性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。 作:藤 都斗
有り得ない
言うに事欠いてあの三日月男、このカズハ様を河童だのほざきやがった。
……このアタシを。
……この、超絶美少女を。
あのボケどんな思考回路してんだマジで
有り得ない
ホントに心から全身全霊で有り得ない。
しかもなんかずっと終始ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ……
ムカつく。
スゲームカつく。
なんだあの勝ち誇った笑み
このカズハ様を見下しやがってチクショーめ
次に河童だのほざきやがったら顔面……は勿体ないから……
鎧の隙間の地味に痛い所に、爪先使って思いっ切り全力の蹴りを叩き込んでやる。
ホラ、顔蹴って酷い傷付いたら価値落ちるし?
……それはちょっと勿体ないと思うのよね。美形だし。
……ただアノヤロー……ゲームのキャラだけあって強そうだ……
ビリーさん、アタシに力を……!
(※ビリーさんとは:かつて一世風靡したダイエットDVD、某ブートキャンプの隊長さん。筋肉ムキムキ真っ黒テカテカ)
「Han? こんな所でも百面相してんのか、河童」
「ふざけた事抜かしてんじゃねェこの三日月男河童じゃねェっつってんだろシバくぞゴルァいい加減その腐った思考回路河童から離れさせとけ!!!」
腹立ち紛れに息継ぎ無しで一気に叫びながら、三日月男とアタシを遮る木の格子へ力いっぱい蹴りを入れる。
両手を拘束されてるからろくに助走も出来ないし、裸足だから力もそんなに入らないし地味に痛いけど、今はそんなモン関係無い。
……そう、あの後アタシは牢屋にぶち込まれた。
檻の中で喚きながら暴れる事しか出来ないアタシに、事もあろうかこの三日月男
呆 れ や が っ た。
「オイオイ……俺様は三日月男じゃねェ……ちゃんと名乗ったろ? 、You understand?」
しかもなんかかなりズレた所に対して。
「知るかァァァアア!! つかどうでもいいっつのテメェだってアタシの事河童っつーじゃねーかソレやめたらちゃんと名前呼んでやるよ!!」
「Han? 、そうかお前それが不満なのか……仕方ねェな、……じゃあカズハ河童って呼んでやるよ」
「河童から離れろっつってんだろこんボケ先刻より酷くなってんじゃねェか太郎河童次郎河童かコノヤローアタシは人間だァァァアア!!!」
先刻と同じようにノンブレスでツッコミ混じりに悪態を吐く。
そしたら何故か、格子の向こうから生乾きの仁平の襟を片手で掴まれ、思い切り引き寄せられた。
突然の事に顔面を格子にぶつけそうになるけどそこは無理矢理頭に方向転換させる。
顔に傷だけは付けたくない!!
という訳で、アタシはこめかみのちょっと上辺りを思い切り格子にぶつけた。
なんかもう力いっぱい痛い。
あまりの事に抗議しようと顔を上げたら
まるで人殺しみたいに、背筋がゾッとするような
凄く、鋭い視線で見詰められた。
え……ちょっと待って、怖いんですけど。
主に顔が。
普段そんな視線なんて向けられた事ないから、全く現実味が湧かなくて、呑気な事しか考えられなかった。
「河童じゃなくて人間だっつーなら答えろ...、テメェ...何者だ?」
えーと……
よーしカズハ考えろ。
アタシは川から出て来たって事になってる。
って事はうちの家のテレビとあの川は繋がってる。
つまり。
「アンタが不用意に川になんか手を突っ込まなきゃ此処に居なかった異世界の一般人」
という事になる。
……ん?
あれ
今もしかして口に出して言っちゃった?
あ、ヤバイどうしよう言っちゃったっぽい
なんか可哀相な子を見る目で見られてる
いやムカつくからそんな目で見るなボケ!!
「嘘だと思うなら、アタシが投げた半纏。アレを調べてみると良いよ。
この世界には絶対出来ない技術で作られてるからね」
とりあえず、ナメられないようにと考えてそんな事を誇らしげに告げてみた
ポリエステルなんて使われて無いだろやーいやーい
日本……じゃなくて確かメイドインチャイナだから……
えーと現代の地球の技術なめんなよ!
