性格濃いめの女子が戦国BASARAにトリップした場合。   作:藤 都斗

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くるしいくるしい

 

 

 しかし、政宗様への説教を始めようとした時、真田殿が突然の土下座を敢行した。

 

 「片倉殿!悪いのは某にござる!政宗殿を責めないで下され!!」

 「え、…し、しかしですね真田殿…」

 

 他国の武人を責める訳にも行かず、戸惑ってしまったその時、また若い娘の声が響いた。

 

 「何アンタら、…小学校…は無いか、なんかの先生と生徒?」

 

 「カズハ殿!!何故此処に!!?」

 「アンタが走ってったから追っ掛けて来たんでしょうが。

 しかもこのアタシを全無視とか何様よ、シバくわよ」

 「す、…すまぬ」

 

 

 あの娘だった。

 

 情報通り、やはり甲斐に居たらしい。

 

 

 …しかし、何故団子が飛んできたのだろうか?

 

 

 

 「…Heyカズハ…探したぜ…こんなとこにいやがるとはなァ…」

 

 

 不敵にわらう政宗様のそんな言葉に、娘の表情が固まった

 

 

 「…あ、…アンタ…!、アタシに散々失礼やら無礼やら働いた…三日月男じゃない…!!」

 

 

 …その辺りはどっちもどっちな気がする。

 

 

 「…幸村!コレ忘れ物!そこの団子も食べといてね勿体ないから!じゃ!アタシは逃げる!!」

 

 娘は突然、持っていた風呂敷袋を真田殿に投げて寄越したかと思えば、一瞬で忍装束に着替え、

 民家の屋根を伝いながら、娘は颯爽と逃げて行った。

 

 …俺達が躍起になって探している間に、娘は此処でくのいちへと育ったらしい。

 

 しかも武田忍軍の。

 

 ちなみに現在、幸村殿は『解り申した!』とか言いながら、壁に刺さった団子を引っこ抜き、素直にもぐもぐ頬張っている

 

 なんだこの癒し系は。

 

 「やっほー、竜の旦那、理解した?カズハちゃんは俺様の部下になったんだよ。

 もう竜の旦那が拾った時のカズハちゃんとは違うね!」

 

 不意に、塀の上からなんとも暢気な声が聞こえた。

 だがしかし内容は明らかに政宗様を挑発している

 

 「Ha…テメェか猿飛佐助…!、俺の楽しみを奪いやがったのァ…」

 「奪うなんて人聞き悪いなァ竜の旦那は…。

 俺様の主が拾って、俺様が教育を任された、それだけの事だよ」

 

 ちなみに真田殿は、受け取った風呂敷袋を開け、中に入っていた団子をモッサモッサ口いっぱいに頬張りながら、この様子を見物している。

 

 この方は空気を読む事が出来ないのだろうか。

 

 まあ、…癒されるのだが。

 

 「俺は手放す気なんぞ無かったんだよ…返せ。」

 「返せって竜の旦那何言ってんのさ…それを決めるのは俺様じゃないよ?

 何処へ行きたいかなんてカズハちゃんが決める事じゃん?」

 

 「知るか。アイツは俺が拾った。だから俺のだ」

 「…何その理屈…子供みたいだよ竜の旦那」

 

 

 …二人の間に、妙な火花が散っている。

 

 猿飛殿の表情は笑ってはいるが、目は笑っていない。

 対する政宗様は機嫌の悪さが滲み出まくったような、何とも不機嫌な表情をしている。

 

 

 「Huh…?、それじゃァ言わせて貰うが…アイツが忍になりたいつったのか?」

 「さぁ?どうだろうね」

 

 「……降りて来いよ猿…」

 「えー、嫌だよ。斬り捨てられそうだもん」

 

 

 塀の上でニコニコと佇む猿飛殿と、物凄い剣幕でそれを見詰める政宗様。

 

 そしてそれを見ている俺と、未だにモッサモッサと団子を頬張る真田殿。

 

 

 …なんだこの状況は。

 

 

 しかもなんか段々野次馬が増えて来た。

 

 

 「…政宗様、猿飛殿、此処ではなんですから移動しましょう。」

 

 二人もやりにくいと感じていたのか、俺の言葉にコクリと普通に頷いた。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 「…クッソ…!、何だって今更アノヤローが来るのよ…!」

 

 

 アタシは民家の上を屋根伝いに走りながら一人呟いた。

 

 誰に、という訳では無いがそんな風に口に出して言わないとやってられない。

 

 

 とりあえず意味が解らん。

 

 何故アイツがココに来た?

