「僕と一緒に『鳳凰星武祭』に出て」
たった今、僕には叶えたい願いが出来た。それも恐らく星武祭の優勝で叶えなくちゃいけないレベルのもの。
とりあえずオーフェリアさんが会長さんのものだってことは理解した。今まで『王竜星武祭』に出ていた理由は分からないけど、恐らくはそれが一番優勝できる可能性が高いから。もしくはオーフェリアさんペアやチームを組んで『鳳凰星武祭』や『獅鷲星武祭』に出てくれる人がいないからだろう。
恐らくオーフェリアさんが『王竜星武祭』で優勝しても、その願いはオーフェリアさんのものではなく、会長さんの願いをオーフェリアさんが代わりに叶えているだけなのだろう。
つまり星武祭に優勝さえできてしまえば、『王竜星武祭』でも『鳳凰星武祭』『獅鷲星武祭』でも問題は無いはず。
次に僕がどの星武祭で優勝できるかだけど、これは『鳳凰星武祭』が一番確率が高いと思う。
『王竜星武祭』にはオーフェリアさんはもちろん、クイーンヴェールの生徒会長さん・・・名前は忘れてしまったけど・・・もいるし、他の学校の高序列の人たちもこぞって出場してくるだろう。
『獅鷲星武祭』に関しては二つの意味で論外だ。まずこの学校で『獅鷲星武祭』に出ようと思ってる人がそもそも少ない、もしくは一発にかけてロクに連携の練習をしないんだろう。それにやる気のある人が集まらないと思う。
『鳳凰星武祭』だったらペアの人との連携が取れてて、双方の実力があれば、かなりいい線行くんじゃないだろうか。この場合オーフェリアさんに殆ど任せちゃうことにもなりそうだけど、僕だって全く戦えないわけじゃない。確かに戦闘は得意じゃないけど、剣は昔ちょっとやってたからね。何とかなると信じたい。
「さっきも言ったでしょ。私の運命は彼のもの。私に決定権は無いの」
「じゃあ僕を会長さんに会わせて。初日に僕の所に来た時に言ってた”彼”って会長さんなんでしょ?」
「・・・はぁ、分かったわ」
僕だって会長さんには個人的に恨みがあるんだ。マスコミ対応放置したことの恨みは忘れていないぞ!
* * * * * * * * * *
「会長さん!僕『鳳凰星武祭』にオーフェリアさんと出場したいので許可して下さい!」
やばい、会長さんの事見るのこれが初めてだけど、思っていたよりも迫力があって怖い・・・とてもじゃないけどマスコミ対応の文句を言えそうもない・・・
「あぁ?こいつと『鳳凰星武祭』に出させろだ?駄目に決まってるだろ?」
まぁ予想はしていたけど、やっぱり断られるよね・・・
「ねぇ会長さん、もしもこのまま僕が序列一位に居座り続けたら、会長さんも困るんじゃないの?」
「あ?」
「この学校の生徒会長の選出方法は、序列一位の指名制。今まではオーフェリアさんが一位だったから会長さんが会長でいられたけど、僕が気紛れで誰か違う人を会長に指名しちゃうかもしれないよ?」
「・・・・・・」
「もしも会長さんが『鳳凰星武祭』に出ることを許可してくれるんだったら、僕はオーフェリアさんに序列一位を返してもいいよ。そしたら会長さんも会長のままでいられるしね」
「・・・てめえの目的は何だ?なぜ星武祭に出て優勝したい?お前の願いは何だ?」
「今は言えません。それに人の願いは基本的にプライバシーですよね?」
「そいつは確実に『王竜星武祭』に優勝できる駒だ。お前なんかと『鳳凰星武祭』に出て、お前は優勝できるんだろうな?」
「出来るよ」
嘘でもいいからここはできると言っておかなければならない。それにやはり、優勝できればどの星武祭でも構わないようだ。
「もしお前が優勝できなかったら、どうする?こっちは星武祭に優勝できる回数が一回減るんだ。それに見合った対価はあるんだろうな?」
「僕が君の計画に協力する。君は入学式の日に、オーフェリアさんに僕を連れてくるように頼んだんじゃないの?君の計画が何かは知らないけど、僕の『魔術師』としての能力は、会長さんの計画に役に立つはずだよ。何なら僕の所有権を、会長さんに与えたってかまわない。僕を会長さんの駒にしてくれたって構わない。それじゃ駄目かな?」
「・・・ちっ!好きにしろ」
そう舌打ちをしながらも、、僕とオーフェリアさんに『鳳凰星武祭』の出場許可をしてくれる。約束通り、形だけの決闘をオーフェリアさんとして僕の序列を、オーフェリアさんに返上した。
* * * * * * * * * *
何で何で何で何でーーーーーーー!?!?!?!?
僕とオーフェリアさんが『鳳凰星武祭』に出場することが決定したことと、オーフェリアさんが再び序列一位になったことは、すでに学院にも六花中にも広がっている。
今まではオーフェリアさんが一位じゃなかったから僕が追いかけられていた。もう僕がオーフェリアさんに追いかけられる理由は無いはずなのに、あれからもオーフェリアさんとの追いかけっこは続いていた。
周りの学生や教師たちの僕を見る目が可哀想な人を見る目になってきている。そんな目で見るなら僕を助けてよ!
「ちょっとオーフェリアさん!なんでまだ僕のこと追いかけてくるのさ!?」
「あんな形の決闘で勝って、納得できると思っているのかしら?」
「だってお互いに痛いのは嫌じゃないか!お互いっていうか、僕が一方的にやられる未来しか見えないんだけどさ!」
どうやらちゃんと決着をつけようとしているらしい。そんなことしている暇があったら、連携のチェックとか、作戦とか立てたほうがいいんじゃないの!?
そう思って一回オーフェリアさんに聞いてみたのだが、
「私が一人倒している間に、あなたはもう一人を足止めしておいてくれればいいわ。私が一人倒したら、もう一人も倒すから。つまり連携は不要ね」
いやいやいや、それが確かに一番勝率は高いだろうけど、その理論はおかしい!
つまり、オーフェリアさんは連携の練習をするつもりは一切ないらしい。圧倒的な力って素晴らしいや。
とりあえず捕まったら殺されるのは確実だ。今日は幸い休日。なんで休日なのに学院にいるかって?寮で一人でゲームしてても暇だから、誰かいないかと思って学院に来たら、オーフェリアさんにばったり会いました・・・
これが平日なら休み時間中、学院内を逃げ回ればいいんだけど、休日ということで街に逃げても問題は無いはず。時間無制限というデメリットこそあれ。広い街中を逃げている方が圧倒的に有利だ。
そう結論付けて、僕は空いてる窓から外に飛び出した。すかさずオーフェリアさんも飛び出してくるが、そんなことに構っていられない。僕は全力で逃げる。人にぶつからないように”識”を使いながらだ。
当てもなく逃げていると、ファーストフード店で見たことのある人影を見つけた。
「綾斗君!助けて!」
「え!?日向!?」
綾斗君出てきましたね