ゼロから始まる俺氏の命   作:送検

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閑話を書く可能性はありますが、一応原作前最後のお話です。


少しやっつけ感があるかも。


第12話 俺は

 寒い寒い12月だ。

 

 この時期の信州は非常に寒く、朝方の気温は氷点下をいってしまいそうなくらい寒い。

 そもそもの話、窓1枚で冬を凌ごうとか毛布と布団の2枚で寒い冬を凌ごうとか考えてる方が馬鹿なのかただただこの寒さが馬鹿なのかとかいうどうでもいい話は置いといて、今日は早いうちに起きなければならない。

 

 今日は終業式。今年最後の学校生活だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「幸村はさ、進学とかどうするの?」

 

 それは、何時もの帰り道のことだった。

 毎年2回は行われる終業式なんてつまらない学校行事に参加するためだけに寒い中この学校へ行ったことを心底恨みつつ政宗と今年最後の下校を共にしていると不意に政宗が思い出したかのようにそう言った。

 

 勿論、政宗が自分の学校の進路なんぞ現時点では考えてないと思っていた俺はやや驚愕の想いで政宗を見る。

 

「お前...もう進路の事考えてたのか」

 

 驚天動地だ。政宗がまさか進路のことについて考えていたなんて。確かに俺にも大学へ行きたいという想いはあるが、明確な進路なんて持ち合わせていないし、そもそも現時点では考えてすらいなかった。それなのにこの男はもう自分の進路を本気で考えているというのか。

 凄い...素直に賞賛するぞ政宗よ。

 

「いや、俺は別に...だけど幸村は名家の出身だろ?だったら私立の中学に行ったりとかは...」

 

 ああ、成程な。つまり俺は私立の中学に行けと、行ってぼっちを極めてこいと。そう言っているんだな?

 

「そ、そんなこと言ってないだろ!」

 

 政宗は慌てたかの様子で俺にそう言う。それを見た俺は若干微笑みながら続ける。

 

「親父からは特に何も言われていないからな...」

 

 家の家族は放任主義だ。故に、親父も母も俺が多少テストやらで悪い点数を取ったりしても、怒るような事はあまりない。

 寧ろ好成績を取って驚かれてしまうくらいだ。これでも俺幼少期から親父の書斎に篭って教本漁ってたんだけど俺ってそんなに頭悪く見えるかな?

 

 それにしても、私立中学校か...確かに良いキャンパスライフを送るためにはそっちの方が断然近道なのだが、結局のところ大学に行ければ良いだけだしな...

 

「...それは、自分の事を何も考えてないって事か」

 

 つまり、そういうことだろう。ぼんやりとした指針こそ定まっているものの目標に対して、どこの高校に行って何処の大学を目指すか具体的な考えなんかこれっぽっちも考えていない。

 真壁政宗は安達垣愛姫という少女に復讐する為に何をするべきか、その指針をしっかり定めた。そして、その指針を定めろと言ったのは俺である。

 

 なら言い出しっぺの俺は、自らの目標について具体的に考えたことがあるのだろうか。

 ひたすら他人の事ばかり考えていて、自分自身の事を考えていなかったのではないか?

 

 それじゃあダメなのではないのか?先ずは俺自身の出来事をとっとと済ませなければならないんじゃないのか?

 

「...幸村、確かに俺の事を助けてくれるのは本当に嬉しいし助かってる。だけど、俺の為に自分の人生まで台無しにするのは間違ってるからな?」

 

 終いにはこうして政宗にまで心配される有様だ。兎にも角にもこのままでは不味い。

 

「...考えとく」

 

「存分に悩んでくれ」

 

 俺は、本気で自分自身の目標のためのプロセスを考える必要があったのだ。

 

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 

 

 

 思えば、俺は交通事故に遭って転生した日から何を望んでいたのだろうか。

 キャンパスライフを送る直前でおっ死んで、転生先では俺が果たせなかったキャンパスライフを見事に楽しんでいる姉の松華がいて、前世の思いも相まってひたすらにキャンパスライフを過ごしたいと思って勉強していた。それ以外の生活はまるでモノクロのような日々で、まるで世界がつまらなかった。

 

 

 しかし、そんな俺の今の気持ちは見事に色で彩られている。こんな経験は初めてであり、俺は正直キャンパスライフを送る為に勉強することより、今のこの大切な時間を謳歌したいとすら思っていた。それこそ高校まででもいい。政宗と学校生活を謳歌してみたいとすら思ってしまっている。

 

 なあ、上田幸村。

 

 お前は他人の為に安達垣愛姫を復讐する手伝いをするんだよな?