 

 

 しかも『探した』だって?

 

 アタシを?

 

 …理由が全く解らない。

 まずアノヤローがアタシを探そうとする理由も、殿様が単身で他国に乗り込む理由も解らない。

 

 …普通は部下にさせるんじゃないの?

 

 大体、アタシもどうかしてる。

 佐助の言った『竜の旦那』ってのが『独眼竜の旦那』の略だって事くらい少し考えれば解るのに。

 

 アタシは阿呆か。

 

 「…っていうか…阿呆なんだろうな…」

 

 思わず自嘲気味に笑ってしまった。

 

 

 大体、あのドS三日月男の考える事だ、どうせ物凄いろくでもない事が理由だろう。

 アタシをストレス発散に使うとか、嫌がらせするとか、言葉責めにするとか、虐めるとか。

 きっとそんなサディスティックな事の為に探されてたに違いない。

 

 むしろ…それしか考えられない。

 それ以外はなんも浮かばないくらいそれしか思えない。

 

 うん、やっぱ死ねば良いよアイツ。

 

 しかしそれでもアタシはこの国から出る訳には行かない。

 

 この世界に来た頃とは違って、アタシは今、武田軍に仕える一人の忍だ

 

 まあ、まだ見習いだけど、それでも、この国から無断で出る事は、裏切りを意味する。

 

 アタシ、誰かを裏切ったり騙したりするのは割と得意だけど、でも流石にめちゃくちゃ世話になった人を、あっさり裏切ったり出来るような薄情さも、非情さも、卑怯さも持ち合わせて無いのよね。

 だってまだまだ現代日本人だし。

 

 

 それに、まぁ、一応は普通の女の子だから。

 

 

 今、佐助の声で『え?どの辺が?』って幻聴が聞こえたから、後で八つ当たりさせて貰おう。

 身体で返せって言われてたし、そんなんでいいよね。

 

 まぁそれはともかく。

 アタシは武田さんを裏切れない。

 

 ので。

 あの三日月男が諦めて帰るまで、アタシは隠れながら過ごそうと思います。

 

 そんであわよくばサクッと殺したいと思います。

 

 お付きの人も居たけどあの人は特にアタシになんかした訳じゃないから除外。

 まぁ、あの人素敵な感じのおじ様だもの。

 ヤーさん風だけど。

 

 是非ともアタシの作った逆ハーレムのメンバーに居てほしい

 

 という訳で、とりあえずアタシは上田城へ帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不意に目が醒めると何も見えなかった。

 

 いや、失明したとかそんなシリアスな感じじゃなくて、誰かの胸に押さえ付けられて。

 

 

 いや、うん。

 

 え?何コレ

 

 ちょい待て。

 

 マジ意味解んない

 

 

 まぁ、うん、誰だアタシを抱き枕にしてんのは。

 

 

 広い胸板から相手は男だと解るけど、この状況じゃ顔も見えないし身動きも取れない。

 身をよじってみるけど全く抜け出せそうに無かった。

 

 仕方ないからとりあえず、状況を確認してみよう

 

 アタシは寝る前何してた?

 

 えーと、とりあえず昨日は城に帰還した後、佐助と夕飯食べて、自主練して、風呂に入って、布団に入って、寝た。

 

 

 あれ、じゃあなんでこんな状態になってんだ?

 

 

 あ、なんか嫌な予感がする。

 

 

 「…Heyカズハ、お目覚めか?」

 「…いや、とりあえず聞かせろ。

 なんでアンタがアタシの部屋で、アタシの布団に入って、アタシを抱き枕にしてんだ」

 「Ha…んなもんたまたま通り掛かったからに決まってんじゃねーか」

 

 たまたま通り掛かったら、勝手に人の部屋に入って、勝手に人の布団に入って、勝手に人を抱き枕にすんのかアンタ。

 

 「んな事ァどうでもいい…お前…なんで昨日逃げた。」

 

 んなもん逃げたかったからに決まってんだろコノヤローめ、そのくらい解れ。

 

 てゆーかこの三日月男、上田城に泊まったのか。

 くそ…昨日城内を歩いた時、殺気立った気配なんて無かったから油断した。

 ついでに現代日本人なアタシは、寝てる時なんてホント無防備だからな…。

 寝てる間も気配を察知するなんてまだまだ出来そうに無い、って、いや出来なくて良いんだけど。

 

 此処で暮らすようになってから、アタシの体内時計も進化して、朝日が昇った頃に起きるようになったから、今はきっとそのくらいの時間なんだろう。

 そろそろ朝稽古の時間だから離して欲しいんだが。

 

 「…Han…だんまりか。

 良い度胸じゃねーかカズハ…今の状況が判ってねェ訳じゃねェんだろ?」

 

 ...一応判ってるけどアタシ個人は、あんまり判りたくないって言うか何て言うか…

 

 「お前は今、俺様の腕の中に居るんだぜ…?」

 

 えーと…これは…殺されるのと[自主規制]られるのとどっちだろうか

 

 …あ、もしかして両方?

