もし美遊の世界に崩壊したカルデアマスターが召喚されたら   作:ラリーZ

4 / 4
4話

私が冬木を離れてから三年と少し。一度だけ帰れたこともあったけど、そこではとても忙しかったのでまともに街を見て回れなかったし………。そしてこの三年間、色々ありましたとも、そりゃ色々。

具体的に言うなら過去に修復してきた特異点の焼きまわしみたいなもの。

恐らくだけどこれを仕掛けてきたのはエインズワース………じゃないな、この世界の魔術師どもだと思う。どうやって私の情報を手に入れたのか知らないけど、どうやら私に()()()()()を再現してもらいたいようだ。

フランス、イタリア、イギリス、アメリカ、まあ七つの特異点の舞台を適当な順番に回らされたという感じだ。おまけに何故か私を狙ってくる現地生物やオートマタ。ほんと困ったものだった。

 

そんなこともあって、事件解決に三年ほどの年数が経ってしまった。そして久しぶりに帰ってきた冬木。

私は、帰ってきたら一度も行けてなかったあの場所に初めに行くと決めていたのだ。

 

「ふむふむ、こんな感じね」

 

そこは朔月の稚児が大災厄を止めた現場、あれほど言峰店主に説明されたのに現地に一度も出向いていなかったのはこちらのミス、というか事後処理だとか何とかで警察や消防、はたまた自衛隊などもまだそこそこ見られていたタイミングだったので、流石に立ち入り禁止エリアに立ち入るほどの度胸と手段を持ち合わせてはいなかった。

でも警戒も緩まった今、こうして誰の眼にも触れずにここに立ち入ることができた。

 

「うーん、なんか特別な感じとかしないんだけどなー」

 

そもそも素人の私がこういった魔術的なものを見たところで何かを感じられるとは思えなかったので、ここに来たのは本当にただの観光目的とも、言えた。

そんな感じで色々物色していると、背後から人の気配がした。

 

「藤丸立香様、お迎えに上がりました」

 

声の聞こえた方を振り返ると、そこには金髪のツインテールな美女が立っていた。でも雰囲気はどこかで見たことのあるようなもの。肌からも感じられるこの存在感と威圧感と俺様オーラを、体が覚えている。

私はここに来るおおよその人物は想定していたので、特に驚きもせず振り返る。

 

「初めまして、ところであなた、私とどこかで会いませんでした?」

「いえ、これが初めてです」

 

そう、と私は風に流れる程度につぶやく。彼女も初対面と言っているし、そもそも私が初めましてと言ってしまっている。つまりは初対面なのだろう。

 

「で、要件は何?お迎えだっけ?」

「はい、我がエインズワースの当主、ダリウス・エインズワース様があなたに会いたいと」

「会いたい、ね」

 

随分と待たせてくれたものだ、それもいくつも特異点を疑似的に作り上げ、そこで私を試すような真似をしてまで。

 

「随分と時間をかけたね、三年だよ?」

「お迎えに上がるのが遅くなり申し訳ありません、こちらも準備をしていたもので」

 

準備ね、それに彼女の言葉選びは一見丁寧そうに見えていくつか棘が見られる、つまりは本気で私をもてなす気はないのだろう。

 

「私が拒否したら?」

「………当主からは、できるだけ手荒に扱わず招待しろ、と言われましたが」

 

そういってカードを取り出すあたり、彼女としては私をどうにか排除したいようだ。

あのカードが何かは知らないが、少なくとも気配から、安全に配慮したものではなさそうだと理解できた。。

 

「拒否なさるのであれば、やぶさかでもありません」

「心にもないことを………」

 

はぁ、と一息。そして私は彼女に指をさす。

 

「ガンド」

 

そして、避けられぬ一撃を彼女に当てる。速度は決して早くない、しかし避けられない、そういった呪いが付与された特別な術式。

 

「ガッ!?」

「遅いね、それに警戒もしていない」

 

私が手ぶらだから油断でもしたのだろうか。必死にカードを使おう腕を動かそうとしているが、彼女の体は言うことを聞かないのだろう。このガンドは威力を極限まで減らし、その代わりに相手の行動を阻止するという一点にのみ特化したものだ、名のある英霊、はたまたさらに巨大な存在さえ止める一撃、彼女程度の実力で抜けることはできないだろう。

 

「無力化は苦手なんだよね、殺すのは得意だけど。来い、バーサーカー」

 

盾を取り出し、呼び出したのは私よりも小さな身長の少女、しかしその東部には二本の長い角が生えている。よく見れば手や足も普通の人の肌とは違い赤くなっており、身の丈に合わぬ骨刀を持っている。

 

大江山の鬼、鬼の頭目、その英霊の名は、茨木童子。

 

目の前で起こった事実は聖杯のみが起こせるとされた奇跡の再現。私の力。

 

「っ!?」

「なんだあいつは、マスター。あれが今回の殺す相手か?」

「好きにして、特に興味はないから」

「ふふっ、そうかそうか。昔のマスターも嫌いではなかったが、今のマスターの方が鬼としてはやりやすくて助かる。」

 

そういって彼女は骨刀を彼女に向ける、彼女たちの組織も多少気にはなったが、この程度で刃を向けるのなら背中を預けることはできない。さっさと袂を分けて正解だったのかもしれない。

 

「………ほんとに殺すぞ、殺しちゃうぞ!?」

「いいから、早くやって、茨木」

「悪いな女、マスターの指示だ、悪くおも………」

「あなたの願いを叶えると、言いました」

「………は?」

 

 

 

こいつは、今何と言った?

 

 

 

 

「待て、茨木」

「む?」

 

振り下ろそうとする刀を仕方なしに止める茨木童子、私はいまだに動けない金髪の近くによりその顔を覗き込む。

焦りと怒りが混ざったような表情を浮かべる女に、再度確認する。

 

「今、何て言った?」

「あなたの願いを叶える、そう我が当主から言伝をもらっている」

「ほぅ………。ほーう」

 

それはまた、随分と………。なめたことを言ってくれる。

 

「下がって、茨木」

「なんだ、やらせてくれるのではないのか?」

「下がれ」

「む」

 

茨木が光と共に消えたのを確認しながら、私は盾を横に置いてガンドの呪いを解く、それと同時に崩れ落ちる金髪。

 

「さて、君たちは私に何をくれるのかな?願い?私の願いを」

「そ………うだ、こちらに付けば、藤丸様の願いを叶えると、そうおっしゃっていた」

「ふーん、ふふふ、ふふははははははは!!!あーはっはっはっはは!!」

 

笑える、本当に笑える。私の願いも知らずに、知らずにこんなことを言ってくる愚か者がいるとは。しかも、こんな人形風情に!!

 

「滅びゆく世界の住人が!!随分と粋がっているじゃない!!」

「くっ………」

「だがまあいい、ちょっとした余興としてはこんな人形叩き潰すよりも面白いじゃないか」

 

金髪女の髪をつかみ上げ、笑いかける、それはもう、最高に愉快痛快な感じで。

 

「連れてけよ人形(ドール)、お前のマスターに会ってみたくなった」

 

 






【CLASS】■■■■
【マスター】■■■
【真名】藤丸立香
【性別】女
【属性】混沌・中唐
【ステータス】筋力:不明 耐久:不明 敏捷:不明 魔力:不明 幸運:不明 宝具:EX
【クラス別スキル】
 不明

【固有スキル】
英霊召喚:A+
 縁を結んだ英霊を呼び出し、使役することのできるスキル。本来このスキルはEXしか
 存在しないのだが、一部能力を制限されているためランクが落ちている。
 

【宝具】
『不明』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。