「Han……異世界……ねェ? 俄かには信じられねェな……」
まぁそうだろーなチクショーめ!!!
解ってたよ!!!
解ってたさ!!!
でもだから調べてみろっつったよねアタシ人の話はちゃんと聞けちくしょう!!!
「Ha! まぁ良い。
暫くはそこで素性が割れるまで大人しくしてろ……、替えの着物は後で届けてやる」
突然嘲笑混じりにそう言われ、そこでやっと仁平の襟を掴んでいた手が離された。
ヤッベーこの男マジ腹立つんですけど。
そんな事を思ってる間に三日月男は踵を返し、颯爽とアタシの視界から去って行った。
いや……うん
代えの着物をくれるっていうのは嬉しいんだけど寧ろそんなんより
「こっから出してけやこの野郎!!!」
そんなアタシの魂の叫びは虚しく虚空に響いていた。
でもすっきりしたから良いもんチクショウ。
さて、どうしたもんか。
アタシは畳の上で正座しながら一人思案を始めた。
あれからアタシは、あの魂の叫びが聞こえたらしい神様のお陰か、牢屋じゃなくて座敷牢に移動して貰えました有難う神様。
どのみち牢屋だけどさっきの3K(暗い、キモい、汚らしい)な牢より断然マシ。
着物も新しく浴衣みたいなの貰えたし、あの牢屋より堅牢って事で手の拘束も外された。
という訳で、現在アタシは貰った着物に着替えて(浴衣なら着た事あったから問題無し、流石アタシ)部屋の真ん中に正座している。
そんで、これからどうしたもんかと考えを巡らせるも、この不利な状況から脱する打開策は何一つ浮かばなかった。
……いつまでも此処にいる訳には行かないわよねー……
ただの勘とかじゃなく、アタシの本能がそう言ってる。
あの三日月男はドSだ。
このまま此処に居れば何をされるか分かったもんじゃない。
殺されはしないだろうけどアタシはアタシじゃいられなくなる気がする……!
……なんとしてでも逃げ出さなくては……!
…………何か方法無いかな……
とりあえず一応室内を確認してみよう
……えーと
畳
壁
格子
天井
以上。
マジでか。
うわー、どうしたもんかなコレ。
逃げたいのに窓すら無いよ。
あっ、そうだ! 、無いなら作れば良いじゃん!
いや、待て待て落ち着け、しっかりしろカズハ
大体此処って城のどの辺よ?
壁が外に面してなきゃ出れないじゃん。
つーか寧ろアタシは壁を破壊できるのか?
……普通に考えて無理無理、有り得ない。
何処のゴリラよそんなん出来るの。
アタシはこのゲームの秀吉じゃない。
オープニングムービーに居たゴリラが秀吉だとはプレイするまで気付かなかったけどさ。
まぁ良いか。
それより脱出が大事よね。
……うーん
見張りいないから騙し討ちすら無理か……
なんか……
なんか方法……!
駄目だ何も浮かばない……!
「誰か……っ、誰か助けて下さァァァい!!!」
自棄になって叫んだら思いも寄らない返事があった。
「ならば助けてやろうか?」
そう言って不意に目の前に現れたものすげーカッコの美女。
金髪!
綺麗な顔!
それより何より
零れ落ちんばかりの
乳!!!
いやいやいやいや、オッサンかアタシ。
ともかくスゲー羨ましい見た目のお姉さんである。
なんか見た事あるからこの人もきっとゲームのキャラだろう。
「……娘、此処に囚われているという事は何かやらかしたのか?」
えーと……やらかしたっつったら……まぁ……確かにそうかもしれない。
「実は……此処の殿様と知らずに思い切り悪態を...、終いには着ていた半纏を投げ付けてしまって..」
確か三日月男はゲームで殿様だったはずなので、嘘は言って無い。
それを聞いたムチムチお姉さんは驚きに目を見開いた
「それは……随分と大胆な行動を取ってしまったのだな……」
「いえ……仕方が無かったんです。……川で溺れて殿様に助けて貰ったのは良かったですが……、その際掴まれたのが何故か首だったもので……性格上つい激昂してしまって……」
そういう事にしとこう。
ほぼ大体あってるし、間違いは無い。
「……それは……災難だったな……」
「それより……助けてくれるというのは……ホントですか?」
「あぁ。……このままではお前……独眼竜に玩具にされるだろうしな……」
よっぽど不憫に見えたらしい。
なんか切々と言われた。
有り難いけど玩具って……三日月男アイツあんまり人望無いのな……
……ん? そういやこの人どっから来たんだ?