 

 うん、謹んで遠慮します。

 

 「仕方ないわね…じゃあ言うわよ。

 えーと…そんなの逃げたかったからに決まってんじゃない」

 

 胸に顔面を押さえ付けられてるから凄い喋りにくいけど、とりあえずさっき思ったままを答える。

 

 どうでもいいけどアタシ、なんでこんな冷静なんだろうか

 

 あ、解った!なんも見えてないから状況の現実感が無いんだ。

 成る程成る程、なら仕方ないわね。うん。

 

 …って納得してどうする!!!

 

 「いい加減離せコノヤロォォォオオ!!!佐助ェェェエ!!!幸村ァァァア、うぶ!!」

 「shit!、騒ぐんじゃねェ、その首捩じ切るぞ」

 

 ちょま、恐っ!!!

 めっちゃ怖い事言われた!

 捩じ切るって何、ヤダ、絶対痛いし怖い!

 

 「竜の旦那ァ~?お楽しみのとこ悪いけど、ウチの部下に何してくれてんのかな?」

 

 あ、佐助だ!助けて!

 いや助けろ!!

 

 …なんか空気ピリピリしてるけど気にしない!助けて!

 

 てゆーか、胸に思い切り押さえ付けられてるからかなり苦しいんだけど何コレ

 

 すいませーん!死人出ますよー!

 アタシの命の灯が儚く消えようとしてますよー!

 今まさに有り得ない場所でアタシが死にそうですよー!

 息が出来ませーん!

 

 うわ、ヤバイってコレマジで

 

 

 あ

 

 

 なんか走馬灯見えて来た

 

 ついで言うと綺麗な景色も見えて来た

 

 あー、死んだひいお婆ちゃんがアタシを見付けてオタオタしてる

 あと昔亡くなった叔父さんが指差しながら爆笑してる

 

 いや、笑ってねーで助けろやアンタ。

 

 駄目だ考えるのも億劫になって来た…

 

 「ちょ竜の旦那!カズハちゃんピクリとも動かなくなっちゃったよ!!?」

 「何だと!?オイカズハ大丈夫か!!?、shit!!白目向いてやがる!!」

 「カズハどぬォォォオオ!!何があったでござるかァァァアア!!?」

 

 なんか幸村がやって来たような、皆が大騒ぎしてるような、そんな感じがしたけど

 

 アタシの意識はもう無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目が醒めた時、なんか異様な光景が広がってた。

 

 

 顔面に足跡の付いた三日月男が小十郎さんから説教受けてて、その横で幸村と佐助も一緒になって説教受けてた。

 

 正座で。

 

 …あれ、…此処アタシの部屋だよね?

 何この状況。

 

 「女性の寝室に勝手に入るだけでも非常識だと言うのに、あまつさえ寝込みに…云々」

 

 とかなんとかガミガミ説教されている。

 

 えーと、とりあえず今何時頃?

 

 朝稽古行かなくちゃなんだけど。

 そんで朝食ね。

 

 「カズハ殿!気が付かれたか!」

 

 幸村がアタシが起きたのに気付いた事で、視線が一斉にアタシに集まった

 

 「カズハちゃん大丈夫?竜の旦那はうちの旦那がシバいといたから安心してね」

 「Han!不意打ちだあんなのァ。卑怯極まりねェ」

 「政宗殿が破廉恥だからではないか!」

 

 成る程、三日月男の顔の足跡は幸村のドロップキックか。

 

 「ンだとォ!?それじゃ俺様の存在が破廉恥みたいじゃねェか!」

 「なんと!、違うのか!!?」

 

 幸村…アンタもしかして確信犯か…?

 純粋と見せ掛けて実は腹黒いの…?

 それとも素でそんなん思ってたの…?

