性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。   作:藤 都斗

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はれんちはれんち

 

 

 なんかよく解んないけど一人になったからには、とりあえず状況整理しようと思います。

 

 えーと、明智さんに襲われた後

 どうやら真田さんに拾われて、上田城とやらに連れて来られたっぽい。

 

 あの消えかけの意識の中で見た顔が見覚えあったのは、やっぱりゲームのオープニングの効果なんだろう。

 

 で…佐助さんに疑われて、それから…

 あれ…?普通にツッコミ入れちゃったけどアレもしかして…

聞きようによっては真田さんを心配してるように聞こえた…?

 

 気になった疑問ぶつけただけだったんだけどな。

 

 つか答え無しかよ真田さん、肯定と取るぞ?いいのか?

 

 …まぁ良いや。

 

 真田幸村に上田城って事は、武田軍か此処。

 何県か知らんけど。

 

 佐助は確か忍だったよね。

 って事は、不安要素除去の為に、すぐアタシの素性を調べ始める筈。

 って事は三日月男の所に捕まってたのがバレるのも時間の問題か。

 

 まぁバレた所で異世界から来たなんて事信じないだろうけど。

 

 大体アタシ美少女で身軽なだけな一般人だし。

 まぁ佐助がまだアタシを疑って居ようと、あいつならアタシを一捻りで殺せるでしょ。

 とりあえず、怪我が治ったらすぐにこの城から出ていけば良い。

 

 『グキュルル~…』

 

 なんかいきなり腹の虫が騒いだ。

 

 折角若干シリアスだったのに勿体無い限りである。

 

 「………お腹減った。」

 

 …そういえば、こっちに来てからアタシ何も食べてない。

 胃の中のポテチ(コンソメ味)は完全に消化されてしまったんだろう。

 

 「すいません佐助さーん、お腹すいたんだけど良ければなんか食べ物恵んでくださーい」

 

 言った途端に佐助さんが現れた。

 ちょっとビビる。

 

 「はいはい。そう言うと思って持って来ましたよ。

 しかし随分卑屈な物の頼み方だねェ」

 「…いや…なんかそんな投げやりな気分だったんで」

 「アハハ~、カズハちゃんて変な子~」

 

 こんな美少女捕まえて変とか言うな。

 

 クソ…コイツの微妙なテンションのせいで無茶苦茶調子狂う…!

 

 「まぁ良いや、三日も寝てたらそりゃお腹も空くよねェ、はい、おにぎり」

 「あ、有り難う御座いま……三日?」

 

 受け取りながら軽く固まって佐助さんを見る

 

 「そうだよー。

 三日前にうちの旦那が奥州に行こうと馬走らせてたら何を間違ったか森の中に突っ込んでっちゃって、その時カズハちゃんが血塗れで落ちてたの」

 

 

 いや、そこは倒れてたで良いじゃん。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 カズハちゃんは、なんか複雑そうな表情で俺様の話に耳を傾けつつ、渡したおにぎりを頬張った

 

 茶色い艶やかな髪に黒い瞳

 長い睫毛に白い肌

 

 無駄に整った容姿。

 

 でも口いっぱいにおにぎりを頬張ってるから台無しになってる。

 ついでに、食べてる間も手を動かしたりしている所為か傷が痛むらしく表情は百面相。

 

 本当に台無し。

 

 でも、三日前旦那が見付けた時は出血で真っ白になってた頬も今では健康的な薄桃。

 

 背中の傷は見た目派手だったもののそれ程深くなく、此処三日で順調に回復しているらしい。

 

 クナイを持ってたからどこかの忍か間者かとか思ったけど、それにしては筋肉の少ない身体だ

ていうか先刻良く見ればあのクナイ、忍文字でかすがの名前が彫って有った。

 

 この綺麗な肌といい、割れてもない整った爪といい、忍でも農民でもない事だけは解る。

 

 どこかの姫と言われても可笑しくない程だ

 

 しかし、どこかの国の姫が家出したなどという情報はない。

 

 本人の口から話を聞こうと脅してみたけど、少し、嘘を吐かれた。

 旦那は信じたけど記憶喪失は嘘だろう。

 

 その他は嘘では無いらしい。

 かすがに助けられたって言ってたけど、かすががどこに属する忍か全く解ってないようだった。

 

 ...いきなり旦那に説教し出したのはびっくりしたけど。

 

 コレが間者だとしたらかなりの熟練者だ。

 やはり殺すべきな気がする。

 

 とにかく気になるのはこの冷静さ

 