さっき部屋見た時誰も居なかったはずよね?
……まぁ良いや。
例えこの人が何だろうとこっから出られりゃそれで良いし。
「……有難うございます」
「気にするな、同じ女としてこのままにしていられないだけだ……、少し待っていろ」
そう言って彼女は突然目の前から消え、それから突然格子の一部分が開いたかと思ったら、消えた筈の彼女が顔を覗かせた。
え、何、瞬間移動?
「……行くぞ」
「あ、はい」
うん
出られるんならまぁ良いや!!!
座敷牢を出た途端、駆け出した彼女の後ろを追うように廊下を走る
足音が聞こえないように走る彼女に、今更になってこの人、忍なんじゃないかなとか思った。
……とすると此処はアタシも足音もなく走るべきだろうか
とりあえず善処してみよう
あ、やっぱ無理だ
でもカッコイイなー……女の忍だからくのいちか……。
……弟子入りとかしちゃ駄目だろうか。
弟子入りしたら胸でっかくなれそうな気がする。
「Ahn? 、城内にでけェネズミがいるな……」
不意に、曲がり角の向こうから青い着流しを着たあの男がニヤニヤしながら現れた
でも腰に刀を六本付けている。
……うわー……なんか来たよどうしよう……
でも着流しカッコイイなチクショー流石美形……
取り敢えずアタシは普通にそう思った
「俺様の新しい玩具持って行こうなんぞ良い度胸じゃねェか……なァ? 上杉ん所の忍よ」
ンなもんになったつもりねェよこのボケ
男の数メートル手前で立ち止まると、アタシの前の彼女も止まった。
「ちっ、厄介な……」
舌打ちと共に不意に彼女が懐から何かを取り出したのが見える
……ん? アレって……おー! アレがクナイってヤツか! 初めて見た! スゲー!
「一体何しに来た? そんで何が目的だ? 俺様の河童奪いに来た訳じゃねェんだろ?」
そう言って奴は腰の刀を構えた。
……つか今更ながら思うんだけど刀6本て欲張りすぎだろ
てゆかよく持てるよね……重くないの?
つーか指吊るよね普通。
とか思っていたら
「何だと!? お前河童なのか!!?」
なんて言葉がお姉さんから聞こえて来た。
「いやだからアタシは河童じゃねェって何度言ったらわかんだよこの三日月俺様野郎!!!
ついでにアンタも信じてンじゃねェよ一目見りゃ違うって解るじゃん!!!」
「そ、それもそうだな。すまない」
なんかグダグダになって来た気がする……
「ンな事ァどうでもいい……、質問に答えろ」
「フン! こんな私好み、ゲフン! か弱い娘が貴様に手篭めにされるのが見過ごせ無かっただけだ!」
……今……なんか不可思議な言葉が聞こえた気がしたのは気の所為?
「Ha! 違ェよ、手篭めじゃねェ、調教だ」
「ちょマジ何する気だ最悪じゃねーかお姉さんすいません本気で奴から助けて下さい!!!」
とんでもない奴だこの男。
即刻アタシの目の前から消えてくれ。
いや寧ろ死んでくれ。
この男は美形だけどもう良い。
死ねば良い。
「……解った、ではこの男は私に任せて、今はそこの窓から逃げろ!」
奴にクナイを投げ付けながら向かっていくお姉さん。
三日月男が刀でソレを弾くキィンという音が響く。
それと共に布包みを投げて渡された。
一瞬だけちらりと見えた中身はどうやら数本のクナイのようだった。
「護身用だ! 使え!」
「えっ、あ、有難う……でもお姉さんは!?」
「私もすぐ後を追う! 早く行け!!」
「はっはい!」
促されるまま窓枠に足をかけ、包みを片手で胸に抱いて一気に跳躍する。
でも、その先は空中だった。
…………
マジでか。
一瞬思考止まったけどコレヤバイじゃん。
三階くらいの高さあるんだけどコレちょっとなんで屋根無いの意味解んない死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!