 

 幸村以外の全員が幸村を見詰めながら押し黙った。

 

 きっとアタシと同じ事を考えたに違いない。

 

 

 「え、何?どうしたのだ皆、急に黙り込んで…某何か変な事でも言ったか?」

 

 オロオロとする幸村

 

 ...うん、とりあえず気にしても仕方ない気がする

 

 天然か確信犯か腹黒か計算か解んないけど、もし天然なら考えるだけ無駄だ。

 

 「まぁ良いや…アタシ朝稽古行かなきゃ…」

 「え?もう朝餉の刻限でござるよ?」

 

 …そんなに気絶してたのかアタシ。

 大体三時間くらい?かな?

 

 ...てゆーかその間ずっと小十郎さんから説教受けてたのかアンタら。

 

 まぁそんなこんなでようやく朝食を食べに向かった。

 

 

 朝食の後は佐助が勝手に組んだスパルタ鍛練がある筈なのだが、事あるごとに三日月男が乱入してきてそれどころじゃ無くなった。

 

 何がしたいんだあの男は。

 

 まぁ、スパルタ鍛練受けなくて良いって事は凄い嬉しいけど。

 でも逃げ回ったり隠れたりしなきゃならないから凄いめんどくさい。

 

 アイツさっさと諦めて帰れば良いのに。

 でもなんかよく解んないけどアタシを奥州に連れて帰りたがってるのよね。

 はっきり言って凄いうざい。

 

 

 「…お陰で隠密行動がプロ並になれそうだな…」

 

 城の屋根に佇みながら、小さく呟く。

 

 こーゆー事してると小さい頃やった隠れ鬼ごっこを思い出す。

 早い話隠れんぼの鬼ごっこバージョン。

 鬼に見付かったら捕まらないように全速力で逃げる、意外とサバイバルでスリリングな遊びだった。

 

 懐かしいな…うん。

 

 アタシが参加すると絶対泣き出す子がいたから自然と参加しなくなったんだっけ。

 何で泣かれたんだろ。

 

 鬼じゃない時は持ち前の素早さで誰にも捕まらないように逃げまくって、鬼になった時は一人に的をしぼってどこまでも追い掛けたりしたからかしら。

 

 …そんな風に過去へ思いを飛ばして居たら、いつの間にか幸村が隣でモッチャモッチャ団子食ってた。

 

 

 「…え、…幸村何やってんのアンタ」

 

 「ん?もご…んぐ…いや、某ちゃんとカズハ殿に声を掛けたのだが、返事が無かった故…」

 「そ…そうなんだ?ごめん」

 

 アタシ幸村の気配がわかんなくなるくらい考え込んでたのか…、悪い事したな。

 

 「…っていうか此処屋根の上だよね。」

 「そうでござるな。」

 

 「…いや、そうでござるな、じゃなくて。なんでアンタ登って来ちゃってんの」

 

 「え…某はカズハ殿と団子を食べようと…」

 「え…それだけの為に護衛の佐助も連れず、こんな所まで登って来ちゃったの…!?佐助は!?」

 

 「佐助は政宗殿との手合わせの最中にござる」

 

 佐助…アンタ何してんだ。

 あ、アタシが政宗から逃げた後を引き受けてくれたとかは考えないわよ、めんどくさい。

 

 「てゆーかアタシまだ完璧な忍じゃないからアンタの護衛出来る自信無いよ?」

 

 えぇ、カケラも。

 

 「大丈夫でござる、カズハ殿は立派な武田の忍、佐助の代わりも簡単にこなせる筈!」

 

 いや、無理無理。

 あんな人外な奴と一緒にせんでくれ。

 

 しかし、そこで幸村が口を開いた

 

 「…本当は某、…其方と団子を食べたいが為だけに上って来た訳ではござらん」

 

 え?あ、そうなんだ

 

 良かったー。

 団子を食べたいってだけの為に屋根の上まで来たんだったらホントにどうしようかと思った。

 どんな上司だよ!ってツッコミ入れる所だった、危ない危ない。

 

 

 「…実は某、カズハ殿に尋ねたい事があるのだ」

 

 

 ?…なんだろ。

 

 

 「…カズハ殿は…、政宗殿と共に奥州へ帰って仕舞われるのか?」

 

 

 はい?

