意識が朦朧としている。ここはどこだろう?僕は勝たなくちゃいけないのに。オーフェリアさんとそう約束したんだ。身体に力が入らない・・・どうして?決勝ってもう終わったの?
そうだ!決勝!結果はどうなったの!?決勝の記憶が全くない。戦っていたことは覚えているんだけど、結果に関しては記憶が無い。急いで起きて、戦わなくちゃ。決勝だけは、負けられないんだ・・・!
そう思って意識を暗闇から浮上させる。目が覚めると最初に目に入ってきたのはオーフェリアさんだった。
「・・・オーフェリア・・・さん?」
「日向!?目が覚めたの!?」
「うん・・・そうだ!決勝戦!」
そう言って体を起こそうとするが、力がほとんど入らない。
「まだ起きちゃダメ。星辰力切れ、それと私の毒のダメージがまだ抜けきってないわ・・・」
「そう・・・決勝ってどうなったの?」
「私が天霧綾斗の校章を破壊して、私たちの優勝よ」
「そっか・・・良かったぁ・・・」
そう言えば何でオーフェリアさんを見上げているんだろう?そう思って今の状況を見てみた。
(これって・・・膝枕!?)
控室でオーフェリアさんに膝枕されている。どうしてこうなってるんだろう。
「ごめん!すぐど・・・!」
そう言って体を起こそうとするが、全く力が入らない。そう言えば星辰力切れ起こしてるんだった。
「・・・ごめんなさい・・・やっぱり、あそこで毒を散布したのは間違ってたわ・・・」
「・・・え?」
「あそこまでしなくても、多分あの戦いには勝てていたわ・・・あそこであの毒を使うことが最善だとはとても思えないわ・・・ねぇ、なんで自分が苦しい思いをしてまで、あそこで戦えたの・・・?」
悲しそうな表情を浮かべながら、オーフェリアさんは僕に問う。でも僕は、この質問に対する答えを持ち合わせていない。これは決勝前に考えても、答えが出なかった問いだ。
「オーフェリアさんを自由にするって約束したから・・・じゃダメかな?」
「あなたは・・・どうして自分の身を犠牲にしてまで、私を助けようとするの・・・!私は・・・自分の運命をもう受け入れているの!なのにどうして!今になってそんなに希望を持たせるようなことをしてきたの!」
驚いた・・・泣きながらそんなことを言われるとは思わなかった・・・いつも悲しげな表情を浮かべていて、ゲームをしてるときはほんの少し楽しそうな表情を浮かべていて、僕を追いかけていたときは・・・よく分からない。
でも、オーフェリアさんがここまで感情を表に出しているのは、初めて見る。
「泣かないでよ・・・僕は、オーフェリアさんが泣いているところなんて、見たくないな・・・」
そう言って人差し指でオーフェリアさんの涙を拭う。その行動にオーフェリアさんは驚いた表情を浮かべる。
「僕がオーフェリアさんを助けたいと思ったのは、よく分からないんだ。君の過去を聞いたときに、同情してしまったからかもしれない。今の君がとても可哀相なものだと、勝手に見下しているからかもしれない。それでも、君の笑顔が見たいと思ったことは今までに何度もあった」
僕は何を言っているんだろう。とりとめもない、意味も通じてなくて、話が飛び飛びだ。
「最初に君の置かれている状況を聞いた時の表情は、酷く悲しげだった。運命を受け入れていると言って、自分を誤魔化しているように感じたんだ。でも僕には、とてもそうだと思えなかった。君がそうして自分にそう言い聞かして、騙していないとやっていけないって感じたんだ。」
「・・・・・・」
「でも、僕はそんな君の表情は見たくない。儚げで素敵かもしれないけど、それでも君の笑顔が見たいと思ったんだろうね。君の笑顔はきっととても魅力的だと思う。君の笑顔が、花が咲いたような笑顔は、きっと僕はとても好きだと思うんだ」
「あなた・・・何を・・・!?」
「だから、僕は君のために戦いたいと思った。僕の見たい、僕の好きなものを見たいと思ったからなんだろうね・・・」
少し疲れた。疲れで動けない状態で、長く喋りすぎたかもしれない・・・
「だから、笑ってよ、オーフェリアさん・・・僕は・・・君が・・・」
駄目だ・・・意識が・・・
「日向・・・!?ひ・・・た・・・!・・・!」
* * * * * * * * * *
身体が揺らされている・・・?あれからどれくらい眠っていたんだろう・・・でも、ずっと寝ているわけにはいかない・・・そろそろ起きないと・・・
「ん・・・」
「・・・目が、覚めたかしら・・・?起きて早々悪いのだけど、そろそろ閉会式が始まってしまうわ。行きましょう」
そっか・・・あれからまた、寝ちゃったのか・・・その間ずっと膝枕をしていてくれたのかな・・・?
「うん、分かった」
起き上がって動ける程度には回復したようだ。オーフェリアさんが立ち上がるために手を貸してくれた。オーフェリアさん顔少し赤い?
「オーフェリアさん顔赤いけど・・・?大丈夫?」
「え、ええ・・・大丈夫、気にしないでいいわ・・・さ、早くいかないと遅れてしまうわ」
そう言って僕の手を引いて控室を出る。ステージに出るちょっと前に、綾斗君とユリスさんと鉢合わせた。
「あ、日向。体調は大丈夫?試合が終わってすぐに倒れちゃったから心配だったんだ」
「うん、ちょっと怠いけど、大丈夫だよ。ユリスさんは大丈夫なの?オーフェリアさんの攻撃直で喰らってたけど」
「ふん、問題ない。次戦う時は、遅れは取らんぞ」
うん、元気そうでよかったよ。
でもこれから表彰式なんだよね・・・しかも決勝戦直後に僕が倒れたから、インタビューみたいなのってまだやってないんだよね・・・あれって試合より疲れるからパスしたいんだよな・・・
というか、なんか全学園の生徒会長?ここに揃ってるな。うちの会長さんは不機嫌そうに立ってる。自分の所の生徒が優勝したんだから、もう少し機嫌良さそうにしてもいいと思うんだけど・・・
それと白を基調としているのは、ガラードワースの会長さんかな?イケメンだ・・・ああいう貴公子みたいな容貌は憧れるなあ・・・女の子扱いされる身として、すごく羨ましい。その隣は、界龍かな?中華服着てるし・・・あれって小学生かな?他と比べて背が低いな・・・僕より小さいんじゃないかな?その隣にうちの会長さんがいて、その隣はアルルカントかな?消去法で・・・その隣に星導館の生徒会長がいる。なんか笑ってはいるけど、腹の底は見えなさそう。そして最後にあのアイドル会長さん。僕の方を見てウィンクをしてきたが、興味が無いので無視。なんかむっとしてる雰囲気は伝わって来たけど・・・
そんなことを考えていたら、表彰式は淡々と進んでいき、マディアス・メサ実行委員長から、優勝トロフィーを受け取るところまで進んでいた。
「オーフェリア=ランドルーフェン選手、花園日向選手、両名の輝かしい功績を讃え、ここに賞する。見事な戦いぶりだった。そして一週間後のバトルセレモニアにもぜひ出場してほしい。皆さま、ここに優勝者を讃える惜しみない拍手を!そして、『鳳凰星武祭』に出場した全選手を讃えて、惜しみない拍手を!」
こうして、『鳳凰星武祭』は幕を閉じる。一週間後のバトルセレモニア。これには優勝ペアは誰か違う人と組んで強制出場らしい・・・解せぬ・・・
シルヴィを適当にあしらっているのは今後のフラグってことにしておいてください