 首にクナイを突き付けられていたというのにまるで“殺すなら殺せ”とでも言うように目を閉じた少女。

 

 普段の俺様ならこんな事有り得ないけど何故だかこの少女は気になった。

 

 

 「…カズハちゃんはさー。死ぬの怖く無いの?」

 

 「は?…、…んぐ…、なんすかいきなり」

 

 手で口元を隠しながら若干口元をもごもごさせつつ、少女は怪訝そうな瞳を俺様に向ける。

 

 「だってさァ、俺様が殺そうとしてんのに平気だったじゃん」

 

 「…平気じゃ無いすよ、痛いの嫌いですもん。」

 「…じゃカズハちゃんは痛くなきゃ死んでも良いの?」

 「うん。アタシが死んだって世の中には別段影響無いし。」

 

 意味が解らない。

 女の子ってもっとこう…何て言うか、ネットリっていうかなんかそんな感じが…してるもんじゃ無いの?

 

 「ただ、こんな人生かー、残念。

 でもまぁ良いや。って思うだけ」

 「へぇ…随分サッパリしてるんだねェ」

 

 「まぁ、…抵抗した所で死ぬ時は死ぬし、不様に生き延びようとした所で醜いだけだし。」

 

 アタシ醜い人間にだけはなりたくないのよねー、と呟いて、それから

 

 「…あ、おにぎり、もう一個下さい」

 

 サラっと、おかわりを要求された。

 

 

うん、変な子。

 

 

 「…佐助…んぐ、さんは、…もご、アレですよね」

 「…口に物入れて喋っちゃ駄目でしょー。

 あと何が言いたいか解らないよ」

 

 新しく渡したおにぎりを頬張りながら少女はモゴモゴと喋る。

 とりあえず注意したら大人しく口の中の物を全部無くしてから口を開いた。

 

 「佐助さんってアタシの事、信用なんかしてないですよね?」

 

 なんか今日頼んだ任務はちゃんと全部終わらせてあるよね?、みたいな口調で、さも当然のように確認された。

 

 「…は?」

 「だって真田さん簡単にアタシを信じちゃうんですもん。

佐助さんは大丈夫ですよね?あの純粋さに毒されて無いですよね?」

 

 それ、どういう意味なのカズハちゃん。

 

 「アタシならアタシみたいな怪しい奴居たら真っ先に蹴りくらわして追い出すもん。

 あの人よく今まで生きて来れたね」

 

 …旦那~、なんか遠回しに馬鹿にされてるよ~。

 

 「まぁ…、俺様は確かにまだ疑ってるよ?」

 「あ、良かった。佐助さんはマトモな神経持ってた。」

 

 ……これ、喜んで良いの?

 

 「カズハちゃんは、旦那の事…心配してくれてんの?」

 「まさか~、心配した所で何の特もないじゃん。

 美形だから勝手に死なれるのは惜しいとは思うけど。」

 

 ケラケラと、軽く笑う少女。

 振動で傷が痛んだのか一瞬顔をしかめた。

 

 …この子、くのいちに向いてるかもなァ。

 

 もし、本当にこの子に怪しい所なんて何も無いのなら

 この子が信じるに足る人物なら

 

 忍として鍛えてみようかな。

 

 

 ―…そう考えた自分に驚いた。

 

 

 …まぁ…、なんていうか…手負いの猫拾ったような気分だからかもしれない。

 とりあえず今は、気にしないでおこう

 

 そう、思った。

 

 どうせ、いつでも殺せるんだし。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 「じゃあカズハちゃんはさー、人を殺すのって平気?」

 

 「は?」

 

 アタシがおにぎり頬張ってたら、なんか突然、今日の味噌汁シジミ入ってるけど大丈夫?、みたいなテンションで尋ねられた。

 とりあえず口の中にある物を飲み込む。

 

 「俺様とか旦那とか殺せる?」

 「あ、無理。」

 

 思わず即答してしまった。

 コレが怪しい行為に繋がるかもだけど、まぁ良いや。

 

 「不細工ならちょっと躊躇うかもだけど殺せる、でも美形は絶対無理」

 「え~?何それ?つまり俺様達が美形だから無理って事?」

 「うん。

 綺麗なものを壊すのはアタシの生き様に反するもん。

 よっぽど酷い事されない限り美形を殺したいなんて思わない」

 

 真面目に告げる。

 

 えぇ本心ですよ。

 力いっぱい本心です。

 

 だって綺麗な物好きなんだもん!

 

 「…ぶっ!、くくく…っははははは!

