もし美遊の世界に崩壊したカルデアマスターが召喚されたら   作:ラリーZ

1 / 4

取り敢えず書いた分を順々に投稿する予定、ストックが尽きたら止まります。


1話

 

時は事が起こる六年ほど前の冬木市、聖杯戦争という名の魔術的大儀礼がエインズワース、他2家の魔術師の家系の協力のもと行われた。とても遂行な使命を胸に行われた儀礼だったが、結果は多くの関係者が想像していた通り、いや、それ以上の最悪の結末ととなった。

そしてこの顛末はこの地に住むほぼすべての人が知ることにもなってしまった。

 

それは、絶望だったのかもしれない。なんとも形容しがたい、そしてこの世の物とは思えない闇が発生し街を飲み込んだ。そこに住むなんの関係もない人々を飲み込み、建物を破壊し、植物さえ生えない不毛の地を作り上げた………。

一言で言うなら、多大な犠牲を出した謎の大災害が突如発生し、街に大きな爪痕を残した。そこまでが一般人が知りうる約六年前の顛末。

一部の魔術関係者が知りえる情報でも、過去三度行われた聖杯戦争の結末と同じく、今回の聖杯戦争も失敗に終わり、さらに今回の聖杯戦争は特に酷いものであったと揶揄されていた。

 

誰もがこの聖杯戦争は失敗と、考えていた。

 

しかし、この聖杯戦争ではいくつかのイレギュラーが発生していたのだ。

まずは、それ以前の聖杯戦争と比べても歴史になお残してしまうほどの大災害であったこと。魔術の秘匿を是とする魔術師にとってこれは大きな失敗であった、しかしそこまでしてでも彼らは成し遂げなければならない理由があった。

そしてこの聖杯戦争最大の盲点は、そのあまりにも大きな魔術による災害がとある組織に感知されてしまったこと。正確にいうなればとある個人に感知されてしまっていたことだ。

あまりに大きな歪み、次元の壁すら軋ませる現象、そしてとある事実に気づいたその組織は、一人の少女を派遣することを決めた。

 

そしてこの事実こそが、今回の聖杯戦争をただの失敗では終わらせられない、大きな転換期となっていたのだ。

 

 

目が覚める、ここはどこだろうか?記憶が曖昧だ、恐らく無理やりこの世界に呼び出されたのだろう。

 

「うーん、なんだろうなー。とっても悔しい思いをした気がするんだけど………」

 

取り敢えず横になっている訳にはいかない、立ち上がり、周りの様子を確認することにした。

そこに広がっていたのは、何かから逃げるように走り回る人々と、ぽっかりと空いたクレーターが出来上がっていたのだ。

 

「わお、随分と派手だね」

 

どうやら事件は都心で起こったようだ、ど真ん中にできたクレーターがその証拠だろう。ここは街外れの山なのか、ちょうど見渡せる場所にいた。混乱の様子からもこのクレーター事件は先ほど起こったばかりなのだろう、救急車や消防車、果ては撮影ヘリまでが大挙する姿がよく見えた。

巻き込まれなくてよかった半面、被害者の方々にはちょっとだけ可哀そうだなーと思いながらも、あまり興味もないので今度は私の様子を確認する。

 

服は何故かところどころ破れ秘部をギリギリ隠しているといえる恰好であり、正直このまま街に降りれば痴女の誹りは甘んじて受け入れなくてはいけないレベルだ。次に身体、四肢に損失はないか、身体に異常はないかを探る。

確認しながら特に問題はないことを悟る。鏡が無かったので少し適当だったが、まあいいか。女なんだし、手鏡ぐらい持ってろいてください、と■■■に怒られそうだ。

 

「さて、能力はっと」

 

今度は自分の能力に問題はないか確認する。軽く近くの木に向かってガンドを放ってみる。問題なく木をなぎ倒した。次に英霊召喚。特に誰というこだわりもなかったのだが、取り合えず槍トリアこと、ランサーアルトリアを召喚してみた。

 

「お呼びでしょうか」

「おお、くるしゅうない」

 

特に問題もなかったようなので特に会話をすることもなく消えてもらった。

 

「うんうん、能力に制限もないし思考によどみもない。ということは聖杯戦争じゃないね」

 

聖杯戦争で呼ばれれば自分の能力は八割方封印されてしまう、英霊も本来の力すべてを使えるわけではないように、私にも制限が多く設けれられるのだ。正直少しでも力を封印されたら並みの英霊にすらも太刀打ちできないと思うので私を引き当てた時点でその人の敗退が決まるだろう。南無~。

まあそんなこともないということは、考えられるのは一つ。

 

「あ~、あいつらからの召喚か~」

 

正直英霊召喚よりも制限が多く、それでいて大抵めんどくさいことをやらされるのが確定している、もう本当にめんどくさい。最悪な面持ちでどうせすぐに辞令でも降りてくるだろうしここで待機でもしようと適当な岩に腰かけた。

しかし、しばらくまったが特に命令的な、指令的なものは降りてこない。

 

「あれ?おかしいな、普通ならここらへんでぶっ壊せ~、とかぶっ殺せ~とか来るんだけどな~」

 

しばらく悩み、そうなんと数秒も悩んで、私は決めた。

 

「うん、命令もないってことは勝手に行動してもいいってことだよね☆」

 

とまあ、ちょっとおかしい私でもこれは後で怒られる案件だなーと、頭の中で理解していても体が言うことを聞かない。あ~私が悪いんじゃないです~体が勝手に~。

 

「さて、そうなるとこの下で起こってることにも無視できなくなるわけか」

 

ちらりともう一度眺めてみると、いまだに阿鼻叫喚の大嵐、闇から逃げようとしている人も多く闇がどんどん大きくなっていっているのが分かる。あ~こりゃ大陸ごと行っちゃうかな~。なんて思っていた矢先、変化はおこった。

それは、私でも目を見張る出来事。神々しい光が、闇を払ったのだ。

 

私はこれを知っている。もっと私利私欲に満ち溢れてはいたけど、これと同じようなものを知っているのだ。

 

頭を二回ほど掻いて、そしてなんとなく察した。ここで、この世界で何をすべきかを。

 

「あるのかなー聖杯。あー、ってことは、見守れってことなのかな?」

 

はてさて、面倒なことになってきた。てっきりちゃちゃっとやって終わりだと思っていたんだけど、長期任務になることがほぼ確定してしまったようだ。

 

私は呆れながらも、やっと大災害が収まった街を尻目に街へと歩いていくのだった。

 

その少女は笑う、どんな世界でも、自分であれば如何様にもできることを知っていたからだ。

彼女は嘆く、この力を自らの為には決して使えないことを。

そして彼女は狂う、何故いま使えるようになったのか、自分の背丈よりも大きな盾を確認しながら、壊れた街に繰り出すのだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。