 

 なら、お前はお前自身の為に何をするんだ?他者のために政宗を手伝って、それが自分の為でもあるというのなら話は別だ。

 

 だけどその場合、お前はどうするんだ?復讐する為には安達垣愛姫がいる場所──つまり東京まで行かなくてはならない。仮に政宗との協力関係を終えたとしよう。それが終わったら、その東京に俺自身のやるべき事はあるのか?まさか、東京の大学にでも行くつもりか?

 

 復讐の手伝いをするだけで、それ以外に東京に行く意味なんてはっきりいってあるのか?キャンパスライフを送るだけなら別の地域の大学でも構わない筈だ。

 

 ああ、分からないぞ。俺の未来はどっちなんだ───

 

 

 

 ピコンッ。

 

 

 

 居間で茶を飲んでいたら、向かい側にいる母さんにピコピコハンマーで頭を叩かれた。

 

「...母さん」

 

 俺が目を細めてそう言うと、母さんは少し心配そうな顔でこちらを見る。

 

「大丈夫?何だか体調悪そうよ?」

 

 ...だからってピコピコハンマーで俺の頭を叩く必要ないでしょうが。何か俺の頭からピコンッてなったみたいでめっさ恥ずかしいんですけど?

 

「あらあら、幸村に羞恥心なんてあったの?」

 

「あるに決まってんだろ」

 

 俺だってそれなりの羞恥心やら何やらの人間が持ってるような一般的な心は持っている。この母は実の息子を感情がないロボットとでも思っていたというのか。

 

「...で、何だよ」

 

 俺がそう言うと、向かい側の椅子に座っている母さんは俺に1枚の封筒を渡す。

 

「昌暉さんからお手紙が来ているわよ」

 

「はあ」

 

 上田昌暉。父である上田昌幸の弟であり世界を股に掛けるビジネスマンである。確か今はフランスで商談をしているみたいなのだがその男が俺に何のようなのだか。

 

「一体何の為に...」

 

 そう思い封筒を破くと、そこには一通の手紙と何やらフランス語で書いてある手紙が一通。

 いや、日本語の手紙を送った人は分かるけどフランス語で書いた奴誰だよ。

 

「...なあ、この人誰だよ」

 

 そう言って、フランス語で書いてある手紙を母さんに見せると母さんは暫くその文面を見て、思い出したかのような顔をして微笑む。

 

「フィリップさんね。フランスの大学教授よ?」

 

 成程、フランスの大学教授か。びっくりしたな...

 

 ...って、そうじゃなくて。

 

「そんな高名な大学教授様が何処で俺の事を知ったのかね?」

 

 そう呟き、昌暉さんの手紙を見ると、そこには驚愕の事実が書いてあった。

 

 

 

 

 

 

 やあ幸村、元気かい?こちらはパリのロマンティックパリパワーを浴びて、まるでパリの肖像画になってしまいそうな気分だよ。

確か、キミとこうやって文通をするのは2年ぶりになるかな?3年前にはボクは海外に行ってしまっていただろうからね。

さて、話は変わるがキミはそろそろ中学校に入学するのだろう?ここらで環境を変えてみたいと思うのならば是非私とともにパリへ移住しないかい?

叔父さんのマブダ...知人に幸村の事を話したら酷く幸村を気に入っちゃってね。1度、考えてみて欲しい。では、また会える日まで。

see you again Yuki。お返事くださいね

 

 

 

 

 

 

 

「...おっさん」

 

 ロマンティックパリパワーって何だよ。そして、さりげなく隣に写ってる眼帯娘は誰だ。ロマンティックパリパワーがどうたらより、そっちを説明しやがれこの野郎。

 

「あらあら、昌暉さんらしい手紙ね。文面から優しさが滲み出ているわね」

 

 優しい人ということは重々承知している。優しい人でなければわざわざ上田家の末端の俺にここまで思いやりのある手紙を書いてくれるはずもない。

 そもそも世界中を回っていて忙しいはずなのにも関わらず、手紙を書いてくれた時点でこの人は優しいということは分かっている。

 

「...で、どうするの?パリ、行くの?」

 

「パリ、か」

 

 確かに、パリの都は面白いものが沢山あるかもしれない。知識見聞を広めることが出来るし、おっさんとの旅もそれはそれでまた一興である。

 

 しかし、そうなってしまったら最後。いつ帰る事が出来るか分からない俺は政宗のリベンジを手伝うことは難しくなってくる。親友の為に、俺が出来ること。やるべき事はまだまだある。何より、この信州の地で出来た親友をこんな形で裏切りたくはなかった。