 ちょ…生き様とかカズハちゃんホントに意味解んない…!」

 

 なんか爆笑されてるんですが。

 なんでだよアナタの方が意味わかんないからね。

 

 アタシの寝てる布団の横で佐助さんがひたすら笑い転げてるんですが、振動が傷に響くかもしれないので暴れないで頂きたいです。

 

 「佐助さん笑いすぎです。

 つか何が貴方の笑いのツボに嵌まったのかサッパリなんですが」

 「…ははは…!ぶぷっ…くくく…!、っ…あ。ゴメンゴメン!

 なんか顔にご飯粒付けた侭凄い真面目に言うから可笑しくって…」

 「なっ!?ちょっ早く言って下さいよ!!」

 

 焦りながらご飯粒を探したら佐助さんはその様子見てクスクス笑ってた

 

 …チクショー…、なんか腹立つな…怪我さえしてなきゃシバいてやるのに…!

 

 「あーホラホラ…そこじゃないよ。反対」

 「え?、アレ、何処?」

 「違うもーちょっと下、ったく世話が焼けるなぁ、ちょっと動かないでね」

 「え?…あ…はい、ってなんで顔近付けて来んの!!?」

 

 ご飯粒を取ってくれるものだと思ってたアタシは何故か近付いて来る顔にビビって、とりあえず両手で佐助さんの顔が近付くのを制止した。

 普通に背中痛いけど今はそれどころじゃない。

 

 「ん?なんでってそれはこっちの台詞だよカズハちゃん。

 俺様ご飯粒を取ろうとしただけだよ?」

 「口で直に取る気だったの!!?ちょっやーめーろーやー!!」

 「だってカズハちゃん面白いんだもん反応が。

 何?もしかして照れてる?」

 「いや寧ろスゲー嬉しいし目の保養だけど無駄に興奮しちゃうからやめて!!」

 「あ、何アレ」

 「は?」

 

 一瞬気を取られた隙に佐助さんが顔に付いてたであろうご飯粒を

 

 頬っぺたごとペロっと…

 

 ……………!!!

 

 「っギャァァァアアアアっグハァ背中!!背中痛い!!!」

 

 こんな簡単な手に引っ掛かるアタシもアレだけどコイツマジで口で直接ご飯粒回収しやがった!!

 つか、今までに無いぐらい恥ずかしいぞコレ!!

 

 うわうわうわ何してくれてんだ佐助さん!いや、もう佐助で良いやコノヤローが!!

 

 くっそー!鼻血!!鼻血出る!!!

 

 つーか叫び過ぎて背中に力入れちゃったマジ痛い!!!

 

 「ごちそーさまーって、ちょっ、カズハちゃん大丈夫?駄目だよ大声出しちゃー、…まだ治ってないんだよ~?」

 「…だ…誰のせいだと…っ!」

 

 布団を握り締めて歯を食いしばり痛みに堪えながらも告げる

 

 やっべーマジ痛い…!ビリビリしてるよ背中が…!

 もうやだアタシMじゃないんだってばホントに…!

 

 「だってカズハちゃん面白いんだもん」

 「…だもんとか…野太い声でカワイコぶんなよ…!可愛いとか思うじゃん…!」

 「俺様別に野太くないよ~?、てゆーか可愛いと思わせるのが狙いだから」

 

 タチ悪ィなオイ!!

 

 「とりあえず傷口開いてないか確認するからちょっと失礼するよ?」

 「…良ければ…痛み止めとか無いですか」

 「うーん、あったっけ?」

 

 とかなんとか言いながら手際よく俯せにされて、着物を脱がして貰ってたら

 

 「さァァアすけェェェエエ!!!お主カズハ殿に一体何を…」

 

 ドドドドドスパーン!!!とまた喧しい人が入って来て部屋の光景を見て固まる気配がした。

 

 

 

 「は…破廉恥!!!」

 

 

 

 今度のドロップキックは綺麗に決まったようだ。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 某は着物を直したカズハ殿の布団の横に正座して佐助に詫びた。

 

 「申し訳ない…、叫び声が聞こえたので駆け付けたのだが…

 まさか怪我の様子を見る為だったとは…」

 「まぁ…、アレは誰でも誤解するよね、だからもう気にしないでよ旦那」

 

 佐助の腹にはきっと某の両足の痕が綺麗に残っている事だろう。

 しかし本人は特に気にした様子もなく、いつもの笑みを浮かべている

 

 「…で、大将なんだって?」

 

 尋ねられて思い出す

 

 「おぉ、そうであった。喜んでくれカズハ殿!