 

 

 「え、何それ。どういう意味?」

 

 思わず眉間に皺を寄せて尋ねる 

 

 「政宗殿は…カズハ殿を迎えに甲斐へ来られたのだろう?」

 

 神妙な面持ちで尋ねられ、アタシの眉間に更なる皺が寄った。

 

 「…アンタ何の心配してんの?」

 

 「え?いや、だから…」

 「アタシがあんな男に付いてくとでも思ってんの?」

 

 不思議そうにアタシを見る幸村

 

 「アタシが、武田を裏切ると?」

 

 幸村の目が見開かれる

 

 「アタシ、そこまで信用無いんだ?」

 「ち、違うっ!!!カズハ殿、それは違うぞ!!!」

 

 「…良いよ別に。どうせアタシ新参者だし。」

 

 …アタシなんでこんな事言ってんだ?

 

 …あぁ、なんだ。

 ちょっとショックだったのか。

 ショック受けるなんてまともな感覚、まだあったのかアタシ

 

 ちょっと感心。

 

 「カズハ殿!!!」

 

 不意に両肩を掴まれ、視界には幸村の、なんかちょっと泣きそうになってる必死な顔があった。

 

 「聞いてくれカズハ殿!、某は…某はただ単に、其方に甲斐から離れて欲しく無いだけなのだ!」

 

 いや、だから離れるも何もアタシそんな気ないんだってば

 

 「政宗殿が、カズハ殿とは恋人同士だと言っておったから…」

 

 

 ..................は?

 

 

 ...あのボケナス...何意味の解らん嘘を吐いてくれてんだよ...

 有らぬ誤解を生産しやがって...

 

 

 これアレだろ、嫌がらせだろ、確実に嫌がらせだろ。

 

 

 それ以前に

 

 

 「んな訳あるかァァァアア!!!てゆーかあんなドSが恋人なんてアタシどんだけMなんだっつの、有り得ないっつーの!!!」

 

 

 よし!シバきに行こう!今からでも良い!全力でシバく!むしろぶち殺す!!

 

 ブ ッ コ ロ ス !!!

 

 「…?、カズハ殿?『どえす』とは何でござるか?」

 「え?、あぁ…人を虐めたり泣かしたりするのが大好きな人の事よ。」

 

 「では…『えむ』とは?」

 「虐められたり泣かされたりするのが好きな人の事よ」

 

 「…何処の言葉でござる?」

 「あー…アタシの故郷の方言みたいなもんよ」

 

 「成る程!」

 

 

 いや、幸村も何聞いてんだ、そんでアタシも答えてどうすんだ。

 

 大体何の話してんのよコレ

 

 

 「…では、某はどちらかと言えば『どえす』でござるな!」

 

 

 何言い出すんだこの子。

 

 

 え、いやMだって断言されても困るけど。

 

 てゆかホント何の話コレ。

 

 

 

 「…良かった。」

 

 

 

 不意に呟かれた一言。

 

 その一時の合間に、アタシと幸村の間を一陣の風が通り抜けた。

 

 「…何が?」

 「折角仲良くなったのにいなくなるのは寂しい…と、そう思ってたでござる。だから、良かった」

 

 

 いや、だからさ。

 

 

 そーゆー事をさ、美形がニコって笑いながら言っちゃ駄目だって。

 

 赤面するから。

 

 照れるから!!!

 

 ホント何もうこの世界、アタシを鼻血で失血死させたいのか。

 

 

 「…?、カズハ殿?どうかしたでござるか」

 「ななな何でもない何でもない!

 大丈夫大丈夫!大丈夫だから顔近付けて来んな!!」

 「カズハ殿!?如何致した!!顔が真っ赤にござる!!何処か具合でも!?」

 

 いやいやテメーのせいだよコノヤロー!!!

 あーもーいいから顔近付けんな余計恥ずかしいから!!!

 

 「何でもないっつってんだろ!!

 恥ずかしい台詞サラっと言いやがって恥ずかしいんだよ今のアタシを見るなァァァアア!!!」

 

 叫びながら幸村を背負い投げてアタシは屋根から跳び去った

 

 幸村の言葉は凄い嬉しかったけど、あの状況は無理。

 耐えられない。

 恥ずか死ぬ!!!

 

 アカン!とりあえず、どっかで頭冷やしたい!

 

 …そうだ!川行こう。

 

 川に入って頭冷やしてついでに魚とか捕って夕飯にして貰おう。

 ちょうどいいサボりの口実になるしね!

 

 という訳で、忍の技、早着替えで忍装束から普通の着物に一瞬で着替え、ポニーテールをロングヘアに変えて、そこからは歩いて川に向かった。

 忍って凄いよね、出来てるアタシも凄いよね。

 さすがはカズハ様よね。

 

 

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