えーと受け身ってどうやって取るの教えてビリーさん!!!
今なんか頭でビリーさんの『諦めるな!!』って吹き替えされた声が聞こえたけど、今のアタシからしたら『うっせー黙ってろ!!!』って感じだった。
それから、あ、アタシこれで死ぬんだ、と漠然とだけどなんとなく理解した途端、パニックに陥ってた頭はいきなり冷静になった。
……あー、嫌だなァ。
こんな所で死ぬのか。
どうせならもっと綺麗な死に方したかったなぁ
そういえばこんな事考えるの今ので二回目だ……
でも、実を言うと、アタシはいつでもどんな時でも、死ぬ覚悟は出来てる人間だ。
生に執着した所で美しいとは思えないから、いつもそう心掛けて、いつ死んでも後悔したりしないようにと。
だから、突然のこんな結末でも、怖いけどまぁ仕方ないかー、と思える。
我ながら現代人にあるまじき思考だと思う。
でもまぁそれがアタシなのよね。
……てゆーか死ぬ時はスローモーションってホントだったんだ。
地面まで凄い長いんだけど、早くしてくれないかな。
……ん? アレ、なんか真下に人が居る?
え、ヤバイヤバイヤバイあの人危ないって!
ちょっ
え?
「おや……、そらからこんなにもうつくしいしょうじょがふってくるとはおもいませんでした……」
気がつけば、背後に薔薇が飛んでるみたいな、キラキラしてる幻覚の見える、なんか微妙にまどろっこしい喋り方のスゲー美麗な人にお姫様抱っこされてました。
え?
何この状況。
「……こ……こんにちは」
状況が掴めないからとりあえず挨拶してみる
……なんかよく解んないけどどうやら助かったみたいだ。
「こんにちは、うつくしいしょうじょ」
いや、そんなホントの事……
つかそんなキラキラした笑顔向けられたら無駄に赤面しそうなんですけど。
寧ろこの人
男と女……一体どっちだ...?
超中性的なんですけど。
「謙信様! 申し訳ありません、ご無事ですか!?」
不意にそんな声と共にムチムチお姉さんが現れる。
ついでにアタシは地面に降ろされた。
「ええ、だいじありませんよ、わたくしのうつくしきつるぎ……」
「謙信様……っ!」
うぉ、何これキラキラした物が飛んでる幻覚が見える!
薔薇! 薔薇が飛んでる!
「して、つるぎよ……いったいなにがあったのです?」
「実はこの娘が政宗公に手篭めにされそうだったもので……、勝手ながら救出致しました……」
手篭め言うな。
「なんと……それはまこと、さいなんでしたね、うつくしいしょうじょよ……」
「え? あ、いえ、寧ろ助けて頂いてしまって……お手数掛けました」
……こんな友好的な美人さんは見てて嬉しい。
あの男の所から逃がしてくれたし目の保養だしで感謝の気持ちでいっぱいです。
「よいのですよ、うつくしいひとがこまるのはしのびない……
あぁ、かすが……もうすぐあおきりゅうがきます……このかたをあんぜんなばしょまでおおくりしてさしあげなさい……」
「はっ! 謙信様の命とあらば命に代えましても……!」
え? 、え? 会話が平仮名だからイマイチよく解んないけどもしかして奴が来るの?
「娘、行くぞ! のんびりしていては政宗公に追い付かれてしまう」
「え、あ、はい!」
慌ててそう返事した途端景色が一気に反転した
もう訳が解らん
全く話に付いていけない
ねぇ、ちょっとコレ今この状況どうなってんの?
「おっ、お姉さん!」
「私は“かすが”だ。舌を噛むぞ、黙っていろ」
……うん、その言葉……実はもう遅かったりするよ地味に痛い
景色が、物凄いスピードで流れる
アタシを肩に抱えてるってのにも関わらずすっげー速さ。
さっきまで居た城がもう森の中に消えて、アタシの視界は凄いスピードで流れていく緑一色
そういえば、あの美麗な人大丈夫なんだろうか
いや、でも三階くらいの高さから落ちて来たアタシを何の衝撃も無しに受け止めた人だ、アレで凄い強いのかも知れない。
見た目めっちゃ細っこかったけど。
30分くらいそうして運ばれていただろうか。
不意に、スピードが落ちた。
それでも進む足は止まっていない。
「此処まで来れば大丈夫だろう。……娘、名は?」
「アタシはカズハって言います。
お姉さん……えーと、かすがさんは何処へ向かってるんですか?」
皆さん、言っとくけどアタシはアタシに友好的な人に対してはめちゃくちゃ猫被るタイプですよ。
「……すまない、私は余り、謙信様のお傍から離れる訳には行かないんだ……、よって余りお前に構ってやれない」
ん? えーと、それはつまり解りにくいけど、
今は命令で動いてるけど安全な場所にアンタ置いてったらアタシすぐ帰るからねと、そういう事か?
質問の答えになってませんよー。
アタシが聞いたのはこれから何処行くのかって事ですよー。
知られたら困るとかそういう事?
しかし知った所でゲームの中の世界だからアタシ地理とか全く解らんわよ?
「すまんが此処でお別れだ、一応此処まで来れば安全な筈。
森の中だが……もしもの時はお前にやったクナイを使え、ではな」
「はっ!? え、ちょっと! かすがさん!!?」
かすがさんはアタシを適当な木の下に降ろした途端、目の前から消えた。
文字道理シュバッと。
…………
ハァ!!? え、ちょっと待ってこんな所でアタシにどうしろと?
茫然と立ち尽くして居たそんな時、不意にヒラリと白い紙が上から降って来た
“私の足に付いて来れ、尚且つ忍び足の真似事をやってのけたお前の身体能力なら平気な筈だ
頑張れ”
かなりの達筆過ぎて読むのに1時間くらいを要したけど、何度読んでも確かにそう書かれていた。
国語系の授業真面目に受けてて良かったと心から思う。
てゆーか真似してたの気付かれてたんだ。
……いや、でも草書とか崩し書きとかスゲー読みにくいから楷書でちゃんと書いてくれ。
ん? ……あれ? 何コレ、いじめ?
なんかもうすぐ日も暮れそうなんだけどコレ
え? 野宿? 野宿しろってか?
現代人は布団が無いと眠れないよ?
大体さぁ、ここどこ?
「……最悪……」
出て来た言葉は泣き言なんかじゃ無くてただの感想。
今日一日の、感想。
折角の休日だったのに二回も死にかけるわ、こんな所に放置されるわ、もう最悪としか言いようが無い。
そんな事を思いながらも、とりあえず、木に登る。
野犬とか狼とか犬科動物は木に登れないからそれらに襲われない為にだ。
熊は登ってくるけど、その時は抱き着いてやる。
疲労により思考回路崩壊中なアタシは真面目にそんな事を考えながら、ひたすら体を動かした。
……ビリーさん、アタシを鍛えてくれて有難う、木に登るのも楽だよアンタのお陰で。
いや、DVD借りて頑張って体を動かしたのアタシだけど。
暫く登り、適当な太さの枝に寝転がって夕日を見詰めた。
ゲームの中だからなのかそれとも戦国の世だからなのか分からないけど、夕日は凄く綺麗だ。
意味も無くまた今日一日を振り返る。
うん、なんか……ホントに凄い最悪な一日だ……
美形ばっかりに会えたのは良いんだけど……でもなんかもう色々有り過ぎてトータルでマイナスだ。
……とりあえず三日月男はいつかブッ殺してやる。
…………
まぁ良いや、違う事考えよう。
……そういえばこのゲームってどんなゲームだったっけ……。
えーと確か……適当にキャラ選んで天下統一するゲーム……だっけ?
…………ん? 天下統一……?
…………そうか……! 天下統一すりゃ良いじゃん!
アタシが!
このカズハ様が天下を取ればあの三日月男をアタシに平伏させる事だって出来る!
ソレに此処がゲームの中って事は……他にも美形キャラがゴッサリ居る筈……!
つまり、アタシが天下取れば必然的に逆ハーレムが出来る……!!
ゆっくりと沈んでいく夕日に真面目な顔で決意の視線を向ける
「目指せ……逆ハーレム……!」
ニヤリと口端を上げて、アタシは一人笑った。