 お館様は其方の話を聞き、城への滞在を許して下さった!

 これからの事は一先ず怪我が治ってから決めれば良いと言っておられたぞ!」

 

 「は?、え?、えー?」

 「…あーぁ…、やっぱりそうなっちゃったか」

 

 困惑気味のカズハ殿と何故か少し嬉しそうな佐助

 

 先程とは違い妙に雰囲気が柔らかい気がするが……某の居ない間に何か有ったのだろうか。

 

 「まぁ良いや、俺様この後任務あるから。

 じゃーね旦那、カズハちゃん」

 「おぉ、了解した。いつもご苦労だな佐助」

 「アハハ~、気にしないよ仕事だもん。

 あ、そうそう旦那」

 

 

 不意に、佐助が言葉を止めて一呼吸置いてから

 

 

 「カズハちゃんの傷の確認出来なかったから、後は旦那がなんとかしといてね☆」

 

「…な、ななな…なんだと!?」

 

 エェェエエ!!?

 ちょっ…え、エェェエエ!!?

 さ…さささ佐助…お主もしかして…先刻の事、やっぱり根に持っておるのか…!!?もしかしなくとも仕返しか!!?

 

 「んじゃ行ってきまーす。」

 「ちょ…っ待たぬか佐助ェ!!」

 

 呼び掛け虚しく、佐助はニコニコと姿を消した

 

 

 え

 

 

 いやいやいやいや

 

 無理

 

 無理でござるよ佐助

 

 

 某、女子の着物の脱がし方なぞ知らんもん

 

 それ以前に女子の肌に触れるなぞ…

 

 し、ししししししかもこの様な手負いの女子に

 

 

 …うん、無理。

 

 

 某は…、某は……っ!!!

 

 ぬおおおおお!破廉恥なッ!!!

 

 

 「…真田さん?どうかしたんですか?」

 

 

 一人で考えているとカズハ殿が怪訝そうにこちらを見てる事に気付く。

 

 しまった。

 不様な姿を見せてしまっただろうか。

 

 「…佐助さんは、あぁ言ってたけど無理しなくて良いと思いますよ?

 だって真田さん女の子に免疫ないでしょ」

 「し…しかし…、佐助に何か頼まれるなぞ…珍しい事なのだ…、なんか内容はアレだが」

 

 「…あー…うん…解りました…じゃあ、無理だと思ったら…えーと女中さんとか呼んで下さいよ」

 「相分かった。なるべく無理は致さぬ…」

 

 べ、べべべ別に裸が見たいとかそういう気持ちは無いぞ!破廉恥な!気持ちは!無い!

 

 恐る恐る俯せにして、また恐る恐る着物に手を掛け、ゆっくりと着物を脱がす。

 

 包帯が少し真新しい血に滲んでいるのを見て、傷口が少し開いている事を察した。

 投げ出して仕舞わぬよう、何とか理性を保ちながら包帯を取り払い、やっと傷口が見えた時

 三日前の、彼女が倒れていた時の様子が、頭を過ぎった。

 

 美しい白い肌に、痛々しく入った治り切らない傷。

 

 自然と己の眉間に皺が寄るのが解った。

 

 「あーぁ、コレきっと絶対痕になっちゃうよねェ…」

 

 不意に呟かれた、か細い苦笑混じりの言葉に、己の眉間の皺が深くなった気がした。

 

 ん?…なんか今ついでに明智殿に殺意が沸いた気がするが…気の所為だろうか…

 

 そのまま何気なく、そっと開いた傷口の近くをなぞってみると小さな身体はビクリと跳ねた。

 

 「ちょ、くすぐったいから!!」

 「すっ、すまぬ!!」

 

 誤魔化すように、慌てて佐助が用意していた薬壷を手に取って、それから指でたっぷりと掬う

 自分の顔は今、きっと真っ赤になっていると思うと、なんだか情けなくなって来た。

 

 しかし、そんな事を気にしても意味は無いと思い、改めてカズハ殿の背中の傷口を見詰めながら、薬を塗布する。

 

 途端カズハ殿がびしりと音がしそうな程硬直した。

 

 「い゙…っ!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!ちょマジ痛いナニコレいだだだだだ!!!」

 「…ぬぅ…滲みるか…すまぬが我慢召されよ、すぐ終わる故」

 

 余程滲みるのかカズハ殿は布団を握り絞め足をバタバタとばたつかせる

 

 佐助の特製塗り薬はとても効くが…酷く滲みるのが難点だと痛みに悶えるカズハ殿の様子を見て、しみじみと思った。

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