか言いようが無いけど、でも多分そうな気がする。

 

 「で!おまえはダレなんだよ?」

 

 「…どっちかって言ったら名乗りたくない」

 

 踏ん反り返りながら、なんか偉そうに尋ねて来る馬鹿に、思わず真面目な顔で答えるアタシ。

 

 だってなんかムカつくんだもんコイツ。

 

 「んだとォ!!?せっかくおれさまが名乗ってやったのに!!!じゃあもういい!お前はミケだ!!!」

 「なっ!!?なんですってこの野郎!!!意味解んないわよなんでそうなんの!!?」

 

 「へんっ!名乗らねェおまえが悪ぃんだろ!!!」

 「アタシは……えーと忍なのよ!軽々しく名乗れる訳ないじゃん!

 なんなのアンタマジでウザイんだけど!!!

 じゃあ良いわ…アタシはアンタをポチって呼んでやるから!!!」

 

 なんだろう、なんか凄くグダグダになったコレ。

 

 うん、でもまぁいいや知らん!

 だってコイツ凄いムカつくんだもん!!!

 

 「あぁ!!?おれさまはポチじゃねー!!!武蔵さまだ!!!」

 「はいはい。ポチは五月蝿いわねー」

 

 そんな風にあしらっていた時だった

 

 「カズハ!!!やっと見付けた!何してんだよこんな所でー!!!」

 「ぎょあっ!!!」

 

 なんか突然、後ろから抱きしめられて、衝撃からかなんか口から思い切り変な声が出た。

 この爽やかボイスと筋肉な腕と派手な服はどう考えても慶次だろう。

 ギャーギャーやってるうちに見付かってしまったらしい

 

 ちくしょう阿呆っ子め…。

 でもとりあえず慶次アンタいきなり何してくれてんのよ

 セクハラは犯罪です、ダメ!絶対!

 

 「カズハ?、へぇ、おまえカズハっつーのか。変な名前。」

 「ポチにはこの名前の美しさが解らないのね。可哀相に…」

 

 てゆーか慶次のせいでこの阿呆っ子にアタシの麗しい名前が知れちゃったじゃないのさ、この馬鹿野郎。

 

 「ふん!」

 

 ガスッ!!!という痛そうな音が辺りに響くと、慶次が戸惑ったように声を上げた。

 

 「いってぇ!!!ちょ、カズハ!いきなり何すんだよ!!?」

 「いつまでもカズハ様の麗しい身体を抱きしめてんじゃねーわよ。いい加減金取るぞコラ」

 

 とりあえず抱き着いたままの慶次が欝陶しかったので、思い切り肘鉄を撃った結果がこれです。

 

 「カズハ酷ぇ!」

 「うっさいわよ。てゆーか女の子を軽々しく抱きしめるなんて何考えてんのよ」

 

 抗議の声を上げる慶次をスルーして、キッパリと言い放ってやった。

 

 現代ならセクハラで捕まるわよマジで。

 

 …あ、でもコイツ顔は良いからその辺の女の子なら簡単に許すかもしれない…。

 まぁアタシの場合は許さないから肘鉄お見舞いしたけどね。

 

 …つか、どうせアンタ肉々しい体してんだからこんな攻撃全然効いてないでしょ

 

 「おれさまをムシすんじゃねー!!!」

 「うっさいわよポチ」

 

 なんかキャンキャン五月蝿かったからとりあえず真顔でツッコんでおいた。

 

 「そうそう、アンタ誰だい?此処らじゃ見ない顔だけど…」

 

 そこで慶次が、キャンキャン五月蝿い阿呆っ子の発言でその阿呆っ子の存在を認めたのかサラっと尋ねた

 

 …今まで気付いて無かったのかしら。

 意外と酷い男なのね、慶次って。

 あ、アタシも大概酷いとかそういうのはどうでもいいから無しの方向で。

 

 

 「おまえ、おれさまがだれだか知りてぇのか?

 …へん!耳かっぽじってよく聞きやがれ、おれさまは宮本武蔵さまだっ!」

 

 「そうかい、俺は前田慶次ってんだ。よろしくな」

 

 さらりと流す慶次。

 

 …なんだろう、慶次が大人に見える…

 

 あれーおっかしーな…

 慶次の精神年齢は幸村と同じくらいだと思ってたんだけど…

 

 …あー…そうか。

 ポチの精神年齢の方がもっと低いのか…成る程ねー…

 

 それは仕方ないわ。うん。

 

 まァ、ずっとそんなどうでもいい事を考えて居る訳にも行かないわよね。

 

 

 という訳でアタシは思考を切り換える事にした。

 

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