 

「幸村」

 

 不意に、そう呼ばれた俺は顔を上げる。すると、母は微笑みながら続けた。

 

「政宗くんを裏切ってしまわないか、心配しているんでしょう?」

 

「!」

 

 図星、だ。俺は言うことが反論の余地もなく、顔を俯かせた。

 

「...ああ、そうだよ。何せ初めて出来た親友だ」

 

「だから政宗くんを大切に思える。それは素晴らしい事なのよ?それなのに、何故顔を俯かせるの?」

 

「それは...」

 

 一瞬でも、パリに行きたいと思う気持ちが芽生えたから。丁度進路のことなんぞ考えている時にこれだ。タイミング悪いったらありゃしねえよ。

 

「...もしかしたらだけど、幸村。自分の目標の事で迷ったりしていない?」

 

 ...この人は、どこまで俺の心を読んだら気が済むのだろうか。やはりこの上田薫という人物、只者ではないと改めて思ってしまう。

 堪忍した俺は全てを話すために大きく息を吸い込み話す。

 

「俺はずっと松姉さんを見てキャンパスライフを送りたいと思っていた...筈だ。だけど、この期に及んで迷っている」

 

 全くもって情けない。俺は自分の事すらまともに決められない男だ。こんな男では、政宗のことを手伝うなんて到底出来ない。

 

 そう思い、尚のこと顔を俯かせていると母さんはポツリと一言

 

「今年は色々あったものね」

 

 そう言ってお茶を啜ったあと、母さんは更に続ける。

 

「政宗くんと出会って、仲良くなって、政宗くんに協力するって言って...政宗くんとの思い出だけでも数え切れない程あるでしょう?」

 

「...ああ」

 

「楽しかった?」

 

 そりゃあ勿論。

 

 そんな意思を込めて大きく頷くと、母さんは安堵したかのような表情でこちらを真っ直ぐに見つめる。表情は柔らか。だけど俺を、上田幸村を見る目は鋭く、まるで剣の切っさきを向けられているかのような感覚に陥った。

 

「なら幸村、私から言えることはただ一つ」

 

 

 

 ────自分が本当に楽しいと思えることを見つけて、それをやりなさい。

 

 

 そう母さんは言ってニコニコスマイルを俺に再度向けてきた。

 

 

「...楽しいと思えること?」

 

「そうよ、楽しいと思えること」

 

 そうか、楽しいと思えること...か。

 

「参考程度に聞いておくが、母さんは俺くらいの歳の時楽しいと思えるような事なんてあったのか?」

 

 すると、母さんはさも当たり前のように頷く。しかし、それと同時に何かを憂うような、そんな顔をする。

 

「だけど、私はその道を諦めました。今考えてみれば、自分の1番楽しいと思えることをやれば良かったなと後悔している。そんな時に私はお父さんと出会い、今に至ります」

 

「...そうか」

 

「というかよくよく考えてみたら、やっぱり幸村はお父さんに似ているのよね。性格とか、そうやって困っている人を放っておかない律儀さとかも」

 

「絶対に親父には似ていない」

 

「幸村も将来はゴルフ好きに...」

 

「ならん!」

 

 どう転んだら俺が親父みたいになるんだ。俺は親父みたいなゴルフ馬鹿には絶対にならない...ならないからな!?

 

「ふふっ、ようやく何時もの幸村に戻った」

 

 そう言うと、母さんは普段は見せない真面目な顔になり、続ける。

 

「幸村、大切なのは未来なんかじゃないの。自分が未来、何処で、何をしたいのかなんて今考える歳じゃないのよ。

 本当に大事なのは、『今』、貴方は、何をしたいか。それが貴方の未来に繋がる、それが貴方の将来に繋がるのよ」

 

 ......それは、つまり。

 

 

 大切なのは未来やら、その未来に行き着くための過程なんかじゃないということで

 

 俺自身がやりたいことを探せということなのか?

 

 今何をしたいか───。それは、政宗の協力をしたいに決まっている。

 

 じゃあ、俺のキャンパスライフを送りたいと思う気持ちは?

 

 

 今の今まで一生懸命に勉強してきた理由は?

 

 

 政宗と一緒に復讐の手伝いをしたいって気持ちは?

 

 

 それら全部を含めた俺の気持ちは───

 

 

 

 

 

 

 

 

『楽しみたかった───?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬあああああっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ、そうだよ。そういう事だったんだ。

 

 キャンパスライフを送る直前でおっ死んで、姉さんがキャンパスライフを楽しそうに送っていて、それで俺はいつの間にかキャンパスライフを送りたいと思っていた。

 

 だけど、それは根本としては間違っている。キャンパスライフを送りたいと思っていたのは何故?

 

 それは、前世では送ることの出来なかった『楽しい思い出』を作りたいと思っていたからなんだ。

 

 そして、少なくとも前世まではこう思っていた。『キャンパスライフ程楽しいものはない』と。

 

 しかし、政宗という最高の親友が出来た今なら言える。

 

『今生きているこの時間が1番楽しいものなんだ』って。そして、これこそが俺の行きたい道なんだって!!

 

 

「垢抜けた感じね。何か大事なことでも思い出した?」

 

 ...ああ、思い出した。ってか思いついたみたいだ。俺のやりたい事が。今、ここで上田幸村としてやりたい事がな!!

 

「母さん!急用ができた!!ちょっと外に行ってくる!!」

 

 

 

 

 そう言うが否や俺はドアを蹴破って、外へ出ていた。足はかじかんでふらふらしており、それこそ曲がった鉄砲玉のように俺はふらつきながら走っていた。

 

 今じゃなくてもいいだろうと人は言うかもしれない。だけど、俺は伝えたかった。今の俺自身の正直な気持ちを。

 

 土を蹴り、坂を登り、真壁家の家の門を潜り抜ける。そして、大きな声で────

 

 

 

 

 

 

 

 「政宗ぇェェェェッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 そう高らかに、家の前で叫んだ。

 

 すると、家の玄関から政宗が飛び出してくる。

 

「ゆ、幸村ッ!?どうしたんだよこんな時間に!」

 

 政宗と俺の距離は数十メートル程ある。しかし、夜で地面が見えなかったからか、自然と距離が遠いとは思えなかった。

 

「俺!!分かったんだ!!俺の本当にやりたい事が分かったんだッ!!」

 

 すると、政宗は面食らったかのようにこちらを見る。

 

「俺のやりたい事はキャンパスライフを送ることなんかじゃなかった!!パリに行くことでも私立の中学に行くことでもなかったんだ!!」

 

 

 

 俺の本当にやりたいことは────

 

 

 

 

「俺は、お前とこの世界を楽しみたかったんだよッ!!一緒に復讐の方法を考えて!!一緒に学園生活を送って!!一緒に馬鹿やって!!そんな楽しいと思えるような日常を過ごしたかっただけなんだッ!!」

 

「幸村...」

 

「だから俺のやりたいことはあの時お前の復讐を手伝うって決意した日から何一つ変わっちゃいねえ!!進路!?キャンパスライフ!?学歴!?んなの知ったことか!!」

 

 ひたすらに思いの丈を述べる。最早、何を言っているのか分からない。文法なんて滅茶苦茶になっているだろうし、言語すらも疑わしい。だけど、勝手に口が動いてしまうのだ。

 

「俺は、お前の復讐を手伝う!!そんでもって、お前と一緒に学園生活を楽しむ!!俺の望みはそれだけだッ!!だから...復讐ッ!!やるぞ!!憎き安達垣に復讐するんだッ!!」

 

 俺の生きた今までの人生の中で最も決意を込めた一言。そう思ってもおかしくない一言を、政宗に向けて言うと、政宗は俺を笑顔で真っ直ぐ、曇のない瞳で見つめて大きく息を吸い込んだ。

 

 

 

「幸村ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 そして、その次に笑顔の政宗が言った言葉は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よ、久しぶりだなおっさん。ロマンティックパリパワーがどうとかは知らないけど、無事なようで安心したよ。体調には気をつけて、また日本に帰ってこいよ?

さて、話は変わるがおっさん。今回の話、非常に嬉しかった。何せ、何の取り柄もない俺に『選ぶ』チャンスを与えてくれたんだ。感謝してもしたりないし、有難かった。

だけど、おっさん。俺はこの日本でどうしてもやりたい事が出来たんだ。

いい両親に恵まれて、良い姉に恵まれて、そして俺は良い親友にも恵まれた。そんな紆余曲折を経て俺はやっとこさやりたい事が出来たんだ。これの為ならばどんな苦労をしても、どんな困難が起きてもやりたいと思える。そんなものが出来たんだ。俺はまだまだ日本にいたい、そう思ってしまったんだ。

だから、ごめん。この話は無しにしてくれ。

see you again Masaki.改めて、今回の件。本当にありがとな

 

 

 

 

「ふう...」

 

 自室でパリのおっさん宛に手紙を書いていた俺は、ここまで書いた所でペンを止める。

 

 あまり長すぎない方がいいな。大事な要件やら野暮用やらはまたおっさんに会った時に話せばいい。もう、これ以上取り立てて書くことはない。

 

 そう思い、一息つき大きく伸びをすると廊下から喧しい声が聞こえてくる。

 

「幸村!!今日は大晦日だ!!大晦日ッ!!」

 

 

 

 コイツ。

 

 

 

 ここで言うのもなんだけどアンタはもう一度自分が玄関先に何を飾ったのかしっかり確認する必要があると思うぞ。

 

 そう思い、せっかく吸った空気をため息により放出してしまった俺は椅子から立ち上がりドアを開く。

 

「分かってるよ親父。行くからアンタは黙って松姉さんと遊んでろ」

 

「何か扱い酷くない!?」

 

 そう言ってorzの体勢になった親父に心底呆れつつ、俺は部屋を出る。

 

 

 

 

 階段を降りると、何やらサンタさんの帽子を被ってはしゃいでいる松姉さんとそれを見てニコニコしている母さんを発見する。

 

「いや、アンタら...」

 

 もうクリスマスは終わっているよな?今日は大晦日だよな?揃いも揃って何やってんだよこの家族は。

 

「おろ?ユキじゃん。どしたの?」

 

「どうしたのはアンタ達の方だってんだよ」

 

「何って...大晦日とクリスマスはどっちが強いのかなって実験」

 

「安心しろ、本当に強いのはアンタのその場違いなメンタルだから」

 

「それどういう意味!?」

 

 そう言って立ち上がり詰め寄る松姉さんを華麗にスルーして俺は母さんに尋ねる。

 

「母さん、今から外行ってくるよ。政宗のところ」

 

 俺がそう言うと母さんは笑顔で親指を立てて快諾のサインを送る。

 

「いいわよ。いってらっしゃい」

 

「夕方までには帰ってくるから」

 

 そう言うと、俺は居間を後にする───

 

 

 

 

「幸村!」

 

 

 

「...なんだ、母さん」

 

 突如として、珍しく母さんの大きな声を聞いた俺は後ろを振り向く。すると、母さんはいつものニコニコしたような笑みではなく、本当に柔らかい笑みで──

 

 

「楽しんできてね」

 

 

 そう言って、また何時もどおりニコニコスマイルに戻ったのだ。

 

 上田昌幸、彼は今日も今日とてゴルフの事を考え。

 

 上田松華、彼女は今日も居間でゴロゴロして。

 

 上田薫、彼女はニコニコと笑みを見せる。

 

 

 

 

 ああ、非常にうっとおしい家族だけど───

 

 

 それでもあの人たちは俺の大切な家族だ。

 

 

 

 

 

「おう!!」

 

 

 俺は、何時もの感謝の気持ちを込めて思いっきりドアを閉めて、親友の元へ、一直線に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 この地に来てから呆れるような事も、考えさせられるような出来事も沢山あった。考え方も変わったし、目標も変わった。

 

 だけど、何より変わらないものは。そして、これからも変わらないことはただ一つ。

 

 それは、俺には『こんなにも素晴らしい両親や仲間がいて、俺の事を見ててくれている』って事だ。

 

 

 

 

 さて、ここから先の政宗には苦労が続くことだろう。苦しい鍛錬は続くし、デッド・オア・ラブ(惚れさせて振る)作戦も改善して最善の策を見出さなければならない。

 その過程で、木に止まっている鳥が食べ物に見えてくるかもしれないし、悩みに悩んで高カロリーの物をバクバク食ってデブニーランドに再入園してしまうかもしれない。

 

 そう、これから考えなきゃならないことは沢山ある。

 

 

 だけど。

 

 

 今、この時間だけは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真壁政宗考案の寄せ鍋を一緒に作り、食べている間位は、復讐なんか忘れて、美味しく鍋を食べようじゃあないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




政宗くんのリベンジのOADが出るとか。

これは、買うしかないのではなかろうか。

政宗くんのリベンジ10巻が7月27日に発売されるとか。

これは、買うしかないのではなかろうか。

...金欠の未来しか見えませんね。

さあ、なにはともあれこれで原作前は終わり、本編に移行する予定です。改めて見ると矛盾点の多さやら誤字脱字やら原作前の異様な長さやら最新話のやっつけ具合やら駄目な部分しか目立たない作品でしたが、予想以上のお気に入り登録。そして、執筆前は予想だにもしていなかった評価に色が付くという予想外の事態に本当に感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

これからも鋭意執筆させて頂く所存ですのでこれからもこの小説をよろしくお願い致します!

...誰か、政宗くんの二次創作物書いてくれないかなぁ壁|ω・`)